みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
4.《ネタバレ》 はい、最初に大変うるさかった世間のノイズは、映画見てみると何のことやら、でした。佐藤浩市さん演じる総理お腹も壊してないし原作にあるという嘔吐癖もない。国をつかさどる重責を担ったものの抱える「平和」と「戦闘態勢」とのバランスに心を痛める慎重な指導者です。いたずらに右でも左でもありません。何だったんでしょうあのから騒ぎは。 えーまず、私は原作読んでおりません。 領土権争いしてるらしい初島を東亜連邦という、はっきりしてることは反日の問答無用国家(?)が勝手に占領し、近づく日本の艦隊に攻撃を仕掛け、日本としては受け身受け身で戦わざるを得なくなる。 何しろ外交のルートさえない、北朝鮮とISを足してもっと意思の疎通不可能にしたような連中が相手なので、問題は戦うか戦わないか、つまり戦闘を戦争となる前に沈火させられるか、平和はどうやって守るべきかという、空母いぶき上での、艦長西島秀俊と副館長佐々木蔵之介の論戦が中心になってしまう。この二人は「一応」相反してますが、別に右対左ではありません。常に冷静な西島さん(役名無視)は「日本国民に犠牲を出さないのが自衛隊の最大目標」という信念を持ってるし、佐々木さん(役名無視)は「平和憲法を死守したうえで、戦闘ではなく戦争に結びつく行為にNGを出す」という立場です。全面戦争を良しとしないならこれもわかる思い。 大事なのは本土に影響が及ぶような戦いを避ける事。それは総理もいぶき艦長も副長も一致してます。しかし相手は「宇宙人なみに正体のわからん国」 敵さんは潜水艦から戦闘機からミサイルだの魚雷だの打ちまくってきます。あとは護衛艦潜水艦がミサイル撃ち落としと迎撃を繰り返すシーンが延々と続きます。 取材でいぶきに乗り込んでいた本多記者は、燃え上るいそかぜの画像を撮り、衛星携帯で画像を本社に発信してしまう。ここにおいて日本人は初めて、初島を巡り死者の出ている大きな戦いが起きていることを知った。そして中井貴一が徹夜でクリスマスブーツにお菓子を詰めてるコンビニで買い占めを始めます。ミキプルーン中井はブーツづくりに忙しすぎて戦争前夜みたいな近海での騒ぎを全く知らず過労で爆睡。このコンビニでのシーン、ここまで必要かってぐらい出てきます。 政治家のおっちゃんらは背広きて、ですますでしゃべる総理に向かい、ため口で「先制攻撃だ日本を守るんだ!」とわめきつづけますが、全面戦争まで発展すると倍返しになって終わりが見えない危険性があり、先は見えない。総理とアジア大洋州局長の吉田栄作は、国連と友好国に対し、日本が陥っている危機を訴え続けます。キチ国相手に本気の戦争はできない。この状況を許さないで、皆で助けて、というSOSですね。 その間にも若い戦闘機のパイロットは命を懸けて出撃し次々敵のミサイルを撃墜していきます。(市原隼人かっこよかったぞ! 人の心を持っている甘い日本の空母に対し雨あられの容赦ない攻撃からどう助かったかどう解決したかはある程度予測がついていた通りなので、もうここでは書きません。だって要するにそれしかないし。 お花畑とは言わないが、つまりそういうことなんです。どの国だってアジアが不安定になり、際限のない戦争が始まることなんて望んでない。だからお話としてのおさまりどころはあれしかない。今の日本にとっても。そして微妙に解決への道が、クリスマスブーツに書かれたメッセージと一致している。ええ、お花畑と言われても。 だがしかし。最終的に怨みなき平和なんてものを日本独自に手に入れるにはどうしたらいいのか。相手を追い詰めず和平を手にする。そもそも可能なのか。 それを、そのことを考えるためなら、右とか左とかいう針を自分の脳味噌から振り切って考えていくにはいいかもしれない。 核兵器30個ほど抱え込んでやっと安心な霊長類ってなんなのか、これで進化したと言えるのか、まあ情けない思いで色々考えました。あとは、次から次への戦闘シーンが好きな人はそれを堪能するため。一応退屈はしませんよ。 最後に、西島艦長佐々木副艦長はじめ各護衛官潜水艦の艦長さん、総理、コンビニ店長さん、皆いい演技でした。個人的に高嶋政宏の眼力が印象に残りました。 脱出成功した戦闘機のパイロットを空母上で斬殺した敵兵の捕虜に 「あったかいもんでも飲ませてやれ」と口角上げて言う穏やかな西島艦長と言い(信じられん) まあその他いろいろと言い、 嗚呼日本だ、あまりに整然と美しい(えーいろいろと思いは混じってます)平和を愛する日本の映画だなあ、とは思いました。 まあなんだかんだあるけど長尺であるらしいコミックをエンターテイメントの中に押し込んで、豊富ではない予算内でのCGともどもなかなか検討したという点で7点献上。 【あにさきすR】さん [映画館(邦画)] 7点(2019-06-02 00:07:53)(良:1票) ★3.どこかの阿呆のように、どんな事でも、浅はかに「曲解」しようと思えばいくらでも出来るわけで。 今現在の、この世界の複雑さと、愚かさを伴った在り方は、いつだってその“危機”を孕んでいる。 「日本」は、そういう危機感に対して、時に老獪に、時に臆病に、結論を避け、蓋を閉め続けてきた。 それは決して、一方的に非難すべきことでも、賞賛すべきことでもなく、極めて難しい選択肢の中で、苦慮をし続けてきた結果なのだろう。 ただし、そういう危うさに対して、いつまでも避け続けるわけにもいかないし、もう蓋をしようにも閉め切れない時勢に至っていることも明らかだ。 この国は、何らかの形で、この「局面」を超えなければならない。この映画の主人公が発した「ハードル」とは、まさにそういうことだ。 ならばどうするのか。 無論、その答えは一つであろうはずもないし、何が正しいかなど実際分からない。 大切なことは、導き出した方向性に対して、誠実に「覚悟」を示せるかということ。 この映画の登場人物たちは、自衛隊員も、政治家も、官僚も、ジャーナリストも、みなそれぞれに強い意思を示し、「覚悟」を示す。 その彼らの有様と、この映画で描き出されることは、あくまでも一つの価値観に端を発する「理想」であり、「空想」に過ぎないかもしれないけれど、その“姿勢”の示し方自体は、とても有意義だったと思う。 演者の部分的な演技プランのみをピックアップして無責任な難癖をつける阿呆は論外だが、しっかりと鑑賞した上で、この映画で描き出されていることと、自分自身の価値観を鑑みて、「否定」することは大いに結構だと思う。 どこまで意図的かは分からないけれど、この映画は、鑑賞者の思想や意識によって如何様にも「見え方」が異なるように仕上がっている。 この映画を鑑賞することで、避けられない「局面」を迎えているこの国の国民として、今一度自分自身の立ち位置を見極める良い機会にになり得るのではないか。 映画作品として、「完成度の高い映画だ」とは正直言いがたい。 登場人物たちに青臭く語らせすぎだし、所々再現映像のようなチープ描写もあり、映画表現としては稚拙だと言わざる得ない部分も多い。 だがしかし、製作費が限られているであろう中で、何とか苦心して映し出された海上での戦闘シーンは、きちんと緊迫感を備えていたし、日本独自のミリタリー映画として成立していたと思える。 そして、その海上の緊迫感は、日本政府の苦悩ともリンクし、この国だからこそ表現し得たポリティカルサスペンスとしても見応えがあった。 最後に、中井貴一の呑気なコンビニ店長役に違和感を感じた人も多いかもしれないが、これは海上護衛艦を舞台にした2005年の映画「亡国のイージス」を鑑賞した映画ファンならば、なかなか感慨深いギャップを孕んだキャスティングのはずだ。 本作には、「亡国のイージス」原作者の福井晴敏が企画として名を連ねており、随所にかの映画を彷彿とさせるキャスティングや設定が見受けられる。 原作自体に関連性は無いので、ストーリー性が別物であることは当然だが、同じ日本の領海上を舞台にしたポリティカルサスペンスでありながら、十数年の時を経て、自衛官や政治家たちの立ち位置が微妙に変化していることも興味深い点だった。 【鉄腕麗人】さん [映画館(邦画)] 8点(2019-05-30 23:28:20)(笑:1票) 2.《ネタバレ》 原作未読。 佐藤浩市のインタビューが色々話題になっていたので、見てみっかと映画館へ。 お腹の弱い総理とのことだったので、いろいろアレな判断をするアレかと思いきや、『シン・ゴジラ』並みに頼れる政治家が出てくる作品でした。 戦闘がシステマチックに展開するのが、近代戦をリアルに感じさせてくれます。 また、戦闘が戦争に拡大しないようにという手かせ足かせの中での戦闘が、なかなかハラハラします。 最後に総理大臣が庶民感覚丸出しで、平和の重さを述懐します。 庶民感覚など持ち合わせない2世大臣連中に聞かしてやりたいと思いました。 【こんさん99】さん [映画館(邦画)] 7点(2019-05-26 19:29:20) 1.《ネタバレ》 公開前から叩かれていたので笑ったが一応見て来た。 原作に含まれている各種要素のうち、この映画では「戦争」と「人命」に絞って基本的なところを表現していたようで、うち「戦争」については敵に関する設定との関係なのか独自の定義をしていたらしいが別に悪くはない。ただ戦争映画として面白いかは何ともいえないものがあり、侵略された島に行こうとしたら途中で敵が攻撃をしかけて来て原作にある出来事が起こったというだけで、戦術的な駆け引きのようなものは特にない。また自分としては原作12巻までの間で3回くらい出た「当事者として」という言葉がなかったのは不満だが、それは日本国民にはまだ早いという判断か。 そのほか映画独自の部分として、ネットニュース記者の「燃えています」の場面は、意図はよくわからないが少し泣かせるものがあった。この人物はジャーナリストというよりも、戦闘の現場をじかに見てしまった一般人の位置付けのようでもあるが、あるいはこの映画としても既成のマスコミに期待するものはないと考えているのかも知れない。 また人命に関わることとして、救助された敵兵が逆上して自衛官を殺害してしまい、同僚が報復しようとして止められるエピソードが入っている。ここは敵とはいえ未来のある若者を、殺してしまうのでなく改心させるのが大事という意味かも知れないが(いわば少年法の精神?)、しかしそういう目的のために柿沼1尉を犠牲にしたのは絶対に許せない。自分がこの場の責任者でも止めるだろうからそれは仕方ないにしても、こういう話をわざわざ入れるこの映画を憎まずにはいられない。本当に守ろうとするのは誰なのかを厳しく考えることもなく、八方美人的に綺麗事を言ってみせる映画など全く求めてはいない。 なお最後に紛争を終結させた驚愕の出来事は、もしかすると日本国憲法前文でいう「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」するとの理想を表現したものではないか。ここは専ら憲法を愛する人々へのサービスのようでもあるが、そもそも敵に関する設定が原作と違って荒唐無稽なため現実的な切迫感もなく、何か異世界ファンタジーのようなものを見せられた気もした。 そういうことで原作読者として満足できるものでもないが、最低限、原作の存在を世間に知らしめるという意義はあるので、世間の評価はどうでもいいからとりあえず話題にはなってもらいたい。ちなみに原作は今年中に完結とのことで期待している。 [2019/12/07追記] DVDで再度見たが、やはり柿沼1尉の件は許しがたい。わざわざ妻子の顔を見せて「替えは利かない」と言わせておいてから死なせるなど極めて悪趣味で、制作側には人の心というものがないのかと疑わせる。 また公開中は少し遠慮していたがあえて書くと、最後に取ってつけたように外交の心得だか極意のようなものを説明するのが煩わしい上に、大きい国が小さい国を追い込むな、などと突拍子もなく語らせるのは不快感を催した。こういう誰の意向を斟酌したのか不明な主張で話を逸らしてしまうのは、映画というメディアの不自由さなのか作り手の独善性なのか。 もう一つ、公開時に見て気になっていたのは、ラスト近くの「こんな時間に開いてる店あります?」「何でもありだよこの街は」というやり取りである。これがどこまで現実味のある話なのかわからないが(東京だとあるのか)、そういうのこそが世界に誇れる日本の底力だ、と言いたいのなら話はわかる。 [2020/02/13変更] ニュージーランド映画「米中開戦 20XX年:悪魔のシナリオ」(2019)との相対関係でマイナス1点とする。 [2020/07/27変更]「みんなのコミックレビュー」に原作のレビューを掲載したので、この機会に映画の方をさらにマイナス1点とする。 【かっぱ堰】さん [映画館(邦画)] 3点(2019-05-25 10:53:16)
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