みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
★5.東京のど真ん中の、猥雑で、ありとあらゆる欲望に塗れた薄汚れた雑居ビルの風俗店の一室で、切なく蠢く女性たちの感情が、乱暴なまでに生々しくべっとりと描きつけられる。 その様は、果たして阿鼻叫喚の地獄絵図のように進展していくけれど、このような人間模様は、きっとこの街のそこかしこで当たり前のように繰り広げられていることに過ぎないのだろう。 格差是正だとか、ジェンダーレスだとか、サステナビリティだとか、美辞麗句を並び立てることがこの社会は大好きだけれど、実際のこの世界は、女性が一人生きていくにはあまりにも息苦しくて、あまりにも醜い。 出張風俗店の息苦しい待機部屋を燃やしたって、憎い男性店長を刺したって、たとえこの街がドカンと爆発したって、明るい未来なんて見えるはずもない。 モラハラやDVに耐え忍んで、ほんの小さな愛にしがみついてみたところで、その次の曲がり角では理不尽で卑劣な暴力の餌食になるかもしれない。 なんて過酷。なんて醜悪。 それでも、それなのにだ、雑居ビルの屋上から見える狭い空の燃えるような夕焼けを見て、思わずお腹がすいてくる。なんて切ないんだろう。なんて悲しいんだろう。 「伊藤沙莉」目当てで鑑賞して、やっぱり伊藤沙莉が素晴らしかった。 あの絶妙なビジュアル、表情の作り方、そして声質、この女優の演技とそのたたずまいは、文字通りに味わい深く、どんなに他愛もないシーンであっても観ていて飽くことがない。 そして伊藤沙莉演じる主人公を翻弄し続ける風俗嬢の面々を演じた女優たちもみな素晴らしかった。 ベテラン嬢を演じた片岡礼子以外は、本作の撮影時点ではそれほど名の通っていない若手女優ばかりだったと思うが、表情や立ち振る舞いの実在感がことごとくリアルで、殆どデリヘル店の一室で展開されるこの映画の小さな空間を見事に彩っていたと思う。(特に劇中バチバチにやり合う恒松祐里と佐津川愛美は、この一年間の朝ドラ出演で知った女優だっただけに、そのギャップが印象的だった) 自分のしょうもない人生にドラマなんて期待しないし、そんなものにタイトルを付けるなんて反吐が出る。 無記名の大学ノートに、日々の“つらみ”をただ刻みつけるかのように、無理やり笑って、無理やり泣いて、ゴミ溜めのような今日を、彼女たちは生きていく。 そんな決して綺麗事ではない女性たちの生き様が、時にどうしもようなく、美しい。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(邦画)] 9点(2022-12-10 00:08:01) 4.《ネタバレ》 夜の仕事に就く人たちがすべて汚れてるとか下だとか、私はそういうの結構どうでもいいタイプなんですが、実際そこで働いている人たち自身の意識としてそういう感情を持ちやすいのかもしれないとは思いました。職業に貴賎はない、とか偉そうなことは言いませんが、自分の仕事が合う人合わない人、そういう仕事に属する人と合う人合わない人がいて当然だろうなと思っています。 伊藤沙莉さんの一人語りから始まるこの映画。自分が全然縁がない世界の話だからか、終始ピンとは来ませんでした。登場人物それぞれの人生の捉え方やそのバックボーンをひたすら見ていきますが、カノウ、マヒル、シホ、チカ、ハギオなどなど、、、特に誰にもなんとも思わなかった。仕事や人に縛られる必要は無いし、いくらでも変えることはできるよねとか思ってる私のような人間からしてみたらなぜ彼女ら彼らがあの世界にこだわるのかの方が意味不明だった。特にカノウは、搾取されることに本気で愚痴りながら離れようと思えば離れられるのにその世界に居続けるとか、意味がわからない。もう少し、誰かの内面やストーリーに踏み込んだ話なら何か思うところができたかもしれません。 【TANTO】さん [インターネット(邦画)] 5点(2022-10-02 08:58:13) 3.《ネタバレ》 お電話ありがとうございます。当店の御利用は初めてでございますか? カノウ - 伊藤沙莉 マヒル - 恒松祐里 アツコ - 佐津川愛美 シホ - 片岡礼子 キョウコ - 森田想 カナ - 円井わん チカ - 行平あい佳 リユ - 野崎智子 ヤヨイ - 大川原歩 マヒルの妹:和代 - モトーラ世理奈 監督:山田佳奈。 とりあえず、自分の為、皆の為、分かりやすくしてみました。御指名の際には源氏名にてお申し付けお願いいたします。(^^ゞ 尚、カノウさんは御指名なさらないでくださいね。彼女は今回ワケあって裏方専門に徹しておりますのでご了承ください。 また、アツコさんを御指名される方にはご注意がございます。彼女は今回結構情緒不安定で危険な状態にありまして、楽しめる時間をお求めになる方は別の選択されたほうがよいかと申しておきます。 更に、フリーでいいよというお方、今なら積極的にヤヨイ様をオススメしておりますが、でも怒らないでくださいね、人様には好みというものがありまして、お気に召していただけるかもしれませんし、お気に召さないかもしれませんので、まずはお試しを。已む無き場合にはチェンジだってお受けいたします。 尚、監督:山田佳奈の御指名はお受けしておりませんので御勘弁ください。 【3737】さん [DVD(邦画)] 5点(2021-10-24 21:34:05)(良:1票) 2.《ネタバレ》 主人公のカノウは、いったんは風俗嬢になったものの、その仕事がどうしても受け入れられず、いまは使い走りのアルバイトをしている。だからカノウは「自分にはできなかった仕事」を淡々とこなす他の風俗嬢たちに対して、軽蔑だけでなく尊敬に近いような、複雑な感情を持っている。つまり、カノウの視線は、男性目線のファンタジーでも、性産業への蔑視でもない、独特の風景を見せてくれる可能性があった。そこに伊藤沙莉を持ってきたキャスティング、女性監督による風俗映画として期待大でした。しかし、残念ながら本作はそのカノウ=伊藤の絶妙な配置をほとんど活かせないまま。「いつも(目以外は)笑顔のナンバー1」「ヒステリーな元ナンバー1」「根暗な文系女」「尽くす系の重い女」「バカな新人」「暴力・暴言まみれの店長」「ありがちな秘密を抱えるイケメン店員」などなど、店員も風俗嬢たちもステレオタイプだらけの登場人物なので、それぞれの群像劇はどれも魅力を感じない。唯一、描き込まれるマヒルも演技面ではがんばってはいるが、役者さんの力不足感は否めず。前半はそれぞれのステレオタイプを一つずつ消費する展開だったので、後半はそこから意外な展開や描写が見られるのかと思ったけど、暴力店長は店員を殴り、ヒステリー女は人を刺し、マヒルは自暴自棄になる、という結局は最初の予想どおりの流れでした。見終わって感じたのは、これ結局、監督や脚本が「風俗業」そのものには関心がないというか、むしろ明らかに見下しているように思えること。冒頭以外には仕事のシーンはあえて入れなかったのだと思うが、そのため「お仕事モノ」としての魅力も皆無で、ひたすら「底辺」「底辺」と連呼される。期待しすぎたのかもしれないが、結局はありがちで面白みのないエピソードを積み重ねたフツーのB級ドラマでした。 【ころりさん】さん [インターネット(邦画)] 4点(2021-05-08 14:28:54) 1.《ネタバレ》 デリヘル店を舞台にした群像劇。全体を通してのストーリーというものも特に無くて、個々の登場人物のキャラクター(=それを表現する演技)が見所という作品かと。 主人公はいちおう伊藤沙莉ということになっているが、彼女は別に風俗嬢じゃなくて単なるパシリで、人間的にもごく真っ当な人物である(風俗の面接にスーツで来ちゃうくらいに「真っ当」)。というか、風俗嬢になろうとするも最初の客でパニクって諦めた、という意味では(真っ当だけが取り柄の)馬鹿にもなり切れない程度に救い様の無い無能、と言っても好いかも知れない。ある場面で爆発する以外は全体的にもローテンションで、正直あまり目立っている訳でもないので、彼女目当てでワザワザ観に行った期待値に対しては若干肩透かしを喰らった様な気もする(まあ、今作に関しては引立て役ということで)。 彼女に代わって熱量のある演技で映画のハイテンションな側面を形成していたのが佐津川愛美。冒頭の超ハイテンションに笑い転げる陽キャ具合からして非常に癇に障って実にグッドだったが、その後のネガティブ展開におけるアバズレ感にも全く無理というものが無く、非常にリアルかつキレ味も有る出色の出来だった。流石である。 しかし、その佐津川の更に上をいったのが恒松祐里(少し意外)。基本的にニタニタ笑っている役なのだが、その秘める闇が明らかになるに連れて笑顔に「凄み」を生じていた(心は少しも笑ってないのに口だけだらしなく嗤ってる様子の気色の悪さったら)。彼女と佐津川の対決シーンにもキレがありましたね。火を点けるつもりなど無かった女と、火が付くことを何とも思っていない女。決着が一瞬で付いたサマには、これ以上無い「一撃必殺」の何たるかを感じ取りましたよ。 別に全然悪い作品では無いと思うが、内容というものがチャンと在る訳でもないし、演技面にもそこまで斬新なアイデアが在る訳でもない(前述の二人の演技はかなり面白いケド)。ただ、特にお話の部分は全体的に状況のリアリティとゆーのを少し欠く様に感じられるとも思うのだよね。つーかそもそも風俗関係者なんてみんな頭オカシイ…てだいぶヒドい偏見な気がするんですケド。 【Yuki2Invy】さん [映画館(邦画)] 6点(2020-11-15 15:28:23)(良:1票)
【点数情報】
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