みんなのシネマレビュー

満員電車

1957年【日】 上映時間:99分
ドラマコメディモノクロ映画青春もの
[マンインデンシャ]
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監督市川崑
助監督増村保造
キャスト川口浩(男優)茂呂井民雄
川崎敬三(男優)和紙破太郎
船越英二(男優)更利満
潮万太郎(男優)山居直
入江洋佑(男優)若竹
此木透(男優)無精たらしい男
響令子(女優)歯医者の妻
新宮信子(女優)歯科医
伊東光一(男優)場場博士
葛木香一(男優)小学校校長
杉田康(男優)教師
高村栄一(男優)営業部長
見明凡太朗(男優)総務部長
山茶花究(男優)駱駝麦酒社長
浜村純(男優)大学総長
河原侃二(男優)大正時代の大学総長
小野道子(女優)壱岐留奈
杉村春子(女優)茂呂井乙女
笠智衆(男優)茂呂井権六
脚本市川崑
和田夏十
音楽宅孝二
撮影村井博
製作永田秀雅
企画土井逸雄
配給大映
美術下河原友雄
編集中静達治
録音渡辺利一
照明米山勇
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【クチコミ・感想】

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6.《ネタバレ》 冒頭のどしゃ降りの雨の中、皆が皆、同時に傘を広げ、同時に傘を閉じる。この上なく変な始まりです。変と言えば歯の痛みをこらえて仕事する川口浩が直ぐに仕事終わらせた事に対する会社側の言い分が変で笑える。その後の川口浩の時間に対する拘り、船越英二とのやり取りなど色んな皮肉が散りばめられている。この映画、市川崑監督の社会に対する怒り、サラリーマンの厳しさの様な物を描く中で満員電車の中で映画は大映、満員電車と自分の作品を何気に宣伝する辺りの凄さ、凄いと言えばキャストの選び方に市川崑監督作品では珍しい笠智衆を役所の時間、時計などあてにならないという批判を言わせるという凄さ、時計屋の親父とおふくろ役に杉村春子、何だか小津映画を見ている様だ。市川崑監督が小津映画を好きだと感じる笑いをこの作品から見る事が出来る。 青観さん [DVD(邦画)] 7点(2016-05-28 18:56:52)

5.《ネタバレ》 なかなかブラックでよかった。 社会風刺はどこか説教臭くなりがちなところ、最初の雨の中の卒業式からグッと引き込まれて、最後まで一気に見せてしまうのは大したもの。 無理やり笑わせようしていないのに苦笑いしてしまうシュールなコミカルさもすごい。 主人公を船越英二の役のような淡々とした感じにしてもらったほうが、より風刺が効いたかも。 nobo7さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2014-05-11 01:32:30)


4.みんなどこかが狂ってる!
と、映画全編を通して延々と映し出される密集する雑踏の中で思わず叫びたくなる。
鋭い社会風刺を強烈なブラックユーモアをもって描きつけている「問題作」と言っていい。
1957年当時に、これほどまでに冷ややかなエグさで埋め尽くした映画を描き出した市川崑という映画監督は、やはりとんでもない人物だったのだと思わずにはいられない。

一流大学を卒業しながらも、将来に対する望み薄な展望をドライに割り切り、無表情のまま現代社会の荒波に飛び込んでいく主人公。
映画のタイトルを指し示すように、彼は「日本には我々が希望をもって坐れる席は空いていない 訳もなくはりきらなくては」と冷め切った持論を展開する。

どこに行っても人間が混み合い、すべての人間が杓子定規に生きるしかない明らかに狂った社会。
そのすべてを割り切って生きてきた筈の主人公だが、父親からは母親が狂ったと聞かされ、母親からは父親が狂ったと聞かされ、まわりの同僚たちも何だかどこかが狂っている。
次第に、本当に狂っているのは、社会なのか自分自身なのか分からなくなってくる。

50年以上前の映画でありながら、この作品が映し出す社会の本質とその病理性は、まさに現代のそれに直結するものであり、登場人物たちの妙な言動は可笑しさから次第に恐ろしさとなって観る者に迫ってくる。

主人公は紆余曲折を経て路頭に迷う。ラスト、自ら建てたあまりに粗末な掘建て小屋を強風にさらされながら、主人公はそれでも柱にしがみつき、未来に対する諦観か覚悟が判別のつけづらい感情の中で、生きていかなければならないと宣言する。
その直後には、小学校の入学式に臨む子供たちが、校長から「将来は前途洋々」と訓辞を受けているシーンが映し出され映画は締められる。

いやあ、この皮肉さはもの凄い。
鉄腕麗人さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-07-05 16:19:22)

3.《ネタバレ》 乾いたユーモア、人工的なセリフ回し、と特徴は備えているけど、けっこう暗い作品。音楽のせいもあるか。冒頭の傘の卒業式からして「混み合っている」イメージで統一されていく。バスがすれ違うところ、電車、通勤風景、街頭。つらい人生をこれでもかこれでもかと強調する。タッチはユーモアなのに、暗い。気づいた構図として、部外者のこっち向きの顔を隅に置いておくというのがある。時計屋でメガネをのぞいている男とか、船越英二の部屋での川口浩とか、ちょっと不気味な神経症的雰囲気。それと室内の照明、独身寮の空漠さを出すために過度にしたり、影を強調するために低くから当てたり(川崎敬三が訪ねていったときの小田原の実家、そしてこういう低い照明は晩年に至るまでずっと彼の好みになる)、デフォルメの効果。もっとハメを外してもいいんじゃないかと思うところもあるけど、その時代における貴重な一歩を踏み出している映画であったことはよく分かる。ラスト、小さな掘っ立て小屋を主人公は母と一緒に悲壮になって守り抜こうとしているのである。 なんのかんのさん [映画館(邦画)] 7点(2010-01-28 11:59:18)

2.市川監督の片鱗を伺わせるところはあり、いくつか観るべきところはありますが、いかんせん、駄作は駄作であります。 みんな嫌いさん [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-11-27 12:49:47)

1.若き日の川口探検隊長は嫌味のない二枚目でカッコいいですね。今でいうと岡田義徳みたいな雰囲気。タイトルにもなっている通勤満員電車、患者であふれ返っている精神病院、殺風景な社員寮、雑然とした会社の作業場等、どこかタガが外れて歯車が狂っているような登場人物を含め、当時の世相をシニカルに捉えた市川+和田夏十夫婦コンビのブラックユーモアが全編に弾けてます。でも膝を叩いて笑えるような楽しいコメディじゃないですね、これは。唯一自分爆笑したのは、笠智衆がいつものすっとぼけた口調で「母さん(杉村春子)が発狂してなあ~」って言う箇所のみ。破れかぶれの勢いは感じさせるけど佳作とまでは言いかねる出来かなあと自分は思います。 放浪紳士チャーリーさん [DVD(邦画)] 6点(2006-03-25 13:59:02)

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【点数情報】

Review人数 6人
平均点数 6.50点
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