みんなのシネマレビュー |
|
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
16.《ネタバレ》 ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督の「探偵〈スルース〉」は、あらゆる意味で"芸"を堪能する映画だと思います。 まず、アンソニー・シェーファーの原作の戯曲及び脚色が持つ、ストーリー展開の"芸"。 それから、ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督の熟練の演出が見せる、語り口の"芸"。 そして、最も重要なのは、二人の主人公を演じる名優ローレンス・オリヴィエとマイケル・ケインの演技の"芸"。 ローレンス・オリヴィエが扮するアンドリュー・ワイクは、ロンドン郊外の豪壮な邸宅に住み、推理小説の執筆をなりわいとしているが、作家といっても日本の流行作家などとはだいぶ感じが違います。 原稿の締め切りに追い立てられて必死になっているといったところは、全くなくて、それどころか、自分の優雅な生活のペースをたっぷり味わいながら、その間に悠々と執筆をしているような余裕が、何よりも印象的なのです。 このアンドリュー・ワイクが、イギリスの上流階級を絵で描いたような人物であるのに対して、マイケル・ケインが演じるマイロ・ティンドルは、これまた典型的なほどワイクとは対照的な人物なのです。 父はイタリア移民の時計職人で、その息子のマイロは美容師として成功し、現在では美容院の経営者になるまで出世したのです。 つまり、アンドリュー・ワイクはサラブレッドであり、マイロ・ティンドルはハイブリッドなのです。 しかも、血筋が違うだけではなく、育ちも違う。 こうした違いは、イギリスの社会では、日本人の我々が自分たちの社会の構造を当てはめてみて体験的に想像するよりも、遥かに厳しいもののような気がします。 この二つの役にローレンス・オリヴィエとマイケル・ケインが配役されたのは、二人の俳優の個性をうまくつかんだ、絶妙の選択だったと思います。 これだけタイプがぴったりならば、あとは二人の演技の"芸"の対決をじっくり味わえばいいということになりますね。 それではこの二人、どちらが演技的にうまいか? あるいは少なくとも、この映画ではどちらが優れていたか? この二人は、1972年度のアカデミー賞の最優秀主演男優賞の候補になりましたが、「ゴッドファーザー」のマーロン・ブランドが受賞し、惜しくも受賞を逃しています。 マーロン・ブランドという最強のライバルがいたことと、二人の間でアカデミー会員の票が分散されたため、受賞には至りませんでした。 キャリアと実力から言えば、どう見てもオリヴィエに歩があるのは明らかです。 オリヴィエの演技には、舞台のシェイクスピア劇で鍛えられ、最高のシェイクスピア役者と謳われた、円熟の妙味が豊かに脈うっています。 とりわけ、ちょっとした目の表情の変化などに、イギリスの上流階級だけが持っている"尊大さと傲慢さ"と、そして"冷たいずるさ"を感じさせるあたりが、オリヴィエの"芸"の見どころだと言えると思います。 この映画でのオリヴィエの演技は、歴史上の英雄だとか大人物だとかを正面切った芝居で見せるというものではなく、イギリスの上流階級の人種を絡め手の方から浮き彫りにして見せるといったものです。 そして、それだけに、小さな演技に見どころがあり、味があるのだと思います。 実際、オリヴィエは、この役を演じるにあたり、舞台的な演技ではなく、映画的なそういった細かい"芸"の工夫を、何か悠々と楽しんでやっているように感じられました。 これに対して、マイケル・ケインは、チャンピオンに立ち向かう挑戦者のように、全身全力を傾注して、老獪なローレンス・オリヴィエという名優に、健気にも対抗しているといった風情だなと感じました。 この映画は、かなり手の込んだ構成を持っていて、オリヴィエと堂々と互角の演技合戦を展開していたなと思います。 このマイロ・ティンドルは、立派な成功者なのですが、なぜかアンドリュー・ワイクと対等の立場に自分を置くことができません。 それは、イギリス社会が生んだ階級の格差のせいで、その格差がマイロの人格に影響を及ぼしてしまっているからなのですが、マイケル・ケインは、そういう劣等感をわざとらしくなく表現しきっているのが、実にいいなと思います。 この両者の"芸"のいずれに軍配が上がるのか? 私は、オリヴィエの余裕と貫禄、ケインの積極演技を引き分けと見ました。 それにしても、うまい役者のうまいお芝居を観るのが、こんなにも楽しいものだということを、再認識させられた映画でした。 【dreamer】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2019-03-16 15:39:20) 15.よくもまああそこまで陰湿で屈辱的なイジメ方を思いつきますね。その屈辱を一晩寝ただけで復讐の力に変えるマイロのバイタリティもすごいけど。ふかふかのソファーでブランデーでも傾けながら観たい極上のミステリーでした。 【カタログ】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2012-01-31 09:23:05) 14.二人芝居を堪能しました。 【次郎丸三郎】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2011-09-16 06:48:46) 13.《ネタバレ》 "Be sure to tell them that it was just a bloody game." おもちゃに囲まれたあの部屋で迎えるEnding. 嗚咽しているのはAndrewだったのでしょうか ... おもちゃだったのでしょうか. Andrewを見ていて少々かわいそうになってきました. 【RTNEE USA】さん [インターネット(字幕)] 9点(2011-04-17 17:50:34) 12.《ネタバレ》 登場人物は2人だけで場所もほとんど家の中でしか話が進まないが、それが逆にどういった展開になるのか想像力を駆り立て目が離せない。最後にもうひと返しあってワイクが出し抜くかと思ったので少し不満が残りました。人形や絵や置物をチラチラ映してたので何かあるのかと思ってしまった。 【さわき】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-01-06 22:05:56) 11.これだけ限定された登場人物と空間の中でひとつの映画を作ってしまうなんて・・・ ミステリーやどんでん返しものが好きな人ならぜひ見てもらいたい、ある意味究極の傑作。 【きーとん】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2010-08-17 22:42:15) 10.《ネタバレ》 前半、変な感じのノリがあって「何だよこれ」みたいに思っていたが、だんだんお互いにマジになっていく。 嫌な感じの「ゲーム」を仕掛ける映画は最近もあったが、こっちのほうが仕掛け方はフェアで上品かな。それでも汚いけど。 銃も刑事さんもまったく気づかなかったけど、後ろは読めてしまった。そこが残念かな。 あと、あの笑う人形がいい味出してます。 リメイクされましたよね。DVDが出るといいです。 【θ】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2008-05-08 19:32:29) 9.二人のやりとりによる物語の進行は、個人的には大好きです。キャストが多すぎる昨今の映画に比べ、とてものめり込みやすいと思います。エンディングが重いのがちょっとアレですが、ラストに余韻を残すのは舞台劇のお約束ですのでご勘弁、ってとこですかね。 【ひで】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-12-19 00:48:35) 8.いつ面白くなるんだろう、と辛抱強く待っていたらそのまま終わってしまったという感じ。世間では傑作の誉れ高い作品のようですが、僕には合いませんでした。まず思っていたほどコメディではなくそれほど笑えない。いくらゲームとは言えお互いにやっていることは度を越えているので、どんでん返しによる痛快!というよりも観ていてただ不快感だけが残りました。それでもローレンス・オリヴィエとマイケル・ケインの心理戦を見られただけでもこの映画を観た価値はあると思うし、もともとが舞台劇というだけあって凝りに凝ったセットや小道具は必見です。不気味な笑い人形から、ピエロに扮装したマイロが梯子を登るシーンは絵的にもユニークでした。それにしても「スルース」ってそういう意味ですか・・・、どうやら僕は初めからこの映画の見方を間違えていたようです(汗)。 【かんたーた】さん 5点(2004-08-26 21:56:35) 7.《ネタバレ》 物語全体に漂う空気が不気味。名優2人の演技はさすがに素晴らしく、最後までドキドキしながら楽しめました。最初に3人分の名前が出てきたのもひっかけですか~。 ↓そうそう。リメイクされるんですよね~。ジュードはケイン主演の『アルフィー』のリメイク版でもケインの役をやるそうですが…微妙に不安。個人的にはもうちょっとうさんくさいカンジの人にやってほしかったかな(笑) 【RITA】さん 7点(2004-07-07 01:06:38) 6.《ネタバレ》 ローレンス・オリヴィエVSマイケル・ケイン。舞台劇の様式美をも意識した名優二人の演技合戦に、これだけでご飯3杯ぐらい食べてしまえるほどだが、食べた後にお腹が痛くなってくる。軽くおしゃれなゲームかと思いきや、終盤人間の弱さ・醜さを痛いほど痛感させられてしまうからだ。これから観る人は食あたりに注意してほしい。本レビューが食前の胃薬となることを切に願う。 [追記]リメイク決定! ジュード・ロウがケインの役。そして、オリビエの役をケインが演じるとのこと。キャストはなかなか楽しみだが、演出がどこまでオリジナルに迫れるのか? 期待と不安が入り交じる複雑な心境だ。 【恭人】さん 9点(2003-12-07 18:05:43) 5.ローレンスオリヴィエとマイケルケインのすばらしい演技合戦が見ものだし、不思議な人形たちもおもしろくて、あっとおどろいてしまいました。 【fujico】さん 7点(2003-08-06 13:22:33) ★4.最高のひとことまさか死んだふりとは。つーことです。植木の迷路も最高です。 【きゅう】さん 10点(2002-12-27 18:54:33) 3.登場人物はイギリスのシェイクスピア俳優2人だけですね。まさにがっぷり四つに組んだ演技が見ものです。マイケル・ケインの変装も見ものですね。ローレンス・オリビエのシニカルな演技もよかったなあ。オチを楽しむというよりも、そこに至るまでの2人の駆け引きを見るのがとても楽しい作品です。ま、舞台が元だから、映画にしてはあまり動きがないというのは仕方ないのかな。 【オオカミ】さん 8点(2002-07-02 10:14:05) 2.登場人物はこの二人。舞台劇の映画化とあって、やたらとハイテンションなお二人さん。コメディとサスペンスが交互に入れ替わるので正直このノリにひいてしまう。マイケル・ケインが着替えるシーンで、ローレンス・オリビエが「そうだ!脱げ、脱げ!ヒヒヒ。」とおおはしゃぎ。「えっ、なんで?」それにしてもマイケル・ケインの変装は恐れ入った!絶対気づきませんよ。この変装もそうですが予測は不可能な展開。この作品の重要なところはお互いがプライドを傷つけられ、余裕がなくなり憎悪だけが残ってしまった時、果たしてゲームの勝敗はどちらになるのかと言う点。そうです、そこにはゲームという駆け引きなど存在すず、破滅的な結末が残ってしまうのです。所々で笑い人形の表情を挿入しているのですが、どことなく冷ややかな表情がこの二人の愚かさを現していました。 【さかQ】さん 6点(2002-06-25 04:19:14) 1.先日亡くなった劇作家アンソニー・シェーファーの大ヒット舞台劇の映画化作品。世界的に有名な推理作家アンドリュー・ワイクが妻の浮気相手マイロに自分の巨額の宝石を盗ませ、自らも保険金サギの片棒を担ぐというもの。2人が虚々実々に展開するゲームはピストルで射殺するという事件にまで発展していき、その後二転三転のどんでん返しが続いて、やがてこのイギリス色強い趣味的ゲームは遊びのドラマからいつしか互いに傷つけ合う迫真的な人間ドラマとなっていく。舞台の殆どが室内で展開され、ストーリーの面白さもさることながら、ローレンス・オリビエとマイケル・ケインの新旧名優の丁々発止の火花散る演技がなによりも見もので、2人の主人公の立場や経歴が、当時の彼らとだぶって見えるという点でも実に興味深い。 【ドラえもん】さん 8点(2001-11-10 23:34:27)
【点数情報】
【その他点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS