みんなのシネマレビュー |
|
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
★4.《ネタバレ》 禁断の恋愛模様以上に、「戦争は人の本性を剥き出しにする」劇中の台詞そのままの人々の丹念に描かれた姿に感じ入るものがあり、特に子爵の無残な姿に陥る過程が強烈な印象を残します。エンドクレジットの作者の化身である手稿に+1点。格調ある作品です。 【The Grey Heron】さん [DVD(字幕)] 7点(2021-04-04 03:56:52) 3.《ネタバレ》 不倫モノの洋画。私は基本的に、最後は結ばれない(が、心はきっと永遠につながっている)という着地点で描いていくストーリーが好きだ。 これを読んでくれている映画ファンの皆さんも、「あ、それならあの映画もそうだったね、あとあれもね」と、いくつかそういう作品を挙げられるかと思う。 そういう映画の中でもこの「フランス組曲」は、あまりにも切なく、胸をかきむしられ、身が引き裂かれるような思いをしながら見終えた。 不倫の障壁は、基本的に”既婚”である。 だが世間では既婚以外にさらにもう1つ障壁が立ちはだかるケースがたまにある。たとえば教師と保護者の個人的なつきあい禁止のように、学校側の”ルール”という障壁がその一例だ。他にも、成人と未成年という”年齢”の障壁というのもある。そしてこの映画では”戦時中の敵同士”であるという障壁がセットされているのである。 リュシルとブルーノが既婚であること、それはまぁ乗り越えられるとしよう(だってそもそも愛情とかなさげな結婚だから)。しかし敵同士という、世間の目があまりにもキツイ状況。ダブル障壁。 痛い。心が痛い。 ブルーノとの2人分のゴハンの用意をして、官能的な赤いドレスと赤い口紅でオメカシして彼が戻ってくるのを待っているリュシルのもとに、夫をかくまって欲しいとお願いにきた知り合いの女性がやってきた場面も心が痛んだ。 知人女性の「え?敵の男とネンゴロってこと?てかあなた、結婚してるじゃん」という不審の表情と、リュシルの「いや、あなたの夫を助けてあげたいのはヤマヤマよ、でもこれから彼とようやっと二人きりになれる最初で最後の時間なの・・・ほんと困るのよ、よけいな邪魔しないで・・・ほんと、ほっといて・・・」というオロオロした表情の駆け引き。 結局リュシルとブルーノは、唯一のチャンスを逃し、体をひとつにすることは二度となかった。 そして最後の二人の別れの場面。 ブルーノが彼女をせめて最後に抱きしめたくて、車に乗ろうとする彼女の腰に手をまわすが、まるでそれがただの風かのように、スっとすり抜けて車に乗り込むリュシル。 二人のお互いへの想いは確実にそこにあった。でも、想いがあったって、結ばれることもなければ、想いをあからさまに口にすることもできず、胸に秘めたままもう二度と逢えない・・・ 不倫の切なさ、ここに極まれり。 障壁を二つ抱えながら、人を好きになり、相手も脈ありとわかりながらも、一線を越えないまま、すれ違い、そして二度と逢えなくなった・・・という経験のある私としては、なんだかヒロインが同じ気持ちを分け合える女友達に見え、お互いの傷を見せ合い、なぐさめあえたような気がした。 (それはそれとして、この映画で印象的な、<楽譜のラブレター>はグっときましたね。「ピアノ・レッスン」の<鍵盤のタブレター>といい勝負です。そもそもピアノを介在させたロマンス映画はピアノ弾きの私としてかなりヒット率が高いです。) 【フィンセント】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-07-22 16:09:26) 2.《ネタバレ》 作者はユダヤ人作家で娘に作品の入ったトランクを託しアウシュビッツで死去。 60年後に開かれ世間に発表され、ベストセラーになり映画化。 もし自分が物書きだとして、明日どうなるかわからない戦況下におかれ身の振り方もどうなるかわからない立場に おかれた状況ではたしてどこまで「物書き」としての本分を全うできるであろうか…と 前情報として知っていたのはここまで。 ユダヤ人作者だからと勝手に想像してしまいがちな ありがちなアウシュビッツの悲惨さを語ったり状況に翻弄されながらけなげに生きる一般女性を描くといった 『戦争体験を語る苦労人』のエッセイではありません。フランス人女性とドイツ人将校との恋愛物語がベースです。 原作未読なのでこれがすべてではなく、おそらく本編から切り取った部分での改変が大きいとは思うのですが 的を絞り込んだ上で当時の状況や環境を客観的に冷静に中立的に捉えています。 主人公の目を通して語られる町に滞留しているドイツ兵達の奔放な描写やそこに色目をつけて誘惑する女性も出てきたりと 観ながら頭の片隅で開高健の「青い月曜日」「破れる耳」を思い出していました。 役者が皆豪華で演技力も高く、観ていてだれる事なく緊張感を保ちながら楽しめました。 個人的に出演しているサム・ライリーの奥様であるアレクサンドラ・マリア・ララが出演していたのが印象的です。 「ヒトラー~最期の12日間」ではドイツ人でヒトラーの秘書役を演じており 「フランス組曲」ではユダヤ人でドイツ兵に拘束される一般人役を演じているところは非常に対極的で唸らされました。 ここは原作にない模様なのでオリジナル箇所のようですが… 【どぶん子】さん [映画館(字幕)] 7点(2016-05-14 05:18:59) 1.《ネタバレ》 ドイツ占領下のフランス。貞淑なヒロインと紳士的なドイツ軍士官のスリリングな視線の劇。 特に序盤のシチュエーションはオフからの足音等の音響と共に、メルヴィルの『海の沈黙』のような静かな緊張感を湛えている。 半開きのドアや鏡面等のフレーミングによって、ヒロインのミシェル・ウィリアムズは小さく切り取られているが、 ドラマがそこから大きくうねるのに伴い、義母役:クリスティン・スコット・トーマスと共に彼女もまた枠を越えて大きく変貌していく。 萎縮する女から、恋を経て雄々しく前進する女へ。ミシェル・ウィリアムズがひときわ魅力的だ。 【ユーカラ】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-01-10 23:53:06)
【点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS