みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
4.《ネタバレ》 数あるフィルム・ノワールの中では貴重な実録犯罪もの。 ロサンゼルスで起きた警官殺しの犯人を総力を上げて突き止めようとするロス市警。そんな警察の死に物狂いの奮闘をあざ笑うかのように捜査網をすり抜けて犯罪を重ねる百戦錬磨の(といっても若いが)主人公。 この男、凶悪だが冷静沈着で頭脳が冴えまくった知能犯(メカにも強い!)で、警察の動きをすっかり読み取り、決して無謀な動きには出ないので、警察もなかなか尻尾が掴めない。この焦燥感が爽快ですらある。 特筆すべきは、科学的捜査がまだ発展途上の段階にあった時代、銃弾の鑑識や犯人のモンタージュ(ただし似顔絵)作成といった当時として最先端であろう捜査のプロセスが克明に描かれている点である。このあたりは警察の事件ファイルに依拠して入念に作り込まれた充実感がある。 そして主演のリチャード・ベイスハートが美男ながらも時折みせる、自らの孤独を美酒を味わうかのような気色の悪い笑顔と、何を世間に対して怒っているんだろうという得体の知れない禍々しいニヒリズムを表現して絶妙である。ただし、動機も含めてこの犯人の人間像の掘り下げがほぼ無に等しいのが物足りなくはある。そこはこの映画の趣旨がロス市警の尽力による犯人追及に重きを置き、センチメンタルな展開に流されまいという制作側の意図の表れとみるべきか。 また、多くで指摘されているように、主人公のアップや自室、そしてラストの地下排水路における光と影を駆使した緊張感溢れる映像美も秀逸である。 あっけない結末といってしまえば身も蓋もないが、主人公に絶命の寸前で何か一言喋らせてほしかった。 【あやかしもどき】さん [DVD(字幕)] 9点(2025-03-29 03:34:03)★《新規》★ 3.《ネタバレ》 モノクロ映画の特質をフルに活用したセミドキュメンタリー風。黒と白の中で影の使い方や光の差し加減で人物の映し方を変える映し方どれをとっても素晴らしいし夜の地上での暗さと部屋の中の暗さ、地下の下水管での暗さを全て微妙に変えることによってそれぞれ違う雰囲気をちゃんと表現できているのは凄い。最初から犯人バラシをすることによって捜査する側と犯人側の動きを対比させながら進んでいく展開は普通のサスペンスな刑事ものの映画とは一線を画してるような感じでレトロな所が時代を感じさせてくれるけども追いつ逃げつつの展開がなかなか。犯人演じるリチャード・ベースハートの動きや自主治療するシーンの迫力さも見ている側もちょっとのめりこんでしまったかな。こういったモノクロさをフルに使ってくれる映画はなかなかないので個人的には満足。 【M・R・サイケデリコン】さん [DVD(字幕)] 8点(2024-03-16 02:04:48) 2.《ネタバレ》 無駄とゆーものを限り無く削ぎ落とした、混じりっ気無しのガチンコ・ノワール。身内を殺られた警察の鬼気迫る全力捜査には、いつでもそんぐらいマジメにやれよ、と若干ながら溜息も出そうになるものの、リチャード・ベイスハート演じる犯人の意外なまでの狡猾さ・凶悪ぶりを見せつけられれば、(ちょいと詰めが甘いのがだいぶん気にはなるケドも)警察やったれ!と何やら鶏冠に昇って来るのも必然か。ラスト、ベイスハートは小柄なのもあってスルッとまた排水溝から地下に逃げてしまう、そっから先は『第三の男』で観たよーな地下の追っかけっこだが、今作の方が1年先行の作品なのですね。催涙弾からの集中砲火で哀れ凶悪犯は蜂の巣に…キレの好いラストにもまた、実に無駄が無い。良作。 【Yuki2Invy】さん [インターネット(字幕)] 7点(2021-08-09 01:55:53) ★1.《ネタバレ》 「実際の事件を忠実に描いている」冒頭ナレーションですが足し算引き算されているのを鑑賞後に知りました。 犯人の過去、心情、犯行理由も一切提示しない潔さも相まって「道」でのキ印が印象深いリチャード・ベースハートの知性豊かでありながら何を考えているのか分からない薄気味悪さが際立ちます。彼にいいようにしてやられる当局側に今作では肩入れしてしまう。同僚の仇討ちながらも頭に血を上らせることなく、清張作品ばりの理詰めで地道な捜査で遂に突破口を開いたのに胸熱に。そこから自宅包囲にこぎつけ「勝った」と確信した途端の展開に「お上は最後の一歩が踏めんのか」呆然と。しかしそこからが最大の見せ場で「地下水道」「第三の男」の元ネタかと思われる追跡劇は映像知識に疎い私でも魅入るもので結末The End に硬直が解けました。見事な脚色での何処までも硬派な傑作ノワールです。 【The Grey Heron】さん [インターネット(字幕)] 9点(2021-08-06 22:17:49)
【点数情報】
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