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にっぽん昆虫記

1963年【日】 上映時間:123分
ドラマコメディモノクロ映画
[ニッポンコンチュウキ]
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2014-10-25)【イニシャルK】さん


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監督今村昌平
キャスト左幸子(女優)松木とめ
岸輝子(女優)松木りん
佐々木すみ江(女優)松木えん
北村和夫(男優)松木忠次
小池朝雄(男優)松木沢吉
露口茂(男優)本多俊三
吉村実子(女優)松木信子
桑山正一(男優)小野川
殿山泰司(男優)班長
榎木兵衛(男優)若い衆A
青木富夫(男優)東北本線の客A
高品格(男優)東北本線の客B
久米明(男優)取調官
河津清三郎(男優)唐沢
北林谷栄(女優)蟹江スマ
春川ますみ(女優)谷みどり
長門裕之(男優)松波守男
平田大三郎(男優)
東恵美子(女優)
炎加世子(女優)
脚本今村昌平
長谷部慶治
音楽黛敏郎
撮影姫田真佐久
製作日活
配給日活
美術中村公彦
編集丹治睦夫
照明岩木保夫
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未見の方は注意です!




【クチコミ・感想】

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12.《ネタバレ》 どえらく濃厚な映画である。ぎょっとしたり呆気にとられたりしてるうちに観終わった。筆致はむしろ淡々としていて感情を煽るような演出は一切無いし、箇条書きのようでもある。だけど、演じる左幸子の演技熱量がもの凄いんである。
女の社会的地位が相対的に低い時代に、娼婦以外に稼ぐ術のない主人公の境遇は大変キツイ。ところが主人公とめのしたたかさときたら。元締めママに取り入るためには見舞いに来てくれた同僚を速攻で売る。売春組織のママに成り代わった後は、人が変わったように毒々しくヤル気に満ち溢れる。置かれた境遇によって、とめって女はくるくるとペルソナをいくつも変えていく。あこぎでキツイ性格ゆえ、男とは長続きしないし、女友達もいそうにない。娘だけが父親亡きあとは真に心を預ける存在だったのに、情婦に堕ちたと知った途端泣き崩れた。この場面は とめの、数少ない真人間ぽい描写の一つ。
日本が貧しかった時代の、東北の寒村のいかにも前時代的な考え方(娘を借金の方に売るとか、赤ん坊が女の子なら口減らしするとか)には心が寒々とするしで、まあラストまでキツイ描写が続くのだが、監督は驚きの展開で話を締める。性の谷底に落っこちず、踏みとどまった信子は、唯一の健康な希望として観客に与えられた。「この子も父無し子を産まなきゃいいが」の婆さんの予言が不吉に響くのではあるが。 tottokoさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-04-15 18:14:15)

11.《ネタバレ》 不幸な星のもとに生まれた女が、運命に翻弄されながらも時代と共に逞しく生きてゆく物語。とはいえ内容が淫靡かつエグイので、観る人を選びます。苦労の末、最後にようやく愛や成功をつかみとるサクセス・ストーリーでもないので鑑賞後、爽快感はありません。
◆物語は昭和の歴史的事件をリンクさせながら進行していきますが、それは申し訳程度でさほど意味はありません。これといった後ろ立てのない田舎出の1人の女がいかに世間に揉まれ、運命に翻弄されてゆくかが見どころです。中味は知恵おくれの父親と性関係ができたり、仕事の上司と不倫したり、新興宗教に入れあげたり、騙されて売春させられたり、金持ちの愛人になったり、売春宿を経営したり、暴行を働いて刑務所に入ったりなど、不幸さてんこ盛り。多くの人に騙され、転落人生といってもいいでしょう。褒められるようなことは一つしません。悲しいですね。まともな恋愛はありません。性交場面も美しいものは一つもなく、すべて醜悪に描かれます。性格もどんどんお金に執着していきます。しかし主演女優のキャラが明るいので悲惨さはさほど感じません。考えてみれば不思議な映画です。
◆題名は、女が自分の娘がパトロンの愛人になったことを知ったときに「私だって人間なんだ」と叫ぶのをモチーフにしています。「女一代記」ではなく「昆虫記」。監督の女に対する態度は同情するでもなく、常に淡々としています。悪くいえば、突き放した印象。昆虫扱いではかわいそうですが、生命力の強靭さを強調したのでしょう。ときおり静止画になり短歌を詠みますが、どことなくユーモラスです。自分を客観的に見る余裕があるんですね。誰も描かなかったクールな視点で描いた「市井の女の一生」と解釈しました。
◆娘が比較的しっかりしているのが救いですね。学校をやめてしまったのは遺憾ですが、恋人もいて、将来設計を持っています。母親のパトロンに短期間だけ愛人になりますが、すぐに改心してお金を引き出し、仲間と開拓村を始めます。トラクターを運転する逞しい姿には明るい未来が見えます。そしてパトロンに言われて母親が娘を連れ戻しに行くところで終了。娘が戻るわけがありませんが、この女の苦労はまだまだ続きそうです。
よしのぶさん [ビデオ(邦画)] 6点(2011-09-14 19:03:59)


10.生きるためには誠実さや倫理観などクソくらえ。自身が味わった理不尽さを他人に味あわせ、しっぺ返しを食らう主人公が見せる食うか食われるかの生き様がタイトルに相応しい。虫けら並みの交尾であっても子孫を残せばよい、では世代が進むにつれて人間の質と民族の文化が退化していくのだと思います。本作が殊更に見せ付ける「生きる」が人間の力強さとして描かれている事がこの上なく不快でした。 The Grey Heronさん [ビデオ(邦画)] 2点(2009-09-17 18:47:13)

9.《ネタバレ》 内田吐夢監督の『飢餓海峡』と負けず劣らず左幸子の演技が凄まじい。
彼女の熱演なしには、本作のパワーは生まれなかったであろうことは相違ない。

男と女が情欲に流されるまま、まるで昆虫の様に生きる姿をリアリティに演出した今村監督。
『赤い殺意』と非常に似たテイストの作品だが、本作の方がパワー・リアリティ・性的描写の全てにおいて上であろう。

宗教、父娘の親密過ぎる間柄、母娘丼、売春、他人の子を身篭り「あなたの子」と騙す、チクリ、金への執着、強姦、、などなど、際どいテーマてんこ盛り。

それらを下手に飾ることなく、リアリズムに徹して描いた今村監督。
「調査魔」と呼ばれた今村監督だからこそ、リアリティを欠くことなく描くことが出来たのではないだろうか。 にじばぶさん [ビデオ(邦画)] 7点(2008-01-27 11:48:47)

8.《ネタバレ》 冒頭のマイマイカブリがラストで山を登って行くとめの姿だとすれば、随分と身も蓋もない映画だなと見終わった後すぐに思った。志を持って生きようとしながらも、欲望に取り込まれ、最終的には生きていればそれでいいというような境地にまで堕ちて行くこと自体は肯定的に捉えていない。しかし、最後のとめの描写には確かにどこか突き抜けた感があり、力強さを感じてしまう。生きるということに対して得体の知れない感情を喚起させる、不思議な映画だった。 クルシマさん [ビデオ(邦画)] 8点(2007-08-08 01:24:28)

7.《ネタバレ》 「ある女性の生き様を戦後史とクロスさせて描き出した、今村昌平の力作」と映画の本では紹介されているが、実のところ「戦後史」というのは単なるおまけでこの映画の本質はイデオロギーや理念を超越した女性のすさまじい「生きる力」の表現に尽きるのではないか。主人公が泥の田舎道を歩くも履物が駄目になってしまい、裸足になって進んでゆくラストには女性が生まれ付いて持つ生命力・精神力の凄さを力一杯表現しておりある意味これは今村なりの「女性賛歌」なのだと思う。多分時代が変わっても、彼女は自分の足で昆虫のようなバイタリティを持って突き進むのだ。どこまでも、どこまでも。左幸子の熱演がなければ成り立たない映画だけど知恵の足りない父親を演じた北村和夫、この人の受けの演技があってこその名演だった事も忘れてはならない。 Nbu2さん [映画館(邦画)] 9点(2007-06-18 23:24:41)

6.息苦しいほど濃密な映画。情念の女優・左幸子のまさに面目躍如。まぁ、最初こそ展開が性急に感じ、乗れるまで時間を費やしたけど、後半、娘(吉村実子)が母親以上のしたたかさを見せるところは実に面白かった。
丹羽飄逸さん [ビデオ(邦画)] 8点(2007-01-18 01:01:22)

5.《ネタバレ》 自分がされた非道を、立場が変わった時点で他人に仕返し、さらに娘に仕返される、生きる輪廻が分かりやすく描かれていました。ラストシーンで左幸子の履いている下駄が泥の中に足をとられ、その後、鼻緒が切れてしまいますが、そのまま下駄を持って歩くところが印象的でした。下駄を投げ捨てるか持ったままでいるかが強さの象徴のような気がしました。今村監督はしぶとい女性を描かせたら上手だと改めて思いました。 omutさん [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-06-09 07:52:02)

4.今村昌平監督の女性の描き方が何とも凄い。タイトルの如く、本当に昆虫のようにして描くこの今村昌平監督の人間観察、主演の左幸子の凄まじい演技力あってこそ成り立つこの映画、一人の女性の生涯を生々しくリアルに捉えることで人間の生命とでも言うのか?何か凄いドキュメンタリーものでも観ているような気分になる。今村昌平監督のこのねっちこくしつこい演出に応えて見せた左幸子、この女優の演技力はただ者ではない。歩く姿まで本当に昆虫のようだ。 青観さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2005-11-23 13:33:20)

3.けっこう効果的だと思うのは止め画で、ところどころおもしろかったです。田舎のババアが何いってるかわからないので、そこらのシーンは雰囲気で楽しみました。なんかみんな笑ってるんですけど、そこら辺は「アンパンマン」にもいえるけど、なんで笑う?って感じ。そんな似た感覚だった。あと人間昆虫記とタイトル勘違いしそう。左幸子演じる女性がとても強くて好きです。 バカ王子さん 7点(2004-05-23 03:00:24)

2.戦後の激動のなかで幾多の波に揉まれながら生きる女の人生が激しく、そして、なんともいえない妖しさに包まれ描かれている。また、奇妙な音楽と静止画像の連続がその世界の創造に大きな効果をあげていると思った。しかし、なんといっても一番は左幸子のやばい演技に尽きる気がした。凄いです。 たましろさん 10点(2004-01-01 12:31:28)

1. 今村昌平監督が戦後史を描いた奇妙な味わいの”重喜劇”。左幸子の熱演により、正しく昆虫の如きヴァイタリティ溢れるしたたかな女の生き様が活写されている。後年、カンヌ映画祭で何かエラクもてはやされてたみたいだが、作品のパワーもクオリティも明らかにコレや前作「豚と軍艦」の方が遙かに上。日活がロマンポルノへと凋落する前の最後の輝き…って感じかな。今村作品では他に1958年の「果てしなき欲望」も傑作。 へちょちょさん 8点(2003-01-29 03:39:27)

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マーク説明
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【点数情報】

Review人数 12人
平均点数 7.17点
000.00% line
100.00% line
218.33% line
300.00% line
400.00% line
518.33% line
618.33% line
7216.67% line
8541.67% line
918.33% line
1018.33% line

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