みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
2.《ネタバレ》 出演者の安全と匿名性を確保するためにアニメーションにする手法は、 アリ・フォルマン監督の『戦場でワルツを』を思い出す(参考にしていたらしい)。 双方ともアニメでワンクッション置くことで、"虚構"が入り混じり、私小説を読んでいるような感覚になる。 カクカクな動きもまた、不確かな記憶という映像の中で想像の余地が広がっていく。 難民を扱った映画は数多くあるが、本作では同性愛者という二重の苦悩を抱えている点である。 国によっては"存在しない"扱いになっており、自分らしく生きられることがどれだけ尊いことか、 先進国で生まれ育った人にはなかなか実感できない。 家族と再会後にゲイと告白し、長兄がゲイクラブに連れて行ったエピソードが印象深い。 ソ連崩壊直後の難民としての生活、そして彼らに対する扱い方は現代の日本でもそこまで変わらない気がする。 もちろん弱者の味方のフリをしてシノギとする団体がいて、不信感として向けられていることは否定できない。 綺麗事だけでは人を助けられない、余裕がない国ほど反動で排他的になるのは仕方ないにしても、 日本もアフガンやウクライナになったらどうするか想像力を巡らしたい。 一般人が国を守るために武器を持って戦うみたいなこと、イザとなったら何もできないから同じ難民になるだけかと。 【Cinecdocke】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-01-21 21:24:39) ★1.《ネタバレ》 今週はたまたま『マイスモールランド』『FLEE フリー』と続けてスクリーンで難民についての映画を見たわ。 この映画はアニメーションだけれどドキュメンタリー。アフガニスタン出身の男性が家族と共に弾圧から逃れ、アフガニスタンからロシア、そしてデンマークへと至る苦難の道を描いているの。それは一筋縄ではいかない、送還されたり抑留されたり家族と離ればなれになったり、何年にも渡る逃亡の物語。人としての尊厳を奪われ、ただ生きることにすら許しを得なければならない理不尽さ。彼がゲイであることで更にその生は困難なものになるのね。 アニメーションは基本的にはシンプルなデザインで秒間せいぜい4~6枚程度の動画で描かれ、時に抽象的なタッチで描かれたり、当時実際に撮影された実写映像が挿入されたり(少しだけショッキングな映像があるので注意)。その、内戦を描く実写映像は戦争の現実をはっきりと示す一方、アニメーションは簡略化、抽象化されているがゆえに単なる事象を越えてイマジネーションを想起させる、普遍性を持ったものへと昇華されているようにも思うわ。一人の男性が回想する物語であると共に、過去から今に至ってもなお傷つき続ける難民の問題を広く認識させているように感じるの。 ここに描かれるソ連~ロシアは酷いものなのだけど、それはあの時代、あの国だからこその問題、ではないのは『マイスモールランド』を引用するまでもなく明らかなのよね。国家としての日本も決してロシアを笑えない冷徹さだわ。だから国家はともかくとして市民として個人として、どうあるべきなのかを突き付けられている気がするのね。レイシズムが増大して冷たい日本人が溢れてきている今の状況では絶望的かもしれないけれど(この数年で民族や国家、セクシャリティに対する差別主義者がとても増えた気がするわ、いえ、SNSの発達によって顕在化したのかしら?)、人としてあるべき意識、意志、尊厳を手放しては駄目だと感じるわ。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 8点(2022-06-10 20:50:39)
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