みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
★5.《ネタバレ》 水上勉が三島由紀夫の「金閣寺」に対して書いた小説を原作にした田坂具隆監督の映画。「金閣寺」を原作にした市川崑監督の「炎上」を先日見たのでこちらも鑑賞。「炎上」が犯人である学生僧の内面を描いていたのに対し、こちらは学生僧の恋人である遊郭の女性を主人公にしていて、見た直後というのもあって「炎上」に少しだけ出てきた中村玉緒演じる遊女をどうしても思い浮かべてしまうが、本作では学生僧の事件に至る背景よりもこの主人公・夕子(佐久間良子)の悲しい運命が描かれていて、そこに原作の水上勉らしさを感じるし、田坂監督の視線にも優しさが感じられるものとなっているが、その田坂監督の演出も格調高く、女性の儚さや美しさを見事に描き出していて、映画としての深みももちろんじゅうぶん。主演の佐久間良子はこれまで何本か出演作を見ているが、単独の主演作を見るのはおそらくこれが初めてかもしれないが、そんな田坂監督の演出に応えて、素晴らしい演技を見せていて、夕子の悲しみの中にある純粋さというものがよく出ていて、間違いなく本作は田坂監督のみならず佐久間良子にとっても代表作の一本だろう。夕子の売られた遊郭の女性たち(木暮実千代演じる女将さんがすごくいい。)がみな優しく、家庭的な雰囲気を醸し出しているのは少し違和感を残すものの、千秋実演じる夕子の最初の客で、彼女に入れ込む男が肺を病んだ夕子に対して最後は冷たくなるのとの対比になっているのでこれで良いのだろうと思うし、正順(河原崎長一郎)の自殺を報道する新聞記事を見ながら夕子を思う遊女たちからは女性としての強い優しさを感じ、ラスト近くのこのシーンには心を打たれるものがある。夕子の故郷の百日紅の美しさも印象的なのだが、この百日紅が夕子の人生を象徴するような花として描かれているのもドラマに深みを与えている。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2025-01-05 18:36:57) 4.《ネタバレ》 あまりに悲しすぎる物語。 家族の病気を治すため、そのお金を稼ぐために遊郭に売られた女性。 そこに惚れ込む脂ギッシュな中年男性。 女が元気な内は熱心に遊郭に通うも、女が病気になったら途端に居なくなる。 最後は遊郭の仲間の女性たちが面倒を見てくれた。 女の芯の強い優しさに心を打たれた。 男は最後は冷たいところが確かにあるよね。 その点、なんやかんや言うてても、女性は最後の最後は優しいもんだ。 木暮実千代と千秋実の熟練の演技が印象的。 【にじばぶ】さん [DVD(邦画)] 6点(2024-04-27 11:34:52) 3.《ネタバレ》 花街ってこんなにも人情あふれるところなんでしょうか・・夕子のことを心配する彼女たちの姿に、やはりどの職業も血が通ってんだなぁと思った。でもこういうとこに通ってる連中には血が通ってないのもわかるね。 【トント】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-04-01 13:33:28) 2.《ネタバレ》 映画館で見たのは松坂慶子主演であったが、その後でオリジナルの佐久間良子のビデオを探し鑑賞した。時代が違うこの二つの映画を比較するのは難しいことかもしれないが、松坂版に較べて佐久間良子の夕霧楼はやや平坦。木暮実千代を初めとする脇役らが皆善人過ぎて、悲壮感が伝わって来にくい。だから極端に言えば、「どうして放火したの?」「なぜ死ぬの?」と疑問が残ってくる。 しかし、故郷の百日紅の花の美しさ、悲しさをかき立てる音楽は素晴らしいと思う。 【ESPERANZA】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2011-05-09 22:19:28) 1.えっ?なんで誰もコメントないの?この映画、みんな知らないのかなあ?まあ、いいや!それはともかくこれはどこをとっても日本映画ならではの美しい映画!一人の女性のはかなくも悲しい人生を描いた作品です。水上勉原作と聞くと真っ先に「飢餓海峡」が頭に浮かんできます。この原作者の話の中に描かれる女性を見ると「飢餓海峡」もそうだったし、他にも「雁の寺」もそうだったように、女性としての男には解らない女としての悲しさみたいなものがいつも描かれています。女として生まれ、女として生きて行くことの宿命、愛してはならない男を愛してしまうという女の悲しさ、切ない気持ち、そのいずれもが美しく描かれている。この作品でも主演の佐久間良子の美しさ、日本人女性としての美しさ、貧しい環境で育ちながらも純粋に生きる女を見事に演じている。監督の田坂具隆同様、女優佐久間良子の代表的作品です。 【青観】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2007-08-06 20:12:10)
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