みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
10.《ネタバレ》 母と子の物語。勝ち気で好奇心旺盛で何をするにも楽しい姉の雪、臆病で引っ込み思案な弟の雨。ちょっとした仕草や言動などとても丁寧に描写しており実際によくいる幼い姉弟を見るようでした。小さな頃だと女の子の方が強いんですよね。その力関係がある程度の年齢で逆転するのも演出を含め上手かった。雪と雨の成長過程やそれに関わる人々、人生の選択に至る悩みの経緯、すべてを受け止める強さを持った優しい母親の花。想像して補完すべきところもありますが脚本も演出も優れていると思います。そして、それを包み込むような優しい音楽とエンディングの歌も抜群だった。 豊かな自然の中で奔放に生き生きと遊びまわる二人を見ているととても愛おしく、それを優しく見守る母親の愛と強さも感じました。母は強しだな、と。 宮崎あおいをはじめとした声優陣はとても上手く、キャラにハマっているので物語に集中できます。子育てに悩んでいる若いお母さんお父さんには特に観てもらいたいかな。素敵なおとぎ話でしたね。 【ロカホリ】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-07-22 22:44:02)(良:3票) 9.《ネタバレ》 つまらない映画ではないのでこの点数にしました(5点にするか迷いました)。が、ちっとも感動はしないし、シングルマザーの子育てという、あまり珍しくないテーマの凡作になっていた気はします。ジブリっぽさ=トトロやポニョと確かに通ずる所はあります(あれらもストーリー自体は大して盛り上がりはありませんでしたし)。花・雪・雨の主要キャストに関しては、演技も良かったと思います(大沢たかおはちょっと声が浮いていましたが)。映像的にも監督が表現したかったという「風」に関しては十分堪能できました。ただ肝心の筋が…。前作「サマーウォーズ」の時もそうでしたが、「時をかける少女」に感動し、何度も繰り返し劇場に通った身としては、こういう作品を期待してるんじゃないんだけどなぁ、と思ってしまったり(まあこちらの勝手な期待でしかないんですが)。少女の成長、家族の絆、ときて、母親の強さを訴える作品を作りたいという気持ちは伝わってきましたが、話の流れ自体はかなり王道というか平凡で、正直「おおかみこども」という設定すら本当に必要だったんだろうか?と思ってしまいました。夫に先立たれ、子供達も自立して、再び一人になってしまった花はこれからどうやって暮らしていくのだろう。あえて物語では切ってしまったラストより後の場面が気になりました。 【蛇蟇斎狐狸窟】さん [映画館(邦画)] 6点(2012-07-22 08:48:41)(良:1票) 8.《ネタバレ》 時期や世代で捉え方や感じ方が違ってくる作りで、非常に面白い作品でした。自分は最近結婚したのですが、子が親元を離れるときの感情、そしてこれから自分たちが通る道を(子育て)、一度にしかも逆の方向から見れた。私はそれだけでも、この作品を十二分に鑑賞した価値があったと感じています。必要最低限の感情表現しかしてなかったお陰で、自分の中で様々な事を考えられたし、この作品には感謝しています。 【honeydew】さん [映画館(邦画)] 10点(2012-07-22 06:43:38)(良:2票) 7.反応見てると、ツイッターでは絶賛、2chでは賛否両論、みたいな感じなんですね。この評価の別れ方、すごくよくわかります。表面だけを見てファッション的に語れるアニメとしては良作だし、芸術作品として本質的な部分に着目すれば、けっこう薄い映画であるということでしょう。いろんな意味で細田監督らしい作品です。おそらくその原因は「人間」が描けていないこと。いわゆる「アニメ」のお約束の枠内から出ていないがゆえに、いまを生きる我々の現実に影響を及ぼさない映画だということ、だと思います。これは細田監督がつくるものに終始一貫するので、もうやむを得ないかと思います。花と雨は「物語のためのキャラクター」という感じで心から共感できる行動原理を持ちません。成長後の雪もただのテンプレキャラです。ただ、じゃあ映画がつまらなかったか、と言われたらそうではなく、アニメのお約束の中での技術的試みのうまさはかなりもの。新しい挑戦を成功させています。12年の歳月を2時間で見せるこれまでの映画にはあまり見られない独特なテンポとリズム。背景の絵を自然に動かす技術。CGの使い方のうまさ。感嘆しました。あと、雪の子供時代の声優さん。天才だと思います。あんなに明るく自然な笑い声、どうやって録ったんだろう。蛍の墓の節子以来の衝撃でした。そのおかげか、幼少時代の雪のみ例外的に、突出して魅力的な人間が描けています。このあたりはすごく評価したいのです。でも映画としてはどこか違和感があるのです。こんなに芸術的批判と、技術的称賛が入り混じる映画もあまりないです。 【コダマ】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-07-22 02:15:48) 6.《ネタバレ》 「しっかり生きて」 自らが選んだ「道」に向かい親元を離れ旅立つ我が子。その背を見送りつつ、母親は絞り出すように、でも力強くそう言い放つ。 そこには、母親としての悲しみと喜び、その相反する二つの感情を平等に抱いた深い愛情が見事に表現されていて、涙が止まらなかった。 自分自身が人の親になって一年が経つ。 “子を育てること”の難しさを感じるなんてレベルではまだまだなくて、“新しい生命と生きていくこと”の難しさと果てしなさを日々感じている。 きっとどこまでいっても、その難しさが解消されるなんてことはなくて、むしろそれに伴う諸々の問題と共存していくことが、子を育て共に生きていくということなんだろうと思う。 この映画で描かれる「親子」の12年間には、まさにそういう親と子が共に生きていく上での普遍的な難しさと過酷さ、そしてそれらがあるからこそ生まれる惜しみない愛情が、数奇な運命に彩られて満ち溢れていた。 自然と人間の関係性、人間と異形種との関係性、親と子の関係性、この映画にはそういった様々な関わり合いにおける対峙を同時に描き、そして現代に置ける的確な“こたえ”を導き出していると思えた。 決して安直な「共存」を描くのではなく、それぞれの“良い部分”と“悪い部分”をちゃんと描き、必要な「距離感」を踏まえて明確な「価値」を導き出していると思った。 そういう簡単ではないことを、親子の物語としてそれぞれの人間描写の中で地に足を据えて堂々と表現している。 激情家で野性的だった少女は「人間」の道を歩み、軟弱で大人しい少年は「狼」の道を歩む。 それは、人間と狼の中間の存在として育った姉弟のそれぞれが、人間世界の素晴らしさ、自然世界の素晴らしさを見出した故の結論であり、二人には自らが選んだ「道」に対しての「覚悟」がきちんと表れていた。 そして、この二つの決断を生み出した礎は「母親」の存在に他ならないという事実。 ごく普通の小さな人間だった主人公が、「母親」という存在になることで、突如訪れた数奇で過酷な運命をすべて受け入れ、二人の小さな生命を守り生き抜いていく愛おしい力強さ。 母親のその“つよさ”が、この映画の最大の感動を生んでいる。 幼い我が子を両脇に抱えて、高らかに笑う姿には神々しさすら感じた。 なんて素晴らしい映画なんだろうと思った。 【鉄腕麗人】さん [映画館(邦画)] 10点(2012-07-22 00:56:02)(良:4票) 5.《ネタバレ》 シングルマザーとして色々気を使いながら子育てする母親と、野性児だった雪(姉、可愛い)が成長と共に人として生きていこうと頑張る姿はそれなりに描写されていた。子供二人のシンボルカラーが、心境が変化した時に入れ替わる(雪:服の色が赤→青、雨:瞳が赤色化)所と、『狼と人どちらでも立派になって欲しい』と願っておきながら、いざ息子が狼として旅立とうとすると『狼の10歳は大人かもしれないけどあなたは・・・』と口篭るシーンは良かった。 ただ『雪のクラスメイトである男子の問題が投げっ放し』『途中出てきた狼が何の関係も持たず終了』『父親の退場方法がいい加減、あっけなく死んだ的にするなら交通事故で十分』『全体的に緩急、浮沈が少ない』『傷だらけになる程の姉弟喧嘩をしておきながら、それ以降確執が生まれる等その後の展開に活かされることも無く気付けば仲直り』『主登場人物が多すぎて各人の描写が浅い』等展開のぶつ切り、中途半端、未補完な部分が結構多い。 特に雨(弟)が狼として歩んでいこうとする描写が雪に比べ唐突で雑。きっかけになった『先生』の設定も上記の狼に当てこみ、捕まったのを逃がしたお礼に自然の事を教えてもらうとかじゃ駄目だったのかな。 ただ表面的にはそれなりに整っているので、ここまでなら6点なのだが、序盤母親が病院に行くのを止め、『自然出産』の本を手にするシーンがあり、『ああ、狼が生まれてきたら大変だもんな』と思っていると、『狼が生まれてくると大変なので自然出産をする事にしました』と、所々ナレーションが入る、個人的にコレは『映像作品で絶対にやってはいけない表現』だと考えている。 そう言った事は『映像』で表現すべきで、『分かりやすくするための説明』なのかも知れないが、もうすこしボカして言えばいいのにズバリ言い過ぎ。その結果、映像から人物の感情を読み取る等と言った『感受性を使う楽しみ』が潰されている、上記の良かったシーンもそういった細かい説明が無かったからこそ良かったのに・・・・てかそこはちゃんと演出できてるのに何でそうなっちゃったの? 総評 色んな事をしようとする意気込みは感じられたが無駄なシーンが多く『トトロ』の劣化版になってしまった。個人的には本作が面白いと思ったら『ももへの手紙(点差の理由はナレーションの有無と人物描写の深さと構成がしっかり筋が通っている)』をお勧めします。 【ムラン】さん [映画館(邦画)] 5点(2012-07-22 00:28:31)(良:3票) 4.《ネタバレ》 初日の六本木は老若男女で溢れていて、つくづく日本人は日常的にアニメに親しんでいる民族なんだなぁ、と。この映画はそんな日本人のアニメを見る能力「アニメ力」に安易に依存してしまっている気がしてなりません。茶色のトレスラインの花畑寝ころびによって一発で『魔女の宅急便』のオープニングに繋がるイメージ、『トトロ』のさつきとメイのように庭を駆けめぐり、みんなで大きな口を開けて笑う、それは監督のジブリコンプレックスと言うよりも観客の既視感、既に成立しているアニメというものに対するイメージに依存しながら映画を運ぼうとしているように思えるのです。そういう判りやすいアニメの文法をあえて無視して脚本や演出に目を向けると、この映画、隙間だらけという感じ。人の心の移ろいが悉く点で描かれていて、その流れは「観客に備わったアニメ力によって行間を埋めておいて下さい」という甘い作りになっている感じがします。母の子を育てる意志も、雪の人への心の目覚めも、雨の野性への目覚めも、村の人々が家族に向ける善意も、転校生の雪を信じる意志も、全部が隙間だらけで、それが善良なるアニメ文法の映像によって描かれる事で観客側で自動的に善良なる方向へ補完されてめでたしめでたし、みたいな。それでいいのか?と。誰かに褒めて貰いたいのかな。そもそも誰に見せたかったんでしょう? 先生に褒めて貰いたくて自分の言葉を失った作文みたいな映画だと思いました。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 3点(2012-07-22 00:24:03)(良:6票) 3.《ネタバレ》 色んな意味で見る人を選ぶ映画だと思った。 映画館には小さい子も来ていたが、多分ほとんどおもしろくなかったのではないか。 逆に子育て経験者には涙を誘うようなシーンも多いと思う。 普通の子供ひとりでも、シングルマザーで育てるのは大変。それに加えて年子の二児持ちで学生結婚?で自分の親はなく公的機関にも頼れない。都会育ちのコが初めての田舎暮らし。 子育ての大変さのすべてを背負いこんだような環境で、ちょっと不思議系のお母さんが真っ直ぐに子育てをがんばる。 普通の親が子供の就職くらいまでに味わうような子育ての悲喜こもごもを、成長の早いオオカミゆえに10年ちょっとの駆け足で味わうこのお母さんの「御伽噺のような時間だった」という言葉は重みがある。 ストーリーの起伏はサマーウォーズに比べるとほとんどない。 けれど、ハッとさせられるほどキレイなシーンが何度もあり、見終わったあと色んなシーンが思い浮かぶ。 ここで叱らないの?とかここでこのセリフなの?とか違和感をたくさん感じてしまえば楽しめないかもしれない。 自分個人の違和感は、エンディングテーマソングがイマイチいい歌だと思えなかったことくらいか。 子供ができたらまた見てみたい。 【風見】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-07-21 23:36:12) ★2.《ネタバレ》 重!もっとドタバタしたコメディーでよかった。 重いテーマを重い進行でやるのは私は芸がないと思う。 こういう話こそ、90笑って10泣いてみたいのがいいのに。 母親の花はいつも笑ってるという設定だが、それにしては暗く見えてしまう。 ちょっと暗い天然ボケの女の子。 これは完全に脚本の不備だ。母のエピソードがいい加減だからだ。 そもそもこの母親があまり魅力的に見えない。 子供に対する愛情はあるのかもしれないが、愛情とは裏返せば執着でありエゴだと思う。 それが描かれてない。夫が野垂れ死んだ時、 私が花なら、他人にバレちゃうとか変に思われるとか関係なく夫の遺骸にしがみつき、抱きしめ キスをし、泣き叫ぶだろう。 ところが花は諦めてしまう。ほんとに愛してたの? 雨が去る時だって簡単に諦めて、がんばって~、しっかり生きるのよおなどと送り出してしまう。 かなりドライな母ちゃんだ。 監督は大げさなドラマを廃したかったんじゃないかという狙いはわかる。 でも、それが逆に「都合良さ」をいっぱいうんでしまった。 例えば 何も知らない夫婦ふたりで自宅で出産しました→だいじょぶでした。 薬を誤飲→たいしたもんじゃありませんでした。 その後も自分も子供もたいした病気にかかりませんでした。 農作物がうまく育たない→みんなで助けてくれました。 クマに出会いました→行ってしまいました。 それにしてもこの映画の対象は何歳なんだろう。間違いなく子供にはウケないと思う。 では現在子育てしてる親か?いや、あまりに重くて、コレ見ても強く共感はできるが (たぶんボロボロ泣く親が多いと思う) 泣けはするが、決して元気になれるようなしろものじゃない。 子育てに疲れてる親は絶対見てはいけない。 それでいいのだろうか。 ラストのアンサリーの歌もあまりよくない。曲はいいのに彼女の安易な歌唱がだめにしてしまった。 同じ傾向の歌では・・例えばコクリコ坂の手嶌葵のものすごさには到底及ばない。 サマーウォーズは高く評価するが、これは残念ながら評価できません。失敗作です。 次回作に期待します。 【うさぎ】さん [映画館(邦画)] 5点(2012-07-21 19:43:25)(良:5票) 1.映画という魔法にかけられたままの2時間を経験しました。日本最高の脚本家のひとり:奥寺佐渡子が書いた母親の成長物語と、オオカミ子どもの成長物語、そのドラマの数々を、細田守は登場人物の喜怒哀楽、そしてありとあらゆる映像表現を使って観客にぶつけてくる。心温められ、また締め付けられるような人間ドラマのシーンと、圧倒的な大自然のシーンとの対比。人間愛と野生、その関係を大胆に、かつ的確に描きだした圧倒的な結末。人間味溢れる登場人物、そこから紡ぎだされることばの数々。おそらく邦画アニメ史上にその名を刻むであろうこの作品。公開初日に観られた幸運に感謝です。 【j-hitch】さん [映画館(邦画)] 9点(2012-07-21 15:00:08)(良:2票)
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