みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
8.吸血鬼のくせに、満月についつい反応してしまうという狼男モドキ。吸血鬼のくせに、鏡に映らないどころか「鏡に映りまくってます」とやたら強調する演出。日光だって(ある程度は?)平気らしい。 では吸血鬼らしくないのかというと、これがとんでもない、バッチリ、これぞ吸血鬼という雰囲気出しまくり。というか、ハマー・プロっぽい雰囲気、とでも言えばいいですかね。まだ50年代で、洋画にも引けを取らない怪奇映画らしさを出してるのは、オドロキです。 西洋館には西洋館らしく、西洋の甲冑が飾ってあり、謎の西洋画が神秘性をもたらす。終盤の吸血鬼の巣窟みたいなところも、底なし沼だか底なし温泉だかがあって何だかミョーではあるものの、怪しい雰囲気はバッチシ。 満月に苦しみつつ変身する天知茂の、その怪しさに至っては、クリストファー・リーなんかにゃ絶対負けてないと思うのですが、どうでしょうか。 彼が運転するクルマのトランクから、わざとらしく(?)衣装がはみ出てる。と思ったらトランクが透けて、中に閉じ込められた女性の姿が。これってまさに、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』じゃないですか。 時代を超越しちゃってますね。さすが。 【鱗歌】さん [インターネット(邦画)] 7点(2022-06-16 22:24:04) 7.《ネタバレ》 Wikiに依れば本邦初の本格吸血鬼もの怪奇映画とのコトらしいのですね。で、おおまかな流れは西洋の吸血鬼物語をチャンとなぞっている…とも思われるのですが、細かい部分が妙にややっこしくて(かつその「効果」とゆーのが率直に微妙な様に思われて)ちょっとスッと頭に入ってこない…とゆーか(=な~んか無駄やないケ?と)。 まず、天草四郎伝説を下敷きに置いていながら、吸血鬼本人は天草四郎ではなくその家臣なのですよね。で、狙われる一家の方が天草四郎の血族なのですが、メインヒロインとしてソコの娘が居ながらも吸血鬼のターゲットはその母親の方で、なんと20年前に既にかどわかされていたのが今になって(姿はそのままで)戻ってきた…という。しかも、肝心の吸血鬼は吸血鬼ながら何故か若干「狼男」的とゆーか、ショックシーンで月光に照らされると凶暴化する…とゆーのにも(現代的な感覚からすると)ちょっと違和感を覚えますよね。他にも展開運び自体等もろもろと結構に支離滅裂ぎみで、そこら辺、やはり舶来のホラー的存在を我が国の「怪談」系映画に落とし込むのにかなり苦戦した…とゆーコトなのかな、と。 ただ、中でひとつ非常に面白かったのは、肝心のその本邦初の吸血鬼の由来…と言いますか。この男は島原の乱の最中にごく悲惨で禍々しい経緯を経て人から鬼に成り果てた、近年の日本の吸血鬼もので言うトコロの「真祖」とでも言うべき存在なのですよね(『HELLSING』なんかに見られるよーな)。ソコはやはり少し面白いとゆーかコレは実はごく日本的な捉え方なのかなとゆーか、ある種の「文化的差異」なのかも…という様にも思われました。つまり、日本の「怪談」ものにおけるホラーモンスターは「元・人間」だとゆーのが結構重要で、ソレが何故ヒトならざるモノに成ってしまったか…を描くコト自体をホラー要素として比較的重視するものなのかな、と(=最初から怪物だった or 血が呪われていた、とかは、やっぱあまりしっくり来ない…というコトなのかな、と)。 【Yuki2Invy】さん [インターネット(邦画)] 4点(2022-05-30 23:50:10) 6.《ネタバレ》 う〜ん、まさに珍作でしたねぇ。 本当に訳のわからない展開で、とりあえず吸血鬼や狼男や天草四郎など いろんな要素を一つの鍋に入れてぐつぐつ煮込んだらなんかこんなん出来ました、みたいな。 一つの映画としてのまとまりや整合性は感じられません。 女吸血鬼というタイトルも謎で、別に女性は吸血鬼になったりしません。 よかった点を絞り出してみるとすれば、吸血鬼のおっちゃんの妖しい魅力、 そしてモノクロとはいえある種のヌードを見せている点も当時はそれなりに刺激的だったのではないでしょうか。 よくいえば自由奔放、客観的にいえばヘンテコで支離滅裂な映画です。 【あろえりーな】さん [インターネット(邦画)] 4点(2021-06-25 17:06:40) 5.《ネタバレ》 資産家である松村家では、娘・伊都子の誕生バーティーが行われていた。時を同じくして、彼女の恋人で新聞記者の大木民夫がタクシーでパーティーに向かっていた。その道中、タクシーの前に女がフラリと歩いてきた。避けきれず轢いてしまったと思った民夫と運転手はタクシーから降りるが、そこには誰もいない。パーティーではケーキを切ろうとした伊都子が誤って手を切ってしまう。ケーキにポタポタと落ちる血を見て複雑な表情を浮かべる父・重勝と執事。しばらくして、松村家に先ほどの女が現れる。「美和子、お前は美和子!!」。女は20年前行方不明になった重勝の妻で、伊都子の母の美和子だった。年月の経過にもかかわらず、美和子は若い時のままの姿だった…。 全体がとにかくチープで、時間をかけず低予算で作られたことが見えてしまう一作。新東宝の末期を象徴する一作といえるかもしれない。 本来は、低予算ならば作品のあらゆるところを絞り込んで作るべきなのだが、逆に本作は色々な要素を取り込みすぎたために、却って安っぽさが目につくこととなってしまった。具体例を挙げていこう。 まずは設定。タイトル通り吸血鬼という題材を掘り下げてシンプルに勝負すれば良かったのに、そこに狼男、海坊主、小人、謎の老婆、そして天草四郎といった、日本で怪しげとされる東西の様々な題材が乱暴に詰め込まれている。スタッフのサービス精神の現れかもしれないが、怖いものを集めたからもっと怖いでしょ、見どころが増えたでしょ、といった作りは、鑑賞者にお約束のようなものを押し付けたような、甘えたものになっていると思う。 甘えは物語にも及ぶ。本作の吸血鬼は天草四郎その人である。島原の乱が失敗し、籠城していた天草は、一緒にいた娘・勝姫の生き血を吸った。それにより天草は死ねなくなり、乙女の血を求めるようになったという。そしていつの頃からか、島原にある岩山の地下に西洋風の巨大な住み家を作り、手下の小人や海坊主、謎の老婆と住んでいるのである。 さらに天草は20年前、重勝と九州旅行に来ていた美和子の意識を遠隔操作で操り、彼女を引き寄せた。そして何故か20年経って、年を取らなくなった美和子は、記憶のないまま東京まで戻ったのだった。 …書いていて頭が痛くなってきた。ここまでの記述から、いかに本作がいい加減に作られているかがはっきりと分かったからだ。物語に整合性がない、必然性がないし辻褄が合わない。シーンそのものに大きな意味はなく、その場限りのシチュエーションの意外さやインパクトを優先に作られているのだ。 さらに、撮影に関しても手軽に済ませてしまっているのが分かってしまう。その最たるものが、人間と妖怪の最終決戦(?)のシーンだ。この場面は、先述の島原にある岩山の地下が舞台なのだが、何とその山には雪が積もっている。明らかにロケ地が九州ではないのだ。しかもカットが変わると雪の量が増えたり戻ったりする。おそらく天候の恢復を待てずに、関東近郊の山で撮影したのだろう。カットつなぎに矛盾が出るのを承知の上で。 そういえば本作では、これ以前のシーンでも、人物の吐く息がはっきりと白く見えるカットがある。やはり冬場の撮影だったのだろう。 ちなみに本作の公開日は、ウィキペディアでは1959年3月7日とあるが、手元にあるDVDの作品解説には1959年7月公開とある。どちらが正しいかは分からないが、いずれにせよ、スケジュールを考えれば冬に撮影されたのは間違いないだろう。 と、ここまで本作の色々な齟齬を挙げてきたが、題材が題材なので、お化け屋敷感覚で観れば結構楽しめるかもしれない。たとえば、吸血鬼役の天知茂から醸し出される妖しさやダンディズムは魅力的だし、小人の和久井勉が画面で動き回る姿には、作劇上大きな必然性がなくても、インパクトだけは十分にある。差別の温床になるからといった良識によって、現在ではメディアで小人の姿を見ることは殆どなくなってしまったことを考えると、本作は貴重な作品なのかもしれない。 インパクトという意味では、美和子を演ずる三原葉子の魅力も挙げなければならない。豊満な肉体と婀娜っぽい雰囲気を持ち合わせる彼女の存在そのものが、本作の持つ淫靡な雰囲気を生み出している。天知演ずる吸血鬼に燈台の底部でいたぶられてあえぐシーン、絵のモデルとしてセミヌードで横たわるシーン、そして、下着にハイヒールという格好で吸血鬼の手によって蝋人形にされた姿、どれもかなりエロチックで、本作の大きな見どころとなっているのは間違いない。 本作への結論。映画としてみると破綻だらけで、作品としての評価はかなり厳しい。だが、公には口にしにくい、いわばアングラな魅力は確かに存在する。カルトムービーと位置付けるのが妥当だろう。 【はあ】さん [DVD(邦画)] 4点(2020-09-15 00:26:23)(良:1票) 4.《ネタバレ》 吸血鬼+狼男+天草四郎伝説のごった煮を作ったらこんなのが出来ちゃいました!ってな感じでしょうか。ちなみに本作は、『女(の血しか吸わない)吸血鬼』が正しい題名でした。話の掴みはけっこうホラーらしい雰囲気なんです。失踪した妻が20年ぶりに帰ってきたら、タイムスリップしてきたみたいにそのまんまの容姿だったなんて話だけ聞けば面白そうでしょ。でもほとんどギャグとしか見えない娘たちの反応で、後はもう訳が判らない新東宝ワールドの御開帳というわけです。 天地茂の吸血鬼もちょっとイイ感じだなと思っていたら、突然狼男みたいに月の光を浴びて変身(顔だけ)しちゃうのでただ唖然でした。最後に監督が中川信夫だと知ってまたびっくり、彼もよっぽど体調悪かったのでしょうね(単にやる気がなかっただけかも)。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2013-01-19 22:51:14)(良:1票) 3.池袋・新文芸座の「中川信夫オールナイト」で観ました。たしか「地獄」「東海道四谷怪談」「憲兵と幽霊」という最強のラインナップでとても楽しめました。その中の一本でした。新東宝なので題名に騙されてはいけません(笑) 新東宝の低予算という事を考えると、私は良くできていると、中川組の職人技が良い意味で出ている作品に思いました。特に、天地茂のダンディズムであり怪しげであるという特異なキャラクターで三原葉子と池内淳子に迫るというのが魅力たっぷり。そして、秘密基地のセットはいかにも新東宝で大爆笑しました(井上梅次=京マチ子の「黒蜥蜴」の感じで)。 【サーファローザ】さん [映画館(邦画)] 7点(2010-04-06 21:23:22) 2.《ネタバレ》 数年前、京橋フィルムセンターの中川信夫監督特集時の際鑑賞。ほぼ同時に観た同監督作、天地茂主演「東海道四谷怪談」(8点)が際立って良かったせいか、直後に観たこの作品は非常に腑抜けた、スリルもサスペンスも感じられない無味乾燥なホラー映画にしか思えませんでした。そもそもタイトルからして偽り有り!「女は最後まで吸血鬼にはならない」内容なんですから。三原葉子や池内淳子がいつ顔面蒼白、妖しい女吸血鬼に大変身するのか、ワクワク待ちわびていた観客をこれは舐めているんじゃないのかと。この頃の池内淳子って、ほんとに無個性でお人形さんみたいな居ても居なくてもいいような存在の役柄ばっかり。東宝の特撮ホラーシリーズの方が数等上。 【放浪紳士チャーリー】さん [映画館(邦画)] 3点(2008-10-12 09:53:35) ★1.モノクロの古い邦画の吸血鬼映画。とある名家の奥さんが20年ほど前に行方不明。そしてその娘の誕生日に突然、ふら~っとあらわれる。その後、その娘の周りでは奇怪な男の影が。ってゆう内容。もちろん吸血鬼が絡んだ話。まー、話的には、天草四郎なんかが絡んだりして、日本の歴史感もあって、日本なりの吸血鬼像がうまく表現されているとは思う。吸血鬼の子分も、ちっこいおっさん、白髪の老婆、裸の巨漢と、結構ビジュアル的にもインパクトがあり、吸血鬼自身も悲劇的な存在で、太陽は平気で月で苦しみながら醜く変身など狼男的な独自の設定で雰囲気は悪くない。ただ、役者の演技がひじょうーに軽いので、全然重厚感も悲壮感もないのが残念。娘の彼氏が誕生日に遅れてくるのだが、娘が、なんで遅れてきたの~ってゆう問いかけに、いや~、途中で女の人をひいちゃって、でも、その人が消えちゃったんだ~、あははは、ってゆうありえないほど軽いノリ。それをうけてみんな何も気にしない。いや~、かるいね~。娘の母が20年ぶりに昔の若さのまま帰ってきても、一応、みんな、驚くのだが、なんか、かるいんねんな~。吸血鬼もその子分も、なんか全然弱いし。だから、リアリティーとか怖さとかは全然ないし、今観れば、色々つっこめる演出がいっぱい。でも、ストーリーと雰囲気は変な味があるので、最後まではそれなりに観れました。 【なにわ君】さん [DVD(邦画)] 5点(2008-10-12 01:27:38)
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