みんなのシネマレビュー |
|
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
★37.《ネタバレ》 タイトル、予告編、そして本編鑑賞時の印象。全てに強烈なミスリードを感じてしまいましたし、実際されてもしまいました。ただ、そのこと自体は否定しません。他者の主観を表現し理解を得るにはデフォルメは不可避かと思います。 母親の視点で語られる冒頭部分における愛息子や教師の見え方は母親本人にとっては間違いなく現実であり、保利教諭の視点で語られるパートでの母親の表情や言動は彼自身にとって紛れもない現実です。そこに固有の主観がある限り、誰一人として他者と同じ理解や価値観をもって物事を観察したり考証したり出来る訳はありません。少なくとも一般的な人物である限りは。 映画という手段によってあるテーマを語り、なおかつより多くの観客の理解や感銘を得るためには、作り手は自らの主観を越えた表現を求めなければならないように思えます。(というのも私の主観に過ぎない訳ですが) なので、本作である意味過剰とも受け取れる人物表現やその表情や言動等の齟齬・矛盾は必要不可欠だったのではないでしょうか。 その上で本作を語らせていただければ、登場人物一人ひとりの人物像が丁寧に語られ、子を持つ親の悩み・苦しみ、人の子を育てる教師の悩み・苦しみ、そして自我の目覚めと性の目覚めの年頃を迎えた少年たちの悩み・苦しみ更には夢と希望、それらが丁寧に描かれた佳作であると思いました。 シングルマザーに至るまでの熾烈な過去を愛息子の前ではひた隠しにし、只管彼の「普通」の幸せを求める母親。ある意味守りに徹している姿には力強さより悲壮感を感じました。 新任教諭として赴任し、子どもたちとのコミュニケーションを大切にし、退勤後は恋人との甘い生活を送る「普通」の青年である保利教諭。追い詰められ、全てを失っても飼っている金魚に残酷な仕打ちをすることは出来ない優しさは心に遺している。(当たり前に捉えれば一番の被害者かも) ひとり親世帯になった原因を漠然と知りながらも、愛する母親のために平静を装おうとする湊少年。優しさ故に依里君をかばうもののそれに徹することの出来ない自分への内省と、親友的に思っていた彼との距離が縮まった瞬間に性的感情を無意識化に得てしまい身体の反応に狼狽えてしまう「普通」の少年。 自らの性的違和感を理解しつつある中で、それを理解するどころか消し去ることしか考えない父親からの虐待に耐えるしかない日々を送る依里。それはやはり父親への愛なのか優しさなのか。学校で繰り返されるいじめ行為にも、クラスメートを達観することで耐えているように思えます。その姿からは怪物感は得られません。 クライマックス。母親と保利教諭が半分こじ開けた車窓から見たものは何だったのか?湊君と依里君が敢えて通過し直した廃車両の先に広がっている世界はどこなのか?単純に受け止めてしまえば土砂崩れで亡くなってしまった二人の魂が次の世界へと旅立っていく姿と捉えられないこともありませんが、だとすればそれは希望ではなく現世に絶望を遺したままの旅立ちであり、二人が真に求めていた世界とは乖離しているように思えてしまいます。 かと言って、実は二人は無事だった、母親と教師が救出した、というのも無理と言うかそこに至るまでの作品の世界観とは異なるのではと思えてしまう。結果、自分なりの納得いく結論は得られていません。 強いて言うならば、「怪物」は決して特定の個人ではなく、個人個人が生きる社会のシステム全体の中に浮遊しているものなのかなと思えた次第です。幾度か鑑賞し、作り手の意図するものとそれを受け取って得たものについて熟考することを求められる作品でした。 (追記) 校長の葛藤と夫の真意。依里の父親の苦悩。これ以上の長尺化は好ましくはないと思いつつ、このテーマに不可欠な登場人物とエピソードであるのならば、もう少し掘り下げて欲しかったなと思いました。 【タコ太(ぺいぺい)】さん [インターネット(邦画)] 7点(2025-02-22 11:41:14)(良:1票) ★《新規》★ 36.是枝監督らしい 作品..独特の雰囲気でクセのある くら~い ストーリー..“真実”は 複雑で、難解..ってことかな..ただ、物語としては 現実味が薄くて説得力がなかったかな..7点 【コナンが一番】さん [インターネット(邦画)] 7点(2025-02-15 19:32:54) 35.《ネタバレ》 ◇「人は、見たいものしか見ない」だから、事実は一つでも、人によって物語(事実)は異なり、すれ違っていく。 ◇セリフやシーンが巧みに入り組んでいき、最後に私は私の物語(解釈)にたどり着く、、、 ◇他の方の感想や解釈を読むにつけて、私は自分の考え方のクセ、バイアスに気付く。「こうあって欲しい」と「私」は思うのか、、思考が炙り出されるようなザラっとした不快と、仕掛けに気付くスッキリ感がないまぜになりました。 【ハクリキコ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2025-02-15 08:45:21) 34.《ネタバレ》 様々な視点からの構成されているストーリーはいろんなことを想像させてくれる。特に序盤の違和感満載な学校の描写。いじめやサスペンスは元より、星川くん役の上手さにマインドコントロールを想像した。違ったけど。子どもの視点のパートは素晴らしかった。ラストは観る人間に委ねる感じだか、私は死後の生まれ変わりと受けとめた。それが自然で美しいから。全体観た後で注文をつけるなら、序盤の担任の先生の態度の悪さは過剰だったかな。 【ラグ】さん [インターネット(邦画)] 7点(2025-01-13 21:08:48) 33.同じ事象が起きているのに視点が変わればそれだけ見方が存在する・・・。 ラストのファンタジー感が不気味であった。 【へまち】さん [インターネット(邦画)] 8点(2025-01-11 22:31:09) 32.《ネタバレ》 予告編だけの情報しかなかった時はもっと猟奇的な内容なのかと思ってました。実際に観てみたら全然違った。たしかにミステリーぽさはあるけれど、これはもう一つの純愛映画でしょう。同性愛に気付き始めてしまったまだ幼い男の子の純愛物語。私はそう捉えました。「怪物」ていうのは恐らくマイノリティを受け入れられない「偏見」への揶揄なのかな。または自分自身の中にある「嘘」に対するものかも。誰かにしか手に入らないものは幸せって言わない。誰にでも手に入るものを幸せって言う。この台詞こそが「怪物」に対しての宣戦布告なのでしょう。 物語は母親、教師、息子と、三人の視点によって進んでいきます。母親目線だった時は観客も「怪物」であるように仕掛けられて、教師目線でそこから少し距離を取れるようになり、最終的に息子の目線で全てが白日のもとにさらされて「怪物」から解放される。実に見事な編集です。 また一つとても良い映画に出会えました。ありがとうございました。 それとこれは余談ですが、安藤サクラさんの演技が個人的には一番、怪物、でした。ほんと、すごすぎです。 【Dream kerokero】さん [インターネット(邦画)] 7点(2025-01-06 16:30:30) 31.《ネタバレ》 結局ね。関係者全員から話を聞いたところで、そこに監視カメラでも設置されていない限り、真実は「藪の中」ってことだよね。それが如実に現れるところは、正直なところ学校かもしれない。 学校には警察のような捜査能力も権限もなく、保護者は子どもの言うことを信じ、わが子を守ろうとする。それは当然なことだが、かと言って教師が学校でのすべての事象に責任を持つ必要はない。あの生気の抜けたような校長の姿も、実際にはそんなことはなくて、保護者から見たらそんな風にしか見えなかった、ということだろう。 自分以外の目に見えない力に押しつぶされ、自らを見失っていく得体の知れない恐ろしさ。またその力は圧倒的で、とても自分一人で立ち向かえるようなものじゃない。SNSが発達したことで、それがより顕著な世界になってしまった。 こんなことはそこらじゅうにあるぜって、そんな映画かな。 【roadster316】さん [インターネット(邦画)] 6点(2025-01-05 10:51:59) 30.なぜ可愛らしいこの子供が執拗にいじめの標的にされるのか、教師や父親の奇妙な態度は何か、いろんな違和感が終盤一気に解消され、そういうことだったか!と納得させられます。納得させられるんですが、現実にこの問題で理解されず苦しんでいる人がいるのが事実。共感が今後さらに広まることを望みます。 【次郎丸三郎】さん [DVD(邦画)] 8点(2024-12-30 09:54:46) 29.結局のところ、本当の怪物は誰だって話になっていくんだろうけど、全体的に色々と引っかかる演出があって、期待していたほどではなかった。違和感を感じさせるキャストの演技は凄いけど。 【noji】さん [インターネット(邦画)] 6点(2024-12-24 07:58:35) 28.予備知識無しでの鑑賞だったが、善悪の捉え方がポイントになるだろうという映画の構成はすぐに分かる。 この作品はそこからさらに深さがある。ただし、それでも釈然としない感情が残るのが惜しいのだが、それもそういうことだろうか。 【simple】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2024-12-21 17:51:04) 27.《ネタバレ》 大人の目線、子どもの目線で物語の捉え方がこうも変わるのか、という真摯さ、丁寧さは感じましたが、正直、それは無理ゲーじゃね?って印象。みなさん演技も達者でこのお話を成立させるには十分だとは思いましたが、豚の脳とか、ミスリードさせるようなワードで味をつけてくるあたりは、ちょっと、ねえ。 丸裸の物語では面白くないことを、制作者がご存知なのでしょう。 ここまで複雑な他者を理解してるヒマは、現代人にはないと思うので、それ自体でうんざりするのだと思います。 久しぶりの映画だから鑑賞に耐えたと思います。 【ろにまさ】さん [インターネット(邦画)] 6点(2024-12-16 00:02:59) 26.是枝作品は最近のものは全て見ていますが、正直どれもおもしろいと思ったことはありませんでした。しかし「怪物」はとてもおもしろかったです。安藤さくら、永山瑛太をはじめ、少年二人の演技が演技とは思えないほどあまりにも素晴らしかったです。彼らが一筋縄ではいかない複雑な心情をうまく表現していました。そして、キラキラと輝いたラストシーンは明日への希望を表しているように感じました。 【みるちゃん】さん [DVD(邦画)] 9点(2024-10-28 11:41:16) 25.《ネタバレ》 皆さんの感想と少し異なるかも知れませんが、私は「怪物」は大人から見た「10歳の壁」だと思いました。子供から未熟な大人になる2次性徴なりかかりの少年少女、小4-6年位までは10歳の壁と言われて人は全員経験し、皆混乱した時代を送るけどいつの間にか終わって忘れているものです。星川と麦野中心に強調されて描かれているけど、一見問題ない様に見える教室の全員がおかしい(10歳の壁の中にいる)。私自身10歳の壁の時にいじめや親、先生への嘘(その時は仕方ないと思っていた)、異常な教室、動物虐待、暴力事件など経験しました。その時、大学出立ての新米先生は迷いながらも正面からぶつかってくれて、還暦過ぎていまでも年賀状を交換しています。 作品はスタンドバイミーのオマージュとかモンスターペアレント、校長先生の個人的問題、LGPT的な要素とか混ぜているから一番描きたい所が分かりにくくなっている様に感じました。羅生門みたいな行ったり来たりしないで正面から10歳の壁をがっちり描いたらもっと見ごたえがある作品になったようにも感じます。ヒトはそこの対応次第で思春期以降とんでもない人生になったり、本物の怪物になってしまったりするのですから。校長先生が「ああ、嘘ついちゃったんだ。」と言ってラッパを勧めた所、この先生が一番この壁を理解してたのだと思いました。 壁の時は慾をどこにぶつければ分からずに同性愛的な方向に進むことは普通にあります。それはLGBとは違います。性同一性障害はLGBという性の嗜好とは全く違う範疇なので一緒に論ずるべきではありません。芸術・美術的描き方をしすぎてかえって分かりにくくなったと感じたのでこの点数で。 【rakitarou】さん [インターネット(邦画)] 6点(2024-10-21 17:23:46) 24.《ネタバレ》 母親、教師、ミナト目線のパートで描かれているけれど、私はこの作品は、「大人の部」と「子供の部」の2部構成とみた。 正直、「大人の部」は、子供たちの心理を理解するための添え物という認識で視聴した。 冒頭で、足元のみで登場する少年は、虫笛を鳴らしている以上、星川、怪物の登場だ。 「怪物」と呼べる人物は、私には彼ただ一人を指しているように思える。 その他大勢のキャラたちは、どこにでもいる大人あるある、子供あるあるで、別段特異には見えない。 でも星川は違う。 おそらく彼の母は、アル中の夫と性同一性障害の息子が手にあまり、離婚して、家にいない、 父は、児童手当欲しさに息子を引き取り、息子の障害を許せず「怪物」と呼び、体罰で女の心を治療する気でいる。 当人は、浴槽で体を冷やさねば痛みを抑えられないほどの暴力を父から受け、 学校では、同級生たちから性がらみのいじめを受け、 好意を寄せているミナトからは、「皆のいる場所で声をかけるな」と言われ、 当てものクイズに使うイラストカードに「怪物」を描いたり、陰でしか一緒に遊べないミナトと「怪物だーれだ♪」と歌うなど、 人格否定のあだ名を、ふだんから気軽に遊びとして取り入れている。 これらの状況下で、小学5年生の「男の子」が、なぜニコニコと愛らしく笑っていられるのか。 星川の父がいうには、息子の頭の中には、豚の脳が入っている。 だから、植物の名前を覚えるような女々しい趣味があったり、男らしい言動ができないのだというのだろう。 自宅で人格を否定され、暴力を受け続けていれば、何ぴとたりともふつうの精神状態ではいられない。 映画の前半では、麦野家の屋内が雑多なもので溢れかえり雑然としていて、それが心の整理がつかないミナトの心を象徴しているように見え、 みずから生を断ちそうな不安定なミナトにハラハラさせられるが、 それ以上に深刻な家庭事情を抱えているのは、実は、星川の方。 その彼の唯一の口癖は、「生まれ変わる」。 星川は、性同一性障害という個性を持たず、心と性が一致した人間として人生をやりなおしたかったのか? ラストで、横倒しになった車両の下側の窓から出て、狭い坑道を腹ばいになって進み、 明るい表の世界に出た彼らは、母体の産道をくぐりぬけて文字通り「生まれ変わる」疑似体験をした。 ミナトとの会話で星川は、生まれ「変わることなく」元のままで「良かった」と言う。 性の別なく、ミナトを好きでいられる従来の自分を受け入れている自然な様子に、ただ感動した。 2人の子供はきっと、神隠しさながらに、大人たちの手の届かぬところへ消え去ってしまったのだろう。 抜け殻のように車両に残ったミナトのレインコートが、それを物語っている。 何よりも、母や教師が車両に駆け付けたときは豪雨が降っていた。少年たちが脱出したのは、天候が回復した後。時の矛盾がすでに現実離れしている。 現代劇でありながらかすかにファンタジー要素が入っている。現実と虚構の絶妙な配分が、私にとってたまらないツボ。 それに、この作品には、3つの文学作品の香りがする。 冒頭で諏訪市の夜景が映し出される。左右に広がる明かりの帯は、まるで地上に降りた天の川。 夜の街に、遠目に映る火事の光景は、さながら「さそりの火」。 廃車両の中で飾られるのは、土星や太陽のモビール、窓には星などの切り絵、 横倒しになった車両の泥まみれの窓に雨が降る、それを内側から見れば、まるで宇宙の星々のきらめき。 どしゃぶりの中で聞こえた「出発の音」。それは、ジョバンニとカンパネルラが宇宙旅行に出かける時刻。『銀河鉄道の夜』だ。 病気の母を忘れ、ジョバンニはカンパネルラと「どこまでも一緒に行こう」と旅に出る。ミナトもたった1人の身内である母よりも、星川を選ぶ。 また、ジャン・コクトーの『恐るべき子供たち』のエリザベートとポール姉弟。 危険な遊戯や人に漏らせぬ思いのために、周囲の大人たちに嘘をつく。それがどれほど多くの人たちを傷つけ、騒ぎを引き起こすかということもいとわずに。 最後に『スタンド・バイ・ミー』。 2人の子供が光の指す線路を目指して駆けていくシーン。映画の文法でいうと、左方から右方へ移動するのは、過去に戻ることを表すらしい。 大人の事情を全く必要とせず、性不同一の目覚めもまだない幼い心に戻って、ただ大好きな友達といられる幸せに浸りながら、力強い雄たけびをあげているラスト。 「怪物」という言葉が、残酷という形容以外に、これほど甘酸っぱく、切なく、狂おしい響きを帯びていることに、本当に心を揺さぶられた。 【tony】さん [インターネット(邦画)] 9点(2024-07-02 00:09:10) 23.《ネタバレ》 見応えは非常にあったけど、最初のパートで保利先生を異常者みたいに見えるように映像で誘導し過ぎてるのが気になった。麦野の母親目線でそう見えてるという話にしてもちょっと盛りすぎに感じる。 実際次のパートでは全く別人のような保利先生が登場するんだけど、パート1とパート2の時間軸における保利先生の精神状態もあまり噛み合ってるように思えなかった。他にも違和感を感じるところはあったけど、ラストパートの麦野と星川くんとの心理描写は非常に良かった。 【映画大好きっ子】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2024-06-26 23:25:33) 22.《ネタバレ》 是枝裕和の『怪物』は3部構成。ひとつのプロットを3つの視点により描いている。 1つ目の母親の視点では、保利がとことん歪んでいる。 2つ目の保利の視点では、湊が歪む。 3つ目の湊の視点で、歪むのは誰か? 羅生門形式。そもそも、映画とは他者の視線から見られた世界の風景。世界を捉えようと思ったら、その世界なるものを多くの視点で囲んでいくしかない。それは視線の「反復性」と呼ばれる。 視点によって人物像が違っているのは、主観による視点であるから。それが怪物を生む。湊の視点は不安定で、「それ」が歪んで見えかけるのだけど、自分がどうしようもなくなり、それを受け入れる。そのキッカケが校長のいるところ。結局、怪物を断つ回路は、言葉(世界)ではないところ「非言語性」にあったのだなと。 すべての物語は本来、謎解きである。でもそれは容易には解かれない。だから謎は宙吊りとなり、観ている人の身体の中に「内面化」され、その人のものになる。 「反復性」「非言語性」「内面化」 『怪物』を傑作たらしめているターム。私ならこの3つを挙げる。 「なぜ性的マイノリティを描きながら不可視化したのか?」 それは、映画がその「気付き」こそを描きたかったから。ある人は、最後に二人が死んで違う世界で生き返ったとし、現世の死を以て、制裁が再生産されたと言う。これを「君と世界の戦い」(カフカの『君と世界の戦いでは、世界に支援せよ』)として単純化すれば、ある人は、「君が世界となるべきだ」と見做し、映画は「君は君であるべきだ」として映す。 私は、映画が文芸であるとすれば、映画は「君は君であるべきだ」ということこそ捨ててはいけないと思う。それが優先されなければ、君が世界になる、その世界を描くことだけに過ぎなくなるから。監督は、性的マイノリティーの世界ではなく、「君」を描きたかった。その決意を『怪物』から強く感じる。 彼ら二人は何処に生き返ったのか?ビッグクランチは時間の逆行。実は死んだのは飽和した世界の方だった、というのが私の解釈である。 【onomichi】さん [映画館(邦画)] 9点(2024-06-19 00:33:19) 21.《ネタバレ》 子どもは純粋無垢じゃない。 こども視点から描くと、彼らの世界は、ドロドロしている。 大人の我々は、それを忘れているだけだ。 子どもの扱いに巧い是枝監督が、その子どもワールドを描く。 観終わると、大人が「怪物」ってことになるのかな・・ 田中裕子の演技が、見事に映画の層を厚くしている。 貫禄です! 【トント】さん [DVD(邦画)] 8点(2024-06-09 18:38:36) 20.子供たちのパートは文句なし。LGBTQジャンルと言って差し支えないと思うが、美しい映像とか、星川くんの可愛らしさとか、湊の揺れる心とか、引き込まれる感覚があって素晴らしかった。是枝監督は子供を撮るのが本当に上手。しかし、この映画は玉に瑕というのか、保利先生が湊母の前で見せた姿には今でも納得がいってないんで少し減点。これはもしかすると小説なら上手くいったのかもしれないが、映像になると想像の余地はなく、安藤サクラ編と瑛太編で保利の整合性が取れていないように感じてしまった。そこだけ残念かなと。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2024-06-01 00:27:16) 19.《ネタバレ》 予備知識無しで見たので、こう来たか・・・という印象。 羅生門とか噂の二人とか小さな恋のメロディとかスタンドバイミーとかの昔の映画がよぎりました。 三人目線なので心情がわかりにくく、特に一番大事な二人の少年の感情と行動はもう少し丁寧に描いて欲しかったです。 見た者にお任せ的なラストも今一つ。 【木村家の娘】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2024-05-29 21:17:16) 18.《ネタバレ》 いやぁ... 久々に見終わりに唸ってしまった。 まさに「怪物だーれだ?」ですわ。 いろんなタイプの怪物総出演。 誰もが誰かからすると怪物なんだろな。 星川くんのポジティブ風味がいたいけで。 主演二人が本当に名演でした。 是枝監督は子供演出が見事ですよね。 【movie海馬】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2024-05-26 21:03:08)
【点数情報】
【その他点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2025 JTNEWS