みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
12.外の光を入れた奥の部屋には不動産屋さんと不動産屋さんの説明を聞く女。手前の真っ暗な部屋には説明を全く聞こうとしない男。冒頭のこの一場面だけで「企み」を匂わせているのも凄いんだけど、なにより明るい部屋と暗い部屋を同じ画面に映そうとするその発想に唸らされる。その後も映画の大半を占めるその住居内映像は奥に映される隣室や窓の外の景色によってスリルを獲得し、様々な角度から様々な部屋が映されることで混乱を生みながら、一つの「世界」を構築してゆく。その世界で生まれる幻想はやがて外の世界から切り離され、その世界の現実となる。その世界とはまさに「映画」であり、ラスト、我々は映画が現実を凌駕する瞬間を目にすることになる。それは実に幸福な映画体験であった。劇中で女が「想像で人は救えない」と言う。対して男が「想像は現実的だよ」と。想像はいつでも現実になりうるのだ。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-10-22 14:22:04) 11.サスペンス的演出がなかなかに良く、緊迫感をもって楽しめる。 ただし、題材が個人的には興味をひかれるものではなかったのが残念である。 ブルジョアと労働者階級との闘争に、キリスト教会的権威も絡めた内容だが、そんなことに大した興味のない人が観ても、十分に楽しめるとは言い難い。 【にじばぶ】さん [DVD(字幕)] 4点(2010-01-01 02:52:44) 10.この作品にコメントしたいが為に、会員登録をした。 圧倒的な緊張感、イマジネーション、芸術性。どれをとっても この何年間で最高の一作なのは間違いない。 イタリアで実際に起こった、極左による元首相誘拐暗殺事件に材をとり、 夢と現実がない交ぜになった極めて魅惑的、かつ思索的な、ベロッキオの世界 の到達点とも呼べる作品である。 シューベルトの『楽興の時』、100年以上の時を経て、映像との見事な 結婚を果たした。いつまでも、映像と共に耳に残って離れない。 近所の最大手レンタルチェーンには、どこにもこのDVDが置いてある。 是非多くの人にお勧めしたい。 【高畑カムバックプリーズ】さん [DVD(字幕)] 10点(2008-01-15 13:14:08)(良:1票) 9.《ネタバレ》 実際にあった誘拐事件をTVニュースでのみ見せ、あとはぐたぐたと理屈を捏ねているだけの映画と感じました。緊張感がまるでなく、誘拐テロの話とは思えませんでした。イタリア庶民の暮らしぶりがやや見えたところに2点です。 【亜酒藍】さん [DVD(字幕)] 2点(2007-10-31 19:35:53) 8.わからなかった。他の方のレビューを読むとなるほどと思うけれど、正直な感想としては退屈だった。 鑑賞時に集中力が途切れたせいなのか、主人公の女テロリストの気持ちがほとんど伝わってこなかった。というか、すべての登場人物の気持ちがわからない。また、展開がだらだらしていてメリハリに欠ける。実際の映像が組み込まれているのも不自然で、映画に馴染んでいないように感じた。 最初から最後まで蚊帳の外で、ぼんやりと傍観しているうちに物語が終わってしまったという感じ。 【no one】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-09-05 02:42:45) 7.本筋とはあんまり関係ないとこだけど、老いたパルチザン闘士たちが過去を懐かしみつつ歌った革命歌が、ロシア民謡カチューシャのメロディだったところが嬉しい。映画見てると、違う国では意外な曲が意外な歌われ方をしていることによく出あって、なんかそういうこと知ると嬉しくなる(クリスマスソング「もみの木」を四拍子にすると日本の労働歌になり、韓国映画「シルミド」ではそれが革命歌として歌われてた、とか)。同じメロディからまた新たな性格を発見するヴァリエーションの喜び。この歌、吹きすさぶ嵐に向かってすっくと立ってるような悲壮感に満ちていて、この映画見てしまった後では、カチューシャはもう革命歌にしか聞こえない。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-07-31 12:24:40) 6.《ネタバレ》 面白い題材を、えらく幼稚に料理したなという印象。途中で実際の極左ゲリラによる映像が入っている以上、実話の映画化として観るのなら、アルド・モーロとジュリオ・アンドレオッティの関係が描かれていないのが片手落ち。たらたらーんと始まって、たらたらーんと終わってしまい、フィクションとしてもノンフィクションとしても緊張感がなし。蛇足ながら、この事件が本当に面白くなるのは、この映画が終わってからの展開で、赤い旅団にブチ切れたイタリア政府の無茶苦茶ぶりが、いつか映画化されればいいのにと思う。 【永遠】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2007-06-28 20:36:14) 5.《ネタバレ》 実際にあったイタリア首相誘拐事件を元にした映画。極左組織の娘キアラが、アイデンティティをグラグラさせ、涙して迷う姿が非常に美しい。その思想のため、革新の春を迎えるため自己を抑えて兵士となった若い彼女が、学校の先生のように思慮深い初老のモロの姿を目にし、彼の言葉を聞き視点がどんどん変化していく。人間の本来あるべき暖かみある姿が胸に迫る。ひとつの思想に頑なに突き動かされる同士達、黒魔術紛いの人捜しをするイタリア政府の無責任な面々の中で、彼女の迷いだけが誠実なものに見える。彼女の夢とは別に、不条理で重々しい結末(すなわち現実)が観賞後重くのしかかり、「それは正義なのか、暴挙なのか」という監督の問いかけもまた重く残る。秀作。 【のはら】さん [DVD(字幕)] 9点(2007-04-22 02:18:47)(良:2票) 4.《ネタバレ》 実在のテロ事件をベースにしているところ、やはり「ミュンヘン」を思い出す。現実に起きたテロ事件を映画においてどう料理したか、という点では、こちらに軍配を上げる。「ミュンヘン」では、スピルバーグは思い余って重要なことをセリフで言わせてしまったり、思い入れが激しすぎて失敗しているからだ。 「夜よ」では、ほとんどのシーンがキアラという美人テロリストの視点を中心として描かれる。 さて、美人で23歳で図書館に勤めるキアラがなにゆえ赤い旅団のメンバーとなって、テロに参加するのか。最も重要な疑問というのはこれである。 キアラの夢にモノクロで現れる、パルチザンの処刑。父は、どうやら、ファシズムと闘って処刑された抵抗運動の闘士だったらしい。 キアラの理由は、父である。23歳の彼女に、自前の思想などあるわけがない。 モロが法王あてに書いた手紙の感想を聞かれたとき、涙を浮かべていたにもかかわらず、「つまらない冷たい手紙」と言い切ったキアラ。それを言わせたのは、死んだ父である。無残に処刑された父がいる限り、キアラは女闘士であり続けなければならない。 キアラというのは「父の娘」なのだ。世の中には「父の娘」と「母の娘」がいる。「父の娘」というのは、「母の娘」に比べて「かたくな」なのである。 ところが、「父の亡霊」に憑依されているはずのキアラに、変化が起きる。それは、とうの昔に死んで、顔もロクに思い出せないような父と、現実に一つ屋根の下に存在するモロが重なって見えてきたせいだ。キアラにとって、品がよく、教養があり、家族思いで、思慮深げなモロの姿は、「理想の父」の姿に思えて仕方ない。父=モロ現象に、キアラは苦しみ、モロを逃がす夢を見始める。 現実には処刑されたモロの葬式と入れ違いに、自由になったモロが表を歩く姿で映画は終わる。 これが、監督の撮りたかったシーンだ。「あのとき、誰ひとりモロを救うことができなかった。」過去に遡って、間違いを糺したい。でも、できない。だから、この、映画の中でモロを解放する。「自由なモロ」の微笑みが心に痛い。やはり、最も言いたいことは、セリフで言わせてはいけない。 今も獄中にいる犯人たちは、50代であろうか。このラストシーンを見て欲しいと思う。 【パブロン中毒】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-04-21 14:47:59)(良:3票) 3.《ネタバレ》 パッケージに政治サスペンスと書いてあるけど、政治サスペンスと思って見ると失敗します。人間ドラマとか、そっちの方向でしょう。ハラハラはしません。考えるところはあると思いますが。 ということで、僕はリアルタイムでこの事件を知らないし。 【θ】さん [DVD(字幕)] 2点(2007-02-11 12:58:53) 2. 元首相の誘拐・監禁という大事件を実際の映像を交えながら描いている作品です。まあ、テレビから流れるニュースや映像の仰々しさと比べ、実際の現場が非常に静かに淡々としているのが逆に緊迫感を生み出しています。また、現実とキアラの幻想が入り混じる手法も良かったですね。 「赤い旅団」は小さい頃結構ニュースに出てたので名前は覚えているのですが、どういう存在だったのかまでは知らなかったので非常に参考になりました。 また、ピンクフロイドの「狂ったダイアモンド」が効果的に使われていて印象的でした。 【TM】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-11-04 21:34:49) ★1.《ネタバレ》 とにかく巧い。冒頭、夫婦を装って住宅を購入し、首相を拉致監禁するまでの展開を、全て室内で進行させるのだが、隣近所の訪問、窓越しの視線、テレビの映像、縦横無尽の音響、これらが住宅の一室を映画空間に一変させる。狭い空間に張り巡らされた無数の「映画トラップ」とでも言うべきか。ベロッキオは、この映画の背景であるモロ首相誘拐殺人事件や赤い旅団に対する言及を前面には出さず、テロリスト達と首相の関係をたくみに変位させながら、ジワジワと観客の外堀を埋めていく。そのベースとなるのは映画全体に通底する一種の通俗性(普遍性)で、主人公キアラの、テロリストととしての自分と、首相の思想に傾きそうになる自分との葛藤が、非常に分かりやすい構図で描かれる。さらに姿を見せない赤い旅団やイタリア政府の冷徹さ、あるいは唐突なローマ法王の登場。サスペンスの中に潜むホラー的とも言うべき彼ら怪物的人間の不気味さにより物語は複相化する。そして気がつけばベロッキオの攻勢は内堀にまで及んでいる事が、シューベルトの音楽と共に明らかになり、もはや防御は不可能。キアラの願望は次第に現実を帯び、後半以降、もの凄い事になる。ラスト、首相の笑顔、解放、その後にやってくるテレビ映像、そしてピンクフロイド!要は、この映画は圧倒的にカッコイイのである。ディ・モールト(非常に)良しッ! 【Qfwfq】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-07-26 14:59:57)(良:2票)
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