みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
14.《ネタバレ》 喜劇王キートンのフィルモグラフィーの中で、最も有名な場面。 それが本作の「建物が倒れてくるけど、窓枠の部分にスッポリ収まり無傷なキートン」になると思われます。 「それはつまり、コレが彼の最高傑作って事なのか」と言われたら、自分としては異議を唱えたくなるんだけど…… そう認識されても仕方無いくらいの傑作である事は、間違いないですね。 とにかくもう、キートン自ら監督したという後半部分の「ハリケーンに襲われた町」の描写は圧巻であり、良くもまぁこんな世界を描き出せたものだと、感心するばかり。 キートンの魅力といえば、当人のアクロバティックな動きが真っ先に挙げられるけど、この人って自分以外の「舞台の作り方」も、本当に上手いんですよね。 自分は三大喜劇王の中でキートンが一番好きであり「王」というよりは「喜劇の神様」って表現が似合うんじゃないかとさえ思ってるんですが…… その理由としては「映画の中に独自の世界を作り上げる事。そして、その世界を壊す事に関しては、キートンに並び得る者は存在しないから」ってのが挙げられるくらいです。 本作に関しても、その力量は如何無く発揮されており「ハリケーンに襲われた町」という特殊な舞台ならではの面白さと、巨大な建造物を破壊していくカタルシスとが、たっぷり描かれていたと思います。 冒頭部分で言及した「窓枠にスッポリ収まったキートン」の場面も凄いけど、個人的には「家が飛んできて潰されたかと思いきや、普通にドアを開けて中から出てくるキートン」って場面も、同じくらいお気に入りですね。 ここ、本当に「朝起きて、出かける為にドアを開けた」くらいの気軽さで、暴風雨なんて起こってないとばかりに平然と出てくるのがもう、たまんないです。 特異な状況ゆえの「普通の事を普通にやってる可笑しさ」を、これほど見事に表現出来るのは、正にキートンだからこそ。 クライマックスでは「水没する檻の中から父親を救い出す」って見せ場も用意されているし、主人公とヒロインが結婚する未来を「溺れた牧師を助けた」という形で示唆するのも、オシャレな終わり方でしたね。 そんな神掛かり的な後半に比べると、キートン監督ではない前半部分に関しては、凡庸な出来栄えに思えたりもするんですが…… 「不器用ながらも息子を大切に想ってる父親」の存在など、魅力的な脇役も揃っているので、決定的な不満点って程では無かったです。 捕まった父を留置場から脱出させるべく、キートンがアレコレ画策する場面なんかは「刑務所モノ」「脱獄モノ」が好きな身としては、心躍るものがありましたし。 それだけでも「キートンが監督していない部分にも、確かに価値は有った」と言える気がします。 それと、本作の前半部分には、もう一つ興味深い場面があるんですよね。 美男子であるキートンが、どう見ても似合ってないチョビ髭を付けて登場し、それを剃る展開になる。 これってつまり「チャップリンのような口髭を付けた姿から、本来のキートンらしい姿に変身する」って形になってる訳で、非常に寓意的なものを感じます。 本作の監督であるチャールズ・F・ライズナーは、数々のチャップリン映画で助監督を務めた人っていうのも、何だか意味深。 そもそもキートンって、ロイドやチャップリンに比べると商業面では劣等生であり、本作でも多大な赤字を記録してたりするもんだから、周囲から「ロイドのような映画を撮るべき」「チャップリンのようなキャラクターを演じるべき」って要求されていたフシがあるんですよね。 「大学生」(1927年)や「結婚狂」(1929年)なんかは、それが顕著。 つまり、本作における「チョビ髭を剃る」シークエンスも、キートンなりの皮肉なユーモアが籠められていたんじゃないでしょうか。 映画を観てる自分としても「バスター・キートンはバスター・キートンであり、決して他の喜劇王と同じではない」という事を、確かに感じましたからね。 それは本作の後半部分、紛れもない「キートン映画」の魅力によって、力強く証明されていると思います。 【ゆき】さん [DVD(字幕)] 8点(2023-10-24 23:20:54)(良:1票) 13.《ネタバレ》 恐ろしい風の映画。 風が吹くまでは、正直とても退屈だった。 風が吹いてからは圧倒的な映像の、演出の力を感じる。まさに奇跡的。 【ゑぎ】さん [映画館(字幕)] 8点(2017-03-28 06:07:58) 12.セットを壊しまくる終盤のスタントに呆然。 キートンにしか演じられない、もの凄いスタントに唖然。 恋する女性役の脚の綺麗さも特筆もの。 小柄で、とてもチャーミング。 時代を超えて、この女優さんに恋をしてしまった。 荒くれ者の父親だが、息子に対する愛情が感じられ、ほんわかとした気持ちにもさせられる。 見所にあふれた、キートン代表作の一つ! 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2016-04-30 00:58:50)(良:1票) 11.《ネタバレ》 オープニングのパンニング。 小川のボートを捉えるカメラが左へと移動し、2隻の蒸気船を写し出す。 ここが映画的でカッコイイなぁと思ったのですが、前半ではあまりコメディとしての面白い個所が見つけられなかったです。 船長である父親とキートンが出会うシーンで「きっと俺より大きくなっているに違いない」と、ギャグの前フリをしっかり立てているからには当然その期待を越えなければ二流以下である訳ですが、ネームプレートを見て察知し乳母車の中の子供をあやしている姿に唖然としているだけでは、ギャグとしてはちょっと物足りなさがあるように思いました。 帽子を選ぶシーンもやはり今ひとつという印象で、他にも抜きん出た見どころは少なかったのですが、やはり最後の空撮ならぬ風撮のスケール感は見事と言えるでしょう。 前半でチョロっと出てきた水にドボンと落ちるのは、あれはあくまでも前フリ。 留置所ごと流されて父親がアップアップしたり、建物のセットを吹き飛ばすほどの風量ってどんだけデカい扇風機使ってんだというくらいの大胆なクラッシュでしたし、大木ごと飛ばされるシーンもクレーンで吊ってる事は分かり切っていながらも楽しく見れたと思います。 最後の牧師さんを救うというオチが若干弱かった感じもあり、6点止まりとさせて戴きます。 【もっつぁれら】さん [映画館(字幕)] 6点(2015-01-03 21:31:54) 10.《ネタバレ》 これはね、もうアレですよ。終盤の台風が直撃するクライマックスはキートン映画最強の部類。 キートンがあんなにカッコ良く見えたのは久々だぜ。 「蒸気船関係無いやん!」と思っていたらビックリ。なるほど取って置きの切り札として船を利用するアイデアが秀逸。 そんでもって最後の最後まで海に飛び込むキートンはカッコ良かったぜ。最高。 これに匹敵する蒸気船映画はジョン・フォードの「周遊する蒸気船」だけやね。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-04-05 10:05:34)(良:1票) 9.キートン初体験。センスの良いBGM、列車到着のシーンから期待感にワクワク。当時どのように撮影されたのか街を襲う怒涛の大嵐、ポーカーフェイスのキートンの身体能力の凄さ。呆気にとられながら大笑い中笑い小笑いさせられる中で親子の絆にしんみりさせられる。期待以上の傑作です。 【The Grey Heron】さん [DVD(字幕)] 9点(2013-06-02 01:41:27)(良:1票) 8.《ネタバレ》 三大喜劇役者の一人としてキートンの名は知っていたものの、 なかなか見る機会に恵まれなかった。 チャップリンの映画でさえあまり見る機会が少ないのに、 三大喜劇役者の中ではキートンよりもチャップリンの方が圧倒的に一般的に有名なものだから、 どうせキートンの映画は普通のコメディなのか(失礼すぎる!)、なんて酷い偏見も少し持っていた。 しかし、単なるコメディとして終わっていないところが素晴らしい。 父と息子の親子愛を強く感じるのだ。 前半では父と息子はうまく行っていないようではあるが、、、期待はずれの息子に対する父親のイライラが伝わってくるのであるが、 しかしそういった場面からですら、父親の息子にかけるささやかな気遣い(?)というものが微かに感じられる気がするのである。 実際に父と息子なんてなかなか上手くいくものでもない。 お互いに相性が悪い父子の方が多いと思う。 しかし、だからこそこの作品中の親子関係に自分は感じるものがあった。 “父と息子の関係なんざこんなもんよ”と見せられてるみたいに。 喜劇の主人公は滑稽だから良い。 だからこそ自分と重なり合うし、感情移入が出来る。 しかしキートンはなかなか体を張っている。感心した。 チャップリンもそうだったとは思うが、キートンも負けてはいないようだ。 そして、モノクロ・サイレント映画の中ではなかなか迫力がある。 アクション性がハンパない。 崩れる町の連続といったら大迫力で、臨場感ではハリウッド映画のCG表現を楽々と超えると思う。 ヒューマンドラマがちゃんとあり、ロマンありと、決してチャップリン映画には引けを取らないと思う。 チャップリンは自ら監督もやっている天才アーティストという意味で強くリスペクトするが、喜劇役者としてはキートンは同じくらいに素晴らしい。 ただ、安物のDVDなのか、サイレントだからといっても、音楽もない無音なのにはビビッた。 音楽無しのリアルサイレント!自分には合わぬ。 なので1点マイナス。 (でも好きな音楽とあわせて鑑賞すれば、不思議と映像と音楽があってくるものだ) 【ゴシックヘッド】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-01-31 01:17:45)(良:2票) 7.《ネタバレ》 チャップリン以外のサイレントを観たのはこれが初めてかも。 キートンをはじめ、登場人物のアクロバティックなコケっぷりが見事。お約束では確実に笑わされるし、オヤジ殿はガンコで意地悪っぽいのにセガレに立派な男になってほしいという気持ちが全面に溢れ出ていて全く憎めない。 後半のハリケーンのシーンは、現代ハリウッド映画を超える迫力と豪快さがあって、目を見張りました。満遍なく笑えた後で、パニックムービーを楽しめて、最後には心も温まるというお得な上質コメディでした。 台詞が聞こえないことは全くハンデになりませんし、逆に想像力をかきたてられますね。キートンの他の作品にも手を出していこうと思います。 【すべから】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-06-04 12:13:40)(良:1票) 6.《ネタバレ》 ドタバタコントの有名な元ネタ映画ですね。映画的な物語の繋がりが弱いとか、転ぶ引っかかる落ちるっていうのを延々と繰り返すコテコテした笑いはキートンにしろチャップリンにしろ、あんまり好きじゃないとかあるんですけど、嵐が来てからの怒涛の展開は、見世物としての原初的な映画の運動が連続していて無駄な理屈など不要な凄さを見せています。純粋に観客を楽しませるために体張って命かけて動いて大がかりなセットを組み上げて壊して沈めて。彼らの努力が世界中の多くの人を惹き付けたからこそ、今の映画がある、そう考えると敬意を表さない訳にはいきません。もっともいちばん可笑しかったのは、ハデなアクションもスペクタクルもない、主人公の「晴れ姿」を見た船員が父親に黙って銃を渡すシーンですが。 【あにやん🌈】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-04-13 01:38:10)(良:1票) 5.後半にかけて怒涛のスタント。そして、ドラマもあり、オチも素晴らしい。ただ、前半部分が少し地味。前半に見せ場があれば更に良かったかも。 【TOSHI】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-03-07 18:21:54) 4.見る前に後半の凄まじいスタントがどんなのか知ってしまったために・・驚きさとちょっと面白さが半減してしまった。くそー!!どうやって撮影したんだ?なんでそんなことが思いつくんだ?の連続。ちょっとBGMの音量が高かったけど、カメラを鏡のように見せるとか普通考えないっすよ。窓のすり抜けや傘を持ったまま飛ばされたりとか今ではベタな(?)笑いの基礎っていうのはこの時代に作られたんだ~と考えると改めてキートンの存在価値が凄いことがよく分かります。くそー!!知るんじゃなかった!! 【M・R・サイケデリコン】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-05-03 09:10:38)(良:1票) 3.《ネタバレ》 キートンの映画の中にチャップリンがいた!この映画の中のキートンの見せるギャグの数々、例えば、恋人に会おうとして、頑固者の親父の眼を盗んで逃げ出そうとする時の仕草、その後、海に落ちる所のあのギャグなんて、どこかチャップリンの匂いを感じられずにはいられない。バスター・キートンの映画はチャップリンの映画と同じで、余計な台詞など一切、必要とせず、眼で見て、よく解る。映画は活動写真!この映画はサイレント映画なので、当然、音声も何もありません。しかし、音など全く必要としないぐらいの面白さです。余計な台詞、余計な説明など一切、省くことがどれだけ映画に必要か、大切なのかということをキートンはこの映画の中でもキートンならでは身体を張ってのアクションの数々と凄まじいギャグを交えて、思い切り笑わせ教えてくれてます。バスター・キートンがどれだけ凄い喜劇俳優なのかということがよく解ります。あの例のハリケーンによって飛ばされていくシーンの凄さは今時のCG多様の映画では見る事の出来ない素晴らしさ、そして、この映画、コメディでもあるけれど、父と子の人間ドラマとしても見る事が出来、また、とても素敵なラブストーリーとしても楽しめる仕上がりになっていて、これまた間違いなく傑作です。 【青観】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-06-11 18:58:53)(良:2票) 2.《ネタバレ》 半端じゃないな~、バスター。やけに面白いと思ったら監督はチャップリンの助監督をやっていた人なんですね。序盤の帽子エピソードや、後半の刑務所騒動はホンの序の口。終盤の「デイ・アフター・トゥモロー」宜しく吹っ飛んでいく町並みは圧巻!ハリケーン・カトリーナもびっくり(不謹慎)何気に息子がどつかれると怒る、優しい父親も好き。ところで【どんぶり侍】様、私が観たバージョンには音楽が付いていましたが…(LDだったからかな?) 【かんたーた】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-04-19 21:11:54)(良:2票) ★1.バスター・キートン初体験! 最初、DVDを再生したとき、音声はともかく、音楽も流れなかったので、故障か?と思いましたが、これがサイレント映画というものなんですね。チャップリンとはまた違うコメディアンでした。パンを届けに行くくだり、いま流行り(笑)のハリケーンで飛ばされて木にぶら下がるくだり、たった68分の映画なのに濃密すぎます。父親も短気なところが滑稽でした。大道具さんの技術が素晴らしすぎる。どうやってあれだけの大きさの家を吹き飛ばしたのだろう。肝心な部分をCGに頼る現代映画にない、知恵を絞りに絞った、まさに芸術! チャップリンの映画を観て、映画というものを評論してきた気でいた自分がとっても恥ずかしい。まだまだ偉人っていたんですね! 【どんぶり侍・剣道5級】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-11-04 21:54:01)(良:2票)
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