みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
★5.《ネタバレ》 80年代の世界映画史に残る一本として、初見の20代と比べて著しく私の中で評価が変わった作品。個人的には監督カサヴェテスは初監督作品「アメリカの影(’59)」からテーマとして愛のディスコミュニケーション・断絶を主題として掲げてたんじゃないかな、って気がしてるんだけど、実質的な遺作となったこの作品は彼の作歴上「話の通じなさ」という点で極限まで行っちゃった感が今回の鑑賞でもろ響いたのでこの点数。愛を描写した作風で人気のある作家主人公が実は人を愛する事に不慣れで、人との関わりを持ちたくないと思っている皮肉。そこへ夫と離婚し、娘と別れたばかりの姉が転がりこんでくる。肉親間の愛情で癒され埋められたであろう傷は、お互いのプライドからますます増大し精神の崩壊まで招いてしまう。嵐の夜若い男と出てゆく姉を主人公は止めることもできない。 インタビューで監督カサヴェテスは制作のきっかけを苦しい時に支えてくれた愛妻ジーナ・ローランズの為、と述べてるけどこの壊れっぷりは感服する。私Nbu2、初見の若い時は馬鹿じゃないかと笑ってみてた簡易動物園の下り、そして有名な夢の中のバレエシーン。「常人では思いつかない様な行動心理に至ってしまっている」凄み、それを表現しているジーナ・ローランズの演技力だったんだよな。こんなシーン、そりゃメジャー会社傘下の作品には描写できない。そしてもう一点印象的だったのは、夫カサヴェテス作品において愛妻ローランズは全く女傑ではなかった事。「外見は空威張り、だけど内面はシオシオ」な二面性が若い時分には見えてなかったのよ。最大のヒット作「グロリア(’80)」だって銃持ってマンハッタンを歩き回る印象が強かったけど、年取って印象的なのは子供をかくまったモーテルの一室で一人煙草吸ってドナイショとしてるシーンだもんね。今年2024年も年の瀬近づいている中数多くの映画関係者が逝去しましたが、私の映画人生において大きな影響を及ぼした「アメリカインディー映画界のミューズ(女神)」、今年8月に天国に向かっていった彼女への遅ればせながらこれが追悼レビュー。私の人生に彩を加えてくれてありがとう。 R.I.P Gena Rowlands(1930 - 2024) 【Nbu2】さん [映画館(字幕)] 8点(2024-12-15 18:18:48) 4.《ネタバレ》 ジョン・カサヴェテス最高傑作の一つ。 カサヴェテスの映画ほど愛を描き、愛そのものがスクリーンに映されない事に対するもどかしさというか、苛立ちが悩ましい映画ばかり撮る監督もいないのじゃないだろうか。 特にこの映画のジーナ・ローランズほど「こわれゆく女」よりも痛々しく、滑稽で、愛に飢えた女性もいない。 それにカサヴェテス流「ガラスの仮面」ともいうべき「オープニング・ナイト」を彷彿とさせるミュージカル・シーンだが、そこでアリアの合唱を壮絶な奪い合いの彩りに使ってしまうカサヴェテスの恐ろしさよ! 劇中のカサヴェテスとジーナ・ローランズは愛し合っている筈なのに、何かと睨み合っているシーンばかり眼に飛び込んでくる。実際、二人とも離婚経験者で“苦い記憶”をずるずる引きずっているような感じも。その癖に片方がボーリング場でナンパのような事をすれば、もう一方も老婦人と踊り狂う。 だが、二人の関係は「喧嘩するほど仲が良い」というタイプの人間関係かも知れないし、本当はもっと熱い抱擁を交わしまくりたい中なのかも知れないというシーンも多く眼に映る。様はツンデ(ry 人を避ける孤独の中で愛を探す男、愛欲しさに狂っていく女。 男は美しい女が秘密を打ち明けるのをひたすら待ち続け、女も男が心を開いてそれを受け入れる瞬間を待ち続けてブッ倒れる。 この映画では彼女の幻覚だけだが、これが「グロリア」のジーナだったらイライラがピークに達してリボルバーで二人が乗った車をスクラップにしています。 まあ、そんな事をせずとも劇中の二人は口舌で斬り合ったり言葉で殴り合ってみたりと激しすぎる手探りをしているワケですがね。 彼女は空港で人を笑わせる“道化”地味た事もやるし、スクリュー・ボール・コメディのように大量の動物によって男を刺激しようともしている。実際、男は子供よりもその動物に対して心を開く素振りを見せたりする。 ひたすらそんな二人のやり取りを見せられてある者は劇中のジーナ以上に怒り、ある者は呆れ、ある者は感動する。いつかその感動を分かち合える人々が日本にも増える事を俺は信じたい。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 12:29:57) 3.主人公が有名な作家だったり、姉って設定だったりーがわかりにくく1度目に見た時は混乱した。2度目の鑑賞では整理できた。エンディングに近づくにつれ自分の想像を越えた描写の連続には驚きと笑みが絶えず続いた。湿度のないカラっと質感が好きです。 【reitengo】さん [映画館(字幕)] 6点(2013-09-02 10:06:26) 2.「愛の不条理」なんて言い切ってしまうと、途端に安っぽく聞こえてしまうが、でもカサヴェテスの映画って、そう言える。人は本当なら愛の中でこそ安らげるはずなのに、なぜ愛とリラックスは同居できないのか。そんな問いが、いつも聞こえてくる。そして登場人物は、またはしゃぐ。ボーリング場での男あさりは序の口。動物たちを家に連れてきたりして、白眉は30秒で夫や娘を笑わせようとする場。くつろぎを求めて疲れ果ててしまう、という彼のモチーフのエッセンスシーンだ。おどけふざけプールサイドでさんざんはしゃいだ後、後ろまわりでプールに飛び込むまでの30秒、あのまったくコミカルでないジーナ・ローランズが演じるだけに、その痛ましさと言ったらない。「演じること」のモチーフは夢の中のオペレッタになる。どの場もキレよりコクで勝負の監督。本作には姉と弟という神話的構図があり、家畜たちとの嵐の場なんか。神々しくすらあった。カサヴェテスは、じたばたしている人間を、ほとんど神のように尊敬を込めてコッテリと描く。人間のそういうところが好きなのだ、とでも言いたげに。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-08-08 09:38:37) 1.ジーナ・ローランズとカサヴェテスの組み合わせにはエネルギッシュで力作が多いが、本作はよろしくない。 長いし、退屈だし、ストーリーが悪い意味で平坦だ。 本作では、ジーナ・ローランズも精彩を欠いていた。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 2点(2008-12-16 19:15:24)
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