みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
★6.《ネタバレ》 当初予定されたタイトル「受胎告知」のイメージで見るか、 現行の「(秘)色情めす市場」として鑑賞するかで評価が 分かれるのではないか、という感想を持った一本。 モノクロで映し出される大阪・釜ヶ崎の生活感溢れる 情景は「生きる為に性を売る」感が生々しすぎて エロなんて感じる事無く、劇場を出た20代の私。 その時点で田中監督が「受胎告知」というタイトルに こだわりを持ってた事、合わせてこの時期に お子様を亡くされる悲劇中での撮影であった事も知らず。 約10年ぶりのスクリーン鑑賞、上記のポイントを踏まえて 見直すとヒロインは汚れた俗世の中で生きている聖母 みたいなもの。生活の糧として売っていた身体を 愛の奉仕目的で捧げる事で世界に色が付く =真っ赤な夕日が映し出す天王寺や大阪城、通天閣に 連なるイメージの羅列。枯れた今見直すと凄いエネルギー。 何十年経っても変わらないのはヒロイン芹明香の素晴らしさ。 この年19才とは思えない。面白いのは彼女自身は 「(秘)色情めす市場」タイトルの方が好みだった事、 周囲の反応とは逆に「演技には納得して無かった」 とインタビューで述べてる事。 初見に比べて評価が上がったので、 点数甘いかなと思うけど機会が有れば。 ブコウスキーの本・世界観が好きならハマるかも。 【Nbu2】さん [映画館(邦画)] 7点(2024-02-18 08:46:54) 5.《ネタバレ》 2022年ヴェネツィア国際映画祭クラシック部門で上映されることが決まったらしいです。そのニュースを見て、契約しているネットTVで検索したらリストアップされていたのでさっそく鑑賞。便利な世の中になったものですな。 私は♂ですが、こんなに勃起しないポルノ映画は初めてでした。 大阪・天王寺界隈でフリーの売春婦(「ぱんぱん」ってやつです)を営む女性とその周囲が描かれる。母親もぱんぱんで娘と客と奪い合う。弟は知的障害者。毎日どこで寝ているのかも分からないような生活ぶり。フツーに暮らしている者の目には悲惨な生活に映ります。でも、本人はそう思っていないし、映画もそんな方向で演出していない。「健気に」とも違うし「逞しく」とも違う。主人公は打たれ強いタイプだけど、それがテーマとも思えない。この時代、この街に、こんな生活をしている者たちがいた。敢えて云うなら強烈に時代を映した映画だと思いました。そう思案して、国際映画祭での上映が頷けました。 個人的には「丑三つの村」が田中登監督の代表作と思っていましたが、コチラの方が相応しく思えました。 【アンドレ・タカシ】さん [インターネット(邦画)] 7点(2022-02-22 01:19:57) 4.《ネタバレ》 醜い世界の過酷な境遇に生きる女性に美を見出す、とゆーのは、古今東西問わず結構よくある映画的シチュエーションだと思うが、そーいうのを男の下卑たサディスティック指向と結びつける向きが一部にあるのは、これも然も当然なコトだとも個人的には考えている。だから重要なのは、そのドン底の境遇のリアリティなのだろうな、とも感じているのだよね。実際に在るコトなんだからしょーがないじゃない!とゆーのが(少しばかりの)エクスキューズになり得る、とでも言いますか。 その意味では、本作の凄さは二つの点にあるかと思う。まずは全編釜ヶ崎ロケというものの凄まじさ。画面から放たれるとんでもなくヤバい雰囲気には終始マジで圧倒されるのだし、ややドキュメンタリチックな撮り方もその意味では非常に適切だったと思う。この一点だけでも間違い無く観る価値のある古典的作品だと言えるし、そもそも相当に撮るの苦労したのではないかとも容易に想像できるのだね(その意味でもレガシー的価値がある、とゆーか)。 もう一つはモチロン、主演の芹明香ですよ。彼女が居なければ・彼女でなければ全く成立しない作品だし、ここまでのハマリ役とゆーのは正直他に観たことが無い、というレベル(ホントにこーいう生まれです、と言われても二もなく信じてまう、つーか)。そして一方で、これ程までに美しい・神々しい女性美・母性美とゆーのは、私はこれも他に匹敵するものを知らない。この点に関しては同種の映画、つまり『カビリアの夜』だとか『ダンサー・イン・ザ・ダーク』とか『西鶴一代女』すらも上回る、と個人的にはそのような感覚を持っているのですよ。 現代に至って、本作は完全に人間ドラマとして評価すべき作品であることには何の異論もないと思われるが、その面の完成度は(そもそもがポルノであることもあって)決して他と比較して高度だ、とは言えない様にも思う。とは言え、類稀でユニークで絶大なとあるクオリティを備える屈指の傑作であるのも絶対に間違いは無い。全力でオススメしたい作品です。 【Yuki2Invy】さん [DVD(邦画)] 9点(2021-07-10 20:49:51) 3.《ネタバレ》 日本映画史上に残る大傑作と言っても過言ではないですね。 高度成長から取り残されたかのような昭和の釜ヶ崎の姿がまず強烈に印象に残りました。取り扱っているテーマやストーリーは非常に醜悪で猥雑でありながら、様々な技法(特にペドロ・コスタもこの作品を参考にしたのではないかと思わせるような光の使い方)や小物を使い娯楽性と芸術性(非常に詩的)を両立させて、素晴らしい作品に仕上げてしまう田中登監督は凄いなと思いましたね。パートカラーの通天閣のシーンや希望を感じさせるラストも良かったです。 一番印象に残ったエピソードは、やはり使い込みで会社を首になった男の爆発ですかね。あれは当時の世相なのか、弱いものを食い物にする国家権力に対するテロリズムを暗喩しているようで興味深かったです。 こんな素晴らしい映画が「ポルノ」というくくりがあるために、映画マニア以外の目に触れることなく埋もれてしまうのは本当に勿体無いですね・・・・。 【TM】さん [インターネット(字幕)] 9点(2012-06-02 23:49:23)(良:1票) 2.大阪・あいりん地区を舞台にした成人映画だが、濡れ場ばかりでなく内容もしっかり出来ていて、特にあいりん地区を生々しくカメラに収めているのが良い。 【にじばぶ】さん [映画館(邦画)] 6点(2010-03-21 01:26:44) 1.《ネタバレ》 手持ちカメラで自然光の多用と、ドキュメンタリータッチのザラザラした感触。逆光で捉えた宿など、そのまま監獄を思わせる。全編にたちこめる大阪の匂い。とにかく、あいりん地区にカメラを持ち込んだことだけでも評価されるべきでしょう。この手の映画の需要は、すけべな気分になりたいなあ、ってのが圧倒的多数なのに、あいりん地区のドキュメントタッチでは、それに応えてくれない。こういうわがままが出来るほど、まだこのころの日本映画は作家性が許されていたのだ。せめて女の柔肌の肌色だけでも拝ませてくれ、という客の願いもむなしく、画面は白黒。ラスト近くで突如カラーになるが、それがニワトリのトサカの赤のアップ。これの驚きの効果は絶大だった。鬼才と言われた田中監督だったが、以後の日本映画界はこの異能の発揮場所を十全には与えてくれず、06年に亡くなった。合掌。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 6点(2008-04-15 12:18:42)(良:1票)
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