みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
4.《ネタバレ》 真夏に季節はずれのクリスマス映画を鑑賞。 1970年、アメリカはボストン近郊の寄宿学校が舞台。冒頭、クリスマス休暇前、浮かれた学生たちでごった返す学校の喧騒がある。学生たちは次々と帰省してゆき、帰り損ねた生徒がたったの数名になる。その後、とうとう問題児が一人取り残され、問題教師と女料理長と合流し、いよいよ (本当の) 本編の始まり・・。ここまでが、ちょっと長い。しかし、段階を踏んだことにより、三人の "取り残された感" がより強調されていた。おまけに、人数が減るたびに、学校がだんだんと広くなり、対象的に人と人との距離は近くなっていくような不思議な感覚があり、そこが狙いだったようにも思う。 ストーリーの根幹は、人生の停滞者たちが、家族以外の出会いによって前進してゆく、、というもので、その描き方は温かくもあり、けっきょく人生は孤独でほろ苦い、、という、実にアレクサンダー・ペイン監督らしい人生賛歌となっている。 なお、及第点の映画として終わりそうな本作であったが、最後のハナムとタリ―の別れの場面が、本作を私にとって特別なものとした。交わした言葉は少ないが、二人の固い握手と、タリ―の後ろ姿を見つめるハナムの表情が、彼らの出会い (の意味) と、これからの人生を雄弁に物語っていた。 思えば、ハナムには子がなく、タリ―には父の不在があった。その背景は、親子ほど歳の離れた二人の関係に深みを与えていたように思う。 クリスマスのお話なので、できれば、コートにマフラーを巻いて映画館を出たかったが、、今回は真夏にしばし心の避暑地に行ってきた、そう思うことにしよう。 【タケノコ】さん [映画館(字幕)] 8点(2024-07-14 12:29:05) 3.《ネタバレ》 12月に見たかった。公開は梅雨の時分で、スコールみたいな大雨の中映画館へ向かった。それでも季節を忘れてゆっくり浸って観ることができたから、映画はやはり映画館で観たい。 雪の降る1970年12月、寄宿学校で、高潔な変わり者の高齢教師、戦争で息子を亡くした学食に勤める黒人女性、両親に悩みを抱える男子生徒の3人が、約2週間のクリスマス休暇を過ごす様子を描いている。 "休暇の監督者ではあるが、生徒たちへくれぐれも人間らしく接するように!"と校長から言い渡されるところから物語が始まるように、彼はかなりズレた教師。 みんなどこか他者を寄せ付けず孤独に過ごしているが、それでも何日間も深く関わるうちに、たくさんの話をする。普段ひとに話さないようなことも。オーナメントの無いクリスマスツリーを用意して、満足気に見せるずれた先生が、だんだんと好ましく思えてくる。 それぞれに隠していたことが明らかになり、知った側がそれを受け入れて心を通わせていく様子にこちらも心が温まった。 この休暇がなければ、彼は人生であんなことを言うことは無かったのだろうと思う。車に乗って学校をあとにした彼のその後も観たい気持ちになった。 生徒が自分のことを話しながら教師に心を開いていく様を見て、グッド・ウィル・ハンティングを思い出した。どんな感想をここに残したのかと辿ったところ、レビューを書いていないことに気づく。殆どの重要なシーンを覚えているくらい大好きな映画だけれど、またいつか見た時に改めてレビューを書きたい。 【SAEKO】さん [映画館(字幕)] 8点(2024-07-14 10:28:40) ★2.《ネタバレ》 約4ヶ月ぶり2度目観賞。置いて行かれた3人。ギョロ目がチャーミングな堅物教師、ちょっとノムラっぽい学生、米アカデミー助演女優賞受賞の黒デブババの料理長によるドラマ・コメディ。夏上映のクリスマス映画。何だか展開に抑揚が無く、終盤まで退屈。ボケちまって離婚され施設に入れられた父ちゃんに会いに行くオイラ。父ちゃんの孤独が胸に染みるぜ。心温まる幕切れ。近年少なくなったようなハートウォーミングドラマ。 【獅子-平常心】さん [映画館(字幕)] 6点(2024-06-30 21:18:01) 1.《ネタバレ》 クリスマス休暇に帰省できず寮で過ごすことになった学生、教師、寮職員の3人が織りなす人間模様。アレクサンダー・ペイン監督作品らしいシンプルな舞台設定と最小限の登場人物。堅物のハナム先生の管理を逃れたい学生アンガスの不運を笑いつつも、だんだん一人一人が背負った背景が見えてくると、ひとつひとつの台詞や表情がものすごく雄弁で多義的になる構成と脚本は見事です。ミニマムな設定のなかでも、それぞれが抱えている事情が微妙に重なり合い、反発とともに共感が生まれていくプロセスが自然。オスカー受賞したダバイン・ジョイ・ランドルフはもちろん、教師ポール・ジアマッティとアンガス役のドミニク・セッサのアンサンブルが本当に素敵でした。 「家族」との晩餐や友人とのパーティで楽しむのが当然という、アメリカのクリスマス休暇の雰囲気を知っていると、この登場人物たちの孤独感はとても真に迫ってくる(そういえば、自分も留学していたときに、学生がいなくなった大学町に「取り残されて」、なんともいえない孤独感を抱いたのを思い出す)。好意で誘われた同僚のパーティに出席したことで、息子をベトナム戦争で失ったメアリーが取り乱す姿はとってもリアル(そんな状況でもそこで会った女の子と遊びたいアンガスの姿もまたリアル)。クリスマスという行事がもたらすプレッシャーがいかほどのものか。今作は、そんなシチュエーション自体がもたらす絶妙な悲哀をコメディとしてうまく昇華させたと思います。冒頭のユニバーサルのサインを含め、1970年代の映画を再現したような仕掛けも楽しい一方で、ストーリーのなかには差別や格差、そしてメンタルヘルスをめぐる問題など現代的なテーマも盛り込んでいます。 ただ、物語の内容にしては尺が長いような気が。とくに序盤にアンガスと一緒に居残りになる4人の学生たちのエピソードなど「本題」に入るまでの助走が長いのが気になりました。本作のコメディ・パートという役割なのかもしれませんが、韓国人とモルモンという二人の「マイノリティ学生」の描き方などは、アメリカ国外の観客から見ると、ちょっと嫌な感じもありました。そのちょっとした毒気も含めてのアレクサンダー・ペイン作品、なのかもしれませんが。 あと、これは作品の評価とは関係ないですが、やっぱりクリスマス休暇〜新年を扱った映画を6月に公開するというのもいかがなものか。米国で10月公開、A・ペイン監督で評判も上々とあれば、せめて年始くらいの公開だってできたはず。この季節感のなさは、残念ながら映画の余韻を1割程度は削いでしまったと思います。 【ころりさん】さん [映画館(字幕)] 7点(2024-06-27 20:16:16)
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