みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
28.独特の映画で、物語に起伏も無いが飽きることが無い。もっと観ていてもいいと思わせる。 同じ生き方をしたいとは思わないが、こういった生活を望む人たちもまた普通にいるのかもしれない。感情は出るが感想が難しい作品。 【simple】さん [インターネット(吹替)] 7点(2024-08-13 17:26:07) 27.ストーリーはほぼないに等しい。特段ドラマはない。 とにかく、ダラダラと間延びしたシーンが続き、非常に退屈。 独特の味があるのはわかる。それが心に沁みるのはわかると言えばわかる。しかし、それだけで2時間見続けるのはきつく、退屈な映画という評価を覆すまでには至らない。 ノマドの人はみんな何か悲しみを背負っているという話が、映画の終わり直前にいきなり出てくるのだけれど、彼らが何の悲しみを背負ってるのか作中にまるで描かれていないのはどうなのだろう。 率直に言って、この映画は社会問題を提起しているとは全く思わない。彼らがノマドをする事情も、ノマド生活をせざる得ない状況なのかどうかすらも、この映画では全く明示されていないからだ。この映画はそんなものを訴えたいのではないと思う。 全体として悲しい雰囲気を漂わせているのに違和感を感じた。主人公は好きでノマド生活を送っているだけで、その気になれば安定した生活を送ることも可能な状況だ。彼女の性格、能力的にも世間に溶け込んで生きていける力はあり、実際他人ともうまくやれていて、みんなにも好かれている。 彼女はかなり恵まれているように見えるし、充実した毎日を送っている。そうであるのに、常に悲しい雰囲気であるのが、作中ずっと違和感を感じてしまった。 主人公の渋い顔と演技はよかったとは思う。 【椎名みかん】さん [インターネット(吹替)] 5点(2024-01-06 08:27:41) 26.《ネタバレ》 見当違いな見立てかもしれませんが、世の中の「定見」に対するアンチテーゼが心地良いという感じ。トルストイの「アンナ・カレーニナ」の有名な冒頭の一節「幸福な家庭は似通っているが、不幸な家庭はそれぞれに不幸である」に照らせば、主人公の環境は明らかに「不幸」の一形態でしょう。伴侶はいない、家すらない、お金もない、定職もない、あるのはボロボロのクルマだけ。しかし本当に彼女は不幸か、と訴えかけてくるわけです。とにかく自由で、逞しくて、薄いながらも適度なコミュニティがあり、とりあえず食うには困っていない様子。孤独や悲しみはあるが、それは「幸福な家庭」にもある話です。 印象的なのは最終盤。温かそうな家庭に招かれて定住するかと思いきや、やはりボロボロのクルマで逃げ出してしまう。ここだけを切り取ったら「なぜ?」と思ったかもしれませんが、ここまでを見てきたら「わかる!」と思えるんですよね。別にノマドな暮らしを羨ましいとまでは思いませんが、こういう生活もあるんだなあと思わせてくれました。 ドラマとしては特に何も起こりません。ドキュメンタリーでさえなく、定点カメラのように淡々と日常を追うだけ。それでもなんとなく見入ってしまう力強さがあります。またこういう映画にいろいろ賞を提供するアメリカの映画界というのも、なかなか奥が深いなという感じがします。 【眉山】さん [インターネット(字幕)] 8点(2023-12-11 23:22:33) 25.この映画を評価する言葉を持っていないんですが、良い映画でした。 フランシス・マクドーマンド素晴らしい女優です。 【東京ロッキー】さん [インターネット(吹替)] 7点(2023-11-17 10:38:53) 24.《ネタバレ》 なんだろう、この悲しい幸せは? ずっとそんな風に思いながら、観ていた。 ラスト、それが明らかになる。 ノマドをしている人たちは、悲しみや喪失を覚えている人たち。 出会う人、出会う人、別れが来ても「さよなら」は言わない。「また、どこかで」と言って、別れるのだ。 実際、どこかの居留地でまた一緒になることもある。 そうこうすると、死別した人にも出会うかもしれない。 そこが、幸せの味なのだ。 旅をここまで掘り下げた映画も、アリだなと思った。 【トント】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-09-10 18:48:05) 23.《ネタバレ》 ノマドの生活は、傍から見れば自由気ままに旅をし、大自然を謳歌しているようにも見える。もちろんその通り、楽しんでやっている人もいるだろうし、苦あれば楽ありと割り切ってやっている人もいる。ただ年金だけでは生活できない高齢者が重労働をしながら車上生活を強いられているとなると、それは社会問題だ。そんな問題提起をドキュメンタリータッチで描いている本作だが、それだけに終わらず、こちらの主人公ファームという女性は、それに輪をかけ思い出を引きずり過ぎているという悲しい事情、物語がある。また、この生活を選んでいる人たちには各々の事情があり、それそれ抱えているものが違うから、本当の気持ちを分かり合う事は不可能かもしれない。全く同じ指紋が存在しないのと同じ様に、全く同じ悲しみは無いのだ。それぞれに悲しみ、癒され、希望を持ってはまた悲しみが押し寄せる。ヒーリングジャーニー、決してかっこいいだけの自由な旅じゃない。ファーンの唯一の肉親の姉は、妹の今の生活を、「開拓者みたいで素敵」と言って、やさしい言葉を掛けてくれるのは有り難いが、全く理解していない。これじゃあ一緒に暮らせない。ファーンの事を好いてくれたノマド仲間の男性は、豪華なキャンピングカーに暮らし、帰る家もある。一緒に暮らそうと言ってくれるが、そこは彼女の居場所なんかじゃない。死んだ夫が大好きだった土地(すでに町として存在しない場所)を捨てられない彼女が、癒される時はいつ来るのだろうか。アリゾナやダコタの美しい自然と物悲しいピアノの旋律、そしてファーンの寂しそうな笑顔が作品全体の雰囲気を全て物語っている。 【ちゃか】さん [インターネット(字幕)] 8点(2023-05-30 14:34:24) 22.貧しくも雄大な心と覚悟を持った人達のドキュメンタリー。 【TERU】さん [インターネット(字幕)] 6点(2023-05-07 20:13:59) 21.長い人生を生きてきた末に選んだ生き方、ノマド達の日々。 これまでの人生も含めて生きていくことの厳しさも感じさせながらも 厳しさの中にも助け合い、日々の暮らしの中にあるささやかな楽しみを共有しゆっくりと生きていく。 実際にこの生き方を選んだ人達が自分自身を実に自然に演じている。 本作で3度目のアカデミー賞受賞となり、すっかり大女優となったフランシス・マクドーマンド。 しかし本作ではそのオーラを見事なまでに消し、見事なまでに彼らと同化し彼らの日常に溶け込んでいる。 同じくオスカーを獲った前作「スリー・ビルボード」とは実に対照的な表情を見せる。 批判精神が前面に出るわけでなく、殊更彼らを弱者として扱うこともせず、 作品の空気も実に淡々と、ゆったりと彼らの日常を映し出していく。 何の苦労も悲しみも無く楽しいことばかりで生きていければいいけど、そうはいかないのが人間。 時に弱さも見せますが、それでも長い年月を生きてきた彼らの生き様からは、人間の強さ、逞しさも感じる。 作品は特に何か答を見出す訳でもなく、旅を続けるバンの後ろ姿で終わりますが、 「旅立った仲間達に捧ぐ。またどこかの旅先で」という、その生き様の一端を表すような最後の言葉が印象的です。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2023-03-13 17:27:46) 20.《ネタバレ》 暗い感じの雰囲気だけど、温かい気持ちになった。夫に先立たれ、失業する。しかし、自暴自棄にならず焦らず力強く生きていく強さを感じた。人生に行き詰ったとき、人に助けられ、一人たちどまり、ぼんやりした時間を過ごすうちに、やがて新しい未来へ変化しようとしていく。● 夫に先立たれた中年の女性が主人公。炭鉱が閉鎖されその城下町のインフラも途絶え、夫もなくなってしまった。街を出ていくことに。住むところもなく車上生活をする。そして各地転々と仕事をすることに。。あるきっかけで放浪者が集まるコミュニティに参加する。そのコミュニティーを通して出会いや心の拠り所を得る。しかし、女性は炭鉱の街と亡き夫が忘れられない。恋人と新しい生活を始められないでいる。コミュニティーの長と話をするうちに頑なな自分の心が解き放たれる。ラストシーン、女性は新しい環境を受け入れていこうとする。 【ホットチョコレート】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-10-24 06:12:13) 19.《ネタバレ》 アメリカのノマドと呼ばれる生き方、定住せず、車で生活し、各地を転々をとしながら、その地域で職を見つけ、時にはノマド同士でワイワイやって、物々交換なんかして助けあい、でも決してツルまない。ノマドとは日本語訳なら遊牧民。この映画は、そんなノマドになった高齢の女性の生活を淡々と描いた作品でありました。全く予備知識なしにたまたま見たので、この先、いったい何が起こるんかなって構えていたんだけど、特にでかいことが起こるわけでもなく、でも主人公と共に放浪して、自分もノマド体験をしてるような感覚になり、退屈感はなく、最後にはなんか薄っすらと涙目になってました。彼らの多くは喪失感や心の傷などから、この生活を選ぶことが多く、恐らく、この生活が1つの癒しとなっているのかもしれません。これは、なんとなくわかる気がします。精神がメチャクチャやられた時に、目的地もなくひたすら歩いてしまうって経験あったりします。それってなんかノマドに通ずるような。違うかな。放浪するってことは答えを、あるいは誰かや何かをずっと探してるような感覚があり、途中経過にずっといるような、言わば、面白い映画を観た時に終わらないでくれとなるような、結末を受入れない感じなのかもしれません。この映画ではノマドの生活を時には、淋しそうに、時には厳しく、時には自由気ままに楽しそうに、リアルに色々な側面で描いています。それにより、こっちの気持ちも上がったり下がったりして、でも同時に、感慨にふけって色んな思いが頭をよぎり、観終わった後、心が少し旅をしたような新鮮な気持ちになっていました。 【なにわ君】さん [インターネット(吹替)] 10点(2022-09-08 04:08:55)(良:1票) 18.アカデミー賞をはじめとした数々の賞で作品賞や主演女優賞をとっていますが、正直そこまでのレベルの作品ではないと思いました。悪くはありませんが。。。またマクドーマンドとデヴィッド・ストラザーンを除いてプロの俳優は起用されていないということですが、素人俳優さんたちも皆さん自然な演技でした。風景の映像はとてもきれいでした。。。安い賃金で高齢者を雇用しているアマゾンの印象が少し悪くなりましたね。。。 【みるちゃん】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 6点(2022-08-30 10:13:48) 17.《ネタバレ》 暗いし、孤独と貧困が隣り合わせの味わい深い描写だが、 決して悲観じゃない。 車上生活に気ままさと自由がある。 時にはコミュニティを形成し、助け合うこともできる。 経済的苦境から止む無くではあるとおもうが、ノマドたちは明日へ一生懸命生きている。 映画として面白いとは言えないが、 フランシス・マクドーマンドの演技は素晴らしいし、 社会背景が起因する多様な生き方は学ぶことあり。 【mighty guard】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-07-16 23:08:36) ★16.《ネタバレ》 全くの予備知識がない中での鑑賞。こんなタイプの作品は想定していなかった。そんな状態で観ると感情の行き場がなくなる。人生も終盤に差し掛かった時に孤独であったのならば、自分にはどのような生き方ができるのだろうか。 【いっちぃ】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2022-06-20 23:38:13) 15.各地を訪れ、素晴らしい自然を満喫しているファーンの幸せそうな表情。 働く仲間、ノマドで心繋がる人との出会い。 自分の生活に責任を持ち、やり遂げる意志の強さにとても惹かれた。 人に頼り気合いの無い私には、ファーンという人から目が離せない。 この作品観るまではノマドの存在を知らなかった。 私はこういう生き方は出来ないが、ノマドの話しを聞いてみたいと思った。 「みんな違ってみんないい」 こうはハッキリ言いきれないが、自分と違う存在を可哀そうなどと決めつけず、共存出来たら良いな。 しみじみとじわっと深く、自由について考えた。 【たんぽぽ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2022-06-06 10:25:19) 14.守るべき家族がいたら、きっとこんな生活はできないし、安定した生活と安住の地を持つ人にとっては、彼らは『弱者』にしか見えない。 けれど、、、 自由に生きているんだから、『弱者』と呼ばれる筋合いはない。 弱者に見えるとしたら、それは「社会」の仕組みのせい。 こんな生き方もあるってことを尊重してほしい。 そんな声が聞こえてきそう。 全編通じて、時間がゆっくりと流れていくのを感じ、映像美が素晴らしい。 おもしろい映画とは言えないけれど、見るべき映画だと思う。 【めたもん】さん [インターネット(字幕)] 6点(2021-11-13 17:08:51) 13. 映画を見るまえの印象では 経済的に困窮する人を描いた暗いドキュメンタリー風の映画かと思っていました。実際は見てみると雄大な自然の中を移動する一種の遊牧民的精神、仲間たちと助け合いながら生きていく連帯感、何かに縛られない自由といったむしろノマドの生活を肯定的に描いていることを感じます。もちろん経済的な困難や、冬の寒さをくるまで過ごしたり病気したときの大変さ、孤独感と表裏一体です。中国出身の監督はノマドの生活を、経済的に大変ではあるが自由な生活を肯定的に感じているのではないしょうか。ひとによってはノマドの生活はもっと大変と主張する方も出るでしょう。 あと、見る人の年齢とあと映画館で見るかテレビで見るかで全く印象が違うは気がします。マクドーマンドに年齢の近い私はしみじみと感動しました。若い人にはピンとこないタイプの映画でしょう。最近WOWOWで放送されて見ましたがテレビだとどうも感じが違いますね。あの夕方の風景は大きな画面で見ないとね。またどこかで大画面で見たい作品です。私としては21世紀になってみた映画では最高傑作です。 【mtx】さん [映画館(字幕)] 10点(2021-11-06 10:14:29)(良:2票) 12.しんどいね生きていくのは。ドキュメンタリーのような…というかドキュメンタリーも含まれる映画といった感じで終盤のボブ(息子が自殺)の話も実話とのこと。ただしこれは悲しみや喪失感を抱えた人たちがあえて選んだ生き方だから、そこはとても尊重されているし、ことさら政治が悪いと主張することもなかった。もちろん厳しい現実もたくさん見せられたから憧れはしないけど、ノマドのことを知り、考える時間は悪いものじゃなかった。 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-11-03 16:07:30)(良:2票) 11.いい役者さんといい素人さんといい監督、脚本でした。 この作品を見ながら、人生にハッピーエンドはいるのかな、あるのかな、と思いました。 郵便番号が増やされて、整備されることはあったが、なくなる、Discontinued というのはやっぱりとても重い。 そこにAmazonがいい賃金で季節労働者を確保して、というのが最初から一気に心を鷲掴みにされます。自分もある日このような環境に置かれたらなどと・・・とにかくあれこれ考えさせられる作品でした。 蛇足ですがThe Blacklistのあの場面でああなった役者さんがここではこんな…というのも見どころです 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-11-01 22:40:31)(良:1票) 10.近年、インターネット環境の普及、発達に伴い、「時間と場所にとらわれず働く」というスタイルを表す言葉として「ノマドワーカー」というフレーズが市民権を得ている。 ただ、今作「ノマドランド」が表す「ノマド」とは、そんな昨今の先進的なワークスタイルを華やかに描くものでは当然ない。 この映画は、現代のアメリカ社会の“ひずみ”の中で、行き場を失い、それでも存在し、必死に生き抜こうとしている人々の生々しい様を、圧倒的なリアリティと説得力で描きつけた力作だった。 自らの人生に打ちのめされ、世知辛い社会から追いやられた人たち(=ノマド)、その多くは高齢者だ。 住処も、財産も、健康も、機会も、急速に先細り喪失していく中で、彼らは期間労働者として、アメリカ各地を転々とする生活を送り続ける。 その生活の様は、「ノマド」の本来の意味である「遊牧民」や「放浪者」という印象がやはり強く、人生の黄昏に、流浪の生活を送らざるを得ない高齢者たちの姿は、率直に身につまされる。 ただし、今作は、そんな現代社会の中で、或る意味“蚊帳の外”に追いやれている彼らに対して、ただ単純に同情を誘ったり、社会システムの是非について安直に問うような作品ではなかった。 本質的な意味合いの“ノマドワーカー”として流浪する高齢者たちの姿は、無論悲壮感に溢れ、とてもじゃないが安閑として見てはいられない。いつ何時吹き消されてしまうかもわからないようなか細い蠟燭の火を、消えないように消えないように必死に灯し続けているように見える。 でも、その生活、その生き方自体は、それぞれ苦慮の果てではあろうが、彼らが選び取った「道程」であることを、理解し、直視すべきであろう。 フランシス・マクドーマンド演じる主人公も、最愛の夫に先立たれた挙句、企業城下町として栄えた居住地が企業の倒産により街ごと消失してしまったという憂き目にあったとはいえ、人生の岐路において他の“選択肢”があったことは明確に描かれている。 ふと遭遇したかつての隣人は敬意と共に手助けを進言してくれていたし、“普通”の結婚生活をしている姉も心から妹のことを心配しているし、道中で知り合った同じノマドの老紳士は彼女のことを好いてくれていた。 主人公は、教養もあり、人徳もある魅力的な人間であり、彼女が、流浪の生活から抜け出すための“きっかけ”は、全編通して散りばめられていたと言っていい。 それでも、彼女がノマドの生活を脱却することは、ついに最後の最後まで明確には描かれなかった。 それは、彼女が人生の黄昏に自らの手からこぼれ落ちてしまったものが、決して物質的なものではなく、精神的な拠り所だったことに他ならない。 そしてそれは、この映画に登場するリアルなノマドの高齢者たちの表情や人生模様からも如実に伝わってくる。 “ノマドランド”に集積し、充満し、やがて儚く霧散していく彼らの存在は、この世界全体が慢性的に孕む「喪失感」そのものだったのだと思った。 僕自身、人生40年、まだまだ若いつもりだけれど、この先の“生き方”というものを最近よく考える。それは10代、20代の頃の青臭いものとは明確に異なっているように思う。 その先にあるものが「死」であることは間違いない。 それでは、僕はこの先、死ぬために生きるのか、生きるから死ぬのか。 40代を経て、50代、60代、さらにその先の道程で、その感覚はより現実的な人生観と共に変わり続けるのだろう。 その感覚の変化そのものが、まさに「流浪」であり、すなわち「人生」なのかもしれないな。と、今は思う。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(字幕)] 8点(2021-09-11 09:28:27)(良:1票) 9.《ネタバレ》 「圧倒的」、この映画を表現するならこの言葉です。広大でむき出しなアメリカの原風景、孤独、フランシス・マクドーマンドの演技。 定住する家を持たず、自動車生活を余儀なくされている人々。もちろん社会問題として捉えることもできるのですが(初めはそっち系の話だと思っていた)、監督の意図するところはそこではないみたい。 人が生きること、その原点・あるべき心の整理をマクドーマンド演じるファーンを通して私たちは見るのです。ファーンはじめ、同じ境遇の季節労働者の人たちは平均年齢が高く、皆痛みや喪失を抱えて生きています。人との関わりは保ちながら、でも結局は一人で死ぬのだと腹を据えて日々を重ねているその表情は諦念というのでもなく、静かにきっぱりと‶受け入れている”ようでした。 マクドーマンドの乾いたノーメイク顔はもうそれだけで演技を超越しています。ドキュメンタリーと言えそうなほどです。 ノマドの果てに生を終える人、ノマドをやめて屋根の下で暮らす人、それぞれです。過去を大切に抱きしめながら一人きりで大地を踏みしめるファーンの後ろ姿は決して哀れではないけれど、彼女の抱く喪失の悲しみ、痛みが少しでも和らいでほしいと切に願いました。 【tottoko】さん [映画館(字幕)] 9点(2021-06-06 18:02:47)(良:1票)
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