みんなのシネマレビュー

善き人のためのソナタ

The Lives of Others
(Das Leben der Anderen)
2006年【独】 上映時間:138分
ドラマサスペンス
[ヨキヒトノタメノソナタ]
新規登録(2007-01-29)【rothschild】さん
タイトル情報更新(2019-08-04)【Olias】さん
公開開始日(2006-02-10)


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監督フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
キャストウルリッヒ・ミューエ(男優)ゲルト・ヴィースラー大尉
マルティナ・ゲデック(女優)クリスタ=マリア・ジーラント
セバスチャン・コッホ(男優)ゲオルク・ドライマン
ウルリッヒ・トゥクール(男優)アントン・グルビッツ部長
ヘルバート・クナウプ(男優)西側の新聞記者 ヘッセンシュタイン
トーマス・ティーメ(男優)ブルーノ・ハムプフ大臣
石塚運昇ゲルト・ヴィースラー大尉(日本語吹き替え版)
萩尾みどりクリスタ=マリア・ジーラント(日本語吹き替え版)
萩原流行ゲオルク・ドライマン(日本語吹き替え版)
麦人ブルーノ・ハムプフ大臣(日本語吹き替え版)
大橋吾郎パウル・ハウザー(日本語吹き替え版)
小形満アルベルト・イェルスカ(日本語吹き替え版)
磯辺万沙子(日本語吹き替え版)
星野充昭(日本語吹き替え版)
脚本フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
音楽ガブリエル・ヤレド
製作フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク(共同製作)
配給アルバトロス・フィルム
字幕翻訳古田由紀子
あらすじ
1984年・・ベルリンの壁が崩壊する前の監視国家東ドイツ、国家保安局シュタージのヴィースラー大尉は劇作家のゲオルク・ドライマンが反体制である証拠を見つけ出そうとし、彼の家に盗聴器を仕掛ける。しかしドライマンを監視していく中、ヴィースラーの心に次第に変化が現れる・・・。他人の生活に触れた彼が感じた事とは一体何なのか・・・?第79回アカデミー最優秀外国語映画賞受賞作品。

ケ66軍曹】さん(2007-09-23)
全てのをあらすじ参照する

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【クチコミ・感想】

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122.《ネタバレ》 これは傑作。派手なシーンはないけれど、静かな緊張感がずっと持続します。ストーリーも見事でした。
しかし1984年にもなって(日本で言えばロンヤスの頃ですね)、こんな言論統制や監視体制が敷かれていたこと自体が異常。やはり共産主義には、人を不幸にする根本的な欠陥があると言わざるを得ません。
それはともかく、他の方も指摘していますが、主人公が心移りする過程がやや曖昧です。タイトルの「ソナタ」にしても、ほんの一瞬だったような。それから引っかかったのはタイプライター。印字から機種を割り出して書き手を探すというプロセスは面白いが、当局はどうやって元原稿を入手したのでしょう? まさか西側の雑誌が、元原稿そのものを印刷して記事にしたのでしょうか。また終盤、主人公がどこにタイプライターを隠したのかも謎です。
まあ小さな疑問点(当方の注意力不足かもしれないが)はありつつも、十分に堪能させてもらいました。そして最後のセリフ、おそらく渾身の力を込めたであろう〝かけことば〟もすばらしい。このひと言を言いたいがために、この作品を作ったのではという気がするほどです。 眉山さん [インターネット(字幕)] 8点(2023-05-16 00:01:44)

121.《ネタバレ》 最後の主人公の偽の報告部分が少しまだ理解できませんでしたのでもう一度その部分を確認してみたいと思います。 珈琲時間さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-04-13 08:48:43)

120. 冷戦時代の東ドイツを舞台に、オーウェルの小説を思わせる「1984年」から始まるディストピア。シュタージの監視・密告社会がいかに過酷なものであったか、マスコミ報道で知識はあったが映像で可視化されると改めて実感が湧いてくる。言いたいことが言え、やりたいことがやれる社会がどれほど大切か痛感させられる。人間性を押し殺した無表情の主人公や、無機質で殺風景な街並みが「社会主義」の現実を見せつける。  
 独裁国家における監視社会の実態を暴きながら、一人の男の心の変遷を丁寧に描いている。監視する側が監視対象の人間味あふれる行動に心揺さぶられ、最後は人間としての尊厳と自由に目覚める。音楽が重要な役割を果たし、邦題はそれを象徴的に表して秀逸。
 かつて「〇〇と△△をむすぶ」という定期刊行物に、東ドイツの訪問記を寄稿した連中がいた。散々かの国を礼賛した彼らはこの映画を観て何思う? 風小僧さん [CS・衛星(吹替)] 7点(2023-03-19 13:39:06)

119.《ネタバレ》 主人公の心変わりがポイントなんだろうが、「犯罪者」に共感・連帯したという点で、これはある種のストックホルム症候群のようなものではないかと思った。だから、キッカケとか原因とかを追求しても中々わからないのかもしれない。でも疑問なのはこれまでも数多の盗聴をしてきたのに、なぜ今回そうなったのか、そこには何か理由があるハズだということになる。女優のファンだったとしても対象者の2人にそれほどの魅力があるようには見えない。今更、善や正義に目覚めるというのも変な話で、そもそも自由や民主主義が善や正義だとするのは西側の価値観でしかなく普遍性があるわけでもない(結果的には壁が崩壊して西側が勝利したことにはなったので、自由や民主主義の礼賛というオチに見えなくもないが・・・)。なら「生(性)の情動」なのか。「芸術家はスグに性行為をする」と茶化す場面があるので、これも見慣れた(聞きなれた)場面だろうし心が動くのも変だ(売春婦を呼んだのは初めてのようだが、この辺も不可解)。ピアノ演奏で涙を流すシーンがあるので、消去法で「芸術の力」ということになるだろうが、正直2人からは「芸術の力」も感じられないのが難点。とは言え、それなりの緊迫感もある見ごたえのある作品で、ある意味主人公の心変わりが不可解だからこそ色々と語りたく作品だと言えるのかもしれない。 東京50km圏道路地図さん [CS・衛星(吹替)] 7点(2023-03-03 14:19:57)

118.《ネタバレ》 私はこの映画は好きじゃない。
だけど、最後まで見入ってしまった。
それだけ物凄い内容だった。 にじばぶさん [インターネット(字幕)] 8点(2022-08-28 02:01:19)

117.《ネタバレ》 女優のために密かに抵抗を続ける体制側の男の一途さに釘付け。良い職に就いていても孤独で幸せに見えず、社会主義の建前だらけの腐敗に、壁の向こう側の恋人たちの幸福と自由な精神に、駒として動くことに疑問を持ってしまったのだろう。そこに彼の善性と葛藤が見え隠れする。叶わぬ恋だとしても、彼女には幸せになって欲しかったその矢先の悲劇。たとえ社会主義が崩壊しても、心の空疎さを埋められずにいた男が、劇作家の著した書籍に救われる、そのスマートな演出に静かな感動が広がる。 Cinecdockeさん [映画館(字幕)] 8点(2021-10-23 20:30:34)(良:2票)

116.《ネタバレ》 ヴィースラーは盗聴経験豊富なベテランであろうに心変わりした理由がピンときませんでした。
しかし最後の締め方は秀逸でこれだけでお気に入りの作品です。 グミ喰いさん [DVD(字幕)] 7点(2018-04-02 22:24:12)

115.《ネタバレ》 大尉の心変わりは、理解できました。
また、彼女の裏切りも「魔が差した」ということで十分理解できる。
それゆえ、魔が差した自身が許せずに自殺してしまう。
最後の3分は本当に秀逸。
タイトルからハッピーエンドを期待しており、車に轢かれた彼女は実は生きている
という展開を期待し、そうなかったと知らされて、この映画を見たことを後悔したが、
最後の最後で救われた。
ただ、元大臣と再会するシーンは蛇足。
再会により、実は監視されていたと気づかされる為に物語進行上そこの部分は必要だが、
それなら、例えば
リフォームしたら気づいたとか(ちょうど呼び出しブザーが故障がちだったし)
もしくは、監視されていたかどうか、
数枚ぐらいレポートあるかな?と軽い気持ちで
何気にチェックしたら、何十冊もあって・・・
という展開で良かったと思う。
あのシーンは、穏やかに見れないし、また作家があんなに(表面上だけかもしれないが)
穏やかに対応できるのに違和感しか感じなかった。 yoshi1900olololさん [DVD(字幕)] 8点(2017-08-29 12:47:38)

114.冷酷なナチス政権下での物語。初めは正直アクビが出る作品だと思っていたが、後半は面白い。 SUPISUTAさん [DVD(字幕)] 6点(2017-07-15 10:56:21)

113.《ネタバレ》  思ってたより、重い内容のドラマ。
 共産主義が舞台装置になってはいますが、ストーリーそのものはかなり個人的でプライベートな内容な気がします。
 いやむしろ、ヘムプフ大臣の振る舞い、そしてヴォルヴィッツの出世欲というのは、共産主義とは本来相反するものではないですか?
 共産主義国のルール。その世界における自分達の地位と権力を利用して、私欲や出世欲を満たそうとする人たち。と、それに抗う人たちの戦いに見えます。
 そうなってくると、『勧善懲悪』の『懲悪』部分が非常に控えめなこの作品、私としてはなんともすっきりしないものがあります。
 自殺に追い込まれるイエルスカ。女性としての尊厳を奪われ、脅迫により恋人を裏切るよう仕向けられ、最後は命まで奪われてしまうクリスタ。その『死』のなんと悲しいことか。
 クリスタに関しては、同情はできるし、理解もできますが、共感はできません。
 どうしても、映画にはきれいごとを言いたい。最後までドライマンをかばってほしかった。こんな後味の悪すぎる結末になるなんて。そこもすっきりしない理由です。
 ベルリンの壁は崩壊し、ドライマン、クリスタ、イエルスカ、ヴィースラーが払ってきた犠牲は何だったのかと、むなしくなります。
 歴史の負の部分をモチーフにすれば、もちろん心にグッとくるものはあるわけで、決して映画として悪い作品ではありません。
 ただ、私の好みではないというだけです。
 また、他の皆さんが言及しているように、なぜヴィースラーがそこまでドライマンに肩入れするのか、その説得力に欠けている気もします。
 この映画の核となる部分だけに、ここはもっとドラマチックなエピソードで説得力をもたせても良かったのではないでしょうか。
 それはゆくゆく、私達観る側の人間の共感力となって、映画の完成度は最高潮に達すると思うんですけどね。
 ラスト、書店でドライマンからのメッセージを受け取るヴィースラー。
 ある種のハッピーエンドなのかもしれませんが、私は無性に悲しかった。
  たきたてさん [DVD(字幕)] 6点(2017-05-03 04:13:39)

112.《ネタバレ》 ある小説家がエッセイで絶賛(ついでにネタバレもw)してたので、感動する気満々、泣く気満々で観たのですが、少し期待ハズレでした。
まず女優の運命が哀し過ぎて。ファンだなんだというのが伏線になると思って期待して観てたのが裏切られたような気持ちでがっかりしました。
あと東ドイツひいては社会主義政権の問題が、単なる個人レベルでの腐敗、権力乱用に矮小化されてるのももの足りませんでした。問題の詩もすごく情緒的でしたし。もっと全体主義国家の本質的な非人間性を描いて欲しかった。
( むしろ証拠が無ければ逮捕しないなんて、スターリン統治下のソ連や現中国政権に比べたら随分紳士的、良心てきだなと)
悪い映画ではないんですが少し期待が大きすぎました。 rhforeverさん [DVD(字幕)] 7点(2016-07-29 19:48:02)(良:1票)

111.《ネタバレ》 ドライマンはハムプフ大臣に愛する恋人を権力で強姦され、挙句の果てに殺された。壁が崩壊した後に、ドライマンがその大臣と会った時の態度に非常に不満があります。彼女の死に対して、ドライマンは取るべき別の行動があったのではないか。ドライマンは壁が崩壊後も、名声を得るほうに興味があったということか。彼女の死は彼にとってその程度のもので、彼はいつまでも「善き人」を演じるだけのつまらない男ということか。 cogitoさん [DVD(字幕)] 7点(2015-12-30 18:26:24)

110.幸せも悲しみも映画の中にきれいにはまっている。

ラストのセンスの良さは群を抜いている。

なんてすばらしい邦題なんだろう。

傑作! JFさん [DVD(吹替)] 8点(2015-10-26 15:26:59)

109.《ネタバレ》 東西分裂時監視社会だった東ドイツが舞台。
主人公は反体制派の容疑者を監視するのが仕事で教官をするほどの有能な男だった。
新たに作家の男と女優とのカップルを監視する任務に就き彼らの生き方を見るうち
信奉してきた政府の本当の姿を垣間見る。
ある日彼らの反体制派的な行為をわざと見逃す。
彼の中で変化が起こっていた・・・といった話。
緊張感のある良い映画。
ただ主人公の心変わりがやや唐突かなー。
もともと主人公役の人も東ドイツ時代に
政府から監視されていたそうですごい経歴を持っています。 Dry-manさん [DVD(字幕)] 8点(2015-06-25 00:24:47)(良:1票)

108.《ネタバレ》 00年代、実際の出来事を“告白”でもするかのようなドイツ映画が複数撮られた。
一つは「ヒトラー ~最期の12日間~」によって戦時中を、
もう一つはこの「善き人のためのソナタ」によって戦後の闇を告白するように。

冷戦時代の尋問というとリシャルト・ブガイスキ&アンジェイ・ワイダによる「尋問」を何故か思い出した。
「尋問」は監視者が監視対象だった者から“証拠”をでっちあげ、自分のテリトリーに引きずり込んで散々痛めつける事で屈服させようとした。
この映画は、監視者が監視対象から“証拠”を引きずり出せるか出せないかという過程を追っていく。疑はしきは罰せよ、何かされる前に先手を打たなければならないという恐怖。
この二つの映画に共通する事は、一人の女性が他の人間のために“犠牲”になる事を選ぶということ。

劇中でも引用されるベルトルト・ブレヒトの存在。
ブレヒトもまた戦時下のナチスに反撥してフリッツ・ラングと組んだスパイ映画「死刑執行人もまた死す」を発表している。
ラングのこういった映画の女性たちが活き活きとしていた事に比べ、この映画の女性たちは観客の感情移入を許さないような深い闇を背負っている。


廊下、腕を捕まれ連れてこられる“監視対象”だった男。男の声からテープレコーダー→現在→過去を行き来する。
疲弊していく男の表情を知るのは立ち会った本人だけ、声を聞いて当時を想像するのは生徒たち、そしてこの映画のスタッフたちだ。
椅子に付着した“匂い”、涼しい顔で男を言葉によって弄り続ける男。教壇に立つ男は、自分の過去を隠すことなく、生徒たちに教えていく。きっと同じような“告白”を何度も繰り返してきたのだろう。

劇場の鑑賞会から既に監視は始まる。上からの視点・パンフレット。
標的の家に慣れた手つきで黙々と盗聴器とカメラを仕込んでいく。ありとあらゆるところに。
その監視者を“監視”してしまった者の視点。

この映画の監視者は、勝手に疑い、勝手に同情し、勝手に揺さぶられ、勝手に自分を緊張状態に追い込む。監視されている者は何も知らないし、生を謳歌している。知らない事の不幸・幸福。妻の隠す真実にすら中々気付けない。妻と楽しんでいる間も、情報は絶えず流れ続ける。
勝手にピアノの音色に心を打たれてしまうのだから。男の葛藤が表情一つで語られ、その音楽は監視される者たちの“抵抗”の証になっていく。
人の出入りが少ない“仕事場”で画面や針、タイプライターとにらめっこ、ヘッドフォンの音に耳をそばだてていなければならない。そりゃあ監視対象に興味を持って退屈しのぎもしたくなる。ハイタッチする気分でも無くなってくる。エレベーターで子供とおしゃべりをする一時、暇な時は豊満な情婦と楽しい一時でもせにゃやってられない。豊満なバストに顔をうずめても何処か満たされない様子。そりゃ監視者は人妻の方が気になるし、情婦とも真に仲良くなれない。偽りの愛だ。

その監視されている者たちが、監視者を意識し、恐怖し、反撃に出る瞬間の恐怖。スパイのように潜り込む男たちも、いつ監視者側を裏切る・・・いや表返るか解らない。
ケーキの下の“武器”、盗聴器への“祝杯”は監視者への宣戦布告。

監視者の存在を知りながらドアの鍵をかけない。床下の“武器”の存在を偽らないのも妻を信じていたから。
妻も夫を愛していたからこそ“言わなかった”し、“躊躇”しなかったし、耐える自信も無かった。監視者との決定的な違いがそこにあった。
床下を剥がす瞬間に奔る緊張。

一瞬映る新聞が物語る“終焉”、それぞれが失った物の大きさ。

ラスト20分は真実を知っていく者たちの顛末。
コードを引き抜く力なき姿、表情。大量の書類に眼を通し、人々の告白でも聞く様に読み進める哀しげな表情。

そこには互いを探り合った憎悪ではなく、直接会って語り明かす事のできない哀しみだけが横たわっている。 すかあふえいすさん [DVD(字幕)] 9点(2015-06-09 20:56:24)


107.《ネタバレ》 哀しく美しい物語。ヴィースラーは愛国者だったんだと思う。国を愛しているからこそ、腐ったエロ大臣のやり方に反吐が出て、しかも相手が大ファンである女優(多少の恋心もあるだろう)であった事も要因のひとつだろう。自分は国家に逆らえない立場だが彼女には幸せになって欲しい。その一心だったのではないだろうか、と私は感じました。そしてベルリンの壁の崩壊。ラストの一言で私の気持ちも報われた。 movie海馬さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2014-12-15 22:49:43)

106.《ネタバレ》 普段は怒りも興奮もなく職務にまっとうしますが、タイプライターを素早く隠して肝を冷やしたり、クリスタ=マリアに1ファンとして熱烈に訴えたり、デブ専熟女デリヘル愛好者だったりするヴィースラーさんがとても可愛いです。鑑賞後はいつもとても清らかな気持ちになります。本作を超える映画が今のところありません。 DAIMETALさん [DVD(吹替)] 10点(2014-08-17 02:24:07)

105.《ネタバレ》 「私のための本だ」といったヴィースラーのラストの表情がすごくいい。
あれが救いとなって報われた明るい余韻となっている。
ただ、劇作家を助けるに至った心の動きが描ききれていないような…。
シュタージによる徹底監視のもとで、権力者が抵抗分子を弾圧する構造は嫌悪感と恐ろしさを覚える。
地味だけれどじんわりとくるいい映画で、丁寧にしっかり作りこまれている印象。 飛鳥さん [DVD(吹替)] 6点(2013-09-28 21:00:07)(良:1票)

104.《ネタバレ》 密告が制度化された社会は、不自然な統制の証し。国家保安局の食堂の簡素な昼食は、経済状況のバロメーター。壁が崩れる前の東ドイツ事情は知らなかったので勉強になりました。
主人公の変心とその動機がテーマです。上司が、ほとんどシロと言っていた劇作家を見張れと言う。大臣の欲望を担ぐためである。上司と言っても、元は同級生。階級の差は世渡り能力の差。主人公は生き残っている方だが、勝ち組でもない。社会主義の理想を信じ、淡々と仕事をこなす。その生真面目な性格が、体制に利用されているようにも見える。たぶん、本人も分かってやっている。彼に出来ることは、それしかないのだから。誰もいない家へ帰り、党が流すつまらないニュースを見る毎日。たまに商売女を抱く。
転機は劇作家の盗聴任務。劇作家は主人公がファンになった女優と同棲している。奇しくも、二人の人物を盗聴することになった。大臣から肉体関係を強要される女優の苦悩を知る。女優の実情を察知しても口に出せない劇作家の不憫に共感する。二人分の表面と内面の相克が、当人たち以上に主人公を刺激する。さらに、権力の濫用と腐敗に加担している自分を自覚する。
彼は転向して体制に反抗した訳ではない。社会主義の理想を失ってはいなかった。ただ、秤にかけると優先すべきものが見えたのだと思う。人間性という秤である。
善き人(劇作家とそのパートナー)のためのソナタ(主人公の孤軍奮闘)、と解釈すれば本作の内容を表していますが、もう少し分かりやすい邦題でも良かったんじゃないかと思います。 アンドレ・タカシさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-01-09 02:41:23)(良:2票)

103.《ネタバレ》 久しぶりに良い映画を見た。
上質のブランデーのごとく、心地よい余韻があった。
そして、一度見ただけでは拾えなかった細かい個所をもう一度見ながら
詳さに検証した。
私にとって良い映画というのは、そういう映画であり
終わってすぐでも、続けて観賞に耐えられる映画なのだ。
ドライマンの部屋を覆うにぎやかさがあっても、全体を漂う静謐さ。
その静かさを補ってやまない、ヴィースラー大尉の瞳の雄弁さ。
澄み切った瞳を持つ大尉とは対照的な俗物たち。
主役だっただけではなく、ウルリッヒ・ミューエの存在がこの映画の肝だった。
最後のせりふと大尉の表情を私は一生忘れないだろう。 バッハバッハバッハさん [DVD(字幕)] 10点(2012-08-28 13:44:08)

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【点数情報】

Review人数 122人
平均点数 7.73点
000.00% line
100.00% line
200.00% line
310.82% line
400.00% line
543.28% line
61814.75% line
72822.95% line
83427.87% line
92621.31% line
10119.02% line

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 5.88点 Review18人
2 ストーリー評価 8.38点 Review18人
3 鑑賞後の後味 8.64点 Review17人
4 音楽評価 7.33点 Review15人
5 感泣評価 7.25点 Review16人

【アカデミー賞 情報】

2006年 79回
外国語映画賞 受賞 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2006年 64回
外国語映画賞 候補(ノミネート) 

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