みんなのシネマレビュー

セリーヌとジュリーは舟でゆく

Celine and Julie Go Boating
(Céline et Julie vont en bateau)
1974年【仏】 上映時間:192分
ドラマファンタジー
[セリーヌトジュリーハフネデユク]
新規登録(2005-01-25)【あまみ】さん
タイトル情報更新(2012-04-28)【にじばぶ】さん


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監督ジャック・リヴェット
脚本ジャック・リヴェット
字幕翻訳寺尾次郎
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【クチコミ・感想】

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8.《ネタバレ》 どの紹介文もだいたい「不思議の国のアリスに着想を得た傑作ファンタジー」に近いことが書かれていますが、あまり先入観を持たずに観た方がいいかも。かなり「表現のクセが強い」おかげで、絶賛派と理解不能派に大きく分かれそうです。

序盤は、現実世界の中に異世界のシーンがフラッシュ的に混ざり込み、話が進むにつれて、アメを舐めて両方の世界を行ったり来たり、登場人物の役どころも入れ替わったり、ラストに向けての「前フリ」シーンがだんだんと増えていきます。そしてクライマックスでは、とうとう2人が異世界の登場人物として現れ、少女救出に向かいますが、そこにスリルや緊張感などまるでなく、演劇の体験型ワークショップみたいなゆる~い感じで展開し、少女も助かってめでたしめでたし・・・かと思ったら・・・

解説には「不思議なキャンディで現実と異世界を往復~」と書かれていましたが、本当の現実世界は、イントロとエンディングの「アリスと白ウサギの追いかけっこ」だけなのでは? たぶん、膝をケガしたセリーヌがジュリーの部屋の前にいるところが異世界シーンの始まりで、ボートに乗ったゾンビ(ゴースト?)が現れたところで向こう側のシーンは終了。今度はアリス役とウサギ役が入れ替わり、ゾンビから逃げてケガをしたジュリーがセリーヌの部屋の前に現れてループストーリーが延々と繰り広げられるのか、それとも新しい展開が始まるのか、「さて次はどんなお話になるのかな? 乞うご期待!」みたいなクレジットが入りそうなエンディングで終幕。意味不明な場面もありましたが、鑑賞のポイントはなんとなく理解できたように思えます。

観客だったはずの登場人物が、いつの間にか映画の世界に入り込み・・・という設定はよくありますが、ここまで秀でた構成・演出に出会ったのは初めてかも。また、「世界ツアーの話が舞い込むセリーヌ」や、「小さい頃に世話になったばあやと再会するジュリー」など、現実世界での夢や憧れを描いたシーンは、ストーリーに影響はなくても、全体の中でいいアクセントになっていました。

もっと単純なストーリーかと思ってボヤ~と観ていたので、解釈に自信はありませんが、思っていた以上に楽しめました。ただ、2人の女性の掛け合いが「ウザいな~」と感じる場面が多くて、それだけが少し残念でした。 ramoさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-05-05 19:58:24)

7.《ネタバレ》 まさに映像で見る「不思議の国のアリス」。アリスの世界観を実写にするときっとこんな感じ。
もっとも、鑑賞の仕方にはコツが必要です。コマや人物らに整合性を求めるととてもツライことになります。わたしも中盤までは訳わからなくて泣きそうになりましたもん。
もう、監督の手に委ねちゃうことです。目にしたもの全部受け入れる。そうしたらお話が頭からキレイに虚実ない交ぜに入れ替わりながら、繋がっていることが分かります。
「入れ替わる」、これ現実でもアチラ側でも発生してて幻惑状態です。なぜ顔が違うのに久々に会う恋人とすんなり受け入れてしまうのか。そもそもジュリーあての電話を取るなよ。セリーヌの仕事をつぶすなよ・・。や、いかん。こんなことを考えてはいけないのだった。ラストを見てごらんなさいよ。もうそれどころじゃないから。
よく笑って元気いっぱいの女の子二人に引っ張られながら、迷宮の探索に行きませんか。なかなかびっくりしますよ。
ともかくも斬新な経験。有無を言わせぬ感性で一本撮りきっていて、こんな映画は初めて観ました。 tottokoさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2023-04-29 22:21:18)

6.《ネタバレ》 これはなかなか表現しづらい作品です。
ジャック・リヴェットの作品もこれ含めてまだ3作しか観ていない(「美しき諍い女」「アウト・ワン/我に触れるな」)ので、どのような感情で観ていいのか未だわからない、というのもありますが。
ただ、次第に異世界にのめり込んでいくくだりや、毎度同じシチュエーション、だけど登場人物が違う、そして終盤の、少女を救うために異世界の劇をめちゃくちゃにしていくくだりなど、なかなかそそられる演出やシチュエーションも多かったのも確か。
観てる最中はこれ退屈だなーとか思いながら、気づけば見入っていたり、観終わった後に「でもなんか面白かったぞ」と思えてきたり、自分にとっても摩訶不思議な作品でした。
機会があればもう一度再見しようと思います。 クリムゾン・キングさん [映画館(字幕)] 7点(2022-07-19 01:03:54)

5.《ネタバレ》 難しさも散見されるファンタジーだが、とても退屈。
なぜならば、主演二人の女性に興味がわかない。
女同士のくだらないやりとり、仕草が気に食わない。
性に合わない、生理的にむかつく。

特に、おばさんパーマの方。
これがまた、センスの悪さ爆発。
髪の毛も爆発。
口紅塗ったところで変わらんだろう!と言いたい。

本の中の世界に入り込んでいくというファンタジーな設定もありきたり。
尺の長さも含め、何とかならんもんだろうか。 にじばぶさん [DVD(字幕)] 2点(2012-04-22 07:45:10)


4.初めはスタッフもキャストも手探りで動き回ってる感じ。フィルムを自由に遊ばせて何かが面白く動き出すまで待ち伏せしている感じ。映画を商品として観客に提示するなら、そういう部分はカットして完成した部分だけを盛り付けるのが料理人の倫理であろう。でもこの監督は完成に向けられた時間にこそ映画本来の時間があると思い込んでいる(『諍い女』)。彼はスキヤキ屋なのだ。すでに焼けた肉ではなく目の前で焼けていく肉を味わってもらおうというのだ。これは一種の冒険であり、下手するとその実験性だけが評価されて映画としては退屈、となってしまいかねないものでもある。実際『北の橋』は、とうとう肉が焼けずに終わってしまった感じ。しかし『地に堕ちた愛』や本作では成功した。とりわけ本作。ただただフィルムが回って主人公たちの閉じた世界が紹介されていると思ってたら、いつのまにか冒険に入っている。アメリカ映画から見ればメリハリがなさすぎるが、それだけ冒険に入り込んでいくときの「アレレ」感は新鮮。いつのまにか世界が不思議の国に飲み込まれていたという感覚。そしてさかさリンゴ屋敷が楽しい。断片として現われるいくつかの幻視、階段やドアでの意味ありげな出入り、さかさの人形、倒れる女、などが繰り返され次第にストーリーを構成していくジグソーパズル。ヒロインが交互に幻視を見るのだが、そのつど幻視を見る担当者が看護婦役になって登場してくる。まったく同じカメラ位置で同じシーンが繰り返され、看護婦役だけが違ってくる二人一役のおかしさ(ブニュエルが『欲望のあいまいな対象』を撮っていたのもこの頃か)。さらにどうも少女の危難が分かってくると、現実の二人は助けに入り込んでいく。ここらへんのスリルは『裏窓』でG・ケリーが眺めるだけの存在だった筈のアパートへ入り込んでいくスリルを思い出させる。この映画の楽しさは純粋に遊びとしてのものだが、ラスト、幻の登場人物たちが幽霊メイクのまま舟で滑り抜けていくシーンのゾクゾクッとする感じは、映画全体の薄く透明な脆さと敏感に共鳴しあっていた。サイレント時代だったら遊びに徹することが充実になっていたのに、今ではニヒリズムが立ち込めてしまう。この衰弱は社会の責任なのか映画の責任なのか。現代で遊び続けようと決意することは、亡霊たちに魅入られながらの衰弱を受け入れることに外ならず、そこに本作の凄味が感じられるようなのだ。 なんのかんのさん [映画館(字幕)] 8点(2011-10-16 10:03:11)(良:1票)

3.見たのは二年前!サークルの部室に誰かがダヴィングしたのが置いてあった!置いてくれた人神!マタンゴと一緒に録画してあったけど!それって素晴らしい二本立て!
冒頭が好きでたまらないっす。 クロエさん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-12-24 01:49:04)

2.冒頭のセリーヌとジュリーの出会いから即興ならではの先の読めない展開で、終始ワクワクしながら好奇心旺盛な二人に誘われるように不思議な世界を共に堪能してゆきます。キャンディを舐めている間だけ覗ける異世界のドラマはキャンディを舐めきると当然そこで中断します。主人公二人と同様に早く続きを見たくてしょうがない。翌日またキャンディをほうばると待望の続きではなく同じ場面が重複して展開される。「もう、そこは見たって!」私がそう思うように彼女等もそう思う。そんな共感に嬉しくなりながら、異世界に入ってゆく二人と同じように、いつのまにか映画の中に入ってゆく自分がいる。あまみさんがご指摘のように、異世界に入っていった二人は芝居をメチャクチャにしているようで、反対に映画の可能性を提示しているようです。“なんでもあり”な映画の素晴らしさ見せてくれるリヴェットの傑作。そしてリヴェット作品一番のおすすめです。 R&Aさん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-05-09 16:56:49)(良:1票)

1.《ネタバレ》 ナンセンスで可愛くてちょっと怖くて摩訶不思議な世界。セリーヌとジュリーが運命的な出会いをして、二人が「物語の館」(幽霊屋敷みたいなところ)へ侵入することが病みつきになってしまうように、この映画に出会ってしまった観客はきっと、二人の冒険に夢中になってしまうことでしょう。ジャック・リヴェット監督はよくその作品のなかで、「映画」と「演劇」、あるいは「人生」と「舞台」との差異を懐疑的に探求しているようにみえます。この作品の場合は「物語の館」の中の出来事が「演劇」に見立てられます(一度だけ唐突に拍手が鳴ることもそのことを暗示しているようです)。そこでは一人の少女をめぐるある「陰謀」(これも必ず描かれるテーマの一つ)が、いつ覗いても同じセリフ同じ間で繰り返されているのです。セリーヌとジュリーは二人で一役の、少女付きの看護婦として、何度も物語の中に侵入し、ときにはセリフを間違えたり、二人いっぺんに登場してしまったり、挙句、筋書きを変えて少女を助けようとしたりします。この辺りは、即興やアドリブで厳格な芝居ををメチャクチャにしているような面白さがあります。また二人はお互いの服を勝手に着たり、看護婦の制服や黒タイツ(「吸血ギャング団」のイルマ・ヴェップへのオマージュ)など同じ格好をしたりしているうちに、はじめのほうではエキセントリックにみえたセリーヌにかわって、後半はジュリーのほうが暴走気味になり、二人が入れ替わってしまうようにも見えるのです。そしてついに二人は「物語の館」の住人たちを館の外(そこはパリで「映画」の世界を意味しているようにもとれる)に飛び出させてしまいます。しかしはたして本当に物語の世界から抜け出せたのでしょうか。それとも逆に物語の中に閉じ込められて、メビウスの輪のようにグルリとねじれてもとのところに戻ってしまっただけなのでしょうか。CGも音楽さえもなく、ドキュメンタリー的ですらあるのに、ファンタジーでもあるという、なんとも説明のつかない不思議な魔法の迷宮みたいな映画です。「不思議の国のアリス」に着想を得て、監督や出演者でアイデアを出しながら作られたそうで、その豊かな感性には脱帽します。リヴェット監督は長くて難解だといわれますが、これは何も考えずに観ても面白くて楽しめると思います。映画の魔法にかかって出口を見失わないようにしなくては(笑)。 あまみさん 10点(2005-01-25 14:23:23)(良:2票)

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【点数情報】

Review人数 8人
平均点数 7.25点
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100.00% line
2112.50% line
300.00% line
400.00% line
500.00% line
600.00% line
7225.00% line
8450.00% line
900.00% line
10112.50% line

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