みんなのシネマレビュー

ドクター・スリープ

Doctor Sleep
2019年【米】 上映時間:152分
ホラーサスペンスシリーズもの小説の映画化オカルト映画
[ドクタースリープ]
新規登録(2019-10-20)【にゃお♪】さん
タイトル情報更新(2024-05-22)【イニシャルK】さん
公開開始日(2019-11-29)
公開終了日(2020-03-11)


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監督マイク・フラナガン
キャストユアン・マクレガー(男優)ダニー・トランス
レベッカ・ファーガソン〔女優〕(女優)ローズ・ザ・ハット
クリフ・カーティス(男優)ビリー・フリーマン
ブルース・グリーンウッド(男優)ドクター・ジョン
ジョスリン・ドナヒュー(女優)ルーシー
森川智之ダニー・トランス(日本語吹き替え版)
皆川純子ローズ・ザ・ハット(日本語吹き替え版)
白熊寛嗣ビリー・フリーマン(日本語吹き替え版)
麦人(日本語吹き替え版)
桐本拓哉(日本語吹き替え版)
金尾哲夫(日本語吹き替え版)
木村雅史(日本語吹き替え版)
和多田美咲(日本語吹き替え版)
原作スティーヴン・キング
脚本マイク・フラナガン
配給ワーナー・ブラザース
あらすじ
40年前に山奥のホテルから母親と命からがら逃げ延び、今は大人へと成長したダニー。しかし、その時に負った心の傷は癒されることなく、母の亡き後、彼は独り静かに暮らしていた。しかし、ある日そんな彼に見知らぬ誰かからのメッセージが。それは、ダニーと同様の秘密の能力を持った少女・アブラからのものだった。その「力」で、児童誘拐殺人事件を「目撃」してしまったという彼女は、ダニーに助けを求めて来たのだった。戸惑い躊躇うダニーだったが…。 スタンリー・キューブリック監督がスティーブン・キングの小説を原作に描いたホラーの名作「シャイニング」の続編。

タコ太(ぺいぺい)】さん(2024-02-01)
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未見の方は注意です!




【クチコミ・感想】

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11.《ネタバレ》 「シャイニング」は、それを持つ者を決して幸福にはしない。むしろその人生を困難にし、悲劇をもたらすこともある。しかしそれでも、人知れず他者を救い、世界を変えていくことが出来る。能力を持つ者が正しい心を持ち、正義が継承されていくことこそ、「シャイニング」が存在する意味であり、希望でもあるのだ。

静かで重厚、かつ非常に陰鬱でハードな展開運びにより、異能の能力者の「悲哀」を的確かつ強力に表現しつつ(前半が相当に緩慢なテンポで、少し疲れるくらいに歯応え十分)、最後の最後で儚くもはっきりと前向きなテーマを描き切っている本作のシナリオは、ダーク・ファンタジーとして内容的にかなり高水準な上に見応えも抜群で、優れた仕事だと言ってよいと思う。

本作は完全なファンタジーであり、ホラーでは無いが、ホラーを期待されている(と思われる)作品なのにチープな恐怖描写に走らず、シリアスな物語を貫徹している点も好印象である。チープさを排すると言う意味では、極めて正統派で真っ当な美人であるレベッカ・ファーガソンを悪役に起用することで、ワンランク上のスタイリッシュな(ただし底冷えのする程に冷徹な)邪悪さを演出した点も効果的であったと感じる。前作との関係性の面でも、シナリオ的にも終盤の仕掛けに例のホテルを不自然さ無く繋げている点で巧みだし、(主展開を邪魔することなく節度を保って)前作の名場面をフラッシュバックさせるシーンも種々有り、続編としての楽しみも十分に備えていると言える。一点、野球少年の虐殺シーンはかなり惨たらしい上にさほど効果的とも思えず、もう少しマイルドにしても良かったかと思う(見応えは更に増しているとはいえ)。 Yuki2Invyさん [映画館(字幕)] 8点(2019-12-14 00:08:50)(良:1票)

10.《ネタバレ》 観終わってみたら2時間半もあった。もともと二つの物語を無理やりくっつけ合わせたようなシナリオなので、このくらいの時間はかかって当然かもしれない。二つの物語とは、前作シャイニングの流れを汲んだ部分と、新チャプターのバンパイア達との戦いの部分である。はっきり言って、本作は前作シャイニングの部分を全部取っ払ったとしても、「超能力を持つ中年男性と女の子のコンビがバンパイア達と戦う物語」として十分成立する内容である。つまりシャイニングの部分は設定上利用されているだけであり、物語の殆どは独立した、キングの純粋な新作なのである。これを盛り沢山と取るか、なんかどっちらけているなと取るか、これはもう観る方それぞれの主観によるだろう。さて、「バンパイアとの戦い」と言う新テーマにあまり惹かれなかった自分は、当然のように前作シャイニングの続編部分に引かれたわけだが(それは映画の最初と最後に集約されている)、やはりこの部分はテンションが上がった。ちゃんとオーバールックホテルは再現されているし、お馴染みの(?)幽霊さん達も全員総登場で同窓会のような気分に。でもこのドクタースリープが前作のように今後40年間ホラー映画の金字塔として人々に観続けられるかと言うと、正直それは厳しいと思う。映画が始まって割とすぐに汚物を写したり、少年を虐殺するシーンをやけにリアルに描写したり、そのような映画を人々が好んで今後数十年も観続けるとは思えないのである。 rain on meさん [映画館(字幕)] 6点(2019-12-07 17:24:37)

9.《ネタバレ》 原作未読。アレからどうやって繋げるのかなと思ってたら思いのほかエンタメ作品でした。超能力『シャイニング』を持ちながら幼い頃の出来事でトラウマを抱えたまま大人になったダニー、同じく超能力を持ち児童失踪事件を【視た】少女アブラが事件の真相を探っていく。 超能力を持つ人を狙い生気を吸い取って生き永らえてきた邪悪な集団との超能力バトルはなかなか面白かったです。初遭遇で相手の親玉ローズをトラップにかけ盛大にやり込めたアブラはどこまで強いんだろうと笑ってしまいました。とはいえその集団は老若男女様々いて思わせぶりに余裕ぶってはいるものの、普通に人間の世界で生活していて物理攻撃でダメージを受けあっけなく死んでいくショボさで能力もよく分からないままだし微妙でした。死に際に乗り移ってダニーの親友をヤリましたけどちょっとした能力者が銃を持った人と組めば速攻で壊滅できそうだし、貯めていた生気を全て吸い込みドーピング状態のローズ相手でもダニーとアブラなら余裕で倒せる気がしましたけどね。 終盤になってあの忌まわしいモノが集うホテルになりますがファンサービスというか名所めぐりというか物見遊山的なワクワク感があって面白かったです(というかホテルであの連中を順番にさまざまなバリエーションで始末した方が画的にも面白かったような気がします)。結局、ダニーは閉じ込めておいた亡者を解き放ちローズを仕留める道を選んでしまうワケですが、作戦的には微妙だったけどあの自己犠牲の選択は悪くなかったな。放浪の末たどり着いた町で天職と思えるホスピスでの仕事に就く。末期患者に寄り添い安らかに眠るように導くことからドクター・スリープ。今後はかつて彼がしてもらったようにアブラを導いていく役回りなんでしょうね。まんまオビワンか。 ロカホリさん [映画館(字幕)] 7点(2019-12-04 20:11:22)(良:1票)

8.《ネタバレ》 シャイニングの敵がオーバールックホテルの霊的存在だったのに対し
今回の敵は、人間の生気を吸って生きながらえる昼間も大丈夫なバンパイアみたいな集団。
誰にでも見えていて、スーパーで買い物をしたり普通の食事もしているようだ。
何百年も生きながらえて、スーパーパワーも持っていながらライフル銃で簡単に退治されてしまってビックリ。
親玉のローズ・ザ・ハットはチャールズ・エグゼビア(プロフェッサーX)と似た感じの能力を持ちオーバールックホテルの禍々しさも
鼻で笑っていたので期待したが、その霊的存在達に返り討ちにあってしまい終了。
全米興行成績が振るわないのもうなずけた。 ねおやまさん [映画館(字幕)] 6点(2019-12-03 17:13:06)

7.《ネタバレ》 作家性の違い。
スティーヴン・キングは辛い経験から、内なる恐怖と対峙し希望を見つけたい空想作家ですね。
キューブリックは恵まれた人で、恐怖に翻弄され罪を重ねる人間の業(性質)を客観的・批判的に描くタイプでしょう。
 
その意味で映画シャイニングは、原作を素材にした現実のメタファー。
現実だから、はっきりした答えのない永続性のある映画です。

ドクター・スリープは、映画シャイニングのキャクターとガジェットを借りたサイキックホラー。
キング流の、救いのあるダーク・ファンタジー作品。空想の世界です。
映画シャイニングの続編と謳(うた)いながら、テーマはまったく継続していない。

確かに、キングらしい後味のいい話で、希望を見せて終わる。
でも、キューブリックのイメージに依存し過ぎたため単品では成立しなくなり、もはや原作の続編とも言えない中途半端な作品になっている。
もっと悪く言えば、天才の作った「終わりなき映画」を、ファンの二次創作が強制終了させてしまった映画です。

ゲームをクリアするトリックとして、キューブリックのシャイニングを使った点で、レディ・プレイヤー1と同じレベルと言わざるを得ない。

まあ、キングとしては自分の作品を取り戻せて大満足なんでしょう。
この映画を絶賛する気持ちは分かる (笑) 墨石亜乱さん [映画館(字幕)] 6点(2019-12-03 09:37:06)

6.《ネタバレ》 既に、何度も何度も観た「シャイニング」を、前日にブルーレイで改めて鑑賞し、いざ映画館へ
冒頭で、幻想交響曲第五楽章のチューバソロが鳴り響き、期待が高まります。

しかしながら、話が進むに連れ「これは、全く別物の映画だな」と思うようになりました。
原作者と「シャイニング」の両方にリスペクトした結果、こういう作品になってしまった。という印象ですね。
と言っても、これはこれで楽しめる作品でした。
キューブリックの作品は、観る者に解釈を委ねるようなものが多く、分かりにくいのが特徴
それに比べ、本作は分かり易い作りになっていました。
前作での有名シーンも多数挿入され、シャイニングファンには嬉しいですね。

ただ、ストーリーは何だか「カルト集団の退治物語」みたいになってしまった。
原作未読ですが、スティーヴン・キングは絶賛しているようですし、原作をある程度、忠実に映画化した結果なのかもしれません。

残念なのは、野球少年が惨殺されるシーン
あれは、観たくなかったですね。 TerenParenさん [映画館(字幕)] 7点(2019-12-02 20:55:34)

5.《ネタバレ》 原作既読。
またここからは原作厨による不満をダラダラと書き連ねて行くことになるので興味の無い方はスルーされたし。

まず、前作「シャイニング」自体原作と異なる部分が多く、どう辻褄を合わせて行くのかが興味深い所だった。例えば原作の「シャイニング」ではホテル自体爆発してますから舞台とはなり得ないのだが…?
しかし、本作の予告編を見た限りだとかなり前作を意識しており、どうなのこれ?と不安しか無かったのだが、いざ鑑賞して見ると、以外にちゃんと原作通りに進むので、これは有りかな?と思っていた。
とは言え、あれだけ膨大な作品の映画化であるからやはり省略されたり改変されたりしたとこも見受けられたのも事実。
ダンとアブラの関係性ばかりに絞った為、アブラの父親とか原作で活躍する人物達が少なく、チームでかがやきを持つ超能力集団に立ち向かうというスリルが削がれてしまっていた。
さらに、敵の集団の描写も足りなくて、敵同士の繋がりややり取りがもう少し見たかった感じ。なので、そこまで敵に対する恐ろしさも感じられない。

で、最大の問題点はやはりキューブリック版「シャイニング」の存在を無視出来なかった事。というか後半かなりキューブリックに寄せて来ていて、原作に出てこない双子とか血の海とか、それらはもはやキューブリック版を象徴するアイコンに過ぎないし、なんの意味も感じられなくて、単なる観客へのサービスに映ってしまう。
浴室の幽霊にしたってあれだけ何回も出されると怖いというよりしつこいとしか思えなかったし、この作品が描きたいのは何なのかが全然見えて来なくて、かなり中途半端な出来に感じられた。

原作は本当に読み始めたら止まらなくなるほど面白かったので、こちらも是非読んで欲しいと思う。 ヴレアさん [映画館(字幕)] 4点(2019-12-02 00:17:08)


4.《ネタバレ》 80年代に制作された前作は幻覚シーンはあるものの超常現象的なシーンは抑えられ(倉庫に閉じ込められたジャックを幽霊が鍵を開ける)、リアリティーラインが微妙な点になっていたが、今作はCGを多用してしまい、前作を理解し、配慮ているとは言い難い。
前作のキャラクターを形式的な怪物表現で文字通りお化け屋敷になってしまった。
特に廊下へ血液が溢れるシーンの使い方は前作を馬鹿にしている様に思える。
もしキューブリックがこの作品を観たら、どう感じるだろうか?
キングとの確執からこの様な表現になったとしたら悲しい。
また、子供への拷問シーンは表現の自由の域を出た観るに耐えられない表現だった。こんなシーンに頼らなければ恐怖が表現できないとしたら、ハリウッドも地に落ちたとしか言いようがない。
ジョウオンズ博士さん [映画館(字幕)] 6点(2019-12-01 12:21:44)

3.《ネタバレ》 まず言わなければならないのは、この作品は「シャイニング」の続編などではないと言う事。前作のおさらいは無用。前作は下敷きにはなっているが、完全な新作である。そこが良かった。むしろここまで来たら前作の要素を完全に廃して100%の新作にした方が良かったのでは?とすら思える。今回の敵は魂を吸って生きている集団。途中の野球少年を殺害するシーンは目を背けるぐらい酷いが、一方のアブラも彼らに対して一切の情け無用で立ち向かう。「自業自得よ」とか「痛ければいいのに」とかこっちの方がホラーか?と言うぐらい。巻き添えを食って死んだアブラの父親とダニーの親友は気の毒だった。 ぴのづかさん [映画館(字幕)] 7点(2019-11-30 15:00:27)

2.《ネタバレ》 直前に「シャイニング」を復習してから鑑賞したので、この監督のキューブリック版「シャイニング」へのリスペクトを余計にビシビシ感じました。
同じ題材をなぞっても、ピーターハイアムズの「2010年」が「2001年宇宙の旅」と似て非なる映画になってしまったことを脳裏をよぎって危惧しましたが、その点ではこの作品はとても頑張っていたとおもいます。

前作を何十回も観てるファンからすれば、まず何より一番の感動はオーバールックホテルと迷路の完全再現。ボイラー室とか舞踏会場とかREDRUMの部屋とか一部ではなく、カメラに映らない部分も完全再現してくれてて、逆に「シャイニング」で映らなかった通路や場所に(あー、あそこ右に曲がるとこうなってたのか)的脳内補完をしたり(しかも40年分ちゃんと老朽化している!)。オーバールックに向かう道の空撮、血の洪水、斧を振りかざす時のカメラワークなど、製作者のシャイニング愛にニヤニヤしてしまう場面も多数。

物語的にはオーバールックホテルの登場まで若干冗長に感じる部分もありましたが、キングの小説の良さも併せてキューブリック版「シャイニング」の続編を作ることに成功していた気がしました。ただ前作はホテルが人に乗り移って狂わせる点が絶対だったのに対し、今回はホテル外にいる人間の形をした悪も人間を襲ってくる展開で、その点はよくあるホラー映画にありがちかなとちょっと思ったり。

それでも1980年時のジャック、ウェンディ、ダニー、ディック、双子の水色姉妹、237号室の腐乱オバハン、盛会じゃね紳士、ジュースぶちまけた前管理人など、よくここまで似てる人そろえたなあと感動。1場面ですがドアごしに斧で襲われるウェンディのあの絶叫場面まで再現と、前作を愛する人をニヤリとさせるシーンが本当てんこもりで、前作のある意味、神の視点的な風格はありませんが、全体としては面白いと思います。

↑の方も言っていますが「毒をもって毒を制す」作品。そして悪の象徴たるオーバールックホテルが一瞬、敵の敵は味方的に映りますが、すぐさまシャイニングオールスターズの皆様が一斉に襲ってくるあのシーンは、怖いハズなのでなんだかうれしかったり(幽霊をもっとじっくり観たいなんてこの作品でしか思わないです!笑)。

なんか観た直後なので頭がまとまりませんが、終盤のオーバールック向かうシーンで「シャイニング」のOPテーマが格好良くかかる所、鳥肌がヤバかったです(そう!俺が見たいオーバールック早く映して!的なそそられ方)。大好きな作品の続編を愛情たっぷりに製作してくれて本当に感謝です。

追記・どうやら237号室の腐乱オバハンは、オーバールックホテル焼失で棲家を失ったところをアブラの家に引き取ってもらったようで、今ではすっかりアブラと一緒にお風呂入るほどの仲良しです。 まさかずきゅーぶりっくさん [映画館(字幕)] 8点(2019-11-30 13:05:25)(笑:1票)

1.《ネタバレ》 そもそも傑作の呼び声高いキューブリックの「シャイニング」は、キングの原作小説とはかけ離れた終焉を見せ、原作者自らに「俺は映画版は認めん」と言わしめた代物だ。
おかげで本作は「映画版の続編」でありつつ、かつ、原作小説の続編として執筆された「ドクター・スリープ」の映画化でなければならない。
ややこしいが、とっても脚色が難しそうだということである。

しかしながらマイク・フラナガンは映画版と小説版との噛み合いを上手く調整し、キングお墨付きの「ドクター・スリープ」を完成させた。
ここで留意して欲しいのは、「ドクター・スリープ」は「シャイニング」の続編であることは間違いはないが、「シャイニング」を下敷きとして、世界観を発展させた別の作品であるという事だ。
宣伝やコピーを見る限り、成長したダニー坊やが例のホテルに戻って恐怖に見舞われる…というような印象を受けるが、本作は原作の時点で「シャイニング」とはまったくの別物であり「ドクター・スリープ」としては、これは正解なのである。

初見では続々と出てくる新キャラや、世界観の広さに面食らうだろう。
しかし、印象操作のせいで「シャイニング2を観に行ったら、X-MENっぽいバトル映画だった。ナニコレ思ってたのと違うから受け付けねぇ」と早々に本作を切り捨てるのはあまりに勿体ない。
「ドクター・スリープ」は、手に汗握る攻防や、前作から発展したドラマを内包した素晴らしいエンターテインメント作品だ。

孤立と閉塞の前作から一転、追跡と逃避の目まぐるしいスリリングな展開が良い。
「子どもの誘拐」というアメリカに蔓延る闇を足掛かりにし、彼らに対する凶悪な拷問シーンで敵軍の狂気を強烈に印象付けたのも上手い。(「ワンダー 君は太陽」「ルーム」のジェイコブ君のリアルな演技に、レベッカ・ファーガソンも恐怖を感じたとのこと)
ローズ・ザ・ハットやらスネークバイト・アンディやら、とんだ中二病軍団と思わせながら、その実態は危険なカルト教団である。若く正義感に溢れるアブラが怒りをぶつける相手として不足はない。

他にも、前作とまったく異なるジャンルでありながら、「シャイニング」の世界観を上手く匂わせている点も楽しめる。
あくまでも前作の延長線上にあるからこそ、狂戦士として登場するオーバールックホテルにも熱い必然性が出る。
これぞワイルドカード。
毒を以て毒を制す、活劇の締めはこうでないとつまらない。

また、エンタメ方向に走った本作が、それでも大人の鑑賞者に静かな余韻を与えるのは、本作が扱う(特にアメリカで顕著な)諸問題の内包に他ならない。
「これは…薬なんだよ」
実際に中毒から立ち直ったキングの経験則もあるのだろうか、悪夢的なジャックの登場は空気の重さが違う。
また先に述べた子供の誘拐にも関連するが、子どもに対して大人たちがどのように接するのかという点にも踏み込んでおり、ダニーの成長、ひいてはシャイニングの謎にまで昇華させているのが素晴らしいところだ。

酒をかっ喰らった挙句、斧振り回して追い掛け回すなど持ってのほか。実は誰もが持つシャイニングという個性を、大人たちは守り、道を示してあげねばならない。
それが悪夢を呼ぶのなら、悪夢を閉じ込める箱を与え、それを振りかざす者があれば、身を守り闘う方法を共に考える。
ディックがダニー坊やを導いたように。

バッグス・バニーの決まり文句「ワッツアップドク?(どったのセンセー?)」の通り、ドクター・スリープへと成長したダニーもまた、アブラの良きメンターとして彼女を導いていくのである。
キングが込めたヒューマン・ドラマがしっかりと息づいていることを感じた。
(この人オビ=ワン・ケノービみたいなことやってるなと思ったら、たしかにオビ=ワン・ケノービでしたわ) サムサッカー・サムさん [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2019-11-21 16:01:01)(良:1票) (笑:1票)

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【点数情報】

Review人数 31人
平均点数 6.23点
000.00% line
100.00% line
200.00% line
326.45% line
426.45% line
539.68% line
6929.03% line
71032.26% line
8516.13% line
900.00% line
1000.00% line

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.00点 Review2人
2 ストーリー評価 7.25点 Review4人
3 鑑賞後の後味 8.66点 Review3人
4 音楽評価 9.00点 Review2人
5 感泣評価 7.50点 Review2人

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