みんなのシネマレビュー |
|
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
6.《ネタバレ》 園子温映画はできるだけ映画館でみましょう。と教科書に載っていたと思いますが、理由はわかりますか? スクリーンで見ないと八割損しているからです。 あんなにセンセーショナルな愛のむきだしの監督が、更にエスカレートした世界をむき出してます。 でもまったく別物です。すいません。 園子温ワールドとしか言いようがない。 この映画では、だれもが自分の意志を失うほどに愛に飢えて、叫んで、殴って、糸を張ったように真剣で、力ずくで体当たりして・・。歪んでしまった欲求の形がまたゴツゴツした地球を創りだす。 だから誰も憎めない。 なのに、出てくる人間全員に死ねえ!と思ってしまう。 前半では、村田のどエロ悪人っぷりと異常っぷりを思いっきり見せつけられた社本。 次々と共犯者として死体を抹殺しては、コーヒーを淹れる。 弁護士を抹殺した後、村田は己の世界を社本に熱弁。これが人生の終焉への引き金となる。 そして後半。おとなしい社本が爆発。村田をペンで死に損ないにしたあと、愛子に処理を命じ、覚醒したように家族にもどなり散らす。 どうやらこの家族の中には最初から「平穏」という文字はなく、ただ理想の家族像のみが父親の頭にぽっかりと浮かんでいただけのようだ。 最後に娘に「人生はなぁ、痛いんだよ!!」という教訓を残すが、あっけなく死んだ父親に娘は「やっと死んだか!くそジジイ!」「おい、立てよ!」と笑いながら蹴り飛ばす。 最後の娘の笑いには鳥肌と戦慄が立った。 地球は丸いと信じたかったのに。この娘の喜びの笑い声に最後まで追い詰められた。 鑑賞後、恋人にプラネタリウムに行こう。と言いました。 わたしたちは、そこに丸い地球の姿を見つけられるはず。 この映画の中の役者に拍手。 でんでんのすごい演技!これぞ役者!この人、死体を捌いてても毒っけがない顔してるんです。 黒沢あすかにも脱帽。色気狂気凶器!!神楽坂恵もいいなぁ。 でも一番のお気に入りは渡辺哲さん。 保険のCM見るたびに、いかつそうなイイじいちゃんやなぁーもっと見たいぜ・・と思っていたら、今回ハメてましたね。いいなぁ。 「愛のむきだし」では安藤サクラ、満島ひかりにおったまげたが、園子温のエロい女選びのセンスは長けすぎていると思う。 教科書訂正。 園子温映画に限らず、見たい映画は全て上演されてる映画館で見ましょう。 【アンヌ】さん [映画館(邦画)] 10点(2011-02-10 04:04:46)(良:3票) 5.《ネタバレ》 村田(でんでん)の徹底した悪人ぶりに圧倒され、現実から逃げて楽な服従を選ぶ社本(吹越満)。実際、観ている側も圧倒されます。エスカレートする圧力へ反抗心が芽生えても、人のネガティブを知り尽くした悪魔のような村田の弁舌に消沈する。これは大人のイジメの話なのかと思いつつ、社本のストレスがいつ、どの方向へ解放されるかを心待ちにしました。タガが外れた後の社本は期待以上。村田をメッタ突きにして溜飲を下げた後、家族への態度も変わる。村田が口にしていたネタを教訓にしたような横暴ぶり。コイツは村田2世になって、その強権で家族をまとめ上げるのかと思ったら、そんなありがちな回答は用意していない。妻を道連れにし、娘には遺言として社会の厳しさを痛みと共に教えようとする。人生はイタイとかツライとか…。たぶん、円満な家族ならそれは伝わるけど、この家族には無理。娘にしてみれば「私だってイタイしツライわよ」で終わり。何の成果もあげずにウザイ親父の死として娘を喜ばせる。テーマはシンプルだと思う。崩壊している家族を徹底的に暴こうとした映画。あるいは、崩壊していても体裁を保つことが出来る、家族と呼ばれるあやふやな人間関係に豪快にケチを付けた映画だろうか。ウチはあそこまで酷くないと思える人には良い映画なのかも知れない。徹底的にやる映画は素敵だ。グロさのインパクトが不穏な余韻を残す反面、全てを見せられた快感がある。スクリーンに向かってもう十分と言いたくなる作品は滅多にありません。役者に対する褒め言葉に「体当たりの演技」と云うのがあるが、本作の黒沢あすかと神楽坂恵こそ、その言葉に相応しいと思います。 【アンドレ・タカシ】さん [映画館(邦画)] 8点(2011-02-09 23:31:44)(良:1票) 4.《ネタバレ》 個人的には紛うこと無き傑作、いや大傑作でした。誰もが口を揃えて話すであろう、でんでんの怪演、園子温のエロ・グロへのこだわり、上映規制(ついでに観客の倫理観も)ギリギリのゴアシーンには度肝を抜かれました。こんな映画を今現在日本で観られることに感謝したい。しかしこの映画を最高得点の10点にした理由はその要因によってではありません。私はこの映画について途中まで「描写は凄いけど、ただそれだけだな」と思っていました。過激ではあるけれど、何かを鷲掴みにされる訳ではないと。しかし終盤でその考えは完全に覆されました。この映画の真の主役はキチガイ演技全開のでんでんでは無く、冴えない主人公を演じる吹越満なのです。主人公は終盤で悪の村田と同じ行為(厳密には違いますが)に身を染める事で男になるのです。他人に全てを委ねているようでは生きているといえない。やりたいことは反社会的であろうと何でもやる。それでこそ人間が生きるということなのだと。その証拠に何かを成し遂げた時、主人公の顔には満足が浮かんでいるのですから。勿論、村田のように殺人を犯したり、人を暴力でねじ伏せる行為はいけません。それでもやる時はやりたいことをやれ!ということを、この映画が観客に伝えたかったのだと私は解釈しました。ただのエログロ映画では無い。人間一人の生き方を変えてしまう力を持つ、大傑作だと私は思います。 【民朗】さん [映画館(邦画)] 10点(2011-02-07 00:31:37)(良:1票) ★3.《ネタバレ》 この映画は、邦画では近年稀に見る悪役を出現させた点で既に賞賛されるべきだ。悪そのものは、自らの存在を肯定する必要さえない。村田はごく普通の家庭の父親であり夫である社本を圧倒する。呑み込むといっていい。村田の指摘に痛いほど自覚する所があるからこそ社本は村田に従う。それは私達も皆同じだ。 愛子の頭に振り下ろされるのはマリア像である。「愛のむきだし」でも象徴的だったマリア像だが、本作でも重要な位置を占めている。本来救いや希望の象徴であるマリア像が殺人の道具に使われようとする。しかし実際は打撲を与えた程度だ。希望や救いは人を殺すことさえできない無力な存在として徹底的に否定される。マリア像で殺せてしまったら、これらに力を付与することと同じだ。やはりナイフで殺す。妻の妙子も殺す。血まみれの夫を抱擁しようと感動的に走り寄ってきたからか? そんなハッピーエンドは要らない、と言わんばかりの呆気ない妙子の死。そして続くラストシーンは最も印象的だ。我が子にナイフを何度も突きつけ「痛い、痛い」と言わせる社本。そして最後に「人生っていうのはな、痛いもんなんだよ」と苦悶と自責と後悔と‥‥色々な表情が入り交じりながら社本は娘に語る。娘だけは救おうと思ったのだろうか。本作で唯一といっていい教訓である。そして社本は自殺する。見所はここからだ。 娘は父親を足蹴にしながら「やっと死にやがったくそじじい」「ざまぁ見ろ」「起きてみろよ」と罵倒する。ある種感動的に成り得た父親の教訓は無視され、唾のように吐き捨てられる。熱っぽい教訓が最早滑稽なものにしかみえない。家族は崩壊したまま、再生することはない。ラストシーン、社本が夢見た地球が映し出される。「こんなものが地球だ」とのメッセージか、希望への嘲笑か。いずれにしろこの作品のメッセージは単純かつ明快だ。希望や救いなんて必要無い、という凍れる視線が常に向けられている。ところで、村田や愛子の言動とか行動はしばしば滑稽だ。実際に観客席でも常に笑いが起きていた。しかし、だからこそ恐ろしい。ああいう人は、あなたの周りにも居るはずだから。 【Balrog】さん [映画館(邦画)] 7点(2011-02-05 10:45:47)(良:2票) 2.《ネタバレ》 うーーん!これも監督の支配力がものすごーー光る! しかしっつ!!!でんでん!!、、、やはりね、、、、、(神でんでん様と呼ぶ)、、、、、おもえば、”の、ようなもの”から思い出し、つい最近”クライマーズハイ”の渋さと、演技のなんという”リアリズム!”そしてこれーーー!!全盛期の”植木等”を彷彿とさせる、芝居と、言い回しの楽しさよ!(またまた、感動的なセリフの洪水!)この作品で彼が魅せた断固たる演技!!!アクション!ものものしさ、ダイナミズム、リアリズム、プラグマティズム、コミックはここ20年ぐらいの他のメジャー俳優群を一人として、まったくよせつけない!(ちなみに、最近のたけしの”アウトレイジ”にはこういう俳優の、こういう演技が皆無なんです。ぜんぜん解ってない。)”リアリズムアクター大地康男、橋爪功”を抜いた。あと、ヤクザの連中のなかでいいのがいたね。その他は?それ以外はだめね!というか、その他俳優はオレはどーでもいいわ!まあ、作品のこと云うとね、でんでんが出てるときまで良かった、それ以降はだめね。グロも、たいしてものめずらしくもなんともない。気分わるくなるだけ。(むしろ、長くて飽きた)それだったら、生本番、性器露出の濡れ場やったほうが、よりきもちイイよ。そう!この監督でもっともっとエロもみたいね。 とにもかくにも、これからも、でんでんと監督には目がはなせない。全日本、必見!のスゲー作品。もうホント、”総合芸術そのもの!”ついでに言うと、私的には前作”愛のむきだし”のほうが、好きです。追加!せぇーのっつ!”シャモトーーーー!!!!” 【男ザンパノ】さん [映画館(邦画)] 7点(2011-02-05 00:38:42) 1.人間の可能性は、果てしなく無限。それは、まさに宇宙の如く。大変残念なことに、基本的に人間は綺麗好きだから人間とその人間の住む世界を美化し過ぎてしまう。 人間とは優しく、愛に満ちていて、信じ合うことができる。そう、きっとそう。でもそれだけじゃない。人間にとってそれらは陽のほんの一部に過ぎず、それと同じくらい人間は憎しみ合い、殺意と隣り合わせにあり、そして簡単に殺し合う。人間のこれまで生きてきた短い短い歴史がそれを明確に物語っている。人間、生きていれば幸せだと感じれる瞬間もあるが、それと同じくらい、苦しみ、己を不幸だと、つまらない人生だと嘆いている瞬間もある。ただ、そっちがわに目を向けてしまうと気持ちが沈んでしまうから目を向けないだけであって、生きているというのはその両方があって、その両方をちゃんと受け入れなきゃいけない。陽が当たる場所には必ず影があるものだから。 そして、人間なんて簡単に死ぬ。人格や性格なんてもっと簡単に姿を変わる。理性なんて、たかが知れてる。本能には逆らえない。深い深い欲望の下にいる、生きようとする本能。 ぼくには十分伝わった。不器用で引っ込み思案、そして人見知りの激しい監督が、子供みたいに捻くれた思想を眠れない夜に酒に頼って死に物狂いで作ったこの作品の想いが。 泣きながら人の命がどうとか映画で描くのも良し、殺人者をただただ狂った人間だと描いたり語るのも良し、なんでもあり。 だけどぼくはやっぱり、これだけ遠周りなやり方でしか人間を描くことができない監督が、ぼくは本当に好きだ。 人間の残忍で冷酷な面を見せつけられ、ただただ幸せになりたいと願っていただけの男が、人殺しになる。誰もが、その可能性を秘めている。 【ボビー】さん [映画館(邦画)] 9点(2011-02-04 10:11:40)(良:2票)
【点数情報】
【その他点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS