みんなのシネマレビュー |
|
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
18.《ネタバレ》 まず、驚いた点として、音楽がほぼないと言ってよいこと。映像の力が弱いシーンには何かしらのBGMが入ってくるのかなと思ってみてましたが、そこも沈黙。にも関わらず、長時間に渡って、飽きることなく画面に吸い込まれました。見せ方がとても上手いと思います。また、和洋どちらの肩を持つでもなく、淡々と叙事詩のようにストーリーを描いているところも魅力と思いました。そして最後の最後まで主人公の胸の内は分からない。良い映画かは分かりませんが、ものすごく惹き付ける映画であることは確かだと思います。 【なす】さん [映画館(字幕)] 8点(2017-02-13 23:30:10)(良:1票) 17.《ネタバレ》 海に接する場所、霧の中に消え、霧の中から姿を現し、この映画に描かれる日本という閉塞的な世界には一貫して神の視点がありません。地理や位置関係を示す視点、生活や人物の関係性を語る視点、そういう作品世界を俯瞰する描写が存在せず、ひたすらロドリゴ神父の見聞きする世界のみがあって。その閉塞された混沌世界の描写は、己の信仰心と対峙する神父の葛藤を明確に浮き彫りにさせます。 絶対的な神を持たない民族の信仰の姿はキチジローに代表されて、それは今に至るまでずっと同じ日本人の姿を示しているところが面白いです。陰鬱な映画なのに、布教どころか自己の信仰すらも歪ませてしまいかねない、八百万の神を持つこの国の特異性を妙に面白く(自嘲的に)感じてしまう私でした。 踏み絵も拷問も処刑もお役所仕事、みたいな描かれ方もまた日本人らしさを示していて、なんとなく可笑しく思えてしまって、でも海の向こうの人から見れば恐ろしい事なのだろうなぁ、と。 だけどリーアム・ニーソンのキャスティングによってフェレイラ神父がクワイ=ガン・ジンに重なってしまい、そう言えばアンドリュー・ガーフィールドってヘイデン・クリステンセンに似てなくもなくて、ダークサイドに堕ちたクワイ=ガン・ジンがアナキンを誘う映画みたいに見えてしまい。オビ=ワンがいればなぁ、みたいな。日本はダークサイドか。 しかし蜩はあの時間には鳴かないのではないかいな? 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 9点(2017-02-13 22:15:23)(良:1票) 16.《ネタバレ》 期待が高すぎた。最初に噂を聞いてから何年も経っている。自分の中でかなり都合よく再解釈されてしまったかも知れないこの魂の物語を、写実的表現の映画で納得・感動できるというのが、無理だったのかもしれない。 それでも大好きな小説の映画化だ。人間の行いと不釣り合いなほどの大自然の美しさとの対比などは、映像作品ならではの魅力である。 私にとってのこの小説の魅力というかキモは最後の「踏むがいい」という「主」の声である。イエスでさえこの場にいたら踏むだろうという極限の選択を迫られた者にしか聞こえない、主の声である。それからの「そのために私は十字架を背負ったのだから」までは、初めてこれを読んだ高校生で無宗教であった私を打ち震えさせた。だが、これは魂の描写だ。映画でここを感動させるのは難しいだろうと思っていた。果たして実際にその場面を見てみると、実に普通の、モノローグと変わりない表現で肩透かしであった。奇を衒った表現を期待したわけではないが、あまりに普通。そこが感動の頂点になるような、盛り上がりがあって良かったと思うのだ。原作では絶えずロドリゴは主に呼びかけていた。これは主観的な表現でそれに対応した表現としての声。それまでの客観表現に突然声が聞こえれば??となるだろう。 棺桶の中で最後に持っていたものについて。あれは、日本に入ってきて変質してしまったキリスト教の象徴のような思える存在なのに、それを持っているのは違和感がある。ロドリゴは教会のでも切支丹のでもない、彼のみに答えた「主」を感じて、絵を踏んだのだ。彼が生涯持っていたとすると、それを表現したものでなければおかしいのではないだろうか。 さて本編とは関係ないのだが、パンフレットにキチジロー役の俳優のインタビュー的なものが載っていて「キチジローは弱い人間ではないと思う」などと書かれている。いやいや、キチジローは弱い人間なんだってば。なんでもポジティブに或いはユニークな考え方をすりゃ良いってもんじゃない。遠藤周作は転び者・弱い人間を肯定的に描いて、それを許す母性の神というものを描いたのだ。キチジローが強くなっちゃったら作品世界が全く違うものになっちゃうよ。こういったチグハグ感がこの映画をイマイチ感動できないモノにしているのかもしれないなあ。 【Tolbie】さん [映画館(字幕)] 7点(2017-02-09 10:53:00)(良:1票) 15.《ネタバレ》 霧、霧、霧である。 冒頭から行く先の見えない光景に遭遇し、霧が晴れたかと思えば、磔にする責め苦と説明過多のナレーションによる二重の拷問を観客は受けることになる。 主人公たちが乗る船は常に視界を阻まれるように霧が発生し続ける。スコセッシが敬愛する溝口健二「雨月物語」の船がそうであったように。 噂だけしか入ってこない先人たちの現状、この目で直接見なければ納得がいかない。霧をかき分け、海原を超えてでも真実を知りたい。時折上から見下ろされているような視点。まるで神が見守っていてくれているとでも思いたげな。 自らも小高い丘から見守ることしかできない苦しみを味わうなんて知らずに。 信用できない水先案内人、洞窟に取り残される不安、松明を掲げる者が静かに十字を切ることでようやく表情が緩む。 日本側の容赦の無い隠れキリシタン狩り、弾圧の様子。 村を材木が散乱し野生の猫が跋扈する無人地帯にし、押し寄せる波に晒し、抜刀して首を跳ね飛ばし、簀巻きにして海の中に沈め、血を垂らしながら逆さまに吊るす“見せしめ”の数々。 壁に刻まれた母国語、再会させるのは、目の前で処刑を行うのは、踏みにじらせるのは異邦人の信仰心をへし折るために。 スコセッシが今までの作品で描いてきた死にたくても死ねない生き地獄。床や水面に見る“幻”、主の声(幻聴)、幾度も気が狂ったように自分自身を嗤う。生きる恥をさらし続けてまで生き延びる意味を探しながら。 家財道具に刻まれた無言(沈黙)の抵抗。 何度も何度も許しを請い逃げて来た男が首にぶら下げる「逃げるのをやめた」証。 遠藤周作の原作との決定的な違いは、「夜明け」という希望の灯が昇らない点にある。闇の中で蝉の鳴き声だけが響き続けるのだから。 その代わりに燃え盛る焔、掌の中で鈍く輝く“尊厳”が無言(沈黙)の抵抗を示すのだ。 かつてイエス・キリストを題材に「最後の誘惑」を撮ったスコセッシだ。この映画もまた、こんなご時世だからこそ存分に“挑発”し、問いかけるような作品だ。 【すかあふえいす】さん [映画館(邦画)] 8点(2017-02-09 09:31:59)(良:2票) 14.3時間弱、最近観ていない、このテの映画だし、気が重いなぁ 米映画観るたびハズレばっかりなんだよなぁ などと消極的に入手した前売りチケットで足取り重く映画館へ 大きめのスクリーンながら客は4人(平日の20時’17/2/2) これは、苦痛の時間になるのかと覚悟したが。 素晴らしい映画だった 3時間あっという間、息を呑むカメラワーク、メリハリの効いたカット割 演者の気迫、本気度が伝わる演出、OPのサイレンスとEDの自然音 これは凄い映画だ、スコセッシ監督に感謝 私は宗教いう物を信頼していない(漠然と神頼みはします) 祈れば許されるなどと言う考えが、争いを正当化する詭弁ぐらいに思っている あの状況、心の中で懺悔しながらレリーフを踏む事を神が否定すると思うのか そんなに神という者は心が狭いのか、理解し難いが、事実として認識はしている 一番の悪役である浅野忠信演じる通訳でさえ、役人の仕事をしたまでであり どの人物にも意外と感情移入できる非常に凝った演出が秀逸 ちょっと地味な印象が強いが、多くの人に観てもらいたい秀作です 【カーヴ】さん [映画館(字幕)] 8点(2017-02-03 11:28:42)(良:1票) 13.《ネタバレ》 悲劇なのですが、誰も立場立場でまっとうに生きようとしているんですよね。 ミクロな場面では拷問があり惨殺があり目をそむけたくなる場面が多いのですけど、日本全体を考えれば当時の日本なら異国からの侵略を防ぐために必要な措置だとも言えます。 キチジローにも不快感があるけれど、では誰の気持ちが一番理解できるかと言えばキチジローだったり・・観て何かがわかる訳ではないけれど見ておくべき映画だとは思いますね。 【東京ロッキー】さん [映画館(字幕)] 6点(2017-02-02 16:03:54) 12.《ネタバレ》 重いわ~。 アッと言う間の3時間でしたが、ひたすらに暗い気持ちにさせる作品でした。 遠藤氏のこの原作を読んだのは30年以上前かなあ。 その時の感想は、やっぱり、暗くて気分が落ち込んでしまうものでした。 この映画は、かなり忠実に原作に沿っていますねえ。 そんな中で私が最も感激したのは、最後の棺桶の中の手を映したシーンですね。 やっぱりああいった『わかりやすさ』を映さないことには、話が締まらないからでしょうかねえ。 日本好きなスコセッシ氏ならではの演出かと思います。 万人に勧める作品じゃないですが、観て損をした気持ちにはならないと思います。 【ミスプロ】さん [映画館(字幕)] 8点(2017-02-01 20:55:08)(良:1票) 11.《ネタバレ》 遠藤周作の深淵な思考を、はたして映画で表現できるのか? そんな不安を抱きながら鑑賞。 結論は、最後の一歩で踏み絵を踏めなかった、かな。 荼毘に付されるロドリゴに持たせた十字架。 原作にはなかった演出で、最後の最後、彼の信仰を安らかしめた。 そうすることで原作が問いかけ続けたことを、分かりやすく表現し、 でも台無しにしたとは思う。 極力、人工的な音や音楽で感情をあおることもなく、 風や波の音、鳥や虫の声、人の讃美歌やうめき声だけで作り上げた演出は見事。 人の弱さや迷いや苦しみや傲慢が、そのまま伝わってきました。 【こっちゃん】さん [映画館(字幕)] 10点(2017-01-31 20:07:49)(良:1票) 10.《ネタバレ》 弱さや醜さの象徴となっているキチジローの存在(踏み絵はすぐ踏むが、神は信じていて、その都度自責の念にかられる弱き者)が、現代の日本に生きる自分に一番近いような存在に感じた。 この話では一人浮いている彼がいる事で、この物語が遠い世界の話ではなくなった。 それは言葉で言ってしまえば簡単である、「信じ抜く事」の困難さを彼を通じて改めて見せつけられるという形にも繋がっていた。 オープニングとエンディングを自然の音(人間の営みに振り回されず、存在する意味に悩む事も語る事もせず、ただそこに存在する海、鳥、風、草など)で包括したのも興味深い。 牢屋の柵を使い限定された視野を通して、ロドリゴそして観客が拷問を見せられるシーンは、視界が良好でない彼の心情描写にもなっていただろう。 気になる点で言えば、ロドリゴが踏み絵を行う場面。第三者(神かロドリゴの内なる声か)のボイスオーバーを被せる、足のクローズアップ、スローモーションで地面に倒れこむという一連の流れは少し鈍重で直接的すぎる表現だったように感じた。 ラストの十字架への極端なクローズアップも、意図的すぎるように思える。 【ちゃじじ】さん [映画館(字幕)] 6点(2017-01-29 00:48:56) 9.《ネタバレ》 ●題材からして明るいはずがない作品を覚悟して鑑賞しました。実際、雰囲気の暗くない場面は、わずかに序盤の本国(ポルトガル?)での会話と隠れキリシタンに初めて出会うシーンくらい。それ以外はず~っと異国で孤独に勝ち目のない戦いを強いられる司祭の苦難が続きます。観ているこちらまで主人公の苦しみ・葛藤がダイレクトに伝わるようで息苦しかったです。●クライマックスで聞こえた「神」の声。本物の神はあくまで沈黙していたのであって、絶望的状況で救われたい主人公の思いが幻を作ったのだと思いました。●ほぼ3時間の長編ですが、長さを感じませんでした。380年ほど前にきっとこんなやりとりがあったのだろうという大変なリアリティがあります。キリスト教や日本の歴史文化に興味のある人が観たら、心に響くのではないでしょうか。傑作です。 【次郎丸三郎】さん [映画館(字幕)] 10点(2017-01-28 19:06:10) ★8.原作既読です。楽しみにしていました。原作が個人的に映画のように光景を想像しやすい作品だったのですが、スコセッシ監督は原作にかなり近い形で映像化していると思います。宗教であったり、政治的な問題が延々と出てくるわけなんだが、ロドリゴが最後に決断した理由など、(原作も映画も)神の沈黙という問いに一つの結論を結び、一人の人間を描き切った所が素晴らしいと思っています。 また、この作品は日本人の宗教観(日本人は人間を超えた存在を考える力ももっていない。基督神の実体を変えている)であったり、幕府側の認識であったり、普段日本人には取っ付きにくい問題を説得力のある描写ではっとさせられます。 あとは個人的にスコセッシ監督がリスペクトする溝口健二監督を思い起こすシーンがいくつか出てきました。 雨月物語の小舟で移動するシーンへのオマージュ?や処刑する所を遠くから俯瞰する司祭二人のアングル、カメラをパン(水平に旋回)するシーンも多かったです(なんでも溝口にみえてしまってるのはいかん)。あと日本人の演出がしっかりしていた(ラストサムライのような違和感がない)のも良い。 音についても極力無駄を省いており、これもハリウッドなら演出のために意図して省くということはあると思うが、スコセッシ監督は音も重要な描写として考えている点が非常に好感が持てました。 最後に自分は原作を読んでいなかったら、映画の意図する処を理解できぬまま終わっていたかと思います。あと、欧米の方は理解できたのか?どういう感想を持ったのか興味深いですね。 【サーファローザ】さん [映画館(字幕)] 9点(2017-01-26 17:39:47) 7.《ネタバレ》 原作にかなり忠実であることに驚かされた。決して派手さのない物語を海外で映像化するのはずいぶん大変なことだと察するが、スコセッシの原作に対する思いの表れであろう。すぐに棄教してしまうキチジローの弱さが意味するところや、穴吊りの呻き声から転ぶまでの重みなど、あっさりとして伝わりづらい点も多い。また、説明過多なセリフやナレーションが多くなっているのも気になるが、日本以外の観客を意識するなら仕方のないところか。拷問シーンが続くため、原作未読の人はそちらに注意がいってしまうかもしれない。それでも、出演陣の日本語や日本のセットに違和感はなく、前半には霧を多様して異国に来た司祭の心象を映し出すなど映像表現も豊かであり、作品の出来は満足できるものであった。 遠藤周作が問い続けた「日本人にとってのキリスト教とはなにか」。この問いがマーティン・スコセッシというハリウッドの名監督によって映像化されたことを歓迎したい。 【カワウソの聞耳】さん [映画館(字幕)] 8点(2017-01-22 14:20:48)(良:2票) 6.《ネタバレ》 「沈黙」してないんだよね。肝なのに、残念。 【ピチクン】さん [映画館(字幕)] 6点(2017-01-22 13:39:21)(良:1票) (笑:1票) 5.《ネタバレ》 ドラマの流れは篠田正浩版(1971)同様、ほぼ原作に忠実だが、冒頭のポルトガルの場面やエピローグの「切支丹屋敷役人日記」の章が映像化されたことで 長尺となっている。特にスコセッシ流の解釈が施されたラストの十字架のショットは映画独自の表現となって印象深い。 1600年代を再現するランドスケープも厳選されており71年版に引けを取らないし、波音をはじめとする環境音の演出も充実している。 浅野忠信、塚本晋也らも安定の好演だが、イッセ―尾形はエキセントリックすぎて嫌味な印象だ。 岡田英次のほうが、穏やかな凄みがあった。 原作のクライマックスシーンは現国の教科書にも採用される有名な箇所だが、 その文章のもつドラマティックな迫力は、「白い朝の光が流れこんだ。」「朝方のうすあかりの中に」「黎明のほのかな光」「鶏が遠くで鳴いた。」などの 極めて映画的描写の充実にもよる。 篠田版は宮川一夫を撮影に起用してそれらの光を忠実に導入し、壁の「LAUDATE EUM」の文字を、踏み絵の図柄を、ロドリゴのシルエットを崇高に浮かび上がらせた。 遠藤周作が強く意識して描写しただろうその肝心な「夜明け」の光をなぜかスコセッシは映像化しない。 その代わりに、篠田版が賢明にも省略した「あの人」の声を聴かせてしまうという、この辺の感覚は違和感を抱かざるを得ない。 あるいは、スコセッシがあえてそのように処理して安易な審美性を拒んだというのは、現在の世界は未だ夜明けには至らないという諦念ゆえだろうか。 溝口的な、濃霧の中に浮かぶ小舟のショット。その視界不良で不穏な様も、全編を覆う曇天とともに何やら現実世界を連想させて、ぞくっとさせる。 異教と民族を巡る分断と排他主義が拡がる現在、時宜を得た公開ではある。 【ユーカラ】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2017-01-22 11:29:49) 4.エンドクレジットで流れるのは、自然の音、虫の音。日本人はそれらに風流を感じ情緒を刺激されるが、欧米人などはノイズだといって忌みきらうと聞いたことがある。 本作は感情に訴えかける常套句的な音楽がほぼ皆無のために、ダイナミックな欧米的な映画ではなく、静的で堅実な作品となっている。 そもそもタイトルがサイレンスなのだから自然といえば自然なのだが、このようなわびさびを呈するような映画をよく日本人ではない欧米人監督が撮れたものだと感嘆しきりであった。 内容も内外どちらかに比重を置くことなく公平に描いてるのも素晴らしく、エンターテイメント性を追い求めることなく、深い人間性をえぐり出す実直な作品に仕上がっている。 そして物語の骨子が宗教であるため、否が応でも宗教について考えてしまうが、得てして多くの日本人は宗教の存在を軽んじ忌み嫌う節がある。そのような人はこの映画を観ても、上から目線でしか見れず退屈と疎ましさで嫌になるだろう。 宗教には実に多種多様な要素が含まれており一概に決定論的に語れない複雑さがあるため、ある種のタブーがある。それは相手の宗教観に自分達の宗教観を持って対峙しないこと。当然ながらどちらが正しいなどと決められないからだ。もちろん無宗教も立派なひとつの宗教観だ。 このような扱い難いデリケートな宗教観の対峙をこの映画は避ける事なく真摯に描ききり、この相克が作品にリアルと説得力を生みだしていた。 この映画を見終えたあと、今までに感じた事のない妙な感慨深い気持ちになったのは、ひとえにこの作品の特異性なのだろう。 【クロちゃん】さん [映画館(字幕)] 10点(2017-01-21 23:42:03) 3.《ネタバレ》 原作は読んでいないどころか、この映画で初めて存在を知りました。監督の名前と大作の匂いを感じて見に行ったのですが、すごい映画をみてしまいました。とにかく重い、暗い映画ではあるものの、考えさせられることの多い内容でした。苦悩の連続や拷問などもあり、もう一度みたいとは思えませんが。いつの日か気が向いたら原作を読んでみたいと思います。 日本の俳優陣たちの好演が非常に印象的(特にイッセー尾形と浅野忠信が印象に残りました)なのもありますが、邦画をみているような気がします。それだけ違和感が少なかったということでしょう(撮影は台湾だったそうですが)。格子の向こう側からのカメラワークなども印象的でした。 ラストのシーン、なぜ妻が茶碗を割ったのかがわからなかったのですが、そういうことだったのか・・・ 虫の声と波の音が印象的な映画でした。 【jcross18】さん [映画館(字幕)] 10点(2017-01-21 22:19:05) 2.原作は読んでいません。長い、そして暗い! そして宗教は面倒くさい。映画としては悪くなかったですけど。。。 【kaaaz】さん [映画館(字幕)] 7点(2017-01-21 18:36:16) 1.《ネタバレ》 原作未読。 人を救いたくて信仰を守っているのに、その信仰を捨てなければ信徒を殺すと脅された宣教師のジレンマ。なかなか面白くなりそうなお話なのですが、「神よ!なぜ沈黙なさるのです」的な発言を何度も何度も繰り返すアンドリュー・ガーフィールドの姿を眺めるのに160分という上映時間は長すぎました。また、最後の最後で神が主人公に語り掛けてくる場面にも感動がなく、さらには神と主人公の間で出された結論が一体何だったのかもよく分かりませんでした。 他方、本作の面白かった点は、信仰を理解しない人たちの意見もちゃんと反映されていることであり、宗教映画でこのような体裁をとっているものはかつてなかったと思います。キリシタンを取り締る役人達は「まぁどうでもいいから、さっさと踏み絵を踏んでよ」という姿勢なのです。取り締りの先頭に立っている筑後守(イッセー尾形が素晴らしい演技)すらキリスト教の価値観そのものを否定しておらず、キリスト教に乗っかって入ってきた西欧諸国の悪影響こそが問題であったとの発言をします。 また、キリシタン弾圧に屈したフェレイラ神父による比較文化論にも興味深いものがありました。日本人は一神教の価値観を持っていないから、俺らがどうこう言ったって変わらないよと言うのです。さらには、隠れキリシタン達ですら我々と同じ感覚で神を捉えておらず、日本式に曲解した形での理解になっていると。そんな社会で犠牲者を出してまで信仰を守る意味はないから、さっさと折れなさい。そして日本社会が望む形で貢献してあげなさいと言うのです。こちらの主張も面白いと感じました。 宗教映画としてはまったくピンときませんでしたが、文化を描いた映画としてはなかなかよくできています。もっと上映時間が短く、かつ、もっと鋭利な描写があれば、面白い映画になっただろうと思います。 【ザ・チャンバラ】さん [映画館(字幕)] 6点(2017-01-21 16:23:05)(良:1票)
【点数情報】
【その他点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS