みんなのシネマレビュー

海と毒薬

1986年【日】 上映時間:123分
ドラマ戦争もの医学ものモノクロ映画小説の映画化
[ウミトドクヤク]
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2015-09-06)【イニシャルK】さん


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監督熊井啓
助監督原一男(監督補)
キャスト奥田瑛二(男優)勝呂
渡辺謙(男優)戸田
岡田真澄(男優)ハットリ
成田三樹夫(男優)柴田
西田健(男優)浅井
根岸季衣(女優)上田
津嘉山正種(男優)宮坂中尉
辻萬長(男優)村井大尉
千石規子(女優)おばはん
神山繁(男優)権藤
岸田今日子(女優)大場
田村高廣(男優)橋本教授
大林隆介(男優)
高山千草(女優)患者
平光淳之助ナレーター
原作遠藤周作「海と毒薬」
脚本熊井啓
音楽松村禎三
撮影栃沢正夫
配給日本ヘラルド
美術木村威夫
編集井上治
照明岩木保夫
その他IMAGICA(協力)
あらすじ
大戦末期、敗戦の色が濃厚な九州F市。勝呂と戸田の二人は、F帝大医学部第一外科に所属し、ろくに薬品のない中での診療と研究をこなしている。第一外科の教授橋本は、次期医学部長をねらっているが、軍と結びついている第二外科教授権藤に劣勢に立たされている。ある日、軍からの要請で、B29爆撃機のアメリカ兵捕虜八名の生体解剖が行われることになる。勝呂と戸田も助手として参加する。ニヒルでリアリストの勝呂、そして、1人の受け持ち患者の死に動揺する戸田。二人の精神はこの非道の試みに何を感じたのか…。

みんな嫌い】さん(2004-02-12)
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【クチコミ・感想】

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28.《ネタバレ》 先日の終戦記念日。春に某動画配信サービスが終了して、気がつけば未レビューの太平洋戦争映画ストックが無くなっていました。
そこでこの映画の出番となったんですが、太平洋戦争の映画というより、医学界の縮図、日本の社会構造、自分で考えて行動をしない集団心理に焦点が置かれていましたね。
オープニングから古い映画かと思ったけど'86年制作。あぁ、世代的に当時観た顔がいっぱい出てくる。そしてモノクロにした意味はすぐに理解できた。これ、カラーだと多分最後まで観てられない。
戦時中の日本の公的な組織、西部軍と九州帝国大学が、人道的に超えてはいけない一線を越えた実際の事件。私がこの事件を知ったのはここ10数年くらいのことで、戦中に日本軍が行ったと言われる蛮行(南京大虐殺とか)が、ホントかウソか疑問を持った頃だったように思う。で、この事件はホント。

田部夫人のように、出世のために治す目的の患者と、おばはんのように実験のために入院している、治る見込みのない患者。両者に目に見えない線引がされている、病院の裏側を観せられる。
ヒルダが上田看護婦に言った「死ぬことが決まっていても、殺す権利は誰にもない」という考え方。この考え方があまりに欠如しているのが恐ろしい。
上のヒルダの言葉はドイツ語。そのあと日本語で「神様が怖くないのですか?あなたは神様の罰を信じないのですか?」と。上田は休職させられるが、彼女が実験に参加したのはヒルダへの当てつけ。安楽死を命令した浅井にではなく、止めたヒルダに向けられる歪み具合。上司の命令より神の教えが鬱陶しいと思える社会。当時も今も変わらない日本人って気がする。
勝呂にせよ戸田にせよ、捕虜の解剖に対し罪悪感が麻痺していたのは戦争のせいだろうか?大学病院という社会の構図がそうさせていたのか?この映画を観る限り、戦争は環境要素のひとつに過ぎないんだろう。田部夫人の死の隠蔽などは、平時でも行われていたんだろう。

本作のような、大ヒットはしないだろうけど、真面目な題材の見応えのある映画を、もっと創ってほしいと思ってしまう。
ただ100%真面目に作られた社会派映画…ってわけじゃないと思える理由の一つが岡田眞澄の日系アメリカ人通訳。…まぁでも、ファンファン大佐はこの映画の後に産まれてるしなぁ。じゃなくて、この題材で、相当作り込まれた手術シーン。
この映画が制作された当時は、かなり残酷描写が過激になった時代で、ギニーピッグとか悪趣味なグロい映像も創られてた。今の目で観ると必要以上に直接描写されている手術シーンも、この時代の作品と考えると納得できる。

捕虜から切り取ったレーヴル。この話はホントかどうか。でもこの時代(大戦中)だからやってそうだし、この時代('80年代)だから、この場面入れたんだろう。
先日、道東で恐れられた忍者熊“OSO18”が駆除されたニュースをやってて、その肉がジビエ素材として人気急増したそう。その肉食べたい!って感覚が、解る人には解るのかなぁ? K&Kさん [インターネット(邦画)] 6点(2023-08-19 15:33:38)

27.モノクロでよかった~~。 ケンジさん [DVD(邦画)] 6点(2014-06-05 11:49:43)

26.若き奥田、渡辺が見られる。しかし葛藤は弱いか。 Balrogさん [DVD(邦画)] 6点(2012-10-30 21:49:28)

25.《ネタバレ》 生体解剖というテーマ。テーマに対して特に答えもなく話がふんわりと終わっていて、だから何?というのが感想。生体解剖の是非なんて映画として見なくても十分議論できるでしょうし、それをテーマとして扱ったこの映画までその土俵で語ってもしょうがないでしょう。映画として語るべきは、生体解剖はただのドキュメンタリーのネタとして、ネタを映画としてどう写したかだと思う。その観点では特に感動もなく、映画としての見所もなく、無感動に観終えてしまった。 afoijwさん [DVD(邦画)] 4点(2012-09-16 00:24:53)

24.狂ったとしか思えないこんな出来事が昔の日本で実際にあったなんて信じられない。特定の宗教を持たない日本人にとって「命」とはなんだ?と考えさせられる作品。原作にはかなり忠実で、描写される集団心理が本当にリアルだったし、怖い映画だった。でも、何故岡田真澄なんだよ。 Fukkyさん [DVD(邦画)] 8点(2012-01-01 22:35:03)

23.《ネタバレ》 成田三樹夫や岸田今日子という配役が実はちょっと心配だった。モロ悪人・モロ非人間って感じの造形になってるんじゃないか、と。しかしさすがいい役者はフトコロが深い、ズルズルとああいうことやってしまいかねない環境をじっくり再現する部分としての役割に徹し、個人の問題を越えられた。あたりに瀰漫している死。大きい動きに翻弄されて、責任もその大きなものに寄りかかっていれば消えていってしまう気配。言い訳が準備されていれば・別の責任者がほかに用意されていれば、人は大抵のことは何でも出来ちゃうという怖さ。本来善なる目的を持った集団が、狂気をはぐくむ。そこへ向けて凝集している作品になれた。人を生かすための手術では死なせてしまい、人を死なせるための手術では、その心臓の強靭さに素直に感動する空気がみなぎる。ここらへんの皮肉。そしてラストのキモ。日本人がキモと発音するときの精神主義の厭わしさが重なって、私は単なるブラックユーモアを越えたと思った。 なんのかんのさん [映画館(邦画)] 8点(2010-07-31 10:09:44)

22.《ネタバレ》 生体解剖に学究的意味があることは解る。それを米兵捕虜を実験台にして行ったことの人道的・倫理的問題が表のテーマで、その場にいた人の何人が純粋に臨床への応用を探求していたかが裏のテーマでしょうか。お馬鹿な軍人さん達には、倫理なんてこれっぽっちも感じなかったけど、解剖実績を出世の糧にしたい奴らは理屈をこねる分だけ軍人達よりも下劣に見えました。戦争という「異常事態」が人の心を狂わせるというよりは、火事場泥棒のようにゴタゴタに乗じて好き勝手なことをやってるなぁ、という印象です。つくづく日本人は「みんなでやれば怖くない」的な気質を備えているのだと思います。あの生体解剖は東京裁判でも裁かれたらしいけど、民家に焼夷弾を落とす米軍の国際法違反は裁かれていない。戦争の混乱のなかで行われた殺人という意味では同じはず。このあたりは永遠に回答の無いもうひとつのテーマでしょう。約20年前にレンタルビデオで観たときには、もっとズシーンと響くものがあったのだけど、先日CSで観たらそうでもなかった。戦争が人の平衡感覚を麻痺させる映画をたくさん観たので、慣れてしまったのか…。 アンドレ・タカシさん [ビデオ(邦画)] 6点(2009-07-30 20:54:32)

21.《ネタバレ》 1980年代の日本映画で最高傑作と呼び声の高い本作。わくわくしながら鑑賞を始めた。ところが、しょっぱなからグロテスクでリアルなオペシーンが登場。ここで早くも気分が悪くなる。モノクロ映像だが、カラーでも観てみたかった気もする。ただ、陰鬱な雰囲気を醸すにはモノクロ映像が功を奏していたかもしれない。さて、本作の肝は、日本国が実際に行ったとされる生体解剖実験を、世に問題提起する社会派劇としての部分だ。米国人捕虜を実験台に、生きたまま解剖し、日本の医学発展に役立てる。これが生体解剖実験の大儀名文だ。日本に原爆を投下し、大量殺戮を行った米国人ならば、生体解剖の生け贄にはうってつけだという主張。これは現代の感覚からすれば、全くの誤りだろう。しかし、殺し殺されの戦時下においては、あながち無理な理屈ではない。
結局、手段こそ違うが、戦争をしている時点で、人が人の命を奪い去っている事には変わりがないからだ。そもそも、この生体解剖実験が良いとか悪いとかいうよりも、もっと広い視点で見て、戦争そのものが及ぼす、あらゆる方面に与える悪影響というものを考えるべきであろう。戦争が巻き起こすあらゆる問題の一つに、この作品の主題である生体解剖実験というものが含まれているにすぎないのだ。そう考えると、戦争を起こさないということが全てなのだ。戦争さえなければ、生体解剖実験などというおぞましい出来事もなかったであろうに。そう色々考えさせられた本作は、反戦映画として出色の出来というべき内容に仕上がっている。なるほど、1980年代の最高傑作の呼び声とやらは、あながち間違っていないかもしれない。それにしても、岡田真澄の外人役はマイナスポイント以外の何物でもないなぁ。岡田真澄の存在が、この作品の社会派劇としての格調高さを台無しにしてしまっている。それに、医師と看護婦のロマンスのようなサブストーリーも必要なし。半端に娯楽要素を取り入れてしまっているのが残念だ。もっと徹底的に硬派な作りにしてほしかった。
それと忘れてはならないのが成田三樹夫の活躍ぶり!ヤクザ役が多い成田三樹夫だが、こういったインテリ役且つ毒気のあるキャラを演じさせても素晴らしい。成田三樹夫には、もっと沢山の個性的でドスの効いたインテリ役を演じてほしかった。実に惜しい。何しろ、成田三樹夫は実際にも破天荒なインテリであったのだから。 にじばぶさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-04-20 00:03:36)


20.重い。731部隊を彷彿させる最後のナレーションがまたずしりと響く。手術シーンがリアルで良かったです。 すたーちゃいるどさん [DVD(邦画)] 6点(2008-11-15 16:03:45)

19.見る前は重くて硬いだけの退屈な映画かと思っていたが、見始めると引き込まれてしまった。最初の田部夫人の手術のシーンは大袈裟な音楽もなく、淡々と進行するのだが、白黒の映像や事前にスタッフから採血したという本物の血液がかえってリアルさを生んでおり、手術の緊迫感がこちらにまで伝わってくるし、クライマックスの解剖シーンはそれに携わる医者や看護婦たちが勝呂を除いてみんなどうかなってしまったのではというほどに怖かった。人間ドラマとして見てしまうと確かに物足りない部分はあるけど、社会派ドラマとしては見ごたえ充分で、熊井啓監督はこれが見るのはまだ2本目なのだが、なかなかの力作だと思った。主要な俳優陣もなかなかの好演で、個人的にあまり好きではない主演の二人も思ったより良かったし、岸田今日子、成田三樹夫、田村高広はさすがの存在感。西田健や根岸季衣もいい。しかし、何人かの方が既に指摘してるように岡田真澄は変。この人の外国人役は若い頃の「狂った果実」とかでも見てるはずだけど、こんなんだったっけ。 イニシャルKさん [DVD(邦画)] 7点(2008-04-09 00:41:03)

18.《ネタバレ》 なぜモノクロ?? やはり手術シーンへの配慮か? 実話物をアピールするためか?どちらにしても、無理にする必要はない。 岡田真澄の変な外国人役は完全なマイナスポイント。 でも、病院物と戦争物の共存は、新しい挑戦だったと思うので、○。 ぱんこさん [DVD(邦画)] 4点(2006-10-01 18:22:11)

17.戦国武将が人を殺しまくって成し遂げた革命は、それが異常であっても織田信長や徳川家康のことを大量殺人者だから嫌いだという人はあまりいないと思いますが、戦国武将たちも見方をかえれば、人の命の重さが分かっていないだとか、生命に関する感覚が麻痺していると言えるのです。しかし彼らが成し遂げた偉業のほうが大きいので「罪」はほとんど問題にされません。そういう事実を最初に問題提起したのは「罪と罰」のラスコーリニコフでしょうか。人類の利益のためになるならば人殺しも賞賛されるという犯罪哲学、1人殺せば殺人者、大勢殺せば悪魔か英雄になる。罪は公共の利益を生むならば帳消しにされるのか?善悪は時代の流れとともに変化するのか?「海と毒薬」は私たちがいつもは感じない「罪」を意識させて疑問を持たせてくれます。原作は「罪を感じずに生きている人間」と「罪を背負って生きている人間」を対比させて描いていたので分かりやすかった。 戦争中だから人は良心が麻痺して異常だったという見方が一般なのかもしれませんが、人はどんなときも罪を背負って生きているというメッセージもあるのではないでしょうか。この世に「罪」のない人間など誰1人いなく、罪に気がつかない人間と、罪を自覚している人間の2種類しかいないのだと思います。 花守湖さん [DVD(邦画)] 7点(2006-05-13 23:13:00)

16.《ネタバレ》 日本の黒い夏 冤罪 の熊井監督の作品を探していて見つかりました。

医療サスペンスになるし実話にヒントを得たミステリーにもなります。

邦画でこの世界をコレだけ真面目に描けたのはすごいことです。

淡々と進んでゆきますので客観的に見るしかないので、

主人公の奥田瑛二と視点は近くなると思います。


国際映画祭出品作で世界的にも認められたこの作品は、

なんと86年作なのに白黒です。

なぜ白黒なのか疑問に思いただ気取ってるだけかと観ていましたが、

白黒でなければリアルな手術シーンは再現できないかも。

カラーであれば単なるキモイ映画になっていたかもしれない。

このたった2色のメリハリが社会派映画としても見られるような演出になっています。

難を言えば世界を意識したのか外人や日系(岡田真澄)の使い方が・・

この時代(いつの時代もですが)の日本の医学界、

戦争時の退廃的な生き方生かされ方、

文学的でもあるし過度な演出による娯楽的な残酷シーン・・

邦画でもこういう作品があったんだなぁと感心。

渡辺謙のセリフが的を得ていてそれでもなんかなぁと・・

なぜか戦時下だから人体実験をするっていうのは無理やりな説得力ある。

無差別に病院や公共施設も破壊したアメリカ兵だから、

人間ではなく物として扱うから死ぬまで実験をするというのも、

患者はどうせ死ぬんだから、

戦争で死ぬよりも実験に使うほうが世のためになる、

こういうことが本当に行われていたとしたら、

医学の発展とは犠牲の元なんだと暗くなります。

見終えたあともドヨ~ッと暗いまるでホラー映画のようなのですが、

見ごたえのある演出と感情移入さえ許さないような乾いた演技、

戦争映画を根本的に嫌いな私もこういう切り口なら観られます。

どことなく巨匠シドニー・ルメットを思い出しましたが、

それは言いすぎでしょうか・・

誰に感情移入できるか、

誰にもおそらく主人公にでさもできかねないのに、

実験手術されるアメリカ兵捕虜を好奇心で取り囲む日本兵。

彼らと同じ好奇心でこの映画を観ていることに気がつきました。

その後味の悪さも何か問いかけていて怖い作品でした。

アルメイダさん [DVD(邦画)] 7点(2006-04-02 12:58:08)

15.太平洋戦争中に日本が行なっていた事実のひとつですね;学校の歴史の授業では教わることのない出来事で、話には聞いたことがあったけど、この映画を観て改めてショックを受けたという感じです。私も同じく、最後に医学生の戸田が言った「こんな時代の、こんな医学部にいたからやったまでだ。」のセリフが重く響いた…。あの頃の日本て、多くの人間の良心が麻痺してしまっていて、国全体が一つの過激なカルト集団みたいだったのかなと思ってしまう。原作は読んだことがないですが、遠藤周作の著作はキリスト教の思想を話の中に取り入れているのが多いようで、この映画でも「神っていうのはいるんだろうか」「神の罰が怖くないのか」といったセリフが出ていたのですが、私は少し強引にそういった思想を入れ込んでいるようで、ちょっと気になりました。あの現場の出来事を冷静に淡々と描いているところはすごく訴えられたけど、キリスト教の視点からその事件を考えてみるというところは、他の作品でもそうなのですが何となく余計な気がしてしまうんです…。生意気な意見です(^^; kiku☆taroさん 8点(2004-03-19 18:11:19)

14.軍人と医者、立場は違えども合法的に人を殺す事が可能な職業。毒薬には取扱い説明書があるが、人の倫理観・宗教観というものにはそんなものは無いが、自分の主治医の人となりや自分の国の首相の倫理観ぐらいは把握しておくべきでしょうか。 亜流派 十五郎さん 7点(2004-03-16 23:48:13)

13.もっと人間の内面を描いた方が、訴えるものが大きかったと思う。この映画だと、単に「社会派」とか「反戦映画」と評価するしかない。原作が切り込めなかった部分に切り込む気迫は感じられない。◆奥田瑛二は、遠藤周作=熊井三部作のいずれにも出ていますが、少なくとも、これは下手です。自分が演ずる人間の内面理解に至ってないんじゃないかと拝察します。田村高廣がうまいですね。なぜ、岡田真澄をあんな役で使ったのだろうか、映画が台無しになっている。 みんな嫌いさん 5点(2004-02-12 10:27:32)

12.前半、結核患者の手術に際して白黒の画の中で流れる血が、白黒なのに異様にリアルで赤く見えそうなほどで、震えながら観たことが鮮明に記憶に残っています。その時はまだ、僕は原作を読んでいなくて、「白い巨塔」のような医師の世界の矛盾だとか、戦争の悲惨さを伝える映画だと思っていました。しかし今は、もっと深い宗教性と、「白い人・黄色い人」に近い日本人ゆえの悲しみに似たものを感じています。特に、ラストでの勝呂と戸田の会話は、どちらも、この社会の真理の一端を突いており、「殺人」を犯した者が得たことが何だったのか、それを語っているように感じました。また、原作では愚鈍で純朴な印象の強い勝呂医師を、奥田瑛二という適役だとはとうてい思えなかった俳優さんが見事に演技していることに意外な驚きを感じました。それに対してクールな戸田に渡辺健を持ってきていることには二重の驚きでしたが、その役を上手く使いこなせていたと思います。ヒルダ夫人と上田看護婦のエピソードは非常に大きなインパクトを与えています。大連で死産になった子供が、ちょうどヒルダ夫人の娘と同じくらい。「白人の肌って切りにくいのかしら?」と口走った彼女の、冷たい心のうちが透けて見えます。
原作を読んでいる方にですが、実は遠藤周作の「海と毒薬」には続編があります。「悲しみの歌」というタイトルで、「海と毒薬」とは全く違った毛色の作品ですが、勝呂医師のその後をこの作品で読む事が出来ます。 feroさん 8点(2004-01-19 06:37:54)

11.時代と場所が違えば、同じ人間でも倫理・価値観は変わるものだろうか。渡辺謙が「この時代に生きているから生体実験をやったまでだ。」が印象的だった。 アルカポネさん 6点(2003-12-20 23:25:06)

10.色んな意味で怖い映画でした。 最初白黒だったので「古い映画?」って思ったのですが。 特に手術シーンは、なんとも言えない不気味さが出ています。カラーだったらあの迫力は出ないのでしょうね。 医者は神様では無いと言う事を認識しました。医者だって普通の人間ですよねぇ~。 患者が妙にへりくだっているのが、見ていて辛いです。 あずきさん 8点(2003-12-19 10:02:24)

9.太平洋戦争末期、大学病院で行われた戦慄の事件。戦争という狂気に満ちた時代の中、たとえ医師といえども人命に対して感覚がマヒしてしまうのだろうか。鬼畜米英、日本を破壊し尽くす憎きB29の捕虜達。彼らの生体解剖実験により何百何千という日本人の命が救え、医学の発展に繋がるのなら…という発想が出てきても不思議ではない。奥田瑛二が演じる内向的な研究生以外は、感情移入出来そうにない医師達として描かれている。彼らの行為は当然糾弾されるべきだが、戦争という二文字がここまで人間性を狂わせてしまうものかと思ったりもする。それは戦争が終焉し人間が人間らしさを取り戻した時に初めて、犯した罪の重さに気付く事なのかも知れない。 光りやまねこさん 9点(2003-12-05 21:26:04)

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【点数情報】

Review人数 28人
平均点数 6.82点
000.00% line
100.00% line
200.00% line
300.00% line
4310.71% line
527.14% line
6621.43% line
7621.43% line
8828.57% line
9310.71% line
1000.00% line

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.00点 Review1人
2 ストーリー評価 Review0人
3 鑑賞後の後味 Review0人
4 音楽評価 Review0人
5 感泣評価 Review0人

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