みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
7. 残念ながら18禁なものの、多くの人に観てもらいたい。今私が追っている監督、韓国の鬼才キムギドク監督の第3作目。 地方の民宿にて、売春する女。たぶんにして売り飛ばされた感じがあるが、女はその運命を受け入れている感がある。 その旅館を経営する夫婦と娘と息子。娘は女と同じ年の大学生。女を毛嫌いし、ことあるごとにキツくあたる。この民宿は女を買う男たちが来ることによって成り立っている。 私はこの民宿の娘が主役だとしか思えない。娘は丁寧にドラマの過程を踏んで変容する。 相変わらずキムギドク監督の描く人間ってのは最下層の人間なんだなと思いつつ、またしてもその心理描写の的確かつ大胆な描写にやられてしまう。そしてその人間たちは世間一般でいう幸せをつかむのではないが、魂を昇華させていく。鰐も、本作も、嘆きのピエタもそうだった。これから他の作品も観るが、キムギドク監督の映画作品全体がまるで一つの世界の中での群像劇に感じる。これはスティーブンキングのそれとは違う。テーマや人間を描く哲学としてのキムギドクを痛烈に感じるといったところか。 つまり、私は魅了されている。 【JF】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-07-26 23:45:46) ★6.《ネタバレ》 この監督の表現の中心的な動機は暴力と性愛で、主人公の大半は社会の底辺に位置する社会不適格者である。物語は極端な設定の元、人間の醜悪な部分を露呈させ、悲痛な出来事が展開し、どんでん返しがあり、社会不適格者が神の如き存在に変容するという幻想的結末となる。その感情浄化が最大の魅力だ。そして随所に絵画、彫刻、水、魚へのこだわりと偏愛が見られるのも顕著な特徴だ。人物を甚だしく歪んで描くエゴン・シーレの絵の手法を映画に応用したものと考えればいいだろう。主人公は民宿女郎のジナ。非道なヒモの男に羈絆され、売春を強要されているように見えるが、諦念に達し、自分の運命を受容している。冒頭場面、猥褻雑誌の上からころげ落ちた亀が危うく自動車に轢かれそうそうになるのをジナが救うが、これはジナが性愛に汚れた男性の魂を救済する女神のような存在であることの象徴だ。但し、真の主人公はジナの民宿の娘、ヘミだ。彼女の変容こそが映画の主題。ヘナはジナと対照的に描かれる。年令は23歳で同齢だが、大学生で、性に対して潔癖で、恋人にも体を許さない上、男性の買春も是認しない。女らしさの象徴の髪は短く、豊満な肉体を固いシャツとジーンズで防護する。ヘナはジナを蛇蝎の如く嫌っていた。ヘナの恋人、弟、父親がジナと肉体関係を持つという悶着があり、両者は徹底的に衝突したが、一方で相互理解も生まれた。性愛の認識の違いを共有し、共に犠牲者であることもわかった。やがて、喧嘩友達に似た一種の友情が芽生えた。ある日、ヘミはジナの跡をつけた。本屋に寄り、カラオケをし、軽食堂で食事をし、ヘアピンを買う。相手は自分と変わらないと感じ、次は真似をしてみた。本屋に寄り、カラオケをし、食事をし、ヘアピンを買いと、同じ行動をすることにより、親密感が湧いた。その様子をジナも観ていた。ジナの自殺未遂という事件を経て、二人は姉妹のように仲良くなった。そして、ヘミは自ら売春に身を投じるようになる。それは、ジナに対する贖罪の意味があり、自己を犠牲にして性愛で男性を慰安する行為に対する崇敬のような想いが生じたからだろう。聖書の売春の傍観的批判者から、グラナダのマリアへの変容である。が、あまりにも理想的すぎて感情移入できない。売春はもっと悲惨であろう。金魚は海で生きていけないのを監督は知っているのだろうか?知っているのなら、自由は短いという比喩となる。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-10-20 21:00:14)(良:1票) 5.《ネタバレ》 どろどろした人間関係。修羅場につぐ修羅場。救いようのない悲劇。売春婦で生計を立てる一家の異常性。もうギドクワールド全開。 真っ当なはずの長女よりも売春婦の方をある意味魅惑的に描いている辺り、観客の倫理観を揺さぶってきます。この売春婦、確かに悪い女なのですが、それよりも悪いのはあの一家だろうと思ったのでした。あんな声筒抜けの薄い壁の部屋で毎晩情事させて、童貞の長男が平静でいられるはずがないだろうと。それでいて、関係を持ったとばれるやいなや、大事に育ててきたのに!とキレる母親。そりゃあないだろうと思ってしまった。ほんと救いようがないです。でも、後半はその長女が人が変わったかのように売春婦に対して理解がでてきてほのぼのとした展開になったのは良かったです。悲劇がさらに連鎖しかねない勢いだったので。 あと、前作に続いて鯖が登場します。鯖を見ながら家に壁画を描いているという・・・この監督はよっぽど鯖が好きなのか?いや、きっと意味があるんでしょうな。鯖は暴力への起点であり、金魚は内包的な心情を表しているみたいな。凡人にはわかりませんが。 【ヴレア】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-08-13 08:04:29) 4.《ネタバレ》 冒頭、雑踏の亀を優しく水に戻す娼婦。亀を男性の象徴として、女を聖母だなんていうつもりは無い。男もそんなに弱かねえって・・・あれ?大事にするなんてそんなの男のロマンチックな幻想か?どこ吹く風の女と女、あーつれぇー、もう男やめたい! 【長谷川アーリオ・オーリオ】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-09-14 05:16:33) 3.《ネタバレ》 【珍説】他作品のネタバレ禁止なので、ちょっとレビューが難しいのですが、この映画、裏『タイタニック』なんじゃないかと。ギドク監督が『タイタニック』を見て「ソーデナイダロ!」と作り出した世界。部屋に貼ってあったディカプリオのポスターと、エンドクレジットの水の中から見上げるショットを見て、ハタ!と気付いたんですけど。この作品においては男はあくまで女の中に内包される、ちっぽけな存在でしかないのです。救い出されるのは女ではなく実は男の方だと。『タイタニック』と符合する部分、ネガになってる部分を考えてみて下さい。貴族令嬢と娼婦の違いを始めとして、んー、あとは『タイタニック』のネタバレになってしまうのでアレなのですが、色々と繋がる部分があったりするんです。ギドク監督なりのおとぎ話、といったところでしょうか。男の悲しい性ゆえに男は決して女を越える事はできないのです。 【あにやん🌈】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-12-20 01:45:37)(良:1票) 2.《ネタバレ》 『サマリア』(2004)、『受取人不明』(2001)、『悪い女 青い門』(1998)、『悪い男』(2001)と観てきて気づくことに、キム・ギドク作品には必ずといっていいほど売春婦が主人公級の位置を占めていて、しかもこの売春婦がきまって天使なのだ。そういえばドストエフスキーの『罪と罰』もそうだったが、新約聖書の思想、悪人や売春婦のほうが普通の人間より先に神の国に入るという思想に根ざしているのかもしれない。とすると、キム・ギドクの売春婦はマグダラのマリアなのだ。 【goro】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-10-25 03:58:22)(良:1票) 1.なんで「悪い女」なんてタイトルかぶせたのかな、「青い門」良いタイトルだと思うんですけどね。売春宿における売春婦と売春宿の娘との感情の絡み合い、物足りない気がする部分もあるけどこんなもんかな。 【亜流派 十五郎】さん [ビデオ(字幕)] 5点(2005-12-24 09:48:11)
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