みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
89.《ネタバレ》 マフィアでもない、ただの営業マンだった老人が、隣人のためにここまでするだろうか(兵隊だったとはいえ)・・・。普通に考えればこういった感想になるのかもしれない。だが日本人はこういった「任侠道」に憧れを持つ。ヤクザやマフィアが現実でしていることを考えると、こういった憧れを持つ一般人は被害者側であり、被害者側が加害者側の生き様に憧れるというのはバカバカしい話であり、矛盾している。話が逸れたが、この映画の主人公は「カタギ(一般人)」でありながら、任侠道を示した。だからこそ私はクリント・イーストウッドに感情移入できたし、憧れもしたのだろう。 【あるまーぬ】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-07-22 17:51:51) 88.この映画の主人公の生き様は、昔「不良」と呼ばれたことがある人じゃないと理解できないかもしれません。 全然合理的では無い、自分の信じる「スジ」を通すことに異常なくらいの拘りをもって 他の人の価値観や倫理観を押し付けられることを頑なに拒む。そのくせ面倒見がよく、情に対しては義をもって応え 見返りなどは期待せず 粋で意固地で頑固な「漢」(おとこ)。 ひょっとするとこの映画は最後の「任侠」映画なのかもしれませんね。 「クローズ」や「ドロップ」も良いけど ファッションじゃない「不良」の映画として 若い人にも是非観てもらいたいと思いました。 今の日本人の俳優さんで この役を演じられるのって 誰がいるだろう・・。 【0707usagi】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-07-20 09:37:45)(良:1票) 87.《ネタバレ》 クリントイーストウッドの映画をほとんど観たことがないのに、こんなにカッコ良く死なれたら、もう他のイーストウッド映画をまともに観れなくなりそうじゃないか!チクショー、カッコ良すぎる・・・ 【たいがー】さん [映画館(字幕)] 10点(2009-07-04 15:53:28) 86.《ネタバレ》 流石の出来でした。素晴らしい。青年の大人になる為の成長と、妻を失った老人の人生の終わらせ方と、人種の違いによるわだかまりを乗り越える様を同時並行して二時間で描ききるのは普通の監督ではまず無理でしょう。 クリント・イーストウッドはこの映画で引退するらしいですね。本当に惜しい人ですが……。 【民朗】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-07-03 10:28:59) 85.《ネタバレ》 コワルスキーの設定はよかった。愛する妻に死なれた頑固老人。頑固すぎて息子や孫からは愛されていない。神父にも毒舌を吐く。朝鮮戦争で殺人をしたことが心の重荷になっている。血を吐き、残り少ない人生。こんな老人が、隣に引っ越してきたアジア系(モン族)の子供たちを交流することで人間味を取り戻してゆく。子供(タオ)も老人を師として仰ぎ、成長してゆく。この辺りの描写はうまいです。ユーモアも効いています。だめなのは、悪人たちの設定が安易すぎること。タオやスーと親戚なのだから、強姦はしないでしょ。強姦されて、顔がボコボコにされているのも不自然に感じました。(強姦シーンを映さなかった良識は認めます)このような場合、警察に連絡して逮捕すればいいですね。家に自動小銃を打ち込んでますし。立派な殺人未遂です。そもそもコワルスキーが太った不良を殴ったのに激怒したわけですから、コワルスキーを襲うはずです。どうして隣家を襲ったのか、不思議でなりません。コワルスキーはわざと丸腰で乗り込み、自分を撃たせますが、それが本当の解決でしょうか。命を粗末にしているとしか思えません。余命いくばくもないから、許されることでもないでしょう。英雄行為には見えませんでした。死んでも家族には愛されないままというのもまずいです。タオに車をあげましたが、別の不良グループに脅し取られるのが落ちです。またヘタレのタオが、強引なまでに復讐殺人しようと主張するようになるのも違和感がありました。別キャラになってしまっています。ところで、コワルスキーが銃を突きつけたのはモン族不良グループではなく、黒人グループでした。ですからラストのライターを取り出すシーンの伏線にはなっていません。この黒人グループをそのまま悪役にすればよかったのに。細かいことですが、タオはどうやってコワルスキーの車を盗もうとしていたのでしょうか?キーなしで発車させる方法を知っていたとは思えませんが。途中までよかったのに残念です。相手を殺すか、自分が死ぬかしか解決がないはずがありません。たかが不良グループのために命を犠牲にすることはないでしょう。 【よしのぶ】さん [映画館(字幕)] 5点(2009-06-30 23:05:12)(良:5票) 84.くそったれ頑固じじいの映画です。西部劇なら、怒りに燃え復讐に走る主人公を無条件に応援する自分が、現代劇だとそうではないことに気づかされました。私にとって、何が何でも金を払って見なければならない物語、というほどではありませんでした。ドラマの中の汚い言葉や暴力は、自分の日常に求めるものではないので、拒否反応があったからでしょう。しかし、イーストウッドの旺盛な創作力には脱帽です。 【ジャッカルの目】さん [映画館(字幕)] 5点(2009-06-22 23:47:18) 83.《ネタバレ》 まさに“傑作”だ。 見事に“生と死”が描き込まれている。 このような難しいテーマを肩肘張らずに、平然かつ軽妙にやってのけてしまうことに、イーストウッドの恐ろしさを感じる。 ベテランの卓越した味というよりも、何かを悟ってしまったかのような境地に到達してしまったのではないか。 「生きるとは何か、死ぬとは何か」ということをイーストウッドは我々に教えてくれたばかりではなくて、「“男”とは何か」ということまでもが描かれている。 タオや神父同様に、半人前だった自分が本作を見ることでちょっとだけ一人前の“男”に近づいたような気がした。 本作風にいえば、イーストウッドに対して“とんでもねえ、ジジイだ”と最大の賛辞を与えたいところだ。 「チェンジリング」の際にも触れたが、イーストウッドのことはそれほど好きではなかった。 本作を見るのがこれほど遅くなったのも、強いて見たいとは思わなかったからだ。 イーストウッドの作品は、どれもこれも素晴らしい映画だとは思うが、自分にはその良さが素直には理解できなかった。 何度か見れば良さは徐々に分かってくるが、初見では何も感じられないことが多く、苦手としている超一流監督の一人だった。 自分が変わったのか、イーストウッドが変わったのかは分からないが、「チェンジリング」のときから、彼の素晴らしさがだんだんと分かるようになってきた。 他のレビュワーも語っているが、恐らくイーストウッドが変わったのではないか。 本作は「許されざる者」と“対”になるような作品と思われる。 完全には覚えいていないが、似たような展開のような気がする。 しかし、“結末”が大きく異なっている。 “年齢”や“時代”とともに彼は変わっていったのではないか。 イーストウッドだけではなくて、本作のコワルスキーも徐々に変わっていったことがよく分かる。 蔑視していた隣人や青二才の神父を受け入れるようになっていった。 誰もが変わることができる。 コワルスキーはあのチンピラギャングたちでさえも変わることができると思ったのかもしれない。 もちろん、我々も「イーストウッドが教えてくれたような男」に変わることができるのではないだろうか。 【六本木ソルジャー】さん [映画館(字幕)] 10点(2009-06-14 03:00:25)(良:3票) 82.《ネタバレ》 見終わった後のこの気持ちは一体なんだろう。充実した脱力感。切なくも穏やかなこの感覚。まだ若者であるはずのこの僕が、高い崖に立って人生という名の峡谷を達観する老人のような気持ちになっていた。 【あろえりーな】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-06-11 22:32:23)(良:1票) 81.《ネタバレ》 哀しく心地よい余韻、とでも言うのだろうか。とても完成度の高い映画でした。印象に残っているのは、吐血の検査結果を見ながら息子に電話したシーンです。あの局面に、ウォルトのこれまでの人生と生き方が象徴されていました。生死に関わることなので、肉親にだけは伝えるべきかと思って電話をしたはず。でも、肉親にさえ、自分の弱みを見せるようなひと言が切り出せずに受話器を置く。あれは突っ張って生きて来た代償なのだろう。今さらそれを覆すには、頑固な生き方を貫き過ぎた。でも、後悔はしたくない…。その想いがラストシーンへ繋がって行きます。あのラストシーンは一種の自殺です。病気が進行しても、肉親の世話になるような自分を許せなかったのだと思います。タイミング良く、自らの命を差し出すことで助かる友人がいることを天佑とした最期だった。自分は自己犠牲では無く、若者たちの未来に自らの転生的な希望を重ねていたのだと思います。それがグラン・トリノを贈った意味でしょう。そのラストシーンは、同時に演技者としてのフィナーレでもあった。過去に数え切れない程の弾丸を放ってきたイーストウッド。だから今作でも、最後は「make my day」を炸裂させるのかと少し期待していたのだけど、実に見事に裏切られました。拳銃を持たないことで、かえって誰もが「ハリー」を始めとした過去の出演作を意識したのではなかろうか。その回想自体が俳優イーストウッドへのカーテンコールであり、そして、あの「自殺」はイーストウッドが表現してきた正義や勇気と同じ底流を踏む表現だと思います。見事でした。 【アンドレ・タカシ】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-06-11 02:47:44)(良:1票) ★80.《ネタバレ》 映画としてとてもいい出来で、見応えがあり、佳作だと思います お薦めします 以下ネタばれあり これから見る方は見てからお読み下さい 見終わった直後は9点の評価だったのですが4、3日して7点に評価を下げました それは 最後に「闘った」相手が町のチンピラギャングたち 主人公の老人が恐くて、腹いせに銃を家に撃ち込んだり 林家の姉弟を襲ったりするような、こどもたちであり、 拳銃を持っても、手が、震えているような連中だった 立ち向かうのが巨大な圧倒的な的な悪ではなく 大の大人がこんなこどもたちを相手にしていていいのとも思えてきた 妻の死後どう生きていいか、 死場所をさがしていた老人の気持ちはよく描かれているが 相手にさせられてしまった少年たちはあわれでもある こんな連中は死んだ方がいいという思想が 殺すことと結びついていない展開は物語として素晴らしいが 相手の卑小さが悲しくもある これで7点に下げた しかし アメリカンヒーローの終焉がかっこいいものとしては、終われない アメリカンヒーローは現代社会では卑小な相手ぐらいしか倒せない それが現代であると 意図して描いたのだとすれば10点を献上したい 【やわらかなひかり】さん [映画館(字幕)] 7点(2009-06-08 23:34:11)(良:1票) 79.《ネタバレ》 この映画の素晴らしさは皆様が語って下さっているので、ウォルトを殺したチンピラについて私なりに思うところを。私はウォルトが彼等に「罪を犯せば罰がある」事をきっちり示したのではないか、と感じました。彼等も差別の犠牲者なのでしょう。白人が拳銃をもてば、こっちはマシンガンをもてばいい。社会に虐げられてきたから社会に復讐していいんだ、と言わんばかり。ですがそれは幼稚なへ理屈。現に彼等は自分達を虐げた者ではなく、自分達より弱い者に牙を向けました。ラストでウォルトが彼等に言った台詞「同族の女を暴行し~」には「お前達は強者に沈黙し弱者をいびる臆病な卑怯者だ」という意味があったように思うのです。「人を殺した最悪さ」を知った彼等がどう変わっていくかは彼等次第なのでしょう。弱者を守るのは社会の仕事。でも、病んだ社会は常に強者に味方する。「大人には子供を守る義務がある」と大人になって気づきました。大人だって死にたくないけどタイタニックに乗船していたら、子供を押し退けて救命ボートに乗る訳にはいかない。残念な事に子供を押し退ける大人が多いのが現実;頑固で偏屈な大人に守られたタオとスーはきっと子供を守れる大人になれる。その未来に希望を感じるのです。御葬式や遺言の場で息子さんがタオを見ていましたが「お父さんの心を取られたみたいで少しくやしいかな?」と思いました。私の観た映画館ではエンド~の途中で席を立った人は一人でした。 【果月】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-06-08 13:10:10)(良:3票) 78.《ネタバレ》 いつもながらイーストウッドの作品の重厚感は凄い。 【osamurai】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-06-08 00:48:41) 77. イーストウッドの映画はたくさん見てきましたが、これは秀作ですね。後半になってくるとある程度ストーリーが読めてきますが、ラストは私が予想していたものとは違っていて「そうくるかー」とうならされました。お薦めです。 【海牛大夫】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-06-07 00:04:32) 76.一言でいうと巧い。うまい。万人受けする映画でした。そういう意味では置きにいってる感じがする。でもこれは批判のための批判(笑) 全面的に褒めたくないっていう自分のあまのじゃくな所です。 ただ、もともとイーストウッドはどこか人を信じられないような厭世観というか、無常観というか、皮肉で暗い感じがあって、「ミスティックリバー」や「ミリオンダラーベイビー」はそこが好きだったのに、これは意外とどストレートにきましたね。実際ちょっとうるっときちゃったしなぁ。自然に感動させられるのはすごい。 何より全編にちりばめられたユーモアとかっこよさ、「わかってんなぁ」と唸らされます。イタリア人の床屋とのやりとりとか、おばあちゃんとのやりとりとかね。あの辺も観客というものを知っているし、下手なコメディ映画より数段上。 タオとの交流もほんと今思えば「あるある」という感じで、特にラストの閉じこめるシーンなんて「うわっ」っていうくらい既視感がすごいんだけど、しかしそれを自然にやってのけるのがイーストウッドの手腕なんでしょうね。ラストもきれいだし。 でもイーストウッドが銃を持ってにらんだりするのはずるいよなぁ(笑) ダーティハリーらへんのイメージをそのまま持って来ちゃってて。これがかっこいいし迫力あるんだもん。 矛盾した表現かもしれないけど、これは普通の傑作です。また私見ではあるけれど、隣の家族が中国系移民である必然性は全くありませんね。ただこれが普通のアメリカ人だったらこの作品はここまで評価されなかったでしょう。その辺も「うまい」と唸ってしまう一つの要因ではあります。 この完成度、正にイーストウッド監督の集大成といっても過言ではない傑作だと思います。 【Balrog】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-06-03 14:12:44) 75.《ネタバレ》 いやー素晴らしい映画でした。イーストウッド渋すぎます。切なくもあり、心温まるラストの余韻が良かったです。 【ギニュー】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-05-31 19:59:14) 74.普通、映画館で映画を観ると、最後のエンディングテーマやクレジットが流れ出したら、お客さんはソロソロと帰り始めるものだけど、この映画、流されるエンドクレジットの大部分が終わっても、満杯のお客さんは誰一人として席を立っていなかった。何十年も映画を観てるがこんなん初めて。もともとイーストウッドの映画は、本当の意味での「先進性」などとは関係のない映画なんだけども、でも観客をその気にさせるのがすごくウマイ! 【メロメロ】さん [映画館(邦画)] 8点(2009-05-28 23:40:43)(良:1票) 73.《ネタバレ》 コワルスキーの大団円のシーンでは、ダブついたジャケットを羽織っていることから、 まさか、まさかと一瞬「荒野の用心棒」を想起しましたが、さすがにそれはありませんでしたね。 わかりやすくて、感情移入しやすい、いい映画だったと思います。 ハリー時代からの大ファンですが、アメリカ万歳の王道をいくかのようだった彼が ここにきて「戦場からの手紙」やこの映画のモン族との関係等、アジアに眼を向けるようになるとは想像もつきませんでした。 それにしても米国人は玄関ポーチが本当に好きなんでしょうね。 社会と対峙し、自分の位置を確認する上での重要な場所ということでしょうか。 【風神】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-05-26 23:17:52)(良:1票) 72.《ネタバレ》 こんなにもスラッとしてて、堂々と立つ老人が他にいるだろうか。 クリントさん演じるウォルト氏は偏屈で頑固なクソジジイながらも、はんぱない哀愁が漂う。しかし、やはり優しい人々には強く出れず、彼のウーッという唸り声に愛嬌を感じ、男同士の会話に粋を感じ、このジイさんかわいいナイスガイじゃないかと、和みムードにニヤニヤ。 しかし、コメディタッチから一変、終盤は現代劇とは思えない西部劇臭が漂う。 怒れ!無敵のガンマン!悪党どもに鉄槌を! と、やはりどこかで予定調和で爽快な西部劇的クライマックスを求めていた僕は、最後にこの映画が現代劇だということを思い知らされてしまったのでした。 若者には未来があり、未来は若者ものだ。俺の時代は終わったと言い残したかのようにして、イーストウッドは永遠になったのでした。合掌。 これで次回作、自分主演の西部劇撮ったりしたら笑うけど。 【すべから】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-05-26 13:35:51)(良:2票) 71.《ネタバレ》 「贖罪」と「命の清算」という言葉が、私の脳裏に焼き付いている。この映画には、嘘がない。 この世から差別は無くならない。侮蔑は人間の真理でもある。偽善は欲望の恰好の隠れ蓑になる。誰の心の奥にもある感情であり、消すことは出来ない。人々は軋轢を生まず平穏な社会生活を送るため、それらを露見しない。 主人公のウォルトは、悪い人・物・事に対しては嫌悪感を露にして皮肉たっぷりに断罪するが、その逆に対しては素直に評価して敬意を表する。善悪の分別が付いているからこそ出来る芸当であろう。善悪の境界線が曖昧になった現代人には、見て見ぬフリをするしか逃げ道が無いのだ。 ウォルトは恐らく、妻が死んだ時点で自らの死に方を探していたのではないか。彼は戦争での行為を長い間悔い、その罪と罰を背負い続けている。彼にとって問題なのは「命令されずとも進んで殺していた」こと。それでも彼が生きてこられたのは「俺は世界で一番の女と結婚した」と豪語する妻の存在があったからこそだろう。しかし、その妻が世を去り、病魔も身を潜め、生きる意味が最早「無」に等しいと感じた彼は『死に方を探す為に生きていた』のではないかと思う。 そんな時に出会った隣人たちに当初は差別と偏見しか抱かなかったものの、次第に心が通じ合っていく。「どうにもならない身内より身近に感じる」と言う彼の表情には、なぜか悲しみの色は見えない。 深まる少年との距離や交流は、疑似の父子関係に似たものがある。”息子と上手くいかない父”による”父がいない息子”への、最期の子育てなのかもしれない。しかし、いつの世も社会の屑は存在し、人々を脅かし、牙を剥く。誰も予想しない最終手段に出たウォルトの行為は、まさにキリスト教における『自己犠牲の精神』だ。彼は最期の最期で、自らが背負い続けてきた罪と罰を命を以て清算し、神に赦されたのだ。ライターに火を灯そうとしたのは、一つの命<ウォルト>が終わると同時に、新たな命<タオ>が芽吹く瞬間でもあったのだろう。 ウォルトから譲り受けたグラン・トリノに乗るタオの表情は、切なくも優しい。一世を風靡した車の持ち主の魂と意思は、きっとこの少年に受け継がれたはずだ。この映画に出会えたことに、私は心から感謝を述べ、最大の賛辞を送りたい。 【港のリョーコ横浜横須賀】さん [映画館(字幕)] 10点(2009-05-25 13:45:06)(良:3票) 70.映画紹介のサイトでは「車を盗もうとした少年との交流」といったことが書いてあって、クリントイーストウッドの映画だからということで期待していた部分はあった。こんな人が身近にいたら少し迷惑だなと思ってしまうような偏屈な老人が心を開いていくというところは予想通りではあったが、最期はああなるとは思わなかった。不覚にも久しぶりに映画館で涙を浮かべてしまった。このラストを踏まえて思い返してみるとああこんな伏線があったんだなというところが数々あって、この作品を映画館で見られたことを本当によかったと思う。 【HK】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-05-24 20:12:44)
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