みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
6.《ネタバレ》 このところ『ジャンゴ』『フライト』『世界にひとつのプレイブック』『バチェロレッテ』と立て続けに「激しく極端な性格付けをする事で人間性を際立たせる映画」を見てきたところに、その正反対に位置するかのようなこの映画を見られてホッとひと息つけたような感じです。 世之介は彼なりの個性を持ってはいるけれども、人と違う特別な能力がある訳でも、何かが極端に秀でている訳でもなく、それでも彼と触れた人達がなんとなく幸せな気持ちになって。それは映画を見ているこちらまで巻き込んで。 冒頭からしばらく、世之介という人物を疑って見つめ、彼のちょっとイタい感じになんだか恥ずかしさを覚えたりします。だけど、彼の暮らす日々に寄り添ってゆくうちに「あ、こいつなんかいいヤツじゃん」って。人が世之介によって得られた幸せ、世之介が感じた幸せ、それをこちらも共有するような感覚に包まれて。 そして、だからこそ、それが過ぎ去った、戻らない日々であるという痛みが切なくて。 過去のシーンはちょっとノスタルジックに退色させ過ぎな感じもあります。80年代の半ば以降と言ったら、私の中にあるイメージはピカピカキラキラしたした世界、ほら、クルマだってカクカクした直線からオシャレな流線型へと変化した時代でしたし(映画には古臭いクルマばかり登場していましたが、実際はあの時代のクルマが最もオシャレだったと思います)。 でも、そうやって過去色に染めてあるからこそ、過ぎ去りし日々と16年後のシーンとの間に流れた時の長さ、重さを感じる事もできるのであろうとは思います。 俳優の個性をきっちりと捉えた160分、その長さが全く苦痛になる事なく、もっとずっと世之介とその周囲の人々に寄り添っていたいと思う、映画が終わってしまうのが残念な気持ちになってしまう稀有なひとときを過ごせました。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 9点(2013-03-15 14:53:02)(良:1票) 5.映画鑑賞後、なんとも言えぬ幸福感を感じた。その原因は物語ではなくおそらくはあまりに初々しく瑞々しい高良&吉高にある。ハンバーガーショップでの二人のやり取り中にけらけらと笑う吉高の頭に絶妙なタイミングで帽子が落ちてくる。監督はNGとせずにそのまま演技をさせる。ほとんど奇跡的な瑞々しさの発露はこういった撮影方法によって作り出されている。80年代のヘンテコな風俗描写がしつこいとか兄のキャラクターが大袈裟に過ぎるとかいらぬエピソードがあるとかといったマイナスはこの映画の場合、もうどうでもよい。また、兄の部屋を映し出す抜群のカメラワークだとか主人公の部屋の奥行きのある構図だとかといったプラス面ですらこの映画の場合はどうでもよい。ただひたすらこの奇跡の瑞々しさをにやつきながら賞賛するのみである。あきらかにオフレコの雪のシーンは見てるこちらがこっ恥ずかしかったが。 【R&A】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-03-13 14:29:30) 4.いきなり洗車中のフロントガラスだとか、いきなり漁師の顔のアップだとか、 意表を衝くシーンの繋ぎを用い、 それをそのまま意欲的な長回しに移行させて映画を持続させていく面白さがある。 その上、不意に時制の飛躍も織り交ぜて観客を映画に引き込んでくるので、 長丁場も飽きさせない。 明らかに撮影中のアクシデントと思しき出来事を そのままアドリブで活かして成立させている長回しショットの数々も、 作り手たちが映画を楽しんでいる事を伝えてくる。 真っさらな白い雪に足跡を刻印しながらはしゃぎ、 静かにキスをする高良健吾と吉高由里子。 そんな二人を見守りながら真上へと上昇していく、 まさに一発勝負のクレーンショットが見事に決まっている。 そうしたロングテイクにこだわり単調な切返しショットを極力制限していることで、 「祥子」「世之介」と楽し気に呼び合う二人の正対した切返しショットが 強さを増して迫ってくる。 その吉高の幸福な表情が、 カーテンにくるまって恥じらう彼女の愛らしさと併せて、素晴らしい。 『南極料理人』の監督らしい食事シーンの数々 (ステーキをバーガー風にしてパクつく吉高、 飄々とスイカにかぶりつく高良、 味気なさそうなカロリーメイトに長崎の豪勢な食卓など、、) も充実しており楽しい。 【ユーカラ】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-03-11 23:39:49) 3.《ネタバレ》 原作は未読、「南極料理人」を観て監督と脚本を同じ人が手掛けている事に興味を持ち、上映中の本作を観てきました、ふわーっとした作品ですね、世代的にほぼ同じなのでなんだか、そんな時代もあったなぁとノスタルジックな気分でした、ちょこちょこ伏線があり気持ちよく回収されています。長時間作品なので駐車券がいつもより金額設定が高いですと渡され、直前に長尺と知って気合を入れて観ました、確かに長いけど退屈することなく、終わってしまうのが惜しい気持ちになりました、不思議です。 【ないとれいん】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-03-09 10:41:13) 2.とても良い映画。 沖田修一監督まだ若いのにハズレ無し!なおかつどんどん上手くなっている。80年代の新宿などあれはCGなのか? 予備知識でダラダラの青春映画だったら嫌だなぁ~と思っていたが、15年後との時間を挟みながらのどかに、ほほえましく進む話に、”なるほどそういう感じで行くのね、それじゃあ普通だな”と思わせておいてから、後半入口での衝撃事実!これには参った。壮大な布石、世之介に関わった全ての人物のエピソードが涙腺を刺激する。 過去は青春の1コマで15年経ちそれぞれの道を歩んでいるが、ふと思い出した時の世之介の愛おしさは笑い、そして泣ける。 スイカを2つに分けるシーンの素っぷり(あれは演技か?)雪のシーンの印象と共に忘れられない映画になりました。160分は長くない。 【カーヴ】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-02-27 10:13:57) ★1.素晴らしい青春映画でした。 物語の舞台は、日本がバブル絶頂期であった1980年代です。 仕事に困ることはほとんどなく、経済成長がまだまだ見込まれ、携帯電話もインターネットも存在しない時代です。 街ではみんな「シャツをズボンをIN」で、看板には「AXIA」「さくらや」「コンバーチブル(今もあるけど)」、台詞として「ねるとん」などのことばがつぎつぎと登場します。 当時に青春時代を過ごした人にはきっと懐かしむことができるでしょう。 しかも本作は、それよりも未来の登場人物が「あのころ」を懐かしむ描写もあるのです。 青春を過ごした「あのころ」を思いだし、そのノスタルジーに浸れる、今の30~40代の方にはどストライクな映画なのです。 もちろんこの映画は若い方にもおすすめできます。 明るいキャラの高良健吾と、お嬢様を演じた吉高由里子のバカップルがめちゃくちゃ可愛いからです。 正確に言えばバカップルと言うよりは「友達以上恋人未満」な状態が続くのだけど、この2人のやりとりが微笑ましく、時には笑えます。 さて本作のネックとなるのはやはりその上映時間でしょう。なんと2時間40分あるのです。これでは観るのを躊躇してしまう方もいるのではないでしょうか。 しかし長さの主たる原因は、登場人物の動作や感情を細やかに描いたためであるので、その上映時間は無駄だとは思えません。 また中盤のシーンでは、「あること」を観客に気づかせる描写があります。 これがあるからこそ、横道世之介の青春をより見届けたくなり、2時間40分の最後まで飽きることがなく楽しめるようになっています。 映画全体を引き締める、素晴らしい「仕掛け」だったと思います。 本作では、輝かしい青春時代を追体験できるという、まさに映画でしかできない満足感を得ることができます。 役者のファンだけではなく、デートのチョイスにも是非! 【ヒナタカ】さん [映画館(邦画)] 9点(2013-02-24 12:04:59)(良:3票)
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