みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
★14.《ネタバレ》 ハイブランドのお家事情だわリドリー・スコットだわで画ヅラがとにかくゴージャス。役者も一流揃いだし、見た目の風格にうっかりパワー負けしそうになるけど、でも話はいかんせんゴシップ誌のネタレベル。品は相当に低い。 お金がありすぎるってのは骨肉の争いとセットなんですなあ知らんけど。 三十余年もの話を2時間強にぎゅうぎゅう押し込んだ割にはちゃんと要領を得てる脚本だとは思います。 感心しちゃうのは演者が実在の人物とすごく似てる、ということ。レディ・ガガなんてパトリツィアそっくりだもん。リドリー作品に呼ばれて光栄なこととばかりに、不名誉な女の役を嬉々として(?)怪演してみせたガガ。そうそうたる役者陣のなかでも怖じ気ず天晴れな仕事してます。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-10-08 23:24:01) 13.《ネタバレ》 グッチ歴史、お家騒動の悪女(グッチの女帝)を知ることができました。なかなか波瀾万丈な一族だったんですね。映画自体は結構上映時間が長いので、疲れますが、面白くない訳ではないが、面白い訳でもない…そんな感じでした。お家騒動の内容については、映画の後に見たテレ東BIZさんの方がわかりやすかったですね。 【はりねずみ】さん [インターネット(吹替)] 5点(2023-11-12 17:19:38) 12.《ネタバレ》 誰もが知るブランドであるグッチ創業家の、“事実は小説よりも奇なり”を地で行くようなゴタゴタ劇の映画化。グッチが世界的な企業であるにも関わらず同族経営でかつ株式非公開だったというのが一つのポイントだと思いますが、洋の東西を問わずファミリー・ビジネスには功だけでなく負の部分がつきまとうってことですね。現時点で我が国でも中古車販売と芸能ビジネスの同族企業が世間を騒がせていて、そう言う視点で観るとこの映画のテーマには感慨深いものがあります。 リドリー・スコットは20年前に映画化権を入手していたけどお約束のゴタゴタがあってようやく製作出来たそうですが、紆余曲折があった映画には苦労の割には報われないというジンクスからは逃れられなかった感がありますね。いや、錚々たる顔ぶれの俳優陣はみな熱演を見せてくれてますけど、オスカーにはなんと一つもノミネートされず、彼とは見抜けないぐらいの鬼メイクで怪演していたジャレッド・レトに至ってはラジー賞が授けられたぐらいですからねえ。特に稀代の悪女パトリツィアを演じたレディー・ガガはもう熱演を通り越して怪演に近いレベルです、その迫力には圧倒されました。アル・パチーノとジェレミー・アイアンズのグッチ兄弟としての顔合わせは貴重でしたが、どうも自分にはパチーノの演技の劣化が気になりました。あれじゃマイケル・コルレオーネがデブって歳取った風にしか見えないんですよ、この人こないだも歳にもよらず若い女に子供を授けたぐらいなんですからまだ(アッチの方は)元気、スクリーンでももう一花咲かせてください。笑っちゃったのは怪しい占い師役のサルマ・ハエック、この人グッチの親会社のCEOの妻なんだって、そりゃ出演できますよ(笑)。 夫殺しのパトリツィアはすでに刑期を終えて出所しているそうですが、製作中にパトリツィアは執拗にガガとの面談を希望したけど拒否られたそうです。現在もバリバリ活躍しているトム・フォードも含めて、こういう現存の人物を気にすることなく映画化しちゃうところが、腰抜けの邦画界ではマネができない海外映画界の強みなんだろうな。グッチ家自体はこの映画を非難しているらしいが、現在創業家とは縁が切れているグッチは映画撮影には非常に協力的だったとのこと。こういうところは『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』とは真逆ですね。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-09-20 21:40:08) 11.《ネタバレ》 GUCCIのお家騒動で暗殺にまで及ぶんですが、全体的にゆったり話が進んでいく。 背景や室内が美しくアートな画になってるとこがリドリー・スコットらしいなと。かつてリドリー・スコットのイギリスの自宅でハウスキーパーをしていた人の書籍を読んだことがあるんですが、彼は家中のドアノブなどの真鍮が常にピカピカに磨かれていないと気に入らないようなことが書いてあったと記憶してます。「ブラック・レイン」の撮影で来日した時に関係者から記念のお土産にもらった博多人形は納戸みたいなとこにそのまんま放り込まれていたそうな。 映画なんですが、アル・パチーノとジェレミー・アイアンズが遂に兄弟役で出演とか、ジャレッド・レトの怪演に、ふてぶてしくてどんなに着飾っても品のなさと生活臭が漂う感じでどこにでもいるイタリア系のおばちゃんみたいになってるレディ・ガガとか俳優たちを見るのがたのしい。ガガ様は意外と小柄だということもわかりました。 私が唯一買う海外ブランド品はフレグランスなんですが、20年以上前に専門店で見つけて即買いしたのがGUCCIのENVYで、HNにも使ってる。 映画を観てわかったんですが、トム・フォードがGUCCIで手掛けたフレグランスなんですね。ちょうど発売された頃だったんだ。 10年ちょっと前くらいから店頭では見かけなくなってほどなく製造中止、廃盤になったことを知りました。なんで廃盤?10年以上愛用しててかなり落胆。 最後に購入したものはいつものように使えなくて半分ほど残ってるけど、時間が経ちすぎてるから香りが変わっちゃったかも。 今、GUCCIに期待することはただひとつ、ENVYを復活してほしいってことです。まぁ無理だろうなぁ。 【envy】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-04-02 20:14:13) 10.《ネタバレ》 世界的な高級ブランド、「GUCCI(グッチ)」。その創業者であるグッチ一族の内紛とその過程の中で起きた3代目社長マウリツィオ暗殺事件を赤裸々に描いたサスペンス・ドラマ。主役であるマウリツィオを演じたのは若手実力派俳優アダム・ドライバー、彼の妻役には最近俳優業にも進出し始めた世界的アーティスト、レディー・ガガ。他にもアル・パチーノやジェレミー・アイアンズ、ジャレット・レトといった超豪華な面々が脇を固めております。監督は名匠の名をほしいままにする、リドリー・スコット。長いキャリアに裏打ちされたであろう、この監督のもはや匠の技と言ってもいい演出の冴えはやはり抜群の安定感。ただ事実を時系列順に追っただけなのに、最後まで淡々と見せ切ったところは称賛に値すると思います。登場人物も多岐にわたり、分かりにくい株取引の世界もちゃんと素人にも理解できるように整理して描いているところも好感持てます。何より、アル・パチーノをはじめとする役者陣の華のある演技合戦!新旧実力派が織り成す、まるでシェイクスピアの舞台劇を観ているかのような重厚なやり取りは見応え充分でした。ただ、内容の方は……、いたって普通。リドリー・スコットって良くも悪くも職人気質なのよね。どの作品もある一定のクオリティは保証されてるんだけど、どれも魂を震わせるような深いものはありません。「グッチという世界的ブランドにこんなことがあったんだ、凄いなぁ」とは思うものの、もう一度観たい、映画として手元に残しておきたいと思うほどの名作ではない。それが自分の正直な感想です。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 6点(2023-03-22 08:53:54) 9.栄光、名誉、権力の陰にこれだけの愛憎、裏切りがあるなんて。 【TERU】さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2022-10-04 20:30:26) 8.《ネタバレ》 世界のトップブランド「Gucci」の内部崩壊を超大物たちの手で恥ずかしげもなく描いた話題の作品。超大物監督リドリー・スコットと超一流俳優らてんこ盛りで制作された、まさに観客冥利に尽きる作品としか表現のしようがない映画でした。アル・パチーノ、ジェレミー・アイアンズ、ジャレッド・レト、アダム・ドライバー、そしてこの大物揃いの中で主役を務めるのがレディー・ガガと、終始ニンマリしっぱなしという状態です。 脚本もよく練られていて、グッチというハイブランドの商品と一生縁がない末端の素人衆が見ても悩まなくて済むよう、かなりシンプルかつ丁寧に作られていたという印象を受けました。話の本筋はレディ・ガガ扮するパトリツィア目線で彼女がいかにGucci家に食い込んでいったかという部分が描かれていて判り易いものです。株の話がシンプル過ぎて不自然だという意見も見られますが、確かにGucciの筆頭株主であることが物語上重要な駆け引き要素となっていますが株の仕組みにまでは言及されておらず、単純に「Gucciの筆頭株主」=「直系の家族である証明」という程度の認識でOKだと思われます。 ただ、これだけの超豪華俳優陣を使って非常によく作りこまれているにも関わらず、物語の起伏はいまいち盛り上がりに欠けるものとなっています。いえ、実際にはパトリツィアが壊れていく過程と共に物語は終盤に向け確実に盛り上がってはいくのですが、なんというか、、淡々とした印象を受けます。もしかしたらGucciというハイブランのイメージを意識した高貴な(抑えた)演出が裏目に出たのかもしれませんが、しかしながらアダム・ドライバー扮するマウリツィオが命を含め全てを失う流れは十分に見ごたえがあるもので、エンドクレジットの「1995年株式公開、現在人気が回復したGucciにはGucci家の人間は一人もいない」という言葉は何とも皮肉でした。個人的にはアル・パチーノ&ジャレッド・レト組のパートをもう少し見ていたかったという気持ちもありましたが、総じて良くできた作品だったと思います。 【アラジン2014】さん [インターネット(字幕)] 8点(2022-09-26 11:19:57) 7.《ネタバレ》 何だろうこのつまらなさは。株のやり取りに人間模様を織り交ぜた方式で、やりようによっては面白くなりそうなのに。 どうも薄い。どの人間にも深みや複雑さが見えない。実在の人物に対する敬意がない。 アル・パチーノ。アダム・ドライバー。最高級の俳優を用いているのに彼らの良さを引き出せていない。 株の話も、50%という単語が高頻度で出現するが、分かりやすさを優先したのだろうが、実際はそんな単純ではなかった訳だし、50%を強調しすぎて逆に薄っぺらな話になってしまった。 この映画を見るより、ぐぐって見つかるグッチ家の話を読む方が面白いし、時間の節約にもなってお勧め。 【ほとはら】さん [DVD(吹替)] 5点(2022-07-07 12:48:11)(良:1票) 6.《ネタバレ》 グッチ一族がこういう歴史になってたんだと本作で初めて知りました。 とても興味深かったです。富と名声はその人の本質を抉り出していきますね。 レディーガガが意外とよかったなというのが正直なところですが、 特に驚いたのはパウロ役を演じてたのがモービウスのジャレッド・レトだということです。 観終わってから知って、え〜!って感じでした。彼自身の演技も素晴らしいし、 現代の特殊メイクってほんとすごいなと感心。 【あろえりーな】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-06-03 17:58:38) 5.アル・パチーノ出演尚且つジェレミー・アイアンズ共演と来た日にゃ行かなきゃ。迷いましたが、行かずに後悔するのなら行って後悔したほうがマシかと言うことで駆けつけました。 ビヤ樽のようなお腹に「食べ過ぎですか?運動不足ですか?」目がテンになりましたが、兄弟の役柄での2ショットに「ありがたやありがたや」 更に咆吼シーンでの地鳴りのようなド迫力に「アル様~」 又、アイアンズの抱擁シーンでの開かれた手に「素敵~」 年甲斐もなくコーフン状態。大満足! 義理、人情、恩義の概念がゼロのお家の恥部が描かれているのですが、監督を始めとするキャスト・スタッフが超大物揃いと言うことで宣伝効果にもなるとグッチ側は映画化を了承したのでしょうか。お話的には「そういう事があったのですね」以上の感慨無く。 レディ・ガガのオスカー獲るかもしれないと感じた怪演ぶりも記憶に留まりそうです。 【The Grey Heron】さん [映画館(字幕)] 7点(2022-02-09 01:45:03)(良:1票) 4.《ネタバレ》 おそらく公開日の延期があったのだろうが、この巨匠の新作が矢継ぎ早にみられることは幸せなことです。イーストウッドがさすがに老齢による衰えを見せる一方、リドリー・スコットの映画にはまだパワーがみなぎっていますね。 今作も、豪華な俳優陣が(イタリア語なまりの英語という変な感じはあるけれど)圧巻の演技を見せる、重厚なドラマとなっています。The Counselorの時と同じように、ストーリー上の大事な事項(株券の無記名の件や、パオロ排除のくだりなど)をあまりはっきりと描かないので、すこーしわかりにくい部分はあって、このあたりはちゃんと説明してくれたほうがよかったのではないかな?と思いました。 レディー・ガガの演技は特によかったと思います。アカデミー賞とるのではないかな?上にも書いたように、イタリア語なまりの英語の演技というものをアメリカ人が変だと感じないのであればですが。 【アカデミー賞ノミネートを見て追記】レディー・ガガどころか、誰一人ノミネートすらされませんでしたね。やっぱり外国語なまりの英語なんてのは、アメリカ人にとっても妙な感じだったということでしょうか。 【Northwood】さん [映画館(字幕)] 8点(2022-02-06 16:23:00) 3.《ネタバレ》 約10ヶ月ぶり2度目観賞。リドリー・スコット監督、豪華俳優競演によるとっても濃厚な社会派サスペンス・ラブロマンス。ファッションブランドの元祖、グッチ一族崩壊の真相に迫る。主演は奔放な「宇宙人」レディ・ガガ。富と権力から破滅へ。グッチの妻の波乱に満ちた人生を体現。熱演というより怪演のアタシ。ちょっと優男で気弱な感じのグッチをアダム・ドライバー、グッチの厳格なオヤジをジェレミー・アイアンズ、グッチの強欲なオジキをでっぷり太ったパチーノ様。衝撃の結末。グッチの映画だけにファッション映画としても観れる。 【獅子-平常心】さん [映画館(字幕)] 6点(2022-02-05 03:45:24) 2.《ネタバレ》 まずは矢鱈と長尺なのですが、密度自体は決して低くないとゆーか間延びしてたりするコトもないし、結論的にはワリと全編通してダレずに楽しく観れてましたかね。どちらかとゆーと本来的には更にボリュームの有るドラマを何とかこの尺に押し込めた…てな方かとも思われ、むしろ(これでも)全体的に少し軽めの描写になっちゃってる…という気すらしましたです。重ねて、長尺ですが全然普通に「観れる・観切れる」映画ではあります。少なくとも暇潰しにはも~十分かと。 とは言え…そのレベルを超えて更に面白かった・中身が芳醇だった(深かった)かと訊かれたら少し答えに困る様な…とでも言いますか。鳴り響くこれ見よがしなオペラ楽曲の数々(その他も「如何にも」な70~80年代ポップス)が醸し出す雰囲気は好く言えばレトロ、悪く言えばやや古臭いといった様にも感じられましたが、内容の方もこれらに違わぬイタリア・オペラ的な「古典的」悲喜劇の如き様相を呈している…という有様で。登場人物とて、とにかくどいつもこいつもコテコテにおバカな小悪党で、そのあまりのステレオタイプぶりには「え、これ実話ベースとチャウん?」とやや驚き(疑問)を覚えずには居られませんでしたですよ。加えて前述どおり全体的に(実は結構)ダイジェスト的な展開運びにも感じられているので、コレが尚更にごく浅薄な人達の織りなす浮ついた薄っぺらいブラック・コメディ(しかも本質的にはあんまし「笑えない」ヤツ)にも見えてもーてた…とゆーか。なんつーか、つくり話だとゆーにはあまりにペラペラなんだケドも、逆に実話だとしたらあまりに唯々「惨め」な…てかね。少なくとも私には、何らか深遠な人間性(或いはそーいった人間性が形づくる傾聴すべき物語)を描いた作品には見えてませんでしたです。 ひとつ面白かったのは、英語作品なんだケドもみんなイタリア訛りの英語で喋ってて、体感はイタリア語映画にも思える…という一見イマイチ意図の分からない演出が施されていたのですが、中々どーしてコレが効果的だったとゆーかかなり「効いてる」様に思われたというコトですね。誤解を恐れずに言えば正直、なんか「イタリアっぽい」話かなあ~とも思ったりするのですよね(実際にそーだから当たり前なのかも知れませんが、だからごくそーいう風に見せかける…とゆーのがまた非常に効果的だったのかな、と)。 【Yuki2Invy】さん [映画館(字幕)] 5点(2022-02-03 22:47:02)(良:1票) 1.“GUCCI”を手にしたことも無い僕は、本作の鑑賞後、このブランドが辿ってきた歴史を取り急ぎググらなければならなかった。 それは、映画が描き出したストーリーの背景が分からなかったというよりも、“GUCCI”というブランドにまつわるあまりにも苛烈で悍ましい人間模様に対して興味を抑えることができなかったからだ。 「HOUSE OF GUCCI」 そのタイトルの通り、この映画は、壮絶にして残酷な“或る家族”の物語だった。 「事実に着想を得た物語」と冒頭にクレジットされていたが、エンドロールを迎え、この映画が描き出された顛末のどこまでが「事実」なのかと戸惑いと驚きを隠せなかった。 手にしたことがなくとも、「GUCCI」というブランド名は、無論世界中の誰もが知っている名称であり、個々人の趣向に関わらず、一つのステータスの象徴だろう。 そんな世界的ブランドの創業家において、これほどまでに衝撃的な御家騒動が巻き起こり、文字通りの“崩壊劇”を経ていたとは。しかもそれが、80年〜90年代という極めて近しい時代の出来事であることに愕然とした。 殺人という明確な「重罪」をも含めたこの壮絶なスキャンダルを、すべての固有名詞を実名で描ききる豪胆さ。 この手のノンフィクション的な物語に対するアメリカの映画産業は、常に意欲的で、その強さを改めて思い知った。 そして、当のGUCCIは、作品に対して“猛反発”をしているとは言うが、それでも間接的に許容していなければ、劇中のすべての固有名詞、そして必然的に映し出されるブランドの製品、デザイン、アイコンを使用することは不可能だろう。 そういう意味では、本作に対する現在のGUCCIの世界的ブランドとしての気概と、過去の歴史との“決別”に対する強い思いも感じる。 御年84歳の大巨匠リドリー・スコットのクリエイティビティは、衰え知らずというよりも、ここにきて益々冴え渡っているようにすら思える。 一つの家族における暗鬱とした人間模様を、いたずらに重くしすぎることなく、ドライに、ユーモラスに、エキサイティングに、圧倒的なエンターテイメント性を孕みながら創造している。 そこに集ったオールスターキャストも、華やかであると同時にあまりにも愚かな“親戚一同”を表現しきっている。 その中でも特筆すべきはやはりレディ・ガガだろう。 現実に起こったこの華麗なる一族の崩壊劇の中で、唯一無二の「悪女」として人々に記憶されているパトリツィア・レッジアーニという女性。 すべての“元凶”とされた彼女が主人公であるこの映画世界の中で、演じたレディ・ガガは、あらゆる意味で「支配」しており、圧巻の演技を見せている。 冒頭の登場シーンから、ラストの「グッチ夫人と呼びなさい」まで、表現者としてのその支配力は圧倒的だった。 最終的に紛れもない「重罪」を犯したこの女性に対し、擁護の余地はないだろう。しかし、すでに凋落の一途を辿っていたグッチ家にとって、パトリツィアという一人の女性の存在は、避けられない分岐点だったように思えた。 パトリツィアがもたらした功罪によって、結果的にグッチ家は崩壊したが、何かが少し異なれば、全く別の顛末もあったのかもしれない。 一族の崩壊の中心に存在した悲しき“夫婦”。 冒頭のシーンでは、燃え上がる愛情の赴くまま壁に叩きつけるような激しいセックスを見せる。そして時が経ち、今度は冷え切った愛情の表現として、夫は妻を壁に叩きつける。 彼らが見せたその“愛”の有り様は、あまりに無情で、心が締め付けられた。 暗殺の直前、あらゆるものを失ったグッチ家の男は、オープンテラスでエスプレッソを飲みながら何を思い、何を思い出して微笑んだのだろう。 あのセックスの激情に偽りは無かった。でも、どこかで何かを間違えてしまった。 それは、世界中のどの夫婦、そしてどの家族にも起こり得ることだろう。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 9点(2022-02-03 21:58:43)(良:1票)
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