みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
★1.《ネタバレ》 アメリカのアルバニア系住民の物語である。脚本兼主演の人物もアルバニア系で、実際に撮影場所のデトロイト都市圏ハムトラムク市で集合住宅の家主をしていた経験があるとのことだった。なお「セルビアン・フィルム」(2010)まがいの場面があるので苦手な人は見ない方がいい。 事前の印象としてはスキンヘッドの男が暴れるバイオレンスアクションかと思っていたがそういうものではなく、前半は主人公が入居者から家賃を取り立てて借金を返す話が延々と続く。後半は主人公が娘の危機に立ち向かう話になるが、犯罪集団に徒手空拳で対抗できるわけでもなく、身代金を工面する手段が多少過激になっただけだった。 あくまで非力な主人公だったが、しかし結果的に犯罪集団のボスを倒せたのは娘を思う気持ちの勝利と思われる。全てが終わった最後の場面で、当初から伏線的に出ていた電話を使ったのはけっこう感動的だった。特に面白くはないが安っぽくもない。 劇中社会では他人種や他民族と交じりながらもアルバニア人のコミュニティができていて、台詞に英語の字幕が出ていたのがアルバニア語の入った箇所と思われる。"Albanian hell is cold" の場面では、アルバニア人社会の掟(慣習法「カヌン」Kanunといったもの)による恐ろしい罰が主人公に下るのかと一瞬思ったがそういう展開ではなく、逆に最後は主人公のためにコミュニティが結束して始末をつけた形だった。 登場人物で最も邪悪な犯罪集団のボスは、アルバニア人かと一瞬期待させておいてそうではないとのことで、台詞の中で英語字幕の出なかった部分が本来の言語かも知れない。何語なのかは当然わからないが、参考としてボス役の演者は北マケドニア系とのことで、やはりバルカン半島の他民族(敵対勢力)という設定かも知れない。ちなみにボスが自分を「純粋主義者」と言っていたのは辞書的には意味不明だが、どことなく民族浄化をイメージさせる言葉ではあった。 アルバニア人にしても世界的には「アルバニア・マフィア」で悪名高いわけだが、この映画のアルバニア人は品行方正でなくとも極悪非道ともいえず、一方で本物の極悪人は他民族ということにして、アルバニア人=悪の印象を回避したのかと思った。製作側の立場として、アルバニア人を肯定的に描写しようとする映画だったらしい。 ラストの場面を見ると、これはもう駄目かと思うことはあっても、わが子を思えば頑張っていけるはず、という移民系住民の希望を語っているように思われた。 【かっぱ堰】さん [インターネット(字幕)] 5点(2024-05-04 10:53:15)
【点数情報】
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