みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
★3.《ネタバレ》 「婦系圖(婦系図)」。フィルムセンターで鑑賞。 マキノ正博(雅弘)の失われたメロドラマの傑作「白蘭の饗宴」。それに続くとされる恋愛映画の逸品。 文芸映画でセリフもやたら多いが、流石マキノの演出は退屈させてくれず総集編でもところどころの演出に恐れ入る。とにかく男と女の情景の凄味!そして謎のスパイ映画要素。 古川碌波と長谷川一夫の共演は「家光と彦左」も面白かった。 夜空の花火、祭りのにぎわい、響く花火の音、料理屋。 劇中で繰り返される火のイメージ。線香花火、煙草の火。 冒頭の軽快な会話、祭りの席で話す髭面の精悍な男。 男どもにからまれる女、腕を少し捻っただけで「あ痛い!」と本音がポロリ、荒々しさを見せる女の知り合いらしき。 一度は受け取るが、知り合いから慰めの金はいらない、自分で奪ってやる!と走り出す。 祭りでにぎわう町、仲間がリキに標的を教え、ゆっくりと近づき、「とん」、とぶつかり「気をつけろい!」と去ろうとしたら腕を掴んで捕縛。すった手をそのまま差し出させて「払っとけ」。男は一瞬解放されたようで、でっちの小僧さんと勘違いされて逃げるに逃げられないのだ。 植木を持ってきた駄賃の“お礼”に、逃げ場を失った男をあえて弟子にしてしまう、荒んだ心を優しく迎え入れてしまう、財布じゃなくて味噌でもすれとススメてしまう豪快さ。 奥さんは普通の客だと思って優しく御持て成し、男の告白、窓の手すりを掴んで煮るなり焼くなり好きにしやがれという諦めの態度。 事情が判明しても夫が連れてきた男なら大丈夫だろうと飯をススめる。飯を受け取り承知。 しかしところどころセリフのやり取りが面白い 「やい、殴るぞ」「逃げるわよ」の返し、5年前の出来事をまるで赤の他人のように語るやり取り、「未来で会え 未来で会ったら一生懸命縋り付いて離れるな 俺のような邪魔者に入られないように用心しろ」等々。 いつの間にか5年、料亭での思わぬ再会、襖で顔を隠す演出、手を掴んでうなだれ男泣き?する二人。 電灯を消した中で燃え尽きる線香花火の儚き一瞬の輝き、部屋に散乱したゴミが仕事の長さを物語る。 てい(鯛)の差し入れ、髪をリボンで結んだ女、結婚を隠さなければならない苦しみ、湯気の出る風呂場が物語る伏線。これらを盛り上げるであろうシーンがいくつかカットされていて飛び飛びなのが惜しい。 綺麗になった部屋、風呂をわかしていたのは・・・「もういい」。 散らかしておく方も悪いし、勝手に捨ててしまうのも悪い。昨日燃やして見せてくれた線香花火の印象の方が強い彼女。 奥さんがこしらえた座布団、弟分だった男にかつての自分を見て思わず殴ってしまう。 新しいタンスと茶碗、月夜、花が咲き誇る木々、散歩道での“おねだり”、蕎麦屋で食べる最初で最後の外食。この蕎麦屋は再び別れの前に過ごす場所として登場する。 黙って聞いていた男が「ぬうっ」と出てくる後姿よ・・・! 別れの列車、人込みを掻き分けて追うショットが繰り返される事でスピード感を出す。 後半42分の追い込み。 いつも芸者にうつつを抜かす男に酔って一言言いに行く男気、黙ってそれを聞き続ける男の真意とは。 髪結い、忘れられない男の花火を胸元に、闇夜につける線香花火、鏡に見る表情への反応が何とも言えない、それを見て髪結いを手伝う“母親”の表情、無意識の親孝行。 あの椅子に座って別れた日と男を思いだしもがき苦しむ、空風が悲しげに吹きすさぶ演出が凄い。 会話だけで語られ迫りくる病はちょっと違和感。倒れる描写もないし、なんかまだ元気に見えるんだよなあ。弱々しい声で喋るシーンは凄かったけどさ。 「行ってやれよ!」と叫びたくなるラスト。ふと聞こえてくる女の声、男の後ろでつぶやく幻、振り返ってももう・・・室内の電気も消える、かつて花を一緒に見た散歩道・・・。 【すかあふえいす】さん [映画館(邦画)] 9点(2014-06-14 21:58:03) 2.石灯籠が並ぶ月夜の湯島天神境内の風情が麗しい。夜霧の漂う中、軟らかなライティングで梅の花の白が美しく滲んでいる。ここで主税(長谷川一夫)がお蔦(山田五十鈴)に別れ話を切り出すのだが、梅の木の幹に沿った上昇~下降~寄りの滑らかなクレーン撮影が醸しだす情感が二人の芝居とシンクロし、絶品である。これと同じ移動撮影が第二部後半同じセットで反復されるが、全く同様のカメラワークが今度は逆に舞い散る枯葉と寒々しい風音といった差異を際立たせ、彼女の孤独をより強調する効果をあげている。また美術的見どころとして第一部クライマックスである新橋駅の場面も素晴らしい。駅全景から改札そしてホームの人込みまでを延々と横移動で捉えた美術セットのスケール感、エキストラの規模は実景ロケと見紛うほどであり、別れの場面を細かいモンタージュを駆使して最高潮に盛り上げる演出も圧巻である。映画版の独創であるラストも優れた照明技術によって情緒に満ちた名場面だ。 【ユーカラ】さん [映画館(邦画)] 9点(2009-04-05 23:04:36) 1.長谷川一夫をけなげに愛する女性を山田五十鈴が演じている。 これがミスキャストかどうかは微妙なところ。 ストーリー展開が緩慢なので、筋を追ってばかりいるとイライラしたが、最後まで観たら、なかなか良い後味を残してくれた。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2007-10-16 18:11:06)
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