みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
★3.《ネタバレ》 画面が暗いのと併せて、、ドキュメンタリー番組よりも淡々と話が進む感覚をどう見るかで評価が別れそうです。リアルなのは素敵なことですが、ちょっとエンタメ性に乏しい作品だと感じました。 まず申したいのはアメリカという国はベトナム戦争の失敗から何も学んでいないということ。そもそも911は90年代のアメリカのお節介精神が生んだ負の遺産だと思うわけで、いざ自国が標的にされたとたんにこのようなバカげた暴力(目には目を、、的な精神)で強引に自国ファーストにもっていこうとする国民性が、そもそも浅はかで危険を呼び込む自殺行為だといいたい。調べてみると(目には目を、、的な精神)は旧約聖書等にも似たような価値観が記されているようで、まあいわずもがな・・と言ったところでしょうか。。 これは銃理論と同じ理屈で、守るために銃を持つということはその銃で自分が撃たれるリスクが同程度発生してしまうという矛盾です。悲しいブーメランを自ら作りだしているだけにすぎません。CIAも本来であればテロを未然に防ぐための機関であったはずが何もかも後手後手で、、結果的にはただ単に傲慢な行動しか起こせていないのが厳しい。彼ら組織(=アメリカ自体)が頭がイイのは認めますが、IQの高さ故の傲慢さも目立ってしまっています。 24のジャックバウアーやスノーデンなども引き合いに出して判りやすく説明されていますが、それでも本作の結末は少々鼻につきます。結局、彼らの理論では今回の件は他人事だし綺麗事にしかなっておらず、オバマが認めたならブッシュを含め関係者は全員厳罰を受けるのが筋ですが、関係者は皆昇進していると締めくくっています。また、被害者に対して国家としては賠償していないという事実も、この問題の顛末を端的に表しているように感じます。いくら綺麗事を並べたところで、結局は自分らを正当化して終わらせただけの茶番劇にすぎなかったということです。 当時話題になったニュースの内側が見られたという意味では価値ある作品でしたが、エンタメ性に欠ける点を考慮すると少し厳しめの点数にせざるを得ないです。最後に、主人公ダニエル・J・ジョーンズ(アダム・ドライヴァー)の行動や理念は心底素晴らしい点を付け加えたいです。結局のところ、このような素晴らしい人物はどこの世界(どこの国)でもトップに座ることはないという教訓も含んだなんとも虚しい作品でした。 【アラジン2014】さん [インターネット(字幕)] 6点(2025-01-26 14:26:15) 2.《ネタバレ》 9.11の後、CIAが捕虜に行った拷問による尋問。前半はこの事実を明らかにしようと報告書を作成する様が、後半はその報告書を公にしまいとするCIAとの攻防が描かれる。内容については学ぶことが多かった。一方、映画としては淡々としすぎていて、めりはりがなくて物足りない。 【カワウソの聞耳】さん [インターネット(字幕)] 6点(2020-01-20 11:54:17) 1.国家の“隠蔽体質”は、現代社会においてはどうやら世界共通のようで。 冒頭主人公が発する「僕らの世界では紙は法を守るために使うんだ」という台詞が如実に表している通り、権力を行使する者にとって“危うい紙”、即ち「レポート」はそれを具現化することすらあまりにも困難であるという現実を突きつけられた。 それは無論、大国アメリカに限ったことではなく、今現在日本の国内メディアでも賑わっているように、世界中の政府で横行し続けていることなのだろう。(まあ日本のそれはこの映画の題材とくらべるとあまりにも低レベルだが……) 「9.11」を目の当たりにし、強い正義感を携えて政府の要職に“就職”した主人公が、CIAが隠蔽した悪辣な尋問プログラム(詰まるところ「拷問」)の真相を暴くため孤軍奮闘する物語。 上院の情報委員会に所属する主人公は、組織の指令のもと、ひたすらに調査を進める。 この映画がある意味特徴的なのは、主人公の描写は、本当に「調査」と「報告」に終始するということ。 もちろん、実際の調査を担当した職員が主人公であるわけだから、それがリアルなのだが、数多のポリティカルサスペンス映画の様に、主人公の身が何か暴力的な危機や恐怖で脅かされたりすることはなく、主人公の人間的な背景や出自がドラマティックに描かれるわけでもない。 それどころか、この主人公のプライベートは殆ど描かれず、秘密施設の一室に詰め込み、延々と調査を進める描写しか映されない。 「拷問」の真相を追究する主人公自身が、あたかも閉ざされた一室で「拷問」を受け続けているようにすら見えてくる。 この映画が終始一貫して描くことは、「正義」という概念のあまりにもあやふやな定義と脆さだと思う。 主人公はもちろん自身の「正義」を信じて疑わず、自らの職務を何とか全うしようとする。 だがしかし、それでは彼が対峙するCIAや、「強化尋問」という愚かで馬鹿馬鹿しい拷問を延々と繰り広げたエセ科学者たちは、果たして「正義」を掲げていなかったのか? 劇中では敢えてしっかりと、糾弾の対象であるCIAの管理職の面々や、科学者たちにも自らの「正義」を語らせている。 結局、この映画のほぼすべての登場人物たちは、「9.11」で明確に“破壊”された自国の安全に対して、それぞれの「正義」を掲げ、職務を全うしているに過ぎない。 この現実世界において、「正義」と対立し争うものは「悪」ではなく、「別の正義」だという誰かの名言に行き着く。 前述の通り、画面描写的には極めて地味で淡々とした映画に思えるが、現実のこの世界の愚かさに直面した心情的には、決して穏やかではいられなくなる。 「報告書を完成させるだけでなく、公表できる国でありたい」と、主人公のボスである上院議員は発言し、周知の通り「レポート」は公表に至った。 が、そこまでに至るのは、人的にも、タイミング的にも、やはり奇跡的なことなのだろうし、今この瞬間も、無数のレポートがシュレッダーにかけられ続けているのだろう。 そういう現実を、「無力だ」、「空しい」と諦めてしまうことは簡単だ。 たとえ微力であったとしても、この映画の様に、一つ一つの事実を詳らかにしていく姿勢こそが、この世界の最後の砦なのではないかと思う。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(字幕)] 7点(2019-12-20 19:01:45)
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