みんなのシネマレビュー |
|
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
★12.《ネタバレ》 1990年にイラン北西部で起こった大地震。 前作『友だちのうちはどこ?』の舞台になったコケールとポシュテの村も例外ではなく壊滅的な被害を受けた。 主人公役の少年の安否を確かめるべく、キアロスタミ監督とその息子が訪れた実体験を再現したのが本作。 震災から6か月後に撮影されたのもあり、 復興で瓦礫を片付けるシーンや幹線道路の渋滞シーンがセットやCG合成にはない生々しさを映し出し、 劇映画とドキュメンタリーの垣根が曖昧になっていく構成に唸る。 前作にも登場したジグザグ道への郷愁といい、再会した村人との会話が印象に残った。 「地震とは腹をすかせた狼で神の仕業ではない」 「映画は年寄りをもっと年寄りに見せるのが芸術なのかね」 「死んだ人が生き返れば人生を大切に生きるようになるでしょ?」 地震で家族を喪いながらもそれでも家事をこなさないといけないし、いつ死ぬか分からないから結婚を決めたり、 ワールドカップを観るためにテレビのアンテナを立てる。 ドキュメンタリー(現実)ならではの被災者が持つ生命力と、フィクション(虚構)ならではの魔法が詰まっている。 遠方に主人公役の少年を見つけたことを匂わせながら、タンクの男と協力し合って、 ジグザグな急坂をオンボロの自家用車で登っていくロングショットの長回しはまさに「そして人生はつづく」だった。 【Cinecdocke】さん [インターネット(字幕)] 7点(2024-07-23 21:45:17) 11.《ネタバレ》 前作「友だちのうちはどこ?」のロケ地が被災地になってしまった。地球上で無作為に度々起こる大震災は多くの人を絶望のどん底に突き落とす。それでも助かった人たちは復興に向け一生懸命人生を続ける。頑張って、負けないでと心から応援したい。何があっても人生がつづくように、最後の坂を登りきる寸前で終わるラストシーンがまた素晴らしい。 【ちゃか】さん [インターネット(字幕)] 8点(2024-01-28 12:23:11) 10.大地震で壊滅した村に向かうだけの物語。 ストーリー展開としては単調で退屈だけど、状況がわかってくると無事に辿り着けるか心配で見入ってしまう。 震災を描いた作品なのに悲惨さは全く感じられず、人々が淡々と復興作業をしているのが印象的だった。 多くの人が死んでるのにW杯の観戦が優先される国民性は興味深かった。 日本なら不謹慎だと叩かれて自粛しそうだけど、大変な状況だからこそ娯楽は必要なのかも知れない。 そして人生はつづくのだから。 【もとや】さん [インターネット(字幕)] 6点(2023-07-12 20:57:04) 9.《ネタバレ》 《ラストシーンにおいて》たぶん、丘の上を歩いている二人が彼らたちで、その生きている姿を確認出来たのだから もうノーエンジンで坂を下って戻るのかー と思いきや、それもありか、ある意味清々しいラストやなーー なんて思っていたならば、、、いやはや、とんでもなかった まさか、画面下からまたあの車が登って来るだなんて 一体こんなボーナスチャレンジのような本当のラストをこれ 一体誰が予測できるよ! は!? 参りましたね 最後にとんでもないものを魅せられてしまった。これは、偶然撮れた産物なのか 演出なのなのか 答えはどちらだっていいです。素晴らしい余韻。 【3737】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-10-16 14:16:29)(良:1票) 8.《ネタバレ》 『友だちのうちはどこ?』の主人公を演じた少年を探す、セミドキュメンタリータッチのロードムービー。 車が悪路を進んでいく映像は、臨場感があって面白い。 知らない人同士が自然と会話し、損得勘定なしに助け合う相互扶助の精神。 何かと人を出し抜く事ばかり考えがちな現代社会、この助け合いはとても新鮮に感じた。 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 6点(2021-09-10 20:29:40)(良:1票) 7.《ネタバレ》 キアロスタミ監督、やっぱりすごいです! 「友だちのうちはどこ?」も素晴らしかったけど、本作は「友だちの~」のクオリティーをさらに凝縮したような名作でした。 大震災の起きた地で、息子とともに少年を探し続ける様子を描いただけなのに、特にドラマティックな展開があるわけでもないのに、観終わったあとの満足感がハンパない! 悲劇や希望を過剰に演出しがちな凡庸な映画とは、立つ土俵が違うといった感じでした。 震災時の様子を、悲惨さ・重さを感じさせずに、でも臨場感たっぷりに伝える。これは映画作品ですが、マスコミの偏重報道よりよっぽど現実味を帯びています。サッカーのワールドカップ見るためにアンテナを立てる人のシーンがその象徴。震災を免れ、これからも生き続けていく人にとって一歩進む力とは、案外こういうものかもしれませんね。 急な坂道を人生に例えたラストシーン、ベタですがいいシーンでした。坂の途中、乗車拒否したおっちゃんが車を押してくれて、次はおっちゃんを車に乗せてあげる。出会った人々同士、心の温もりが感じられれば人生という険しい坂も上っていける・・・。 被災した人への応援メッセージ、こういう方法もあるんだなあ・・・と、あらためて映画の持つ力を思い知らされました。 【ramo】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2019-03-29 16:18:45)(良:1票) 6.まだ幼い息子を乗せて被災地に向かう1人の男。 最初は彼が何者かもその目的地も、何をしにそこへ行こうとしているのかも分からない。 1990年にイランを襲った大地震。 やがて目的地がコロルという壊滅的被害を受けた村であることがわかる。 そしてコロルを知っているという者に出会い、この少年を知っているかい?と差し出した写真。 写真の少年。見ている僕にも見覚えがあった。キアロスタミの代表作の1つにして 「ジグザグ道三部作」の第1作、「友だちのうちはどこ?」に主演していた、 友だちのうちを探して、村をさまよっていたあの男の子だ。 キアロスタミが「友だちのうちはどこ?」の舞台となった村コロルを訪ねて旅に出るストーリー。 作品の至る所に、タイトル通りの「そして人生はつづく」風景がいくつもあった。 子供や兄弟、身内を亡くしたという人々が多数登場しますが、 印象的なのは茫然として立ち尽くし、涙にくれている人が誰もいないということ。 男の黄色い古ぼけた車は舗装されていない坂道を苦しそうに上がっていく。 重い荷物を担ぎ、その坂道を徒歩で行く多くの人々とすれ違う。 時には彼ら被災地の人々から水を分けてもらい、時には坂道を行く被災地の人々を車に乗せてあげる。 支え合い、力強く生きる人々の姿がありました。 最も印象的なのはラスト近く、サッカーのワールドカップを見るためにアンテナを立てていた男とのやり取り。 「家族を亡くした人が大勢いるのにサッカーを見るのかい?」 「僕も家族が3人死んだけど仕方ないさ。4年に1回のワールドカップを見逃せないよ。」 そしてラスト。車はコロルに向かう最大の難所である急坂を、一度は駄目になりながらも再び力強く登っていく。 生きていると何度かは本当に投げ出したくなるような辛い坂道もあるけれど、それでも生きていかなければならない。 それはまさに「そして人生はつづく」という風景でした。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 8点(2019-03-05 17:40:22)(良:1票) 5.《ネタバレ》 これ日本で初めて映写されたアッバス・キアロスタミ作品だったと思う。『友だちのうちはどこ?』公開より前に東京映画祭で上映された。せっかくの国際映画祭なので、まず一般公開されそうにないイランの映画を選んで見たのに(一本千円)、やがて一般公開されて悔しかった。もちろんこの舌を噛みそうな名前の監督の作品公開が続くことになったのは歓喜したが。地震の被災地へ向かうロードムービーなんだけど、「悲惨」を描く場面が一切ない。明るさと暖かさ。理不尽な天変地異と向かい合ったとき、かえって見えてくる「人の生活の明るさと暖かさ」、それがそれとはっきり輪郭を見せてしまう一歩手前でスケッチしているようなところが、すごくいい。静かで穏やかなものとして。立ち小便する少年が、どうも広いところではやりづらく、細~い木の陰になってするユーモアでまず引きこまれた。壊れた店でジュースを買おうとするあたりのアレコレ。そういうロードムービーの中で目的地のコケルの町が聖地のように特化されていく、一種の巡礼のようになっていく。渋滞(『ウィークエンド』よりすごい)から脇道に入って、ますますコケルが聖化されていく。展開する明るさも、別に「息苦しい市民社会から解放された」なんてんじゃなく、そもそもそう窮屈な土地柄ではなさそう。この不思議な明るさを見るだけでも心ときめくフィルムだ。ロングで捉えた地割れもすごかった。これが初めて観たイラン映画だったが、イスラム臭が全然ないのに驚かされたものだった。のちに『友だちのうちは…』を観たあとで再見したら、また味わいが深まった。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-01-08 10:06:51)(良:1票) 4.3部作の第2部にあたる。大地震に見舞われた村(前作の舞台)をキアロスタミ監督が再訪する設定の中でフィクションとノン・フィクションが絶妙にせめぎ会うロードムービーの傑作。 大渋滞する幹線道路を父子の自動車が行く。車窓を流れていくのは半壊した家々、落石に押しつぶされた車、家財を背負い側道を歩く避難民。救急車両のサイレンやヘリのローター音の喧騒が生々しい。 同時にその被災の光景は引いたキャメラで捉えられるとき、混乱と悲惨だけでない大らかさと悠久の詩情をもまとう。同じく喧騒の音は、活気ある復興の槌音でもある。 村へ向かう車中、捕まえたバッタを逃がすよう父に叱られる息子が浮かべる何ともいえない表情や、優しい木漏れ日が揺れるオリーブ林の中であやされる赤子の無垢な顔、避難キャンプの水場で洗い物をする少女たちの可憐な佇まい、サッカーワールドカップ中継を受像するためのアンテナを懸命に立てている青年の笑顔、便器を持ち運ぶ老人の饒舌。 いずれもただ素晴らしく、失意と悲嘆を越えた生気と強かさに自ずと惹きつけられてしまう。 そしてラストの超ロングショットは象徴性が勝ちすぎながらも、やはり目を瞠る。 丘の上を目指し、遅々としながらも急坂を懸命に登っていく小型自動車の動きはキャメラからの距離に比例して人物との同化の度を増し、エモーションをかきたてずに置かない。 【ユーカラ】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2011-04-07 21:11:06) 3.もどかしい!ド田舎もド田舎、普段車なんて・って道に群がる車クルマくるま・・。目的の村にはナカナカ着かず(当たり前か?・笑)同乗する息子が居なければ、とてもじゃない。。『友だちのうちはどこ?』のじいちゃんにほっこりし、そして台詞にビビっ!!ハイライトはラストだと思う。俯瞰に見る坂と車。どこかファンタジーを匂わせる光景・・・題名通りの世界がそこにはあった。 【れこば】さん 7点(2004-06-11 11:27:41) 2.《ネタバレ》 公開当時、『友だちのうちはどこ?』と続けてみたから特に面白かったのだけれども、例の↓「ワールドカップの準決勝をみることの方が、死んだ者を悲しむより大事だ」と言い切るおじさんの逞しい笑顔が眩しかった。題名もいい。 【なるせたろう】さん 8点(2003-09-27 15:28:46) 1.1990ねんのイラン大地震の後、「友だちのうちはどこ?」を撮った監督が主演の子供たちの安否を確認する旅に出る。その経験を再現したのがホン作なので、映画としてどう評価するべきものなのか迷います。けれどあれだけの大惨事の後も淡々と花に水をやり、サッカーを観るためにテレビのアンテナをたて、冗談を交す。そういった人間模様が新鮮で力強く胸に迫ってきます。 【Rei】さん 7点(2003-06-04 18:37:23)
【点数情報】
【その他点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS