みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
★3.《ネタバレ》 たまたま劇場の環境でみる機会に恵まれたが、もともとはテレビドラマの再編集らしく、長い、長い、とにかく長い。主人公の佐分利信のペースがそう感じさせるのかもしれない。内容は渡航先の欧州(といっても昭和の重役旅行ですが)で死生観を見つめ直すのが主軸。死神役の岸恵子などベルイマン風で楽しめたが、これはいい意味で全編、佐分利信の加齢臭にどっぷりつかる映画です。しわがれ声や、おそらく熱をもってるであろう妙に厚ぼったい手のひら、そして髭剃り跡から匂ってきそうなきついオーデコロン。いえ、私は爺フェチの女性ではなく、単なる中年の男ですが、本郷のお屋敷風の主人公の家からも硯のような匂いが漂ってきそうだった。ただ、残念なのは、結末が夢オチ風で終わったこと。苦悶の最期と、主人公がみたであろう幻影を描写してほしかった。 【いそろく】さん [映画館(邦画)] 6点(2018-08-01 22:00:16) 2.《ネタバレ》 死生観を綴った作品であり、真っ向から「生」と「死」というものに取り組んだ内容の作品である。 自分がガンだと知った辺りから、「これは単に暗いだけの作品か?」と思ったが、ガンの手術に成功し、次は「なんだ、単なるハッピーエンドの作品か!」と思った矢先に、今度は「ガンの手術に成功したのに会社を辞めて浮かぬ顔」・・・という、死の病に対峙した人間が持つ複雑な心境の変化を細やかに描いており、なかなかの力作となっている。 主人公を演じた建設会社のオーナー社長役の佐分利信は、終始画面に出ずっぱりで、しかも3時間を超える長尺作品ということもあり、晩年の佐分利信をこれでもか!とばかりに堪能できる仕上がりとなっている。 1975年の作品なのに、杉村春子が出てきた時には感動すらおぼえた。 『午後の遺言状』の時は、ずっとサングラスをかけたままの演技だったし。 70年代以前の杉村春子を沢山観てきただけに、1975年の作品で、往年の杉村春子らしさが出た彼女をスクリーンで観られたのは、懐かしさをも感じることができた。 その他、若さと美しさの残る小川真由美や栗原小巻、渋み全開の宇野重吉や宮口精二などが脇を固めていて、キャスティング的にも満足。 そして何と言っても、神山繁! 最近の白髪でハゲた外見の神山繁しか知らない私にとって、黒髪をなびかせた四十過ぎの神山繁は、最大のインパクト、というか、正直笑いそうになった(失敬)。 内容に話を戻すと、3時間以上の間、ずっと「生」と「死」について、佐分利信が悩み、それを加藤剛がナレーションするという、極めて重い内容ではあるのだが、観終えた後は、自分自身も「これからどう生きていくべきか」、「死に臨んで何をすべきか」みたいなことを、映画館を出た後も考えさせられたりして、余韻を残す作品であった。 決して観ていて楽しい気分になれる作品ではないので、娯楽作品にしか興味のない人には、まったくオススメできない日本映画である。 一方で、映画によって深く感銘を受けたり、映画が自分の人生観に影響を与え、それにより色々考えてみる機会を得たいと思っている人には、是非オススメしたい重厚な日本映画である。 【にじばぶ】さん [映画館(邦画)] 7点(2010-03-13 20:14:11) 1.渋味だなあ。長い長い映画を見ながら、ときに「生きる」を思い起こし(おもに仕事について考えるとき)、ときに「野いちご」を思い起こし(おもに孤独について考えるとき)、ときに「ベニスに死す」を思い起こす(おもに夫人について考えるとき)。佐分利信の芝居は、その芝居くささが重厚さを生むのに、栗原小巻・滝田裕介・神山繁の芝居くささは、ただ芝居くさいだけなのはどういう違いなのだろう。枯れるってことの利点か、新劇俳優の宿命か。フランスでの想念と日本での結末との間にちょっとズレを感じる、日本に帰ってきて少し観念性が強まったような。でもおそらくそういうことを考える映画ではなく、老年の心象風景にひたることが眼目の作品なのだろう。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 6点(2008-01-25 12:22:32)
【点数情報】
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