みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
44.私が選ぶのではなく、私が選ばれること。それが『ノスタルジア』のテーマである。主体性が揺らぎ、否応なく突き動かされる。私の意志とは何か。その他者性とは。意識が朦朧とした眠気の中で、ギリギリの想像を働かせる『ノスタルジア』。その鑑賞方法は正しい。 精神と芸術は人間の意志から生まれるが、それは他者との邂逅でもある。意志による制御は失われ、私は他者に強制され、翻弄される。観る人にとって、それはある意味で「学び」と同じ。選ばれしことを受け入れ想像し理解し耐え学ぶ。言葉・世界を受け入れてこそ、その地平において、非言語的な感受、ある種の元型、ノスタルジアという領域がシンクロするのではないか。 【onomichi】さん [DVD(字幕)] 9点(2024-06-19 00:52:26) ★43.《ネタバレ》 中年の男性と女性が、旅をしているようなのですが、目的は明確に語られず、どこに向かっているのかわからないまま、何気ない会話と、光と影の強調された映像が続きます。深夜に見始めると寝落ちしますね。欧州の古びた建物の壁が印象的です。ただの汚れた壁の一言で片付けられない。風化した表面に、時が刻まれているのを感じます。結局何の話かよくわからないまま終わってしまいましたが。 【camuson】さん [DVD(字幕)] 4点(2023-03-14 18:45:05) 42.大昔しょぼい14インチのテレビで見た時に、今度は絶対映画館で見たいと思いました。未だその望みはかないませんが、VRゴーグル+映画館をシミュレーションするアプリで近い体験が出来ました。顔に少し違和感を覚える以外、目の前に広がる圧倒的な大画面での鑑賞です。 大画面だと、タルコフスキーの製作意図なんか考える暇もなく自分が映画の中に入っている感じです。主人公と同じ視点では決して無く、主人公の後ろに立って見ている感覚です。2次元の画面を遠く離れた所から見ているのではなく、登場人物やモノがとてもリアルに感じられます。景色は、ゲーテを鬱から回復させた眩しいほどのイタリアの色彩とは全く異なり、とてもイタリアとは思えません。 退屈というレッテルがよく貼られるこの映画なのに、あっという間に時間が過ぎていきました。形而上学的な会話を登場人物たちが延々と続けるインテリ風と異なり、小さなストーリーが次々と流れていきます。ふっと笑えるシーンや女性の裸すら出てきます。 ロシアの母なる大地とタルコフスキーの母への想いがシンクロしてできたこの映画、最近なにかと話題になる「ロシア的」とは何かを知りたいと思ったのが観た目的でした。イタリアではなくウクライナで戦争をしているロシア兵はロシアへのノスタルジアを覚えるのでしょうか。それともプーチンが主張するように同じロシアだと感じているのでしょうか。 【amicky】さん [インターネット(字幕)] 8点(2022-09-24 09:07:27) 41.とても綺麗で知的。 映像美は圧巻で故郷の哀愁は存分に伝わってきた。 ただ、個人的な好みでいえば娯楽を求めるしまうので暗くて寂しくて信仰は窮屈。 この映画を理解に達するにはソ連のイタリアの文学・芸術を勉強しなければならないと感じた。 【mighty guard】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2019-10-06 23:22:11) 40.《ネタバレ》 イタリアの中部地方の山間には、不可思議な町、あるいは村が存在する。それはまさに「存在」そのものだ。 アンドレイ・タルコフスキー監督の「ノスタルジー」が描くのは、幻想の「水」を辿る旅であり、タルコフスキー自身の、故郷ロシアへの郷愁が、主人公アンドレイ・ゴルチャコフの心象風景として表われていると思います。 ゴルチャコフは呟く。「この風景は、どこかモスクワに似ている」と。霧の漂う丘陵地帯。白い馬。佇む女たち。 そこには、動くことを止めた時が、うずくまっている。 かと思うと、深い谷底から生えてきた角のような台地に、ひしめきあって建つ、赤っぽい石造りの建物。 周囲を濃い緑の山々に囲まれた一握りの台地は、霧の切れる一瞬、幻想ではなかったかと、私は目を疑ってしまう。 しかし、確かに実在する土地なのだ。「ノスタルジア」の旅は、こうして、幻想の中でスタートする--------。 イタリアで、ロシアの詩人ゴルチャコフは、恋人のエウジェニアとともに温泉地を訪れ、世紀末の世を救おうと、ろうそくを灯して水を渡ることに執着する老人ドメニコと出会う。 エウジェニアは、ロシアへのノスタルジアにとり憑かれたゴルチャコフの、果てしない思案に耐え切れず、別の恋人のもとへ去ってしまう。 そして、ドメニコは焼身自殺し、残されたゴルチャコフは、ドメニコの遺志を継いで、ひとりで温泉を渡り切った時、力尽きてしまうのだった--------。 タルコフスキーにとって「水」は、地上で最も美しく、謎めいた物質なのだろう。だから、ドメニコは俗世の人間に狂人扱いされながらも、水=温泉を渡ろうとする。 俗世間の人々から、このように狂人扱いされているドメニコは、世紀末の世界を救おうと、ろうそくを灯して水を渡ろうとする。 「水」は、禊に使われるように、ここでもある種の力を持っている。 そして、「水」はあの世とこの世の間の川。ドメニコは、その川の渡し守なのだ。 また、この「水」は、母胎の中の羊水でもあり、世紀末を世界の始まりに戻そうとすることは、胎内への回帰等、胎を持たない男の発想であり、そんなことでもたつくゴルチャコフに嫌気がさして去ってゆくエウジェニアは、中性的な魅力にあふれている。 この映画の中で、特に印象的だった場面は、水溜まりの向こうに横たわるゴルチャコフ。雨が降っている。屋根のない柱廊。 廃墟と化し、屋内であり、屋外でもある奇妙な建物、映画全体を支配する幻を、この建物に感じてしまいました。 【dreamer】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2019-04-08 18:02:31) 39.《ネタバレ》 映画の中で自殺するくらいなら、現実で自殺するほうが良いと思っていたが、 この映画を観終えて現実で自殺するくらいなら、映画の中で自殺するほうが良いと意見を変える気になった。 一度目はこの映画の「悪趣味」に辟易とし、最初の三十分程で切り上げたが、二度目で見通した。 とはいえ、さすがにやり過ぎた表現が多かった。 ラストシーンで突然滲出してくる「甘さ」も、欠点に近いだろう。 【浅田荷葉】さん [DVD(字幕)] 9点(2019-03-12 02:56:12) 38.《ネタバレ》 壮大な映画叙事詩。ラストの山・雨・火事・雪の幻想的なシーンは驚愕。それと対比するかのような人間が蝋燭の火を運ぶ長回しのワンシーンも圧巻。映像だけで満腹感の映画。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 9点(2019-01-24 15:06:08) 37.《ネタバレ》 映像は絵画のように美しく会話は総じて詩的だ。死が近いと悟っているアンドレイと永遠の命を欲しいと思っている狂人のドメニコの対比。監督のタルコフスキー自身を投影させた作品ということだが、本人もこの数年後に亡くなっていることを考えると感慨深いものがある。 【仁】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-02-21 00:25:13) 36.《ネタバレ》 いつか夢に見た遠い日の懐かしい風景の断片を映像化すると、このようになると思う。そういった意味では、本作の表現はフェリーニの「8 1/2」に近いと感じた。もちろん両者は人種も生い立ちも趣向も異なるので、一見すると2作は全くのジャンル違いに見えるが、アプローチはよく似ていると思う。見る夢とそれを映像化する感性は人それぞれだから、どちらも第三者にとって難解な作品になって当然だろう。両者の共通的な特徴として、視聴者の理解・娯楽的嗜好を満たすよりは、どうやら監督自身がその映像表現に陶酔することを最優先しているということ。タルコフスキーは時に人間不信と感じるほどに登場人物の感情が見えにくく、もしかしたら映画の撮影においては、人間すら風景の一部として捉えているのかもしれない。(全体像として母への愛は"抽象的に"伝わってくるが) 確かに、詩的でありどこか郷愁を誘う映像美にはただただ圧倒される。しかし、場面場面の暗示的な問いかけに監督の意図する答えを見つけることができなかった私には、この評価が精一杯だ。個人の映像表現としてなら迷うことなく満点だが、これは映画なのだから。 【タケノコ】さん [DVD(字幕)] 6点(2017-12-08 23:17:35) 35.映画館ではなく美術館にいるかのような勿体ぶった映像からは頑ななエリート芸術家目線が伝わってきます。自分の居場所に対する満たされない気分やストレスは本人でないと理解できない部分もあるとは思いますが、もう少し承認欲求を抑えてもいいのではないでしょうか? 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 2点(2017-11-20 16:01:01) 34.正直、物語の意味は良く分からない。映像が詩的で美しいのが特徴的、かつ水の音が印象に残る。 芸術的な作品なのかもしれないが何度も観返す気にはならないので、自分には合わない映画、ということ。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-11-18 23:04:36) 33.それぞれのシーンの「画」としての重量感や破壊力は、とてつもない水準に達しているのですが・・・しかし、登場人物は監督に都合の良いように動かされているだけであって、行動の必然性がないので、名画を何十枚も続けて展示されているようにしか見えませんでした。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-11-04 00:34:17) 32.《ネタバレ》 映像は夢に出てきそうな程訴えるものがあるけど、テーマに対して物語の舞台が余りに狭すぎるのが気になった。主人公はタルコフスキーの分身的なキャラクターなのは分かるが、死期が迫っていることや政治的な理由があるとはいえ彼は設定上は「旅行者」であり、何故彼がそこまで故郷に思いを馳せるのかが今一つ伝わってこなかった。イメージが被る作品として個人的には「惑星ソラリス」の方が好き。 【J.J.フォーラム】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-10-27 00:13:49) 31.《ネタバレ》 過去の記憶や思い出は、言語や色彩を持たない映像の断片であり、現在は意味や原因を持たない事実と結果の連続なのかもしれない。 意志を持たない過去と現在を繋ぐ映像の持続の中で、観客はただ、ドメニコは焼身自殺を遂げることが出来るのかを、アンドレイはロウソクの炎を消さずに温泉の底を横断できるのかを、ラストの奥行きも高さもある画面にどのようにして雪を降らしているのかを考えながら、映画と自分の間で絶えず更新される現在を純粋に見守ればいい。 その楽しい時間が終わってしまえば、「映画を観た」という記憶は過去のものとなり、この文章を書いている間にも刻一刻と稀薄に断片化され、捏造されていくのだろう。 その時、思い出されるのは前述したような言語も色彩もない美しい映像の断片達であるのかもしれない。 【ちゃじじ】さん [DVD(字幕)] 7点(2017-10-14 22:36:46) 30.全く理解できない映画でした。 この映画は最後まで見終わった人の勝利、途中でやめた人は負け、というようなゲームをしているようです。 私は最後まで鑑賞したのでレビューを書かせていただきます。 他の人のレビューを読んでも、レビューそのものが理解できないものが多くて、正直、救いがありません。 どなたか、わかりやすいあらすじを書いてもらいたいです。 【クロエ】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2016-01-18 20:05:46) 29.《ネタバレ》 下宿先の部屋の陰影、 廃墟に広がる雨音、 滴り落ちて広がる波紋、 霧と雪で覆われた故郷、 焼身自殺を図った男を纏う炎… ただならぬ雰囲気はある。 しかし、世界の終わりを待つ宗教狂いの男が民衆に精神主義を訴えて殉教しようが、 彼の代わりに余命いくばくもない詩人がロウソクを持って世界を救おうが、誰にも理解できないし、 ただの自慰行為で世界が良い方向に変われたらどれだけ幸せだろうか。 そう思えてしまう自分は、物質社会に逆らえない常識に染まった凡人なんだな、と再確認。 作りものの故郷に沈んでいく『惑星ソラリス』に似た結末に、 祖国に戻れないタルコフスキーの心情と覚悟が重なる。 【Cinecdocke】さん [DVD(字幕)] 5点(2015-06-20 01:43:46) 28.《ネタバレ》 これは、タルコフスキーが苦手・タルコフスキー入門に最適な最高の映画だ。 俺もタルコフスキーの映画から一番好きなものを選べと言われれば、何の躊躇もなくこの作品を挙げるだろう。 「ストーカー」とか長い映画はちと退屈してしまったが(それでもスゲエ面白かったけど)、この映画は何時の間にか30分とか1時間経っているような感じで一切退屈しなかった。 タルコフスキー独特の美しき映像世界、幻想的な水面の輝き…いや、水面を照らす光というべきか。 劇中のアンドレイは、この映画を撮った数年後にこの世を去ったタルコフスキー自身の分身らしい。 遺作は「サクリファイス」だが、俺は「ノスタルジア」の方がダイレクトに死の匂いを感じた。 「ノスタルジア」のアンドレイは自分の死期をさとり、奴隷にされると解っていても生まれ故郷に骨を埋めるつもりだった。どうせ死ぬなら、故郷の美しい風景を見ながら死にたい。 彼は助手のエウジュニアという女性を連れ、自殺した作曲家の取材をしにイタリアの地を訪れる。 アンドレイは何故死人に思いを馳せるのか。やはり自分の死期が迫っているからなのか。 ホテルで会話する二人の平和な一時が好きだ。 一瞬何処にいるのかと思うと、部屋の中でイスに腰掛けて談笑する二人の姿が見えてきたり、エウジュニアが階段目掛けてスタートダッシュを決めようとしたら、電気が消えたのにビビッてすっ転んでしまうシーンに和む。何これ可愛い。 だが、先の長くない自分の身を彼女に背負わせるような事は出来なかった。 訪れたイタリアの温泉に二人が入ろうとしなかったのも、仲が深まるのを避けたからだろうか。 彼女の尻の叩き方だって、愛する女性に対するものというよりは教え子や子供に対する感じだった。 やがてアンドレイは一人で旅を続ける。 世界の終わりを待つ狂人ドメニコを救おうとして。いや、アンドレイとドメニコの対峙は二人の男同士による闘いそのものだ。 死期をさとったからこそ前に進もうとするアンドレイ、終わりを信じ込み自分の世界に閉じこもってしまったドメニコの対比。 ドメニコは絶望で自分を燃やし尽くしてしまうが、アンドレイは己の命を賭してドメニコを救おうと彼の“依頼”を成し遂げる。 結局は哀しい結末が待ち受けていたが、我々はアンドレイのように自分の死期と向き合えるだけの魂があるのだろうか。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-03-17 07:56:42)(良:1票) 27.《ネタバレ》 『ストーカー』までのタルコフスキーには、ただただ酔いしれたが、これで初めてハテナを感じた。ノスタルジーのテーマと願望のテーマが今ひとつ重なりきってない、って感じ。ドメニコが言った「かつて生命は一つだった」ということへのノスタルジーととれば重なるけどちょっと無理がある。みなが心を合わせて願わないとならない、っていうのは『ストーカー』にも出てきたが、どうなのかな。とにかくこの監督の映像主体の世界に言語の意味の世界が入ってきたような不満がちょっと。ラストの犬はドメニコの犬なのか故郷の犬なのか。犬はこの監督が繰り返し描くモチーフで、寡黙な・じっと耐えてるイメージがあって、鳥や羽根がそれと対照されてるみたい。ラストの趣向はけっきょく『ソラリス』と同じことやってるわけだけど(故郷に帰ったつもりが…)、まあ酔いしれます。音が凄い。水のポチャンチャポンまで冴えて響きながら、一枚幕を隔ててる感じもあって。映像における霧の隔たりと同じ効果。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2013-01-24 10:16:04) 26.この作品の神懸り的な美しさは、映画という枠さえも飛び越えてしまっているように思える。 言葉では言い尽くせない郷愁の想いを、 火、水などの自然物が我々に呼び起こす感情を詩的に映し、 極限まで抑えたBGM,まるで環境音楽のように流れる自然音で、 最高のかたちで表現している。 メッセージが全て理解出来なくとも、感じたものをそのまま受けとれば良いと思う。 人間の複雑な感情を表現するには、言葉じゃどうしても足りない。 この映画からは感情が溢れていた。 タルコフスキー映画の中では個人的に最高傑作だと思う。 【おーる】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2009-01-18 14:15:41) 25.文学的な台詞が延々と続き、誰がどういう思いをしているかのかを知るにはあまりにも遠まわしで、ぼくにはその若干無愛想な表現の方法が辛かった。観客に理解してもらうのは二の次で、まずは自分がしたいことや思想を並べているところを見ると、芸術という印象を強く受けた。この映画は確かに綺麗だと思う。でも、感情移入は一切出来なかったし、感情を理解できても興味のわかない感情が多く、まるで楽しくなかった。改めて、ぼくには映画を観る力がまだまだ足りないのだと感じました。 【ボビー】さん [ビデオ(字幕)] 5点(2008-07-08 02:29:35)
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