みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
41.《ネタバレ》 最初のうちは、明確な敵に対決していく何の迷いもない義勇軍の時代。訓練もどこか戦争ごっこのようなのどかさを伴う。しかしそのかつて訓練をしていた緑の野で仲間を処刑してから、ドラマは陰惨さを帯びてくる。ああローチの世界に入っていくな、と思う。敵の輪郭が崩れ、仲間の輪郭と溶け合い出す。やがて協定への妥協派と否定派への分裂、義勇軍は正規軍と反乱軍として対決する。これはアイルランドの特殊な物語ではなく、歴史上どこにでも見られた悲劇。ローチ監督自身すでに「大地と自由」でスペイン内戦を舞台に描いたテーマだ。何度描いても色あせぬテーマであることが哀しい。国家の哀しみ、民族の哀しみ、名前を知っているもの同士が殺し合う哀しみ、抵抗のための組織が組織のために弾圧を始めてしまう哀しみ。この映画では反復が効果を挙げている。冒頭のイギリス軍に銃で脅される場面が、終盤ではアイルランド正規軍によって反復される。密告を勧める場面も反復される。立場を変えて反復されることのやりきれなさが、この映画を底で支えている怒りだ。でもいったい何に対して怒ればいいんだろう。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-09-09 12:46:43)(良:3票) 40.《ネタバレ》 両国の緊張の歴史になじみがないので、しばらくは、牧歌的な日常での抗争に現実味が感じられなかった。だが話がのみこめるにつれ、それこそ、北の国のきついウィスキーのようにその独立運動の徹底と妥協との葛藤が胸にしみた。奴は敵だ、敵を殺せ。この単純なパトスは世界のあちこちで未だ説得力を維持し続けている。 【ねこひばち】さん [DVD(吹替)] 6点(2011-03-10 18:19:13)(良:1票) 39.《ネタバレ》 イギリスのジョークで「英国人は座って考える。フランス人は立って、アメリカ人は歩きながら、アイルランド人は後から」というのがある。そういうアイルランドの国民性は随所にあったと思う。 んが、ほぼ終わりの方まで「こりゃ4点だね4点」と思いながら観てた。 歴史のお勉強に近いし、このあたりはとりあえず高校の授業でもやってる内容。むしろ第一次大戦に勝ったのに敗戦に近いダメージを被った英軍の兵士とか、そういう「敵」の顔が見えないのが嫌だったかな。 石壁を背に若者を立たせ、見せしめでその中の数人を殺しておく「間引き」なんかは小説にはよく出てくる光景。街区でのお隣さん同士の銃撃戦も、アイルランドのトレードマーク。これに黒ビールと長い議論が加わればほら! IRA歴史映画の出来上がりじゃん! …そんな感じがするんですよね。後の北アイルランド解放テロに結びついていく「頑固なアイリッシュ魂」は感じた。 ところが、終わり近くでダミアンを説得する兄の言葉から、それまでの思考の流れが見えてきて、ビデオを巻き戻すみたいにガーッと兄テディの主要シーンが蘇ってきた。弟がロンドンに行く時、一人止めなかったテディ。弟がレジスタンスに加わった時、一人黙って臍を噛み続けたテディ。拷問の痛みに耐え、それから言動が変化していくテディ。 痛みを知った者と、知らない者の差がこれほどまで大きいのは…当然かな。オイラは兄貴に感情移入せざるを得ない。嫌な奴だが、それが人間だ。 「兄弟の相克」という内容から、『ケス』のテーマの発展形だとも言える。そういう観方でも、充実した面白いものがあったと思う。歴史映画としては平凡だと思うけどね。 ●追記: ウィキペディアで調べて、テディの顔がマイケル・コリンズにソックリだったのを知る。なるほどね! 他のキャラもモデルがいるんだろうな…。 【エスねこ】さん [映画館(字幕)] 7点(2007-05-10 22:11:01)(良:1票) 38.アイルランドの自然に囲まれた風景が、あまりにも美しいせいで、そこでドンパチと銃撃戦が行われている様子が、不謹慎にも、美しいと感じました。印象に残ったのは、アイルランド共和国議会の民事裁判で、金持ちの地主が裁かれるシーンです。あれは裁判というよりも、裁判ごっこでした。そのシーンが、アイルランドと英国との力の違いを、兵力の違い以上に、表現していたように感じます。私の浅はかなアイルランドの知識といえば、アイルランド=IRA=テロリスト、という偏見があったことですが、この映画は、テロ集団「IRA」の前身となるアイルランド義勇軍の話のようです。ところで、テロリスト、と一方的に我々は言いますが、アイルランド人にとっては、テロをしているつもりはなく、英国と戦争をしていると思っている。しかし両者の力の差があまりにもかけ離れているために、英国では戦争とは受取っていない。アイルランド人に無差別殺人をされていると思い込んでいる。本作では、英国側の兵士が非常に残酷に描かれているために、客観性が損なわれていますが、本当は英国兵士も政府に命令されて、国に家族を置いて、このアイルランドにやって来ただけなのです。そして異国の地で、アイルランド人のテロ行為に、気が狂うほど怯えていたのだと思う。アイルランドからの撤退を心から喜んだのは、英国兵も同じなはずです。この撤退で英国にいる兵士たちの家族も泣いて喜んだでしょう。それが本作からはあまり伝わってこなかった。もう少し英国側の苦悩も描いてくれれば、深みが増したかと思いますし、そういう意味では少し一方的な見方をした映画だと思います。この映画はイラク情勢を、連合国側の視点ではなくて、イラクの武装勢力側の視点で見たようなものと似ている。戦争は、どちら側の視点で見るかによって、真実が変わってくることがよく実感できました。 【花守湖】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-12-25 18:55:26)(良:1票) 37.カンヌ・パルムドール獲得の際のインタビューでケン・ローチは「英国が帝国主義的な過去から歩みだす小さな一歩になれば、、」と言っている。あきらかに現英国のイラク派兵に対し、いまだ同じ過ちを繰り返す母国への批判を含んでいると思われる。作品自体も英国に対する擁護など一切無い。今尚続く北アイルランド問題という英国にとって最も重い題材を実に辛辣に描き出す。しかしこの作品の凄さは、ケン・ローチの作品がいつもそうであるように、重々しい題材が描かれる、その背景の美しさにこそある。けして戦争を、また戦闘を美化しているのではなく、『シン・レッド・ライン』のように対比の対象としての美でもなく、ただただそこに美しさがある。もう一つ、複雑な問題をすべて見せようとはせずにピンポイントで描いているので、劇中混乱することもなく鑑賞できるのも好印象。映画で語られる物語は全くといって救いがありません。あるとすればこの映画で語られない部分を想像するしかない。そしてその想像の余地だけを残している。 【R&A】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-11-29 11:53:51)(良:1票) 36.私は英国好きで映画も好んで観るのですが、正直なところアイルランドという国についてIRAで紙面を賑わせたことぐらいしか知りませんし、イギリスと呼ばれる地域がどのように成り立っているのかも不明です。そもそも日本ではイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドをひっくるめ便宜上〝イギリス〟という呼称を使っていますが、UKと呼ばれることからも分るように正式名はグレート・ブリテインおよび北アイルランド連合王国(辞書で確認してしまった;)であり、イギリスというのはイングランドから派生した言葉なのでイングランド以外の人々は気分を害すかもしれません。現在の状況ですらその程度の認識しかないのに歴史的背景はさらに複雑なはずです。まして本作は政治家でも軍人でもない市民目線からの描写なので社会全体の動向や彼らの行動の位置付けが把握しにくくアイルランド史を知らないと理解しづらいです。ですから両国の関係に造詣が深くないと本作を咀嚼したとは言えないと思いますし、また自国の人々がどう思ったのかが気になるところです。しかしその一方で、一般市民の兄弟が軸となった物語なので等身大であり感情移入などはし易いです。その結果、暴力から生まれる惨劇の数々に、どのようなバックグラウンドであろうと報復にしても武力行使は悲劇しか生まないのだという事と、醜い連鎖に終止符を打てぬ人間の愚かさ、哀しさが痛いほど伝わってきます。あらゆる場面が濃密であり、目を背けたくなる場面ですら瞬きするのも忘れそうです。 【ミスター・グレイ】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-11-24 18:19:50)(良:1票) 35.《ネタバレ》 舞台は1920年くらいのアイルランド。アイルランド独立戦争と休戦条約締結後のアイルランド内紛を扱っています。青々とした草に覆われているものの、どこか寒々しい感じがするアイルランドの片田舎。草木の緑だけが鮮やかな原色で、人の生活にかかわるものは、落ち着いた褐色。そんな片田舎にも英国軍による支配の手が伸び、反抗的な者が次々と殺されていく中、暴力には暴力で対抗するほかないと、独立闘争に身を投じていく男達が描かれます。密告により、主人公一味は英国軍に一網打尽にされてしまいますが、主人公の兄に対して行われた、ペンチで手の爪を剥ぎ取る拷問には、思わず身がよじれました。人体破壊としては、最も軽い部類にもかかわらず、痛さ100倍ってのが、つくづく不思議な器官です。いろいろとあった後、殺し合いが過熱したところで、休戦条約が結ばれますが、軍隊による暴力的支配から、非暴力的支配への移行という妥協案に対して、条約を受け入れて、段階的に独立に向かおうとする条約賛成派=国防軍と、死んでいった戦友の意志を背負い、一気に独立を勝ち取ろうとする条約反対派との対立が生じます。民衆がひとたび武力を手に入れてしまい、なまじ独立戦争を戦って、殺さなければ殺される状況が日常化していたため、個々人の意志が凛々しいまでに強く、しっかりしているほど、コントロールを失ってグダグダになるという。結果、独立戦争を戦ったもの同士による殺し合いに発展します。世界中で起きた、または、起きている内紛も、似たようなケースは多いんだろうなあと感じました。 【camuson】さん [DVD(字幕)] 6点(2024-02-01 17:35:16) 34.《ネタバレ》 アイルランドの歴史を知らないとかなり厳しい。ドラマティックな展開もないまま淡々とシビアに、自由を勝ち取ることにどれだけの代償と犠牲を払うかをリアルに突き付ける。妥協するか、完全な独立のために戦うかで自ずと引き裂かれていく兄弟の悲劇すらも。イギリスのEU離脱によってアイルランド統一の可能性はあるが、その"続編"は見てみたい。 【Cinecdocke】さん [DVD(字幕)] 4点(2021-12-09 21:32:44) 33.独立戦争への過程が一地方での出来事中心で描かれている感じなので、 あれ、もう{一応)自治が獲得できちゃったのか? という唐突な印象を受けた。アイルランドの歴史について知識がないとわかりづらい。 【クリプトポネ】さん [DVD(字幕)] 4点(2017-08-06 10:57:29) 32.《ネタバレ》 国難のとき、レジスタンスとして戦った仲間も、強いものの出してくる条件をめぐる妥協か、それとも守るべきもののためにもっと戦うか、その選択をめぐり、かつての仲間同士で殺しあう。アイルランドの歴史問題は、詳しくは知らないが、どこの国の歴史もこのような感じで、泥沼化していっている感じがする。ケンローチの映画は、簡単に答えの出せない社会派が多い。条約批准をめぐる議論の場面は、かつての「大地と自由」を思い起こさせる。発言ひとつひとつに手を抜かない視点を盛り込む姿勢は相変わらずである。 【トント】さん [DVD(字幕)] 8点(2017-07-30 21:02:30) 31.ケンローチは面白い時と面白くない時がはっきりしている。 今回は面白くない。 【aimihcimuim】さん [DVD(字幕)] 4点(2014-09-11 00:05:11) 30.2008-04月鑑賞。最近はボケてきたのか、よく思い出せない。点数は6点としていた。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-10-17 11:04:16) 29.《ネタバレ》 なんだか殺し合いばかりだ。大義名分で人を殺しても、殺すあり方がもう間違っているので、要するに、殺しちゃだめだってこと、どんなに立派な理由があるかのようでも。ともかくアイルランドと英国のことを調べようという気にはならせる映画。 【ひと3】さん [DVD(字幕)] 5点(2012-09-13 22:32:22) 28.《ネタバレ》 ピンと来ず。やっぱり戦争ものは俺にはダメだわ…。 【TK of the World】さん [DVD(字幕)] 5点(2012-04-30 21:37:00) 27.なんだか、終始見ているのが辛かった。ケン・ローチとしては、自分がイングランドの人間であるからこそ、アイルランド目線で描くことに拘ったのだろうな、と思う(公開時、イングランドでは監督に対しかなり批判があったというが)。そして、一つの地方に焦点を当てることでより不毛性を描くことに成功しているように感じる。戦争時に、一市民、一兵士が大局を見極めているとは到底思えない。そういう、目先のことや断片的な情報に右往左往して、結果、自分たちにとっての大義が見失われて行く様が実によく描かれている。条約批准後の両者の本音の討議シーンは圧巻。どちらの言い分も共感する。けれども、もっと大きな流れは、違う所で勝手に決まって動かされて行くという、この不毛さ。弟を処刑する兄を見ていて、新撰組の山南と土方を思い浮かべてしまった・・・。別に新撰組フリークでは全くないのだけれど。結局、組織のためには規律を重んじざるを得ない。けれども、その組織自体が、大局で見れば、既に駒の一つにさえなっていないかもしれないという点で勝手に共通するものを感じてしまった。こういう、一市民たちの流した血と涙を丁寧に描ききったことに敬意を表したい。 【すねこすり】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-08-29 22:37:25) 26.《ネタバレ》 アイルランドの独立戦争から内戦。力ずくの下劣な暴挙に力で対抗する暴力の連鎖が繰り広げられ、憎悪と悲しみが満ち溢れますが、『マイケル・コリンズ』とは異なり、一つの町を舞台としたピンポイントな視点で描かれた末端の争いなので、民族の文化、歴史、政治的な部分が抜けた、単にやられたからやり返すの物語で見応えに欠けました。 ただ、同胞であるにもかかわらず反目する主義主張を力で解決させようとする内戦の模様と、繰り返された「私の前に二度と顔を見せないで」に、戦争が大義を掲げても正気の沙汰でない行為である事を何時も以上に見せられました。 【The Grey Heron】さん [DVD(字幕)] 5点(2009-11-03 00:53:07) 25.《ネタバレ》 ケン・ローチ作品は、一方的なリベラル視点の映画だろうということで、面白くなさそうで敬遠していたのだが、食わず嫌いも良くないだろうと思って鑑賞してみた。結論からすると、なかなか興味深い歴史モノだったが、鑑賞前の予想と大差は無かった。 1920年代のイギリスによるアイルランド支配が続いていた時代の話だが、当然ながら、視点は徹底的にアイルランド側だ。鬼のようなイギリス兵が傍若無人にアイルランド人を弾圧している。中国映画に出てくる日本軍兵士を想像してもらえば分かりやすいだろう。そんな中、主人公のデミアンは、医者としての将来を嘱望されながらも、兄のテディと共に独立運動に身を投じてイギリス軍を狙ったテロ活動を行う。彼らの活動は一定の成果を上げ、イギリスはアイルランドを自治領とすることを決め、兵士たちを引き揚げた。 しかし、ここからが難しい。デミアンたち主戦派は、あくまでも完全な独立をもぎ取るために活動を継続しようとする。しかし、兄のテディは自治領として成立したアイルランド自由国軍に入り、ここでかつての同士だった兄弟は袂を分かつことになってしまった。兄弟が急進主義者と漸進主義者として対立することになり、ここから物語は俄然面白くなるものと期待させられた。が、ここでも製作者側がデミアンに肩入れしてしまっているため、物語に厚みが出ない。もちろん、テディが悪人として描かれることは無いし、両派が議論する場面もあるのだが、基本的に「大義はデミアン側にあり!」という姿勢で描くから、どうも気持ちが盛り上がらないまま終わってしまった。 カメラワークやアイルランドの美しい風景はとても印象的だったので6点をつける。 【枕流】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-06-28 17:54:27) 24.《ネタバレ》 暴力が更なる暴力を生み出し、世界中の紛争地域のいたる所で今も、そして過去にもこんな悲しくどしようもない現実がどれ程繰り返されてきて、人間はこれからも続けていくのでしょうか。繰り返し観たいと思う映画ではないですが、俳優陣の熱演が本当に素晴らしく、一見の価値のあるいい映画であると思います。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-05-29 21:21:54) 23.《ネタバレ》 激動の時代背景、主人公の闘争に満ちた人生の割には、作品の描写範囲はこじんまりとまとまってしまっている気がしなくもない。ただし、この作品で一番優れているのは、英愛条約成立後に賛成派と反対派でディスカッションを行うシーン。ここで手を抜かなかったことにより、一本の筋が通り、ドラマとして完結することに成功している。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-02-22 03:16:31) 22.期待以上のモノではなかったけど、「人間ってヒドイ事するんだな」ってあらためて思った。兵士が戦うとか一応法に従っての処刑はいいとしても、一般市民への虐殺はないよな。コレみて中韓の反日感情は永遠に消えないだろうなってあらためて思った。きっとココに出てくる英軍以上の事はしたんだろうし。で、その事がしっかり教育されて代々受け継がれるしな。日本は空襲や原爆落とされて一般市民が虐殺されたけど、目の前でヒドイ仕打ちがあったわけじゃないので、反米感情が薄いのか?それとも元々の国民性なのか?教育の問題なのかな?って気もするけど。 【東京50km圏道路地図】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-07-20 05:43:36)
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