みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
100.《ネタバレ》 さて、トム・クルがどうしてもドイツ人貴族に見えないとかいうことは、この際どうでもいいようなちっさいことなのだ。 なぜなら想像してみてください。硫黄島の栗林中将役を、チョウ・ユンファが演じて、作品が全編中国語だったとしたら? …「ワルキューレ」で行われているのはそういうことです。どっちも白人だから、私らは気がつきにくいだけ。 だいたい私は有名イギリス人俳優満載のキャストにひっくり返りましたさ。 そして思ったとおり、最初の38秒以外は全編これ「英語」。 …だからさあ、たとえば戦時中に天皇か東條の暗殺計画があったと仮定して、それをチョウ・ユンファとかが主役で、中国人俳優満載で、全編中国語で演じたとしたら、そこに、いかなるリアリティが、ありますかって。 この有名なヒトラー暗殺計画は、断じて軽薄なエーゴの響きをもってではなく、あのゴツゴツした冷たいドイツ語で練られていたものなのです。すべての陰謀は、ドイツ語で企画・検討されたのだ。当たり前だ。 「言葉くらいなんだっていいじゃないか意味が伝われば」などと、言ってはならない。 真実はディーテイルに宿るのだ。 それとさあ、映画の内容についていいますと、トム・クル大佐をヒーロー扱いするための演出に必死みたいだけどさ、この暗殺が失敗した理由は誰が見ても明らかじゃん。 「ヒトラーは殺したいけど、自分は死にたくない」と思っていたからだ。 自分が無事に逃げることに重点を置きすぎて、結果、勝手にカバンの位置を変えられてしまい、爆発がヒトラーを直撃できなかった。 そんなに相手を殺したいなら、自分も死ぬ覚悟がないと、無理なんだよ。所詮暗殺なんて。 貴族出身の坊ちゃん大佐には、それができなかったから、失敗したんだよ。 それは歴史上の事実として、広く知られている。 それをいくらトム・クルが演じたからといって、「ヒーローだった」とするのは強引すぎです。 とにかくまあ、イギリス人の恨みが爆発してこんなことになったんでしょうなあ。こんな手の込んだ形で恨みを晴らすとは。やりすぎ。 私たちは、中国人がこういうことをしないことに感謝したほうがいいのかもしれませんよ。 ドイツ人は、幼少時から徹底した教育により「過去の罪」に対する罪悪感を背負わされて育つそうで、気の毒だと思います。ま、それをいいことにイギリス人にいいようにされちゃって。 ドイツ人、気の毒。 【パブロン中毒】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-01-20 16:02:07)(良:4票) (笑:1票) 99.《ネタバレ》 ヒトラー暗殺の物語をよりによってユダヤ系で同性愛者のブライアン・シンガーが撮るというトンデモ企画だったわけですが、意外なことにシンガーはナチス時代の様式美の再現にこだわっています。それは車両や航空機の独特な美しさであったり、パリっと決まった制服のかっこよさであったり、整然とした官庁街の建築美であったりするのですが、私はこれらの描写を眺めているだけでも楽しめました。本作はアメリカ人やイギリス人が主要キャストを占めることで多くの批判を受けているし、私自身もその点は気になったのですが、他方でナチス時代の様式美をこれだけ克明に描写した作品をドイツ人の手で撮ることは政治的に不可能。トム・クルーズという大スターが身元保証人を引き受け、ユダヤ系に監督させたアメリカ映画だからこそ可能となった作品であり、ドイツ人役が英語で演じられるという欠点を補って余りあるほどの存在価値はあったと思います。 内容は極めて禁欲的で、政治的な善悪や人間ドラマといった領域にはほとんど踏み込まず、ヒトラー暗殺計画とそれに続くクーデターの成り行きを描くことのみに集中しています。『ユージュアル・サスペクツ』で映画史に名を残すコンビは端正な語り口でその顛末を描いており、ハラハラさせられる優秀なサスペンス映画となっています。彼らは歴史的事実として結末がわかりきっていることを逆手にとって、計画の首謀者達はどこでミスを犯したのかという視点で物語を組み立てています。現場でのとっさの判断ミスや(シュタウフェンベルクは急なスケジュール変更に対応するため準備していた2つの爆弾のうち1つしか使用せず、ヒトラーに致命傷を与え損ねた)、計画そのものが抱えていた欠陥(官庁街占拠という重要な役割を首謀者自身が担わずヒトラーの忠臣だったレーマーを駒として使い、彼をどれだけ騙しておけるかが鍵という不安定な計画だった)、その他の人為的ミス(一度目の計画失敗からオルブリヒトが慎重になっており、暗殺実行後のクーデターが著しく出遅れた)を浮き彫りにします。この視点は面白いと感じました。それと同時に、暗殺未遂で不意を突かれた後にもヒトラー陣営は腹の座ったところを見せており、首謀者側とはまるで格が違うということも描写されています。そもそもこのクーデターは成功しようがなかったという、冷徹な切り口で描かれているのです。アメリカ映画がここまで突き放した描写をしてくることには驚かされました。また、そんな作風に合わせてか、時に演技を張り切りすぎておかしなことになってしまうトム・クルーズも、本作では熱演アピール控えめで渋めの演技を披露しており、名門貴族出身のドイツ軍高級士官にきちんと見えるのだから大したものです。 禁欲的、それが本作の問題でもあります。人類史上最恐の独裁者の首をとりにいくとなれば、仮に計画が発覚しただけでもすべての関係者は死を覚悟せねばなりません。それほどリスキーな計画になぜ参加しようとしたのかは当然に観客にとっての関心の対象となるのですが、残念なことに本作は各当事者の背景に係る一切の描写を切り捨てています。このあたりを充実させれば重厚な歴史ドラマになったかもしれないだけに、ブライアン・シンガーの潔すぎる采配も考えものです。 【ザ・チャンバラ】さん [ブルーレイ(吹替)] 7点(2016-08-18 18:20:52)(良:2票) 98.《ネタバレ》 ノルマンディー上陸作戦の一月後、敗戦濃厚で、時期は熟していた。あれだけの人数が揃っているので、ヒットラー暗殺だけなら比較的容易に達成できたはず。しかし目的がクーデターであり、短時間による政府と軍の完全掌握を目指していたので、ヒムラーやゲッペルスなども同時に暗殺などと余計なことを考えて何度か機会を逃している。実行犯の大佐が新政府の要職に予定されていたため、爆発物セット後、すぐに逃げ出したが、これが最大の失敗。何をおいても、総統の生死を確認すべきだった。確認がないままクーデターを実行するのはお粗末。大佐は障害者なので、ボディチェックはほとんど受けなかった。いざとなれば総統もろとも自爆する覚悟があれば成功しただろう。カリスマ総統を倒しておけば後をヒムラーが後を継ごうが倒すのは容易である。二段構えの周到さがほしい。暗殺が失敗することは既知だが、サスペンス、緊迫感は十分伝わってきた。そこは評価できる。だが大佐の人間性の描き方が希薄だ。反ナチ思想を持つ経緯を描くべき。戦争の悲惨さも伝わらない。最後は家族の安否を心配するだけの弱い男になってしまっている。彼の兄も連座して処刑されたが描かれていない。夫人と五人の子供はどうやって生き延びたのか?他に関係者6~700人が粛清され、ロンメル元帥も自殺。これらの人の死に大佐たちは責任があるだろう。「計画は失敗したが、彼らの目的は戦争をやめることであり、命をかけた彼らは英雄である」という単純な考えはできないだろう。後半、総統が姿を見せないのは、サスペンスを重視した脚本構成の所為だが、史実を描きたいのなら、総統側の様子も見せるべきた。一方だけを描いても真実は伝わらない。総統のカリスマ性も対等に描くべきだろう。「史上最大の作戦」のように敵味方、両側を描けば、より見ごたえのある映画になった。大佐の人間ドラマをより深めれば「シンドラーのリスト」のような深みが出た。「暗殺=テロ」なので、現代人にとって彼らの行動を無条件に賛美することはできない。歴史の正当な評価は時代と共に変わる。そんなことを考えされられた。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-05-09 23:17:34)(良:2票) 97.残念ながら 5点.. 真面目には創っているんだけど..映画として面白味が無く、なぜか薄っぺらい..脚本がイマイチなんですね..大事なものがスッポリ抜け落ちてしまっています..最悪なのが、“ 暗殺実行ありき ”の展開..登場人物の葛藤とか心情が全くと言っていいほど伝わってこない..当時のドイツ軍の世情も、ヒトラーの悪行も、ほとんど描かれていないので..主人公の行動に至る動機が曖昧で説得力に欠ける..作中のドラマ、エピソードも淡泊..現代では、ヒトラーが “悪” だと誰もが知っていて、暗殺されて当然、と大前提として観ているから..逆にそれが物語としての醍醐味を殺し、つまらなくしています.. やはり実話ものなら、「シンドラーのリスト」のような、骨太の設定と繊細な人物描写、あるいは、「エリン・ブロコビッチ」や「ホテル・ルワンダ」のような、巧みな脚本と演出、が必須条件..そこから生まれる説得力と、リアルさ..本作はそこが全然なってない..足元にも及ばない..見かけ倒しの力不足作品としか言えません... 【コナンが一番】さん [DVD(字幕)] 5点(2009-07-28 12:48:46)(良:2票) 96.《ネタバレ》 恐らく誰もが言うだろうが、ゲッペルスが青酸カリらしきものを口に含むシーンや、トム・クルーズ演じるシュタウフェンベルクが失われた左手を高々と挙げて「ハイルヒトラー」と叫ぶシーンであるとか、そして電信所の女たちが総統の死の知らせを知り「ハイルヒトラー」という様に手を挙げる様などが素晴らしい。 この映画の簡潔さ、例えばシュタウフェンベルクの家族に対する愛情というのを鬱陶しく描かないことからもわかる通り、個々の内面、ひととひととのぶつかり合いや葛藤などという今更という陳腐なことを描くナチス映画ではないことを雄弁しているだろう。こんなにも簡潔な映画の中でひととひととのぶつかり合いなどという面倒被ることを延々と描いてもつまらないだけだ。この登場人物たちは互いを理解し合って決起するのではなく、軍事クーデターを行うということに感染して集うだけの駒だ。シュタウフェンベルクが暗殺を行い戻ってきてから、皆が同士である印のカードを次々と取り出すシーンなどは正に感染でしかない。軍事クーデターを行うことが重要であって、理解を深めることは問題ではないのだ。だから極端な話をすれば、この映画は「ワルキューレ」なのだから、ワルキューレ作戦が描かれていればいい。シュタウフェンベルクでさえもこの映画においてはワルキューレ作戦に感染した駒のひとつだ。彼は現実、今や英雄かもしれないが、この映画での彼の最期は国を愛する正義というよりは、ワルキューレ作戦という軍事クーデターに雄叫びをあげて殉じた狂信者としか映らない。ただそれでいい。「ハイルヒトラー」と叫んで死ぬか、「ドイツ万歳」と叫んで死ぬか、このふたつは簡単に入れ代わりが可能なほどの差異なのだ。 ただ、この事実を忘れてはならないということ、それを終幕直前のふたつのショットがそう言っている。 ひとつめはシュタウフェンベルクが処刑され、地面に倒れた時のクロースアップ。彼の目は閉ざされることなく、こちらをじっと見つめている。 ふたつめは一度登場したショットの続きとなるラストショット、シュタウフェンベルクのアイパッチをした左側頭部を入れ込んだ、彼の妻との別れのときのショットだ。 このふたつのショットは明確に示している。刮目せよ(忘却するな、という意も込められているだろう)、あなたたちはわたしの左目となって事実を目撃したのだから。 それでこの映画は充分だ。 【すぺるま】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-04-15 00:57:36)(良:2票) 95.《ネタバレ》 けなしたくなるようなレベルの低い映画ではないが、個人的には面白みがほぼ皆無と思われた。唯一面白かったのは、ゲッベルスが青酸カリと思われるカプセルを口に含み、それを吐き出すまでだろうか。 肝心の緊張感や緊迫感に欠ける仕上がりとなっており、本作のような作品に必要な信念の深さや志の高さもそれほど感じられない。彼らが死んでも、正義は死なないというような熱い映画にはなっていない。 ブライアン・シンガー映画に精通しているわけではないが、彼の映画に多くみられる致命的な欠点は、テンポがほぼ同じということだ。盛り上がりが必要なところも、そうでないところも、ほぼ同じリズムで演出されている。血が通ったような映画ではなく、無機質ように淡々としている点が問題だ。ただただ事実と思しき現象を映像化しているにすぎず、ドキュメンタリー映画の再現フィルのような仕上がりとなっている。 一流の監督ならば、観客に対して「面白い」と感じさせる手腕があるはずではないか。 「ヒトラーの暗殺が成功していない」「ワルキューレ作戦が成功していない」という事実を知っている我々に対して、真正面から正攻法で攻めても成功するはずがないと思わないのだろうか。ワルキューレ作戦が成功しなかったのと同様に、本作の映画化作戦も致命的な失敗だったのではないか。 なぜワルキューレ作戦が成功しなかったのかをもっとクローズアップした方が面白かっただろう。 突然の会議場所の変更、予定の2つの爆弾を使えなかったこと、カバンの位置をずらされてしまったこと、何人かは死んだのにヒトラーはほぼ無傷だったというヒトラーの悪運の強さなどの偶然が重なったことをもっと丁寧に描くべきではないか。 本作でも、これらは完全に描かれているが、何もかもサラリと描かれすぎてしまっているのは勿体ない。 ワルキューレ作戦が遂行された後も、大きな混乱が描かれることはなく、知らず知らずのうちにこちらの方が追いつめられてしまったという感が強い。 これほど大掛かりなクーデターなのだから、双方において大きな混乱や焦りがあったはずである。双方の息が詰まるような攻防や展開を描いた方が盛り上がったのではないか。予備隊の少佐への電話一本、生存を伝えるラジオのみというのは味気ないところがある。 ただただ「ワルキューレ作戦」の表面をなぞったにすぎず、深みも重みもない映画を高くは評価しにくい。 【六本木ソルジャー】さん [映画館(字幕)] 4点(2009-03-21 02:12:10)(良:2票) 94.《ネタバレ》 実際にドイツ内部で起こったのヒトラー暗殺計画。 史実を基にした作品だけに、シリアスな緊迫性で迫っている点は良いと思う。 ただ、主演のトム・クルーズ率いるヒトラー暗殺を企てる反逆者サイドが“正義”であるという構図は、いささか安直であり、違うのではないかと思った。 詰まるところは、同国内でのクーデターであり、実際は善玉・悪玉と区別できる類いのことではない。 悲劇的な戦渦の中で、戦争を繰り広げる張本人たちに「正義」などあるわけがないという結論に個人的には帰着する。 そういう意味で、描かれる物語の重々しさほどには、映画としての価値はそれほど高くはないと思う。 もう少し史実における「ヒトラー暗殺計画」に関わった人間たちの群像を大河的に描き、事実に対して独自の視点で深く切り込んでみるような「挑戦」があれば、もっと深みのある良い映画になったのではないかと思う。 トム・クルーズは実在の伝説的将校を体現しようと頑張っていたと思うが、映画全体として彼のスター性に頼りきってしまったことで、他のキャラクターの人間性が見えてこなかったとも言える。 スター俳優としてのピークは越えたであろう彼が、今後どういう映画俳優へ転じていくか、一映画ファンとして見ていきたいもの。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 6点(2009-03-21 01:42:16)(良:2票) 93.《ネタバレ》 この作戦が失敗するってのは歴史改変SF映画じゃないワケですから、史実上、判ってるコトじゃないですか。なんで爆発後、わざわざヒトラーの生死を隠す(苦笑)。結果が判ってるがゆえに、サスペンスを成立させるのは難しいんですよ。その難しさにちゃんと向き合えないままに何もかもが半端になってしまったカンジです。まず、ドイツの内側の物語なのに、最初っからヒトラーとナチスを絶対悪として設定して、主人公が正義全開状態なので葛藤もへったくれもなく、せっかくのドラマを放棄しちゃってます。その上で作戦が実は綿密な計画の末、それでもダメだったってワケじゃなくって、あちこち穴があってドジっ子揃いのユルさだったので、当然のように失敗しちゃったのでした、なんて状態を見せられちゃ、その上、主人公が単に成功を盲信してた上に、状況が不利になってきたら家族の心配するばっかりになっちゃいました、なんてのを見せられちゃ、最後に悲愴感を漂わせたところで、なんだかなぁ、ってカンジで。娯楽映画向きの題材じゃないと思うんで、もっと真面目にえぐり込むようにドラマを描いた方が良かったんじゃないかな。メイド・イン・ハリウッドじゃ無理ですか? 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 5点(2009-03-20 19:01:31)(良:2票) 92.《ネタバレ》 この話は脚色は出来ても史実の根幹を違う表現には出来ないと思うのでやはり見せ方を工夫するしか無いと思います。 前半を淡々と見せて2時間で収めるのでしたら作戦決行後はやはりもっと盛り上げた見せ方にしないと見ている側も不完全燃焼で終わってしまいます。 クーデター勢力がベルリンを制圧していく見せ方は良かったのでその後の正規軍が鎮圧していく様子をオセロの最後の一手でパタパタとひっくり返して一気に形勢逆転してしまうように作中でももっと大胆に畳み掛けて見せるか、逆に後半をあの程度で見せるのでしたら前半部の人間関係や登場人物の見せ方に厚みを持たせて2時間以上の深みのある作品に仕上げるかにしないと淡々とした話が少しテンポアップして終わっただけの作品という印象しか残りません。 作品全体を通して見ても次の展開に急いで進もうとしているだけで、緊張感というより質の良くない焦燥感のようなものを感じるだけでした。 史実に基づいた作品は脚本に限界があるので映像や演出に特出する所が無いと魅力を感じられないものになってしまいます。 アメリカ側の製作者はシュタウフェンベルクをハリウッドが大好きなファミリーマンとして、またドイツ側の製作者は彼を英雄として描きたかったのではないでしょうか。 勿論これは推測ですが確かな事は前者の描き方が中途半端な為に後者のイメージを損ねてしまっているという事です。 家族を大事にする男というよりも大事の前で私事に目を向ける残念な人物に映ってしまった印象があります。 【しってるねこのち】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-07-13 00:20:53)(良:1票) 91.《ネタバレ》 (英語音声、日本語字幕でも観ています) この手の事実を元にした話はすでに結果を知っているだけに、どれだけ結末までの展開を魅せるかが重要なのだが、最後までハラハラドキドキという印象もなく終わってしまったのが残念。まあ、ヒトラー暗殺"未遂事件"の顛末を知らない人なら手に汗を握って観ることもできたのかもしれないが、この手の映画を観る人ならたいていは事件の概要を知っているだろうから、かなり損をしているとも思える。 わたし的には、冒頭、アフリカ戦線で4号F2型やSd.kfz.222ぽいのが出てきたシーンだけでも観る価値はあったと思うしかない(笑)。その直後から終盤までJu52も大活躍していたし、将官の逮捕拘束シーンでppkが出てきたりといった、様々な装備を楽しむという見方では楽しめた。 クーデター決行後、反ヒトラー勢力はかなり混乱していて統制が取れておらず組織的な行動ができていなかったというが、その辺の描写がものたりなく、レーマーひとりの手柄でクーデター計画が挫折したかのような描かれ方になってしまったのが残念。実際は、ベックやオルブレヒトの行動力の無さが大きかっただけに、もし彼らがラジオ局を占拠して煽動放送を繰り返していたら結果が変わっていたかもしれないし、ロンメルも死なずにすんだかもしれないと思うとさらに残念でならない。 実際のシュタウフェンベルク伯爵は、思ったよりも最初はヒトラーに傾倒していたようだから、本作の中で、そういう思想だった彼がいかにして暗殺の主役になるほど考えが変わったかを、もっと描写して欲しかったと思うのは私だけだろうか? 【オオカミ】さん [DVD(吹替)] 7点(2011-03-04 22:10:44)(良:1票) 90.こんな人たちがいたのを知ったことは勉強になった。でも、何が言いたいのかは良く分からない映画だった。暗殺に失敗することは分かっている訳だから、その前提となる動機部分や実行しようとした人々の人物像がテーマとなって然るべきだと思うのだが、それが希薄だ。事実をなぞるだけだと意義が薄い。暗殺計画が英雄的に見えるのは、その行為の絶対的価値というより、ヒトラーが史上最悪の独裁者という歴史観が前提になっているから。もし、その後の戦局が変わっていれば、本作の価値や意味は違ったものになっている。この映画から茫洋とした虚しさを感じるのは、計画が失敗したからではなく、失敗すると分かっている計画を描いたから。さらには、結果論の積み重ねである歴史を何のひねりも無く受け入れて描いているから。そんなことを言ったら戦争映画はほとんどがそうなのだが、失敗が描かれることでそんな想いを強くした。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-06-13 13:18:50)(良:1票) 89.《ネタバレ》 ヒットラー暗殺未遂事件の映画だと思ってたので、その後のクーデター騒ぎの描写は、自分にとっては新鮮で面白かった。 ただ、大勢実在の人物が出てくるわけだが、一切どのような背景を持った人物かの説明がなかったのはどうよ? 自分はすごく興味があったから、WIKIで調べ調べの鑑賞になったけれども、普通はそこまでしないし、映画館じゃ絶対無理。 結果、ものすごくリアルに描いているわりには、そのリアルさが一般の観客にはわかりにくい映画になってると思う。 あと、言ってもしょうがないことだが、ドイツ人がドイツ語の文章をを英語で読み上げるのに全く違和感を覚えない製作者とアメリカ人の観客ってなんだかなあ~ 2014年1月29日追記 悪い癖で原作批判どころか、モデル批判になってしまうのだが。 安易に誰かが死ぬべきとか口にすべきではないかもしれないが、使命の重さを差し引いても、失敗した場合家族を待っていたかもしれない、これ以上考えられないくらい最悪の運命(妻子が虐殺されなかったのは奇跡的だと思う)を考えるならば、爆発する瞬間まであの部屋にとどまるべきだったと思う。 それから、もちろん傷痍軍人だから近づけたという面はあるかもしれないが、それにしても左手の指3本しか使えない人間に爆弾の最終的なセットをゆだねるのはどう考えても無謀な計画。 そして最後に、反対派の人たちが気づいてなかった自分たちの感覚と、他の人間の感覚のずれ。確かにナチスや、SSは嫌われててたかも知れないが、ヒトラー自身が指導者として絶大なカリスマと人気を持っていることをきちんと認識で来てなかったのではないだろうか。少なくとも通信室の女性たちが泣き出すような光景は彼らにとっては想定外だったと思われ。 いろんな意味で、残念な事件 【rhforever】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-05-01 15:34:29)(良:1票) 88.《ネタバレ》 この作戦の誤算は作戦参謀のシュタウフェンベルクが 戦略家では有ったけれども戦術家では無かった事でしょう。 シュタウフェンベルクは明らかに大局だけを見つつ、この綻びだらけのクーデター作戦を成就しようとしていた。 空白地帯と化している本拠ベルリンにおいて予備兵を総動員し、重要拠点を力ずくで押さえ込む。 あとは出たトコ勝負の時の勢いを借りて、強引に全てをひっくり返してまおう。 確かにその大局的視点においては非常に素晴らしいクーデター作戦でした。 もし、シュタウフェンベルクが少しでも局地的な観点から物事を見れる人間なら ヒトラーが死のうが生き様が、狼の巣から伸びる電話線を全て切ってしまったはずで それは1個小隊ほどの私兵が居れば可能だったはずです。 決行後は事の成否に関わらず、オルブリヒトが直ちに予備軍司令官フロムを拘束し、即時作戦の実行へ移る。 実行後、宣伝相のゲッべルスと宣伝省を真っ先に押さえたのちに 伝令部を制圧して情報統制を図り、その後SS本部、ゲシュタポなどを各個襲撃して行けばもしかするとこのクーデターは成功していたかも知れない。 特に通信兵大将のフェルギーベルに通信遮断を依頼する事自体が間違っています。 彼からは狼の巣から伸びる電話線の位置を聞き出せばあとは事が足りたはず。 また、ヒトラーは自分が反ナチス派から再三狙われている事は、以前から分かっていました。 いま味方としている側近の中にも自分のやり方に対し、迷いが有る事を見抜いていたのかも知れません。 そう考えるとヒトラーは反逆者を炙り出す為に ワザと彼等を泳がせてこのクーデターをを決行させる事で一挙に事態の収拾を図ったのではないか? 実はこの作品はそれも暗に匂わせた作りに成っています。 トレスコウが取りに行ったリキュールを「ココで飲みますか??」と、意味有り気に笑うブラント大佐。拳銃を卓上に出したまま、反逆者の事にも触れています。 別荘で新任の予備軍参謀長であるシュタウフェンベルクを呼び、ギロリと見据え「ワーグナーを知っているな」と、言うヒトラー 「生かす者と死すべき者を選び。。。」この辺りは相当にキワドイシーンです。。。 事実、このクーデター失敗以後は反体制派の大粛清が行われ、敗戦まで1度も暗殺計画は起こってません。 歴史的事実は事実として記録される以上に、深く暗く横たわっています。。。。 【一般人】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-04-15 18:05:13)(良:1票) 87.《ネタバレ》 ヒトラーは爆死したのである。 ヒトラーは死んでない、という情報は、ゲッペルスらが仕掛けたハッタリである。 爆発の後、ヒトラーは一度も画面に姿を現さない。 そして、ヒトラーが本当に存命なら、ゲッペルスが服毒自殺の準備なんかするシーンは必要ない。 なにより、受話器から総統の声が流れる短いシーンに満ちた異様な緊迫感が、逆にこのシーンに潜む虚構性を示している。人はフィクションと手を組まねば、物凄くなることはできない。「ユージュアル・サスペクツ」で描かれたのも、その「フィクションの物凄さ」だった。 「ワルキューレ計画」は、ある意味ではちゃんと成功したのである。ちゃんとヒトラーを吹っ飛ばした。しかし、その後の情報戦で失敗した。軍隊にヒトラーは死んだと信じさせれば大佐の勝ち、生きていると思わせればゲッペルスの勝ちである。ところで大佐にとって重要なのは、ヒトラーの現実的な生死である。爆発成功の後の情報合戦において大佐を支えたのは「爆発をこの眼で見た」という一事だった。一方ゲッペルスにとって大事なのは事の真贋ではなかった。彼はフィクションに賭けた。もし大佐に、ヒトラーが生きていようと死んでいようとヒトラーは死んだと言い切る神経があれば、「ワルキューレ計画」は完成したのだ。 情報戦を司るのは通信室の女子従業員たちである。「ワルキューレ」とは北欧神話で「戦死者を選ぶ乙女」という意味らしいが、通信室の女子従業員たちこそ、この映画のワルキューレなのではないだろうか。 冒頭の「これは史実に基づく物語である」というテロップのウラには、たんに史実をドラマ化せざるを得ない昨今のハリウッドのネタ不足を曝す以上の含みがあり、観客のミスリードに一役買っている。 この映画は、「ワルキューレ計画」はなぜヒトラーを殺すことに成功しなかったのか、全然描いてないがそんなものは描いてなくて当然である。だって反逆者はヒトラーを殺すことに成功しちゃったんだから。 この映画は、なぜヒトラーを殺すことに成功したのに首都掌握に失敗したのか、という問いをもって「ワルキューレ計画」を描き出す。描き方はなんつーかストレートすぎてナンだが、実はその問いは、前提からして結構イカレてる。実はすごく面白い映画なんじゃないかと思う。 副題を付けるなら「珍説!ヒトラーは死んでいた!?」とかなんとか。 【月世界婦人】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-10-28 17:16:27)(良:1票) 86.内容が少々判りづらいとは思ったが、後で復習をして何となく動きが判った。登場人物の関係も予備知識を入れておいた方が無難です。誰が味方で誰が敵なのかが判らなくなります。ヒットラーの暗殺(未遂)から首謀者等銃殺までのシーンは結構緊迫感があり良かったと思います。 【みんてん】さん [映画館(字幕)] 7点(2009-04-14 11:41:12)(良:1票) 85.《ネタバレ》 結局映画を見ている全員がご存じのとおり、クーデターは失敗し、クーデター該当者は全員銃殺刑。今にして考えればトムクルーズの行動は正義なんだろうけども、時代は彼を極悪人とするのだな。罪とは相対的なものであって、絶対的尺度はどこにあるんだ。つまり人を殺すってのも絶対的罪とはならないということである。戦争のもとでは人殺しは正義になる。 【no_the_war】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-04-06 00:40:55)(良:1票) 84.《ネタバレ》 ヒトラーという御仁は外人から見てももかなり特殊な顔立ちをしていたのかもしれない、とこの映画を見て気づかされてしまった(そりゃ誇張メイクだろうけど)。ありゃ人の形をしたエイリアンだ。悪魔の所業をなしつつ兵卒の心を掌握できていたというのがある意味衝撃で、やたら演出の細かいこの映画から、それが事実であったいう重みが伝わってくる。 とにかく描写の細やかさがいい。兵士の集合とか電信係の女たちとか銃殺シーンとか。主人公の直属部下や電話将校がなんであっさり寝返ったのかイマイチ不明だし、最後の方トム・クルーズ一人がヒーローすぎて浮き気味なのも気になるが、独特の演出の細やかさで大いに楽しめる。 ところで、なぜか若作りのゲッペルスは決死の覚悟で状況を一気に逆転させるわけだが、もしヒトラーが本当に存命なのなら彼は毒を口に含む必要があったのか? 声の似た影武者などがいたのでは? そういえばこの監督は、最後まで生きのびたヒトラーの姿を写さなかったなあ。 いい映画ですよ。何ヶ月ぶりかでなかなかの映画を見た、という感じ。 【アンギラス】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-03-28 03:32:59)(良:1票) 83.《ネタバレ》 史実としてヒトラーは暗殺されていないのだから、暗殺計画が失敗に終わることは誰もが知るところなので、サスペンスの主眼の置き方がいささか見当違いなように思える。会議場の爆破が成功した後でヒトラーの生死が確認されないままクーデターが進められるが、「あ~あ、やっちゃったよ」という感想以外浮かばない。また、シュタウフェンベルクがヒトラー暗殺に思い至るまでになった過程がすっぽり抜け落ちているため、いまいち主人公の行動に説得力が欠ける(最初に日記で説明されているだけ)。トム・クルーズを起用して中途半端にエンターテインメントに仕上げたのがそもそも間違い。ドイツ系の役者で固めたもっと硬派な作りにすればよかったのに。と、いろいろ問題点があるのだが、2時間飽きずに楽しめたのは確か。アイパッチ萌え~な私にとっては、いいもの見せてもらいました。 【フライボーイ】さん [映画館(字幕)] 6点(2009-03-25 19:08:59)(良:1票) 82.《ネタバレ》 未遂に終わったヒトラー暗殺計画「ワルキューレ作戦」を正確な日時を明確化してその過程は明らかになっている史実にかなり忠実に再現されていると思われます。側近に囲まれて守られているヒトラーに面会が叶う大物(今回はシュタウフェンベルグ大佐)しか暗殺決行は出来ず更に彼は決行後直ちにベルリンに戻り、その後の作戦の指揮も執らなければならない。シュタウフェンベルグ級の人物がもう1人いれば違う結果もあったかもしれない…。という作戦の過程や弱点が予備知識が無い者にも分かりやすく丁寧に作られていると思います。ただ、ヒトラーは暗殺で死ぬ訳ではなく、自殺したという事なので、この作戦が失敗に終わる事は観る者にも明らかな訳で、その面での面白みは無い。しかしこの作戦に関わったシュタウフェンベルグを中心にレジスタンスの男達の人間ドラマはなかなか楽しめました。それだけに作戦の計画から崩壊する過程を日時を追って描くよりは失敗に終わるこの作戦に関わったシュタウフェンベルグと仲間の男達の熱い人間ドラマをもっと見たかった気がします。 また、計画に気付きながらも告発することなく見逃し、しかし計画が失敗した途端に首謀者達を即刻処刑するも、自らも間もなく処刑されてしまうフロム将軍が印象に残った。首謀者達と深く関わる事になる体制側の人物についてのもう少し突っ込んだ人物描写も見たかったとも思います。 【とらや】さん [映画館(字幕)] 7点(2009-03-24 22:16:09)(良:1票) 81.《ネタバレ》 謎の多かったこの暗殺未遂事件は何度も映画化されて史実との関係も明確になってきているようです。暗殺に成功しただけでは混乱の中で何が起きるか不確定なことからワルキューレ作戦の利用を考えるなどの緻密さは十分に評価されますがその割には人材が不足していたようです。暗殺失敗はこの映画でも描かれているように爆薬の使用量が少なかったことと会議室が暑さの関係で開放的な場所に変更されて爆発の効果が弱まったこともありますが、やはり実行者に決死の覚悟が欠けていたことで、これは事後の指揮権までも抱え込まされたことで同情すべきことですが多くの直接は責任の無い人たちまで巻き添えにする手段を採るからには実行者は一歩退いた位置に留まらねばならないと言う意味では暗殺に専念せねばならなかったようです。映画では家族愛に重点を置いての表現ですが、冒頭に示される忠誠への誓いへの意識、ドイツ陸軍としての名誉と自分に生命を委ねた兵士達への責任感、手段についての軍人の誇りなど多くの要素に対する苦悩みたいなものがやや希薄になり、却ってそれをふっ切れた感じの夫人のほうが強い印象を与えるように思えました。 ゲッペルス(背も高過ぎるようだし、特徴ある頭の形などまるで似ていない)が毒薬を含みながら会見し、ヒトラーの声を聞かせて説得を確信してから吐き出すところなど手の込んだ演出ですがそれほど効果はなかっらようです。 【たいほう】さん [試写会(字幕)] 6点(2009-03-23 20:01:30)(良:1票)
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