みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
9.南北の歴史観の相違はアメリカ社会において未だにデリケートな問題であり、本作はそんなタブーに片足を突っ込んでしまったがために、興行的にも批評的にも微妙な結果しか残せなかったようです。しかし、そんな色眼鏡をとっ払って見れば、本作は硬派な題材と娯楽性を見事に両立させた非常に完成度の高いドラマであり、オスカー監督・レッドフォードの最高傑作とも言えるレベルに達していると言えます。。。 北部人が敬愛するリンカーン大統領が南部人に殺された。人々の復讐感情を充足させるためにも早期に容疑者を処刑することが求められるのだが、問題は、犯人グループの一人が逃走中で未だ身柄を確保できていないということ。そこで政府は、その母親を首謀者の一人とみなすことで事件の幕引きを図ることにする。まぁ無茶苦茶な話なのですが、東京裁判にニュルンベルク裁判、フセイン裁判と、アメリカ合衆国は歴史上何度もこの手の茶番をやらかしており、ある一時代のお話といってタカをくくれない怖さがあります。。。 結論ありきで進められる魔女裁判に、加害者への厳罰を求める世論。必死に証言者を探して来ても、証言台に立たせる頃にはすでに政府の手が回っていて、必要な証言を引き出すことができない。主人公達は容赦なく追い詰められていきます。巨悪と戦う主人公の姿はこの手の映画の定番ですが、ここまでのプレッシャーを受ける登場人物は稀です。さらに、主人公たちは個人的なジレンマとも戦わねばなりません。エイキン弁護士はこの裁判を戦い抜くことに確かな正義を見出しているものの、自分のアイデンティティと相反する立場に立たされたことで、友人も恋人も失ってしまいます。メアリー・サラット被告は自身の潔白を主張しながらも、それを証明するためには息子の有罪を立証しなければなりません。裁判がどう転んでも大きなものを失うという、まさに絶望的な戦いなのです。。。 以上、本作は社会派ドラマとして非常に充実しているのですが、同時に娯楽への目配りも出来ています。当初は絶対に勝てないと思っていた裁判だったが、目の前の壁を一枚ずつ崩していくことで次第に形勢を逆転させていく。アクション映画さながらの展開には、最後までハラハラの連続でした。結末はわかりきっているのに、それでも目を釘付けにされてしまうのです。脚本・演出ともに、非常に充実した映画でした。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 8点(2013-07-08 22:30:45)(良:1票) 8.《ネタバレ》 米映画には、自らの歴史や政治の誤りを正面切って問うという、正義心を支柱にした系譜があってほんとに感銘を受ける作品も多いのだけど、これもそんな作品のひとつ。 米国史上初の女性死刑囚であるメアリー・サラット。彼女の量刑は明らかに不当であり、裁判はことごとく証人が買収されるインチキぶりで、北部の軍将校たちによる報復心のみで決裁された。 レッドフォードの筆致は淡々として、静かに事実を追ってゆく。しかし彼の怒りははっきりと伝わる。 正当な裁判が行われなかった人権の蹂躙、アメリカ史の恥部。聖書に手を置いて真実のみを述べると誓う行為など何の意味も無い。ここまで描くのは勇気のいることだったのではないか。 声高に叫びすぎないことも、メアリーの人物像を敬虔な、息子を思うごく普通の母親として誠実に描いてあることも好感が持てる。 レッドフォードは立派な監督だなあと思った。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-06-24 00:14:05) 7.《ネタバレ》 大統領暗殺ということであればあのような裁判をせざるを得ない気持ちは分からなくはないけども・・・。史実に基づいた内容だけあって重く考えさせられるものでゴザイマシタ 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-05-07 10:05:14) 6.国と法、まさに鶏が先か卵が先かと同じジレンマを持つものなんだね。この二つが軋みながら国家が成長していくのだろうな。法廷テクニックばかりクローズアップされる劇が多いなか、ケレンを持ち込みようもない時代だけに却って面白かった。 【monteprince】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-10-19 01:21:43) 5.《ネタバレ》 南北戦争終結後、ようやく平和が訪れると歓喜に沸いていたアメリカ社会にリンカーン大統領暗殺という悲劇が襲い掛かる。再び混乱へと陥ることを怖れた政府は全力を挙げて容疑者たちを次々と逮捕していく。そんななかに、暗殺計画の中心人物だった青年の母親が含まれていた。北軍兵士として戦った主人公の弁護士は、そんな母親の弁護を担当することになる。そうして始まる裁判を通じて、法と正義、勝者と敗者、個と公、そして親と子の絆といった重厚な人間ドラマが展開されていく。法廷劇としてみれば(結局、死刑になるということが分かっていることもあって)少々地味で印象に残るシーンが乏しいという面は否めないけど、それでも歴史という巨大なうねりの前でちっぽけに押し潰されそうになりながらも、最期まで凛とした誇りを失わなかった一人の女性の悲劇は充分に見応えがありました。 もうちょっとドラマティックでも良かったかなーとも思うけども。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 6点(2013-10-03 22:26:11) 4.《ネタバレ》 渦中の人物が囚われるまでの流れが、どうにもつかみが弱くてノレませんでした。それにしてもイヤな歴史です。アメリカが今どうかよく分かりませんが、日本は今もこんな感じがあってもおかしくない国だと思います。地位ばっか高くて道徳も正義も教養もないバカって「悪魔」ですよね。映画の点数ですが、歴史を記録する意味では意義があるでしょうが、悪魔が勝利して悪魔が何も痛みを感じたりしない話で、悪魔に翻弄された人に特に救いも感じない話は、好きになれないです。酷い出来事を映して「ひどいことはしたくないね」と思わせるモノより、酷いことを映しながらも浄化されるものもあって「あんな風に正しいことして気持ちよく生きたい」と思わせるモノが好きです。 【だみお】さん [DVD(吹替)] 5点(2013-08-12 19:23:51) 3.《ネタバレ》 テキトーな裁判しやがって、と思ったけど現在の日本の裁判も同レベルか、これ以下なんだよなぁ。さすがに死刑での冤罪こそ少ないが、しょうもないことでもメンツにかかわるとなれば強引に起訴しちゃうアホ検察と 裁判になってしまえばほぼ有罪確定という無能裁判所。 世界中から批判されても今なお時代遅れの裁判をしているこの国の悲しき司法よ。 【虎王】さん [DVD(吹替)] 6点(2013-08-04 23:56:07) 2.《ネタバレ》 リンカーン大統領の暗殺に関わったとして、アメリカで女性として初めて死刑に処せられたというメアリー・サラット。いや~、知りませんでした。そんな史実があったとは。そしてまた、こういう題材を映画化するというレッドフォードの良識にも惹かれるものがあります。地味だし、スカッとする内容ではありませんが、秀作だと思います。なにより、結末は最初からわかっちゃってるわけですからね。メアリーは結局処刑されてしまうっていう。でも、鑑賞中は「なんとか回避してくれ~」って願っている自分がいました。そりゃ自分の息子を差し出して自分は助かろうとする母親などいませんもの。彼女の行為は当然のもの。しかしながら、周りはそんなことおかまいなし。大事なのは、大統領が殺されたという現実において、国をまとめる為に、誰かが祭り上げられなきゃいかん、ということだそうな。それに対し主人公は、あくまでも法の精神を訴える。しかし彼の法と正義に忠実な態度は、彼をどんどんと孤立させていく。友も恋人も離れていく。あの展開が辛いですね。自分は男なので、自分が息子の立場だったらどうするかと考えていたんですけど、やはり自分なら名乗り出るだろうな、、、。そうしなかった彼を最初は軽蔑の目で見ましたが、最後の「あなたのほうが息子の資格がある」というような台詞を聞いて息子も息子なりに自分を責めていたんだろうなと思いました。時代に翻弄された、一つの家族の悲劇です。 【あろえりーな】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-04-09 23:26:30) 1.《ネタバレ》 黒人を迫害した南軍がリベラルな北軍に負けたというのが日本人の「南北戦争」のざっくりしたイメージか。そういう事実を踏まえながらも映画でこのように描かれると、どうしてもお母さんに同情してしまうのは仕方がない。で、残念な結末。事実だから変えようもない。。。スター俳優が出ていないところは良かったかな。 【kaaaz】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-04-05 23:44:52)
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