みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
82.《ネタバレ》 大泉がマンションから外に逃げた先に見えたものは日本の終わり。 「あぁ本当に日本は終わってしまったんだな」とビシビシ感じる、海外のゾンビものじゃ味わえない本当に起こってそうな日本のゾンビもの。 その外へ逃げるシーンの絶え間ない人々の悲鳴、救急車も人間をはねる。そして曲がり角を抜け大通りに出ると、どうしようもない説得力のある絵がバシっと出てくる。こんなに心底震え上がって「ヤバい!」って思うのは怪獣映画にだってない。このインパクト、スケール、スピード感、絶望感は凄まじい。そこからタクシーが事故を起こすまでの流れはまさしく日本映画とは思えないド派手さだ。 そこからはヒロミちゃんとの出会いからモールの流れなのだが、ここでさっきの熱はクールダウンしてしまう。しかしコレはラストに向けての充電シーンであった。 英雄の銃を撃ってからの痛快さもまた見物、両方から迫り来るZQN共を文字通りバンバン倒していく。辺り一面血の海になりそりゃもう死屍累々。 しかしそれと同時にたまらぬカタルシスが味わえる。凄いよ英雄!まぁちょっと位置がわかりにくくて他のキャラクター達がどこでなにやっているのかよくわかりませんでしたけどね。 ゾンビにバリエーションがあるのも嬉しい、いろんな元の生活で行って来た残留思念のようなものが残っている台詞がなんとも面白い。そして特徴ある巨漢やら運動選手なゾンビなどが登場するのも面白い。 そんでもってこの映画の見所はやはりその過度な残酷描写なのだが本当にやり過ぎ感があって凄いですね、職人の域です。そこと鈴木英雄…というか大泉洋という抜けた男が緩衝剤となって微妙に良いバランスをとっていると思います。うん、大泉いい映画に出たね! 最後はまるで途中かのような終わり方、まぁ原作終わってませんし。なんとも潔い終わり方…ですが逆に清々しくスッキリとこちらも見終える事が出来ました。 日本の映画とは思えない丁寧な作りとテンポ、そしてスケール感のある凄まじい映画でした。素晴らしい。 【えすえふ】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2017-02-12 16:53:02)(良:3票) 81.原作を読んだ者としては、あの漫画の映画化としてはうまく行ってる方だと思う。 アウトレットモールからの脱出をもって一応のハッピーエンドというのも落とし所としては妥当。 主人公の配役もよいし、ゾンビとの戦いシーンも邦画としてはかなり頑張ってる(あくまで「邦画としては」なので、そこを高く評価するつもりはないが) ただ、あの漫画はゾンビが世界に溢れた終末世界の状況や人々をリアルに描いてるからこその面白さがあったのだが、映画ではそういったリアルな描写はゼロ。でもそれは、映像化するって時点でそりゃあ無理ってもんだから、目をつむる。 「あの漫画をどう映画化したのか?」という評価を抜きにして、単純に一つの独立した映画として見た場合、お世辞にも褒められた出来ではない(まあ、原作付きという足かせに縛られてるのだから、仕方ないのだが。)。 この映画、基本的には、冴えない主人公英雄がひろみを守るために男になる、という成長物語なのだが、それがあまりうまく行っていない。 その最大の原因は、ひろみがゾンビ化しているので、英雄に対して、頼りにするとか、感謝するとか、通常の人間的感情を表出できない点だ。 また、英雄がひろみと正常な状態(非ゾンビ状態)で過ごした期間が短すぎて、なぜ英雄がひろみにそこまで思い入れをいだき、また、なぜひろみが英雄にそこまで信頼をよせるのかに説得力がない。英雄はひろみとほとんど会話をしていないし、2人は互いのことを何も知らないのだから。 正直、この映画、ひろみのゾンビ化はなくてもよかったと思う。 そもそも、ひろみのゾンビ化は、原作であの後に続くストーリーには大きく影響してくるものの、今回のアウトレットモールまでであれば、全く不要な部分である。 原作に忠実にやらないと原作ファンから批判が来るだろうことは大いに分かるが、バッサリ切り捨てても良かったのではないか。 そもそも、ヒロインがずっとゾンビ状態っていうのは、単純に見ていて楽しくもないしね。 あの原作をどう実写化するか?という点では面白かったけど、映画としては少々物足りなさを感じた。 【椎名みかん】さん [インターネット(邦画)] 6点(2021-04-16 07:06:36)(良:2票) 80.《ネタバレ》 とうとう日本にもゾンビ映画の傑作が誕生したんだなぁ……と、感無量。 邦画にも面白い作品は沢山あるけれど、その中で「ゾンビ映画」というジャンルは非常に頼りなく、胸を張って「面白い」と言える作品は、これまで無かったように思えますからね。 「火葬の風習がある日本では、死者蘇生がイメージし難い」 「銃器が身近に存在しない」 等々、ゾンビ映画を作る上では不利なお国柄なのに、そんなハンデを乗り越え、これほど面白く仕上げてみせたのだから、もう天晴です。 二時間という尺の都合上、どうしても原作漫画の要素は色々と切り捨てられてしまう訳だけど、その取捨選択も見事でしたね。 原作においては、丸々一巻分かけて「売れない漫画家の鬱屈とした日常を描いた漫画」と思わせておいて「実はゾンビ漫画だった」と一巻ラストにて種明かしするという、非常に面白い構成となっているのですが、これを再現するのは潔く諦め、十五分程で「ゾンビ物ですよ」と種明かし。 謎の存在「来栖」や妄想の産物「矢島」も登場させず「主人公の英雄」「ヒロインである比呂美と小田」の三人を中心とした作りにして、分かり易く纏めてある。 英雄の恋人である徹子の描写が大幅に削られており、彼女を殺してしまった事への葛藤すらも失われているのは気になりましたが……まぁ仕方ないかなと、納得出来る範囲内でした。 そもそも原作においては作者自身が「作中に散りばめられた謎を解く事」を放棄したフシがあり「適当にそれっぽい言葉を並べておけば、信者が勝手に深読みしてくれる」と、作中人物に嘯かせているくらいですからね。 よって、原作における「来栖とは何なのか?」「ZQNとは何なのか?」という謎解き部分を徹底的に排除したのは、もう大正解だったかと。 日常がゾンビの発生によって崩壊する様も、真に迫って描かれていましたし「日本」という身近な世界が舞台になっている分だけ、その臨場感も倍増。 ここの辺りのスピーディーさ、動きを伴うからこその迫力は、漫画には出せない、映画ならではの魅力だったと思います。 ロレックスの伏線が三重、四重になっている脚本にも、非常に感心。 「原作では準主役格だったりする中田コロリ先生が、ロレックスを付けている」→「それを気にしていた英雄が、文明崩壊後の世界では簡単にロレックスを拾える事に拍子抜けする」と、ここで伏線の回収が済まされたと油断していたところで「英雄がロレックスを大量に装備し、それが腕のガードになっていたお蔭で、噛まれても助かる事になる」「最終的には、我が身を守る虚栄心の象徴のようなロレックスを外して、射撃に専念する」ってオチに繋げてみせたのには、もう脱帽です。 ボス格の敵キャラとして「高跳びゾンビ」をチョイスするセンスも良いし、そして何といっても……終盤のショットガン描写が、素晴らしい! それまで発砲する事が出来ず、躊躇い、怯えていた英雄が、ヒロイン達を守る為、ラスト二十分程で、とうとう引き金をひいてみせるんだから、本当に痺れちゃいましたね。 溜めて、溜めて、解き放つというカタルシスがある。 連射系の武器ではない、一撃の威力が大きいショットガンと、非常に相性の良い演出だったと思います。 襲い来る大量のゾンビに対し、素早くリロードしながら迎え撃つ英雄の姿も恰好良かったし、最後は「弾切れの銃で、敵の頭部にフルスイング」という倒し方なのも、実に痛快で良い。 原作においては「富士山に行けば助かるというのは、ガセネタだった」「実は英雄も感染していた」などの情報が明かされ、この後どんどん絶望の匂いが濃くなっていく訳ですが、本作においては「富士山に行けば、何とかなるかも知れない」「比呂美の存在によって、ワクチンが作れるかも知れない」という希望を残した段階で完結しており、その点でも好みでしたね。 最後の台詞通り「ただのヒーロー」になった英雄なら、きっと彼女達を守り抜けるだろうなと思える。 良い終わり方の、良い映画でした。 【ゆき】さん [DVD(邦画)] 8点(2017-12-01 04:19:50)(良:2票) 79.《ネタバレ》 大泉洋に告ぐ。 何年にも渡り愛されつづけ待たせつづけた女性が目の前でお亡くなりになったのです。そこで放置は人としてどうなのかと。 最後にラストキッスくらいしてあげなさいってばさ そして最後にベッドにでも寝かしてあげなさいってばさ (その際、もちろんお姫様抱っこしてあげってってのが理想です。) 総評:MVPは片瀬那奈だと思う。 いや、てっこだと思う。 気色の悪さは群を抜いていた。 二時間超えの たかがゾンビ映画に付き合うこと決めれたのは冒頭での彼女の存在あったからこそと言っても過言ではないです。(CS録画において) 尚、他にコメディ部門においての受賞は30年間無事故無違反でのタクシー運転手:村松利史氏であったとそう思う。 でもコメディ部門においての大賞は・・デュルルルル・・ 発表です やはり、大泉洋様 ご本人であったと思います。 【3737】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-09-17 21:31:19)(良:1票) (笑:1票) 78.《ネタバレ》 普通に面白かった。特に冒頭近くの日常が非日常に変化していく街頭のシーン、邦画にありがちな安っぽさをまるで感じさせず、そうかと言って洋画とは一味違った非常にリアリティのある無秩序さ。もうあのあたりからぐいぐい引き込まれて、そのままのテンションで最後まで見ることができた。 主人公の覚醒を本当にじれったいくらいぎりぎりまで引っ張ったのも良かった。 あと、女優好きの自分としては長澤はまあまあ、それよりも有村を最初からなんのわだかまりもなく素直に可愛いと思えたのが収穫。 (思えば、あまちゃん放映時、若春子のけなげさが結構好きで、過去パートも楽しんでたのに、ヒロインを演じた女優に肩入れするあまり彼女が不遇なのに、なんで有村ばっかと自分でも理不尽だとわかってるわだかまりをずっと引きずってきたのは自分でも馬鹿だったかなと。ヒロイン女優に対する気持ちの整理がほぼついた今、素直に有村の魅力を認められるのはちょっと嬉しい。さあ、観るぞ、有村映画w) 書き忘れて追加、自分が一番つぼにはまったのは、有村のスマホの2ch?に出てた、赤ん坊のころ階段から落として足を不自由にした妹が扉をがんがん蹴ってるんだけど、あけてあげようと思ってる っていうような書き込みでした。皆さんお気づきでした? 映画はそりゃ映画館で見るのが一番に決まってるけど、こういう細かいところに気付き確認できるのは録画したものを観賞するならではの楽しみですね 最後に、鉄腕麗人さん、あなたのレビューを見なければ多分、こんな面白い映画見なかったと思います。ありがとうございます。 11月19日点数のみ8→7 【rhforever】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-03-05 18:30:11)(良:2票) 77.《ネタバレ》 原作は最終話まで読んでるんですが、この映画版は未見でした。 とはいえ評判がいいのは聞いていたので楽しみにしてたんですが、いやこれはなかなか素晴らしい出来です。 映画化するにあたり一部のキャラ設定を変えあるいはキャラごと削除、イベント削除あるいはかなり変更し…と、実は原作から大きく違ってる映画なんですが、トータルで原作の空気感が(少なくともあのショッピングモールまでの空気感が)きっちりと描かれているのは、これは製作スタッフに拍手、というところでしょう。原作を大事にしてるのが観ていてびんびんに伝わってきます。 邦画のゾンビ物なんかしょぼいに決まってるだろう…という先入観が我々にはあるわけですが、この映画は見事にその先入観を打ち破ってくれてやりきってるのもお見事。 なんだよ、やればできるんじゃん! まさか邦画で海外のもの以上のゾンビ映画にお目にかかれるとは… ちなみに劇中、伊浦が駐車場でZQN化するときに、藪(小田つぐみ)に対し「セックスしよう」「嫌がってるふりしてたけどお前も喜んでたろ」みたいな事を突然言いだし、映画しか知らない人には「うわ、キモイ男」と思わせるわけですが、これ原作も読んでると、藪がZQN化するときに「伊浦〇ンポいい」と連呼するのを知ってるわけで、原作を知ってるかどうかであのシーンの解釈は違ってきたりします(笑) というか、もしこの映画の続編が作られる事になれば長澤まさみがそのセリフを言う事になるわけで、そうなるとさらなる日本映画の金字塔としての地位を確立すること間違いなしなんじゃないでしょうか。ドキドキがとまりません。 【あばれて万歳】さん [インターネット(邦画)] 8点(2018-09-01 17:27:37)(良:1票) 76.《ネタバレ》 邦画のホラーものというと基本的に霊を題材にしたものというイメージが強く、まして本作のようなゾンビを題材にしたものは邦画ではちょっと無理があるのではと思っていたが、本作はその邦画ではなじみにくいゾンビという題材を扱いながらもかなり完成度の高いものになっていて、途中飽きることなく最後まで退屈することなく面白く見ることができた。とにかく開始20分過ぎたあたりの主人公 鈴木英雄(大泉洋)の恋人であるてっこ(片瀬那奈)がゾンビ化して英雄を襲いはじめるシーンからかなり気合いの入った怖さで目が離せなくなった。この手の大作系邦画にありがちな安っぽさやハリウッドかぶれのような感じも無く、ゾキュン発生の経緯や、よけいなドラマを一切排除した脚本も潔い。とくにゾキュン発生の経緯が一切描かれないことによって、見ていて登場人物たちと同じ目線になることができるし、またリアリティーも感じることができる。(街がパニック状態になってテレビが報道特番に切り替わる中、一局だけアニメを放送しているところが細かくて笑える。このシーンを見ていて「クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦」を思い出した。)確かに後半アウトレットモールが舞台になってからは少し失速した感があるが、それもそれほど気にはならなかった。趣味でクレー射撃用のライフルを所持している英雄がこんな状態になっても銃刀法違反をずっと気にしているというのが思わずそこかよと突っ込みたくなるのだが、本作はこの英雄(えいゆう)と書いてひでおと読む冴えない主人公がいかに本当にヒーローとして覚醒するかも見どころで、それを最後まで溜めているので、クライマックスの英雄とゾキュンの戦いが半端なくカタルシスのあるものになっているのが最高だった。ラストシーンで藪・小田つぐみ(長澤まさみ)から名前を尋ねられた英雄がそれまでと違い、「ただの英雄です」と答えるのは彼の成長とこれからゾキュンから彼女たちを守って行くという決意が感じられてすごく印象に残る。原作漫画未完の頃に作られているので終わり方としてはやや中途半端な感じがするのだが、個人的にはこの終わり方で良かったと思う。もしも続編が作られたら見たいと思うのだが、ちょっと出来が怖い気も。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 7点(2018-07-21 18:56:23)(良:1票) 75.真面目にゾンビ映画作ってくれて、おじさんうれしーよ。実力のある俳優さんがいっぱい出てくれて、おじさんうれしーよ。今度はWWZみたいな大作を期待しているよ、おじさんは。みんな期待しているよ、日本の映画界に。 【センブリーヌ】さん [インターネット(邦画)] 6点(2017-10-11 01:28:01)(良:1票) 74.《ネタバレ》 ゾンビ映画と知らずに鑑賞。主人公が恋人のアパートに戻ったシーンでは腰を抜かしました。ゾンビ映画に免疫がなく、評価基準を持ち合わせていないため、他の方々のレビューに多く見られる「世界に通用するレベル」とか「邦画とは思えないクオリティ」とかいう感想ではありませんが、ただ純粋にとても怖く思いっきりグロく、よくできた映画だと思います。チャチな感じは全くありませんでした。 あと、有村架純さんですが、彼女がものすごくカワイイとおもいました。この場合、綺麗ではなくカワイイです。あまちゃんブレイク以降よく見かけますが、現在放映中の朝ドラ含めて、この映画ほどカワイイと感じたことはありませんでした。彼女にならすこしくらいかじられても・・・という気持ちがよくわかります。 【la_spagna】さん [DVD(邦画)] 8点(2017-08-15 14:04:55)(良:1票) 73.ゾンビを観て以降、さまざまなゾンビ映画を観ましたが、ついにちゃんとした和製のゾンビ映画を観られたことが感慨深いです。 原作は途中まで読みましたが、映画用のアレンジも上手だと思いました。 大泉洋は、他に似た人が思い浮かばない唯一無二の俳優さんですね。見事に主人公になりきっていました。 有村架純の女子高校生もとても可愛かったですし、長澤まさみも役にはまっていました。 【たぬき野郎】さん [DVD(邦画)] 8点(2017-06-17 23:19:46)(良:1票) 72.《ネタバレ》 はじまりは、平凡な日常に入り込む些細な違和感。種火はボヤを吹っ飛ばして瞬く間に大火へ。同棲彼女のアクロバティックな急襲に端を発した地獄絵巻は、半径3メートルのアパート室内から、煙幕上る阿鼻叫喚の市街地編まで、ドミノ倒しの如く、いやタクシー大爆走で、悪化拡大していきます。そうかと思えば、一転、主人公とJK2人の静かなひと時。心の交流を手際よく挟み込み、緩急をつけるニクイ展開。その後は当該ジャンル“らしさ全開”のショッピングモールを舞台に、ゾンビより恐ろしいヒトの集団が登場と。およそ定番と思しきプロットを漏れなく押さえた正統派ゾンビ映画の趣で、ゾンビ映画好きとしては、非情に好感度が高いです。JKを“半人半ゾンビ”に位置づけた点は、クロかシロかを問うゾンビ映画には通常存在しない特異点で、ホラー・スプラッター祭りの中の“良心”を担う“核”でもありました。極限下においても、弱者(あるいは障碍者)を切り捨てることを正義としないヒューマンドラマは、弱肉強食を旨とする無法世界に対するアンチテーゼ。胸に響きました。上戸『あずみ』の百人斬りを彷彿とさせる英雄渾身の銃撃戦は、ZQNについて絶妙なパワーバランスの調整が効いていてこそ。アクティブに動くゾンビ(いわゆる走るゾンビ)だらけでは到底耐え切れませんし、オールドタイプ(スローモースタイル)ばかりでは戦う必然性が担保されません。ZQNに個性を認めたことで成立した壮絶なクライマックスは見応え十分。徹底したゴア描写も正統派ゾンビ映画としての自己主張であり、それでいて汚らしい印象がない点も評価したいです。物語としては尻切れトンボな印象ですが、そもそもゾンビ映画とはそんなものでしょう。これ、続編を期待しない方が野暮というもの。私の中では「快作」認定です。有村架純も可愛かったし、言うことナシであります! 【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2017-02-10 00:29:02)(良:1票) 71.《ネタバレ》 アイアムアヒーローと言うタイトルから少し期待していたのですがイマイチでした。 日本映画も映像技術は進んだなぁと思う物の、ただの内容のない ゾンビ+スプラッターだけで終わったのが残念。 大泉の恋人役の片瀬那奈のゾンビが最恐で、以後出てくるゾンビがその恐怖を越えない。 タクシーのカーチェイスまでは迫力があっただろうが、そこから急に人もゾンビも なぜか消えた所からは、あまり見所も無かったかな。 有村架純はある意味半ゾキュンと言う特殊能力?状態になっているが寝てただけだし。 ヒーロー君もショットガンで単調に撃っていくだけなのでね。 アウトレットではゾンビが音に集まると言う特性を理解しているのだから もうすこし罠をしかける展開とか面白くする工夫が欲しかったかなぁ。 アウトレットでは、せっかくゾンビを壊滅状態にし食料や電力もあると言うのに そこからどこかに向かって終わるって言うのもね。何の結末も描かれてない。 謎の解決なぞする気もなし。続編をにらんでるのかな。 【デミトリ】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2017-02-05 23:28:11)(良:1票) 70.《ネタバレ》 序盤、部屋の郵便受けからのぞいた時のてっこちゃんの異変のシーンから逃走、 街中を駆け回りタクシーに乗り修羅場をくぐり抜けるまでの一連のシーン。 あの勢いの良さは邦画ではなかなかお目にかからなかったので、 「お、邦画もこういうテンションのパニック映画作れるようになったのか」と嬉しく思いました。 なんというか、世界のマーケットを意識したようなクオリティでね。 それでいて、内容的にはゾンビ映画なんだけど、海の向こうのものをそのままやってるわけでなく、 例えば感染者は顔も気色悪く変形するとか、一人一人のキャラが活かされてるとか、そういうオリジナリティもあって面白いんですよね。 高飛び男との一騎打ちのシーンとか手に汗握るほどの素晴らしさでした。 ただ、銃の弾いくら何でもありすぎだろうとは思いましたけどね(笑)。 終わり方も「え?それで終わりなん?」ていう感じで、ちゃんと富士山到着まで見たかったなと思ったんですけど、 あの無敵さを目の当たりにしたらもう彼らは大丈夫だろうなとも思ったし、わざわざ描くのは無粋なのかもしれませんね。 【あろえりーな】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2017-01-20 00:14:22)(良:1票) 69.この国は“ZQN”だらけだ。そして誰もが“ZQN”になり得る。 非常識で傍若無人な振る舞いをする“輩”を表す“DQN”という蔑称を文字って、劇中ゾンビとなってしまった人達を“ZQN”と表したこの映画の在り方は、“ゾンビ映画”として極めて真っ当で、ちゃんと面白い。 古くから優れたゾンビ映画は、ホラーというエンターテイメント性と共に、常にその時々の社会の縮図とそこに孕む病理性を描き出してきた。 ゾンビという恐怖を、社会病理の象徴として位置づけることで、それが文字通り生活を脅かす様を描いてきたのだ。それこそが多くの映画ファンが、ゾンビ映画に求める本質的なテーマなのだと思う。 個人的には恐怖映画が苦手なので、ソンビ映画の系譜そのものに対しての造詣は極めて低いのだが、それでもこの国産ゾンビ映画が、その“テーマ”をきちんと踏まえた上で、正真正銘のゾンビ映画として仕上がっていることは充分に理解できた。 この映画の成功の最大の要因は、言わずもがな原作漫画の見事さに尽きるのだろう。 花沢健吾の原作漫画が、前述のゾンビ映画が持つべきテーマ性をきちんと踏まえているからこそ、この映画化作品が見事なゾンビ映画に仕上がっていることは明らかだ。 ただ、どんなに優れた人気漫画の映画化であっても、尽く失敗してしまっているのが国内映画の、特に娯楽大作系映画の現実である。 そんな中で、今作の娯楽大作としての成功は、やはり喜ばしいトピックスだ。 原作漫画を忠実に映画化したと言ってしまえばそれまでだが、それこそが映画化において最も難しい部分であることも確か。 冗長になりがちな心情描写やモノローグ描写を極力廃し、ひたすらにアクションの連続で構築したことが、潔く見事だったと思う。 そして、キャスティングと俳優たちのパフォーマンスも総じて良かったと思う。 特に主人公を演じた大泉洋の英雄ぶりがスゴかった。初登場シーン、漫画を描く原稿から顔を上げた瞬間に「あ、鈴木英雄だ」と疑わなかった。 最後の最後まで、ZQN=ゾンビを殺すことに快感を微塵も覚えることなく、散弾銃を構え続ける主人公・鈴木英雄のキャラクター設定こそが原作漫画の肝であり、その特異な主人公像を体現した大泉洋の表現力は流石である。 毎朝のようにワイドショーでは、“DQN”と化した一般市民の醜態が報じられている。 「自分とは違う人種だ」と軽蔑の眼差しを送るに留まる日本人が殆どだろうが、果たしていつまでもそう安閑としていて良いものだろうか。 「炎上」を巻き起こす程の極端で分かりやすい言動に至っていないだけで、実は自分自身を含めた総ての人々に“DQN”になり得る節は見え隠れしているのではないか。 ふと気づけば、「日常」がゾンビだらけで阿鼻叫喚に包まれているなんてことに本当にならなければいいけれど……。 このゾンビ映画が描く「恐怖」とは、詰まるところそういうことだ。 【鉄腕麗人】さん [ブルーレイ(邦画)] 8点(2016-12-10 12:23:44)(良:1票) 68.《ネタバレ》 普段はうだつのあがらないダメ男でも、何か一つとりえがあるかもしれない。それは例えばそう、ゾンビの群れから2人の女性を守りきれるような、そんなダメ男のゾンビ映画。ゾンビ映画は色々観てきましたが、原作ありきとはいえ、邦画ゾンビでこれくらいキモくて怖いゾンビ造形を出してくれるなら、もう、それだけでヒーヒーしちゃって映画にのめり込めます。でも、それだけじゃなくて、この映画、さらに迫力もグロさも十分で、邦画でもやればできるんだぜ感がめちゃくちゃ伝わってきて、なんかゾクゾクきました。それに、日本が舞台なので、日本人であるこっちの感情移入率も高い。印象的なのは何度も繰り返される妄想シーン、ダメ男が本気をふりしぼるのがいかに難しいかを、こんな感じで表現してくれると、とってもわかりやすい。次は本気か?、次は本気か?を何度も繰り返すんやもん。そーだよね、中々出てこないよね、本気は。でも、あんな魅力的な女性二人なら、最終的には本気と共にロッカーからも出てくるよね。きっと。あと、最後の銃撃ドログチャシーンも、テンション上がります。何十体も出てくるゾキュンが、みんな個性的やし、特にラスボスのキモさっていったら、あーた、ずっと高跳びやりまくって、それで頭へこんで、しかも顔がマジなスポーツマンの顔、こえーよ。怖すぎるよ。街中の長マワシシーンもよかったなー。街で突然、謎の危機に遭遇する感じがしっかり体感できて。展開的には、過去の有名なゾンビ映画のおいしい部分をつないだ感じですが、ゾンビ映画って、なんかそれで演出とかちゃんとやってくれたら、僕は大満足なんです。きっと。 【なにわ君】さん [インターネット(字幕)] 10点(2016-12-01 02:52:36)(良:1票) 67.《ネタバレ》 すげえ迫力! ストーリーは、まぁ、あってないようなものでいいんですが ゾンビたちとの死闘をガッツリ見せてくれました。 前半の街中でのパニックぶりと後半のアウトレットでのドーン・オブ・ザ・デッドへのオマージュを感じさせるような展開。 どちらもエグい描写満載の『レイティング?かけたきゃ好きなだけかけやがれ』的な 姿勢に感心しました。なかなかここまでやろうとは思えないもんですよ。 非常に人に薦めづらい作品ですが、ゾンビ好きな方は是非! 邦画のゾンビというかパニックムービーでここまでやれるのは、ちょっと誇らしい! 【ろにまさ】さん [ブルーレイ(邦画)] 8点(2016-11-12 23:36:20)(良:1票) 66.《ネタバレ》 原作既読、愛読中です。漫画原作としては成功してるほうだと思います。 大泉洋がちゃんと英雄君になってました。 そして、原作よりヘタレスケベキャラを薄めて、最後はヒーローになってるところは、大泉ファンだったら満足でしょう。 不満は、やっぱりテッコが本当に英雄を好きなところがわかりずらかった点とヒロミとの絆の描写が飛ばされてる点です。 ZQNになったテッコが歯を全部取ったのは、僅かに残る理性が英雄を守ったと思ってるけど、そこはすっ飛ばされて、単にドアを齧って歯が取れたみたいになってるのは残念でした。 また、ヒロミが英雄を好きになるのはずーーーーーと後だし、英雄がヒロミを必死で守ろうとするまでの二人のエピソードが描かれないので、ただ成り行きで知り合っただけなのに命がけで守るって偉いね、みたいになってるのもなんだかなーと思いました。 ちょっとキャラと合わないんじゃないかと思ってた長澤まさみが、ちゃんと藪=小田さんになってたのは意外でした。 ZQNも良くできてました。リアルな特殊メイクで、血もリアルな黒っぽい血の色だし、CGとの合成も違和感ありませんでした。この大量のZQNを見るだけでも見る価値あると思います。 ヒロミが半分ZQNになったままで特に活躍もせず、今回別に必要ないままなので続編ありきなのかと思いましたが、これはこれで終わって良いと思います。 とはいえ、続編あったら観に行きます。 【nanapino】さん [映画館(邦画)] 7点(2016-06-27 23:12:30)(良:1票) 65.《ネタバレ》 始めての、ZQN(恋人)との遭遇場面。郵便受けを使う事で、視野が限られ、扉の向こうと遮断され安全が確保されているという空間を作り出している。それは観客と映画の関係そのものであり、その場面で、観客の視点は、英雄の視点と同一化する。 だからこそ、扉を開けZQNと英雄が対決する瞬間がより、身に迫り恐怖を感じる。 恋人を殺した後、町に出る英雄。始めは通りの向こうにいたZQNが、長回しの中で、次第に数を増やし、近づいてくる。そして、後ろで爆発が起こり走り出す英雄。この一連の流れの素晴らしさ。持続するカットの中で、ZQNの特性、多様性、現段階で社会に及ぼしている影響を、視覚的に、充実した空間密度で見事に見せていく。 そして、武器により、表現される男性性。 ゾンビ映画で語られてきた社会風刺も、日本という国に合わせた形で、表現されている。それは死後もなお、仕事に縛られる姿であったり、抑圧された欲望の表出であったり。 英雄やゾンビの個別性に代表されるが、最後は社会全体ではなく、個の視点に物語を収束させている所に、この映画の素晴らしさ、ゾンビ映画における革新性を感じた。 【ちゃじじ】さん [映画館(邦画)] 8点(2016-06-02 00:50:22)(良:1票) 64.《ネタバレ》 「バイオハザード(ゲーム)大好き!ゾンビ映画は数本…」という程度のゾンビキャリアですが、 ゾンビパニック物として素直に「凄い!」と思えたし、一人のダメ男の成長物語としてもグッときました。 途中までは「英雄(えいゆう)と書いて英雄(ひでお)です」と、英雄(ヒーロー)とは程遠い自分を自虐的に自己紹介していた主人公が… 「世界が引っくり返っても自分は何もできない、何にも変われない」と悔し涙を流していた情けない男が… なけなしの勇気を振り絞って二人の女性を救った時、今まで自分を”メガネ”と呼んでいた相手に自分の事を 「鈴木英雄。ただの英雄(ひでお)です」と、あっさり名乗る。 そう、本物のヒーローになった男は、決して自分の事を「ヒーロー」とは口にしないのです。 【大鉄人28号】さん [映画館(邦画)] 9点(2016-05-08 17:13:21)(良:1票) 63.原作未読。いわゆる和製ゾンビものだが、ありがちな海外ゾンビの劣化版ではなく、ジャパニーズホラー要素をうまく取り入れ、独自性を生み出すことに成功している。冴えない漫画家志望の主人公が、たまたま銃(と免許)を所持していたがゆえに「ヒーロー」として覚醒していく話だが、このへんの日本的な設定も含め、海外の映画祭で好評を博したことも理解できる。ZQN(ゾキュン)という意味不明な呼び名や、発症しても個人的な記憶は残っており、ぶつぶつ独り言を言う設定なども面白い。 スプラッタ表現も手抜きはなく、画面はショックとエグさの波状攻撃なので、万人にお勧めできる映画ではないが、その中でも大泉洋のとぼけキャラや、有村架澄・長澤まさみといった綺麗どころが画面をマイルドに中和させてくれるおかげで、終始不快なレベルではなかったことはキャスティングの妙か。 いずれにせよ、ユニークな原作設定をモチーフに、意欲的なジャパニーズゾンビパニックとして一定のレベルに仕上がっていることは間違いない。 【田吾作】さん [映画館(邦画)] 7点(2016-05-06 13:38:15)(良:1票)
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