みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
182.公開から1年経って、未だに130人しかレビューを書いていない。 こんなクソ映画がヒットした理由は、握手券を求めてアイドルの同じCDを何枚も購入する連中と同じで、ただ単に特定の人間が数多く足を運んだだけに過ぎません。 突っ込みどころ満載なのは、他の低い点数つけたレビュアーに任せますが、一番気になったのは東京に住む人間はこう、田舎に住む人間はこう、先輩お姉さんはこう、そして、お婆さんはこういう人間でなくてはならない、みたいな、なんの捻りもない描き方でした。全員がステレオタイプ。だから登場人物の背景に奥行きが全くないし、感情移入できない。 美形高校男子と女子高生が交互にモノローグを言ったり、同じセリフを交わすと、今の若い人たちや恋愛に疎い中年たちは、つい自分に酔いしれて感情移入するんだと思います。 ところで私が子供の頃、80年代、薬師丸ひろ子と原田知世の角川映画が大ブームになりました。 二人のアイドルはカリスマ性があって、映画の内容も当時は「これが映画なんだ」と思わせるものでした。 それが時が経ち、今見返して見ると、二人のルックスは今のアイドルに比べれば、完全にブサイクだし、彼女たちが歌う主題歌の音程もメチャクチャ外れているし、映画自体もチープなもので誰も見返すことはありません。 でも、見方を変えれば、それがブームなんだと思います。 今はネット社会です。 社会現象といっても今の時代は80年代ほど国民の多くが影響を受けたとは思えません。 この映画は興行成績2位らしいですが、数年後には誰の記憶にも残っていないことでしょう。 ハリウッドがリメイク権を獲ったらしいですが、どんな作品になることやら……。 【クロエ】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2017-11-19 17:41:32)(良:5票) 181.《ネタバレ》 評判が良かったので観てみました。 ・・・が、この点数です。 この映画が、興行収入200億とか信じられないくらい。 ご都合主義とツッコミどころが多すぎます。 序盤でお互いの決め事をスマホに書いてますが「なんで、電話しないの?」って思った。 後半になって、やっと電話しますが「実は3年のズレがありました」を製作陣が視聴者に隠すための理由ですよね。 3年ズレてれば、日付は一緒だったとしても曜日は違うでしょ。 平日、休日は気にしないんですかね。 こんな矛盾の上になりたってるストーリーなんて、デキレース以外なにものでもないですね。 コレが序盤からひっかかって、気分悪かったです。 いきなり、2人が惹かれあってるのも「え? なんかあったっけ?」と考えてしまう。 3年前に隕石落ちてきて町一つ壊滅してるのに、忘れている主人公。 隕石落ちてくるのも、すでに分裂してるのに着弾まで時間ありすぎる。 (分裂してから説得に行って、全員避難完了とか何十分かかると思ってるんだ・・・) そもそも、彗星が遠くの方へ流れている描写なのに、なんでコッチに落ちてくるの? 軌道おかしくない? コレは「バタフライエフェクト」という映画から、土台ネタもってきて 「男女入れ替わりモノ」「タイムリープモノ」「災害予知モノ」「恋愛モノ」をくっつけた感じなのかな。 コレが今の日本を代表する映画だと思われるのが、なんかイヤだ。 内容は普通以下なのに、SNSで好評判拡散→メディアがとりあげる→のせられる人が多数、って感じで興行収入のばした感じ。 今はSNSで高評価だと拡散すれば、大ヒットになるんだな、と思った映画でした。 【みけら】さん [CS・衛星(邦画)] 2点(2017-11-07 01:12:47)(良:5票) 180.宮崎駿級の大ヒットアニメ(ジブリではない。興収100億以上)という怪しい噂に釣られ、見に行ってきた。 噂はウソではなく、いつもガラガラの某シネコンの大箱が満員御礼。凄い景色だった。 さて、若い男女が入れ替わってしまう話というと、どうしても大林宣彦の「転校生」を思い出してしまう。 「転校生」は、後に「尾道三部作」とか言われて有名になったけど、公開当時はかなりマイナーな作品だったはず。 自分、公開している映画館探して見に行って「こんなとこに映画館あんの?」と思った記憶が甦った。 それで自分でオッパイ揉むシーンでは「転校生」を思い出し、「お願い、オッパイ出さないで」と思ってしまった。 自分、オッパイは大好きだけど、映画でオッパイは見たくないから。 好きなだけに、アニメと言えど、オッパイが出ると、そのシーンだけ強烈な記憶として残ってしまうから。 今考えると、宮崎駿級の大ヒットアニメでオッパイ出るわけないよね。失礼しました。 それから、大林宣彦の「転校生」と比べると、湿っぽいところが少なく爽やか。 でも、自分は後半のストーリーの矛盾が気になって乗り切れなかった。 それと、ラストも好きになれないなあ。 大林宣彦の「転校生」は湿っぽくてそんなに好きじゃないけど、ラストだけは鳥肌立つくらいカッコ良かったから、余計。 でもまあ、今の若い人は「転校生」なんか知らないだろうし、こういう爽やかなアニメに客が入るってのはいいことだと思う。 「日本のアニメって、自分の子供には薦められない映画多すぎ」って思ってたから。 <2016/9/11追記> 大ヒットの熱い声に誘われて、つい、また見に行ってしまった。 今度はこの作品の持つ、後半の話の矛盾を跳ね飛ばす物凄いパワーを感じ取れて、1回目よりずっと楽しめた。 観客が殺到するのもよくわかる。 ちなみに日曜のレイトという最も空いている時間帯に行ったのに、ほとんど満員。 公開3週目でこんな現象は「千と千尋の神隠し」以来じゃないかと思う。 「興収100億以上になるという怪しい噂」って8日前に書いたけど、ほとんど確実だと思う。 <2016/9/19追記> この映画の熱病に侵されたらしく、またまた見に行ってしまった。 それにしても、この映画の脚本は、穴も多いくせに本当にうまい。 前半から中盤のリズム感、クライマックスに向けてのスピード感、エピローグのもったいぶらせ感。 これらが実に気持ちいい。 興収の方は、100億どころか200億を超えそうな勢い。宮崎駿作品ですら、「千と千尋の神隠し」以外は全部抜きそう。 欠点を挙げようと思えば、いくつも挙げられる作品だけど、3回も見に行った時点で自分の負け。10点献上。 <2016/12/13追記> 本当に興収200億いってしまった記念+新パンフレット入手のために、またまた見に行ってしまった。 それにしても、「中国を中心にアジアでも大ヒット」までは予想できたけど、欧米でも軒並み高評価、特にロス批評家賞を獲って、アカデミー賞本命に名乗りを上げるとは、想像もつかなかった。 とにかく、バカ高い制作費で3D映画にしなくても、テレビ局と広告代理店が組んで大宣伝を仕掛けなくても、世界中で大ヒットする映画は作れる。 こんな奇跡を起こし、世界中のクリエイターに勇気を与えたという点においても、日本の誇る金字塔となった。 本当におめでとう。 【まかだ】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-09-03 22:18:18)(良:2票) (笑:3票) 179.《ネタバレ》 気にはなっていたけど映画館まで足を運ぶほどではないよなあということで、飛行機のエンタメサービスで鑑賞。それでも映像の美しさは十分にわかる出来でした。新海監督作品としては「ほしのこえ」以来。「ほしのこえ」はSF設定に純愛メロドラマ的すれ違いを直結させる手腕にちょっと関心した覚えがあり、その要素は今作も健在だったものの、背景でガンガン流れるJ-Popのせいか、より「作品」というよりも「商品」になったなあという印象でした。というか、こうゆう話にドキドキできない程度に、自分はおっさんになったことを実感して、中学生くらいで見たらハマっただろうなあと思いました。あと、残念だったのは、「東京」対「地方」のわかりやすすぎる二項対立の構図。たとえば、「岐阜」と「東京」のあいだには、「名古屋」という中途半端な大都市があって、三葉があこがれる程度の都市生活はそこでも可能なんだけど、「故郷」がなくなった途端に、みんな「東京」に住んでる、っていう設定には、「おいおい、日本には「東京」か「田舎」しかないのかよ」と、愛知県の田舎出身者として感じた次第でした。これは、地方出身者のつまらない愚痴でもあるんですが、同時に、この映画が描いている「日本」のどうしようもない「薄っぺらさ」でもあるように思うのです。消滅する側は地方であり、東京は地方出身者を抱え込んでますます大きくなる。地方は都会人をほっとさせるノスタルジーとしてのみ存在する。たとえば宮崎駿みたいな人たちが格闘してきたものを、いとも簡単にスルーして、この構図をためらいもないまま物語の軸として置けてしまうあたりには、「作品(work)」ではなく「商品(product)」なんだと感じた根源があるように思います。あと、完全に蛇足ですが、上白石さんの声はとてもよかったけど、一瞬息継ぎをしてからセリフを話すアニメ独特の発声法、かなり苦手です。 【ころりさん】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2017-01-08 12:26:26)(良:4票) 178.《ネタバレ》 飛行機でみました。なんで映像が綺麗かどうかは評価にははいっていません。 まあ、悪くなかったです。ただ、そんな大ヒットする程面白いわけではないかなと。 この映画が、今、興行収入の記録を更新し続けて、日本を代表する映画になろうとしているのですが、なんかやだな。 まだ、千と千尋のほうが、日本映画といえばといって違和感なく受け入れられる。まあ千と千尋も初めて見た時はたいして面白いと思わなかったが。 この映画は、もしも東日本大震災の津波を予測できれば的なところから、インスピレーションを受けて作られているのかな?という内容でした。 まあ、それはいいんですが、あまりにもご都合主義すぎの突っ込みどころ満載な映画です。 この新海監督の他の作品もそうでしたが、まあ、内容が薄いというか、細かいところを気にしないというか、 絵は凄い細かいところを気にする割に、ストーリーは全く気にしないという感じの人なのでしょう。 まず一番に突っ込みたいのは「君の前前前世から僕は君をさがしはじめたよ」という歌詞はいんですが、探すの遅すぎだろ!! 最初に二人が入れ替わって何をすると普通に考えると、まず、普通はここがどこで自分が誰で、というところを調べるだろう。 まして、この時代がスマホのある時代なのだから、簡単に場所も、時間も全てが一瞬で分かるはずなのだから。 のんびり、知らない相手の学校や、友人関係等の生活を維持してあげてる場合じゃない。 そもそも、私がこの映画を見る前に、違う場所の人間と入れ替わるというストーリーを聞いたとき、お互いを探しあう映画を想像してたくらいなんで。 せめて、パソコンがない時代1990年代前半くらいの設定なら、まだしも、パソコン全盛期、お互いスマホ持ち。日にちすら気にしない。 あまりにもご都合主義過ぎて、ちょっとひいてしまうほどです。 なんで、まあ、ヒットの要因としてはプロモーションの成功という部分が大きいかなと。 アナと雪の女王もディズニー映画としてはたいして面白くないが、歌部分で大ヒットという感じなんで、 今映画がヒットするためにはいかに、普段映画をあまり見ないライトなにわかの人たちを取り込むかのプロモーションが重要ということを改めて感じさせてくれる映画でした。 【シネマファン55号】さん [インターネット(字幕)] 5点(2016-12-07 11:46:27)(良:4票) 177.《ネタバレ》 前のレビュアーの方と同じく娘(28才)から「面白かった!」との勧めで観た65才男性ですが残念ながら感動感涙はしませんでした。 理由は概ね3つです。 ①「入れ替わり」の現実感の無さ まず三葉が朝起きて自分の体の異常に気づくところから始まります。(そして瀧も同様に) ※この段階で「転校生」を、そしてその後の展開(タイムスリップ)で「時をかける少女」を想起しました。いずれも大林作品「尾道三部作」でなかなか面白かった記憶が残っています。 しかしそもそも男女が入れ替わり、家庭環境、都会と田舎、部屋を出るのも億劫になるのが心理です。(「転校生」では幼な馴染だったがお互い悩んだ) なのに三葉(心は瀧)は制服を着(スカートをよく履ける!)瀧(心は三葉)はバイト先にも行く(PASUMO、SUICA使える?) いくらフィクション、ファンタジーとはいえ「あるある」「わかるわかる」感がなければ感情移入できません。 ②ドンデン返しのヤリ過ぎ まぁ①はそんなものかと割り切って観続けました。 そして入れ替わりが途絶え瀧はバイトの先輩と三葉探しの旅に出たがなんと三葉の住む町が三年前に彗星落下で全滅した事実を知り三葉の家族名が載っていた 死亡者名簿を目にする。このあたりはやや感情移入しました。 が、時間はまだ半分程度、どんな展開が待っているかと思っていたら時をさかのぼっての避難活動! しかしそれも空しく彗星は落下・・・ と思いきや5年後(落下から8年後)町民全員無事!を知る、なんじゃこりゃ??? ③5年間何してた? ②にも繋がるが5年後に瀧と三葉が偶然出会い「君の名は!?」と言い合いラスト! もうなんでもアリか!? 17才から22才といえば恋のひとつや二つ経験しながら精神的にも肉体的にも変化し成長する年代です。 こんな私でもその年代は年上、年下数名の女性に告白したりされたりふったりフラレたり・・・。 あまりにも現実離れしたストーリーです。 そんなこんなでエンドロールが流れ始めたところで席を立ちました。 【yoroshiku】さん [映画館(邦画)] 2点(2016-10-31 14:43:21)(良:4票) 176.《ネタバレ》 ネットでの評価が高かったから観に行ったけど、面白くなかった。映像はさすがの新海クオリティ。でもツッコミどころ満載でロマンチックな展開の為だけに収束していくので、ラッドウィンプスの言ってることだけは壮大だな的な軽薄な歌詞も相まって観ながら心が冷めていくのを感じた。多くの設定や舞台も、全てはたそがれどきとラストシーンのために用意しただけであって、登場人物が生きて動いてストーリーが展開していくのではなく、ストーリーのために存在している操り人形と化しており人間味が無いように感じられた。監督が今まで作ってきたどの作品よりも明らかに薄っぺらな内容。忘れないように名前を書こう!→好きだの流れなんてギャグかと思ったよ。なぜ名前を忘れてしまうのか、彗星衝突という大規模災害を忘れていたのか、スマホの日記が消えるのか、バイトの対応ができるのか、電車を使えるのか、入れ替わりの都合が良いのか…というようなツッコミどころも「夢だから」「結び」等々で何となく片付けられるのも腹立たしい。まぁそれらはまだ勢いでごまかしながら展開していくので良いとして、村人の全員を救うことになる過去改変はやり過ぎと言わざるを得ないし、そんなことしたらバタフライエフェクトがハンパないだろう。 シン・ゴジラではゴジラ=震災・原発の被害を受けて復興への希望と原発の警鐘という現実での「これから」を見据えて締めたのに対し、本作では彗星=震災による被災者を過去改変し救いました、ってそんな軽ーい感じでいいの? 新海誠は自分自身で創りたいものを創るタイプの監督だったので好きだったけど、東宝やらやり手のプロデューサーやらが絡んで悪い方向に力を発揮しててガッカリ。本作で描かれるテーマやモチーフは過去作で扱われたものであり集大成であることは確かだけど、ここまで作風を観客に寄せてねじ曲げてきたのがショックだった。これまでのモノローグ+美麗な景色の映像を魅せる演出が特色で大好きだったのに、今回はモノローグは息を潜め、景色は背景に徹しており、登場人物が深夜アニメのキャラクターのような言動をするので本当に新海作品なのかと疑うほどだった(顔にバカ/あほと書いたり、声を合わせて「あの女/男は~!」、あいつに悪いもんな→乳揉み、ベタな絡み方をしてくるコントやマンガでしか見たことないようなチンピラの登場、バスケで乳ゆっさゆっさ→男子「おぉ~」なんて今までの作風では考えられない!)。「秒速」や「言の葉」のような繊細な作風が大好きだったのに。ひとつ本気で一般ウケするアニメ作っとくか!みたいな感じだったんだろうか。数年前「雲の向こう」「秒速」を観たとき、なぜ新海誠のような凄いアニメ作家が(アニメファン内で騒がれるのみで)世間に認知されないんだろうと悔しく思ったこともあったが、まさかこんな作品で世間的に認知され評価されることになろうとは。嬉しいような悲しいような。 いや、この作品が世間的にウケるのも確かに分かる。そういうストーリーと挿入歌になっている。が、それまでの良い意味で観客に不親切な作風だった新海誠が、ここまで観客にすり寄って来ると違和感というか、それまでの作風が好きだったのでむしろ気持ち悪く感じ、それがここまで世間に受け入れられると嫌悪感がわいて来るわけですよ!笑 それにしてもこの世間の大好評大絶賛ぶりはすごい。ちょっと理解できない。といってもこういう感想がマイノリティであるので単に自分には合わなかったということなんだろうけど。 …とでも言っておかないとこの映画を批判すると人に非ずと言わんばかりに噛みついてくるファンが怖い。 (2018/1/7 追記) 昨年の国内の賞レースはほとんど「片隅」「シン・ゴジラ」がかっさらってしまったため、ネット上では本作のファンやアニメクラスタが「興行収入一位なのにおかしい」と大暴れし、アンチ片隅・アンチ実写映画・アンチ邦画の暴徒と化していたが、本家アカデミー賞のアニメーション賞ノミネートを逃したのを皮切りに、声優アワードにて主演男優賞・主演女優賞を受賞し、俳優が声優の賞を総なめにしてしまったことで逆にアニメクラスタから叩かれるという皮肉なブームの冷め方をしていたのが印象的だった。 さて、早くも先日テレビ放送されたので、録画して約一年ぶりに鑑賞。改めて観るとやはり女子高生の下着姿や乳揉み、胸揺れにパンチラと、萌えアニメのような演出が目立つのによくもここまで大ヒットして世間に受け入れられたな、と。キャラクターも萌えアニメのそれで、二人の主人公以外が完全に脇役かモブキャラになっており(代表的なのは瀧のバイト先の同僚…その名も田中・鈴木・斉藤という没個性的なキャラクター)、世界は二人のためにあるような世界観が鼻につく。 【eureka】さん [映画館(邦画)] 2点(2016-10-20 23:46:02)(良:4票) 175.《ネタバレ》 大ヒットのようで今すごく話題になっていますね。私も観てきました、「時をかける少年」。 タイムリープ、男女の入れ替わりといった設定は、映画のストーリーとしては大外れのない鉄板で、これは観る前から面白いことが約束されたも同然なのです。でもその反面、ストーリーを一つの矛盾もなく組み立てるのが難しいゆえに、この設定は諸刃の剣でもある、と言えるでしょう。超常現象X2+隕石落下!! もう途中からは、粗探しはやめてピュアな気持ちで楽しもう (笑) と割り切ることにしたため、おかげで最後までかなり楽しむことができました。それに突飛な設定の数々はあくまで映画を形成する (壮大なる) モチーフで、根は実にシンプルな青春映画。 "SF" の二文字を書いて、それを青春ファンタジーと考えれば、細かい矛盾は気にならず理屈抜きに楽しめます。 大林監督「尾道三部作」への想い、今回の設定はもちろん、特に "階段" が重要な場面で使われているあたりは監督の傾倒ぶりが伺えました。プラスの設定、"隕石落下" はまさにアニメでしかできないこと、言わばアニメーション作家である新海監督のこだわりであり、誇りです。 最後に、本作を観た若い方たちにも、ぜひこれを機に「尾道三部作」を知ってもらえたらうれしいですね。 【タケノコ】さん [映画館(邦画)] 8点(2016-09-11 18:29:08)(良:4票) 174.基本的に流行り物には何でも飛びつきたいミーハーな私ですが、本作に対しては何故か今まで食指が動かず、幸い地上波でやってくれたのでようやく観る機会を得ました。率直に言って、本作は大ヒットに見合うほどの作品ではないと思いました。どこかで読んだり観たりしたことがあるようなベタな感じのストーリーで、せいぜい良く出来た佳作の域を出ていないというか。決して面白くなかったわけではないですよ。それでもひとこと言いたくなってしまうのは、作品の質に見合わない桁外れの動員を記録してしまったが故でしょうか。日本のアニメにも、もっと優れたいい作品があるのになあと、ついつい愚痴をこぼしたくなる感じ。作品の内容よりも、どうしてこの程度の作品が大ヒットしたのかという社会現象の方を語りたくなるというか。 【すらりん】さん [地上波(邦画)] 6点(2018-01-06 13:40:18)(良:3票) 173.《ネタバレ》 阪神淡路大震災、東日本大震災という大災厄を前にしながらその当事者ではなかった私のような人間が持つ、3つの「思い」。いやそれは、大災厄に限られる訳ではなく、凶悪な殺人事件のニュースを目にして何ともやり切れない気持ちになった時にも持つ「思い」なのだけど。いずれにせよ、その3つの「思い」が、この作品にも色濃く反映されているのを感じます。 1つ目の「思い」とは・・・死んでいった人たちの無念や苦しさは如何ばかりか、と、つい想像してしまうこと。もし自分がその死んでいったひと本人であったなら、と。到底、生きている自分には想像などし切れないにも関わらず、ただ感じる、息苦しい思い。この作品の物語では、ズバリ、実際に他人に成り代わってしまうという設定が用いられ、しかも主人公のひとり(男)は、成り代わりえたもうひとりがすでに死んでいるという事実を突きつけられる。他人の死を自分事として認識することすらもできたはずの自分、にもかかわらず、そのチャンスは失われ、すべてはもう終わっていた、という事実。その虚しさ。 2つ目は・・・すでに終わってしまった、もはや取返しがつかない事であるのがわかっていながら、つい、本当にもうどうにもならないのか、何とかなるんじゃないのか、と考えてしまうこと。この作品は、ファンタジーとして敢えてそこに夢を紡いで見せる。本来ならばあり得ない、最後のチャンスを。 そして3つ目は・・・そのように悲しみや憤りを感じていたにも関わらず、結局は、過去のこととして忘却していってしまう自分に、気づくこと。この3つ目の点にまで踏み込んだ本作だからこそ、我々の胸に痛切に迫ってくるものがあります。 作品を通じて、どのようにあの震災と向き合うか、多くのクリエイターたちが悩み、苦しみ、格闘してきたんだと思いますが、震災への「思い」にまで真摯に踏み込んでみせた本作、しっかり感動させていただきました。 【鱗歌】さん [映画館(邦画)] 8点(2016-11-21 22:28:20)(良:3票) 172.《ネタバレ》 いつも一人で映画を観に行く私に対して16歳の娘が「映画観に行くの?『君の名は。』観に行こうよ」と誘ってくれた。 本来ならアクションシーリーズ第3弾の洋画を観に行くハズだったが、世間じゃ騒がれてるし「まいいか」と軽い気持ちで誘いに乗った。 アニメ映画を観ないわけじゃないが、スクリーンで観るにはもったいない感覚があり、千と千尋以来になる。 映画は正直こんなオジさんも楽しめた。 恋愛要素が多いと思っていたがそんなこともなく、年甲斐もなくワクワク観れた。 この映画での矛盾や疑問、その後の展開の想像や「転校生」という映画の話題になったり、性別も年齢も大きく違う人同士が共通の話題で盛り上がれるのがこの映画のすごいところなのだろうか、「シン・ゴジラ」で一緒に観に行ったカミさんの「実際にあんな怪獣いないし」というひと蹴りで会話が終わった映画とは大違いだ。 普段一緒に観ない人、価値観が違うと思う人同士が一緒の時間を共有してくれる「パラレル」がこの映画にはあった ぜひそんな人と観に行ってください。 【かのっさ】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-10-31 12:32:35)(良:2票) (笑:1票) 171.個人的には「そこまで大げさに騒ぎ立てるほどのモノでもない」というのが正直な印象。 涙腺が緩むようなシーンは残念ながら1秒もありませんでしたね。もっと素敵な話、もっとしっかりした話をいくらでも知ってしまっている。。。からなのかな。 終わり方のイメージをネタバレしないように表現すると、無理やりハッピーエンドにした「バタフライエフェクト」みないな感じでしょうか。 もう一つ判りやすい比較対象を挙げると、「時かけ」には遠く及ばなかったような。。。あくまで個人の印象としてですが。 制作側の意図を勝手に推測すると,「画」については,これまでの実績から,高いレベルで一定の評価を得られる確信があり,話については,「ハズレでなければよい」という方針だったのではないでしょうか. 「ハズレが少ない,総じて面白い」話と聞いて,私が想像するのは,やはりタイムリープモノです.過去に何度も遡って,バッドエンドをグッドエンドに変えようとする...みたいな.映画,アニメ,小説,ジャンルを問わず「ハズレが少ない」といった印象を持っています. 制作側はここまでのヒットは予想していなかったと思います.逆に言うと,最初に言ったように「それほど大騒ぎするほどのモノでもない」のではないでしょうか. この作品を観て、どえらい感動をしている人がいるとすると、その多くは十代とかじゃないかな。その感覚自体は、その人にとっての一生の宝物になると思うので、否定する気はありません。 また、私はアニメ大好き人間なので、こういった作品が興行的な成功を収めることによって、日本のアニメ業界活性化、従事する方々の待遇改善のきっかけになってくれるなら、それは素晴らしいことだと思います。 【マー君】さん [映画館(邦画)] 6点(2016-09-13 23:51:41)(良:3票) 170.《ネタバレ》 うーん…世間の評価が凄いので期待していたのですが、僕には肩透かしという感じでした^^; 昔からある「男女入れ替わりネタ」(主人公の乳揉みは大林宣彦の「転校生」を思い出して苦笑)に、これまたよくある 「自分だけが知っているカタストロフから、それを知らない無理解な人々をいかに救うか」というサスペンス。 今作はそこに「三年間のタイムラグ」という一ひねりが加わっていますが、それはそれで 「入れ替わり中スマホやらテレビやらカレンダーやらで”今”が何年なのか気付くチャンスがなかったのか」とか 「日本中を騒がせた大ニュースと入れ替わり先の地名の関係についてなぜ人に言われるまで思い至らなかったのか」とか 色々な不合理を生み出す要因になったり… 劇中で頻繁にかかる透明感のある男性ボーカルの挿入歌や、登場人物の過剰な叫びは、 「どうぞここで感動してください!」という作り手の押しつけに感じられて妙に興ざめ。 トレースによる緻密な背景は健在ですが、過去の新海作品を見慣れた人間としてはさすがに初期ほどの感動はありません。 やはり実写には及ばず、かといって「美術監督のセンス」というフィルターを通した「味がある風景」でもなく… (超ローアングルの引き戸や自動ドアのショットは最初「おおっ」という新鮮さを感じましたが、あまりに多用され過ぎて ここでも「見ろ見ろ、わしの作品は他のと違って風景の切り口も独特やろ!」と言わんばかりの ”作り手の押しつけ”を感じてしまいました) あと声ですが…やはり、アニメには本職の声優さんを使って欲しいです。声優ヲタというわけではないのですが やはり「生身の演技」と「声だけの演技」は違うので、やり慣れていない人の”声の演技”は洋画吹き替えにしろアニメの声にしろ どこかぎこちなく感じられます。 (なんでしょうね…”一般認知度が高い男優女優やタレント”が声を演じてないと、アニメ作品はやはり アニメオタクや子供向けの”マンガ映画”として一段低くみられるのでしょうか?) 色々勝手な事を書いてしまいましたが、もちろん、悪い作品ではありません。 ただ、個人的に「素晴らしい映画かどうか」の線引きは 「観ている途中ですでに映像ソフト購入を決意する」「二度以上劇場で観たくなる」の二点なのですが 残念ながらこの作品はそのラインに達しませんでした… 【大鉄人28号】さん [映画館(邦画)] 5点(2016-09-01 20:50:23)(良:3票) 169.《ネタバレ》 前半は文句なしに100点なんですよ。中半の衝撃的展開もいい感じ。ただ後半が微妙。私は最初「切ない青春ラブストーリー」と「SF」というものを分けて「前者を見たい人にはは100点」「後者を見たい人は50点」ってコメントをしようとも思った。でもそれは間違いだと思った■ちなみにSF50点なのは、SF設定で状況に臨場感を与える上で大切な「法則」が欠けていて、「主人公が与えられた条件の中でいかに困難を乗り切るのか」で部分の「与えられた条件(記憶がどうすればもどるのか)」がかなり曖昧である事。簡単に言えば「物語(脚本)の矛盾点を消すために記憶が消えているな(あと町長の判断基準がクレーターの外輪の感動場面を作るためだけに矛盾しまくってる)」ってのがダダ分かり。「いかに困難を乗り切るか」は頑張ってたんだけど、その頑張りの方向性を決める法則がこれじゃあ、空回りしちゃう。そしてラスト(あれは正直尺が長い)の奇跡が奇跡足りえない気がする。奇跡を起こすにはアイテムがあってこそでしょう。それで高校生のうちにカタをつけておくべきだった。監督は社会人にも夢や奇跡を感じて欲しかったのかもしれないが、社会人になった2人がそこに着地点を見つけるにはあまりにも曖昧な奇跡だ。■この映画の最大の失敗は「SFの矛盾点」をある程度妥協して、徹底して真面目に「夢の中のような切ないラブストーリー」を作ろうとした点。でも、その妥協のせいで「切ないラブストーリー」が「夢」になってしまった。5年後「夢」がある日現実になる奇跡というラストにモヤモヤが残ってしまった。監督はこの物語が夢なのか現実なのかはっきりするべきだった。映画って本当に怖いよね。素晴らしいSF青春ラブストーリー映画なのに。 【はち-ご=】さん [映画館(邦画)] 7点(2016-08-28 00:36:53)(良:3票) 168.「君の名は」といえば、佐田啓二の春樹と岸恵子の真知子が思い浮かぶ世代にとって、こういう現代物を見るのは一苦労。それでも男女の身体が入れ替わるのは昔もあったなと思いつつ、映画の前半は楽しめた。ところが彼が3年前の彼女を捜しにいくあたりからついて行けなくなってしまった。つじつまがあわないというか理解不可能、過去を変えて別の現代になるのは他にもたくさんあったが、その過程がよくわからない。そもそもどうやって父親の町長を説得し町民を避難させたのか。計画は失敗したんじゃなかったっけ。ま、見るべき人たちにはいい映画なんだろう、これだけ人気があるのだから・・・。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 4点(2018-01-12 15:15:54)(良:2票) 167.《ネタバレ》 どこかで観たことがあるシーンをつないだ感じが強くて、どのシーンも中途半端だったかなあ。 軽い笑いのシーンとか、バイト先や同級生の人間関係とか、未整理のまま時間つなぎで入れた ようなシーンでしたね。 まずタイトルありきで、むりやり後から設定したシーンもちょっとわざとらしく感じました。 (電車の中で会った「変な女の子」と思う人に名前をいきなり聞くかなあ?) 画面がきれいって聞いてたけど、写真を原画にしただけでしょうか? 記憶が消える理由もスマホのメモが消える理由もお酒を飲むとああなる理由も説得力がないし。 町民を避難させるための作戦も安っぽいし、結局なんで避難できたのかもわかりませんでした。 彗星が落ちてくるという設定はおもしろいかなと思いましたが、以前にも落ちてたというのも 都合が良過ぎますね。 結局、悪いところばかり目につく作品だったかな。 映画は宣伝の時代なんだなと改めて痛感しました。 【かねたたき】さん [地上波(邦画)] 3点(2018-01-05 00:20:04)(良:2票) 166.《ネタバレ》 傑作だと思う。封切られた2016年に社会現象となるほどのメガヒットを記録したので、当初は話題先行の映画かと思っていたが、実際に見てみたら決してそんなことはなかった。新海作品は映像美がよく称えられるが、それだけではなく、ストーリーが巧みに練られ、テーマ設定も確か。また無駄なシークエンスもなく、完成度のきわめて高い作品だった。 新海作品は本作まで『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』と見てきていた。それぞれ面白くはあったが限界も感じていた。『雲のむこう、約束の場所』と『星を追う子ども』はジブリ作品やエヴァンゲリオンの影響が強く出過ぎていたし、『秒速5センチメートル』はオリジナリティが発揮されていたがストーリーに難があった(第3話。私的にはということだが)。そのため、いい線を行っているのに、いま一つ突き抜けられないもどかしさが残っていた。しかし、この『君の名は。』でついに殻をぶち破って、新海作品の決定版に到達した感がある。 ストーリーの初めは単なる入れ替わりものかと思われたが、じつはそうではなく、3年という時間の隔てが存在し、糸守はすでに消滅していたことが明らかになる。そこに至って、いったい、物語をどう収斂させるのかと見る者をハラハラさせるのだが、見事にエンディングまで力技で持って行った。ラストも『秒速5センチメートル』の第3話みたいなやりきれないものではなく、見る者に希望を持たせる心地よいものがあった。 本作のよくできたところは、見る人によって多様なテーマの受け止め方が許容されるところだ。誰にも大切なものはあるがそれは黄昏時のように移ろいやすいものでもあるという哲理、テクノロジーがどれだけ発達してもそれがすべてではないのではという問いかけ、いまのメディアの力弱さへのチクリとした批判、母なる自然は大いなる恵みを与えてくれると同時に情け容赦のない存在でもあるという現実(いうまでもなく、3・11が踏まえられているだろう)……作品にちりばめられたいくつものテーマは、まるでミラーボールのように見る人ごとに違った色彩の光芒を放つ。にもかかわらず、どのような受け止め方をしようとも、しっかりした手応えあるものが受けとめられる。加えて、テーマの提示加減が絶妙である。これ以上語れば教条的臭くなるし、寡黙すぎれば伝わらなくなるという、ちょうどほどよい線を見事に見出し実現している。これは至難の業であろう。 先鋭的な作品だが、他方、映画づくりとしては基本に忠実である。さまざまな伏線が配され、それらがしっかり回収されていく。映画序盤、糸守にはカフェがないことを登場人物たちは嘆く。ところが、三葉と入れ替わった瀧は丸太をノコギリで切り、木のテーブルとイスをつくり即席のカフェを仕立てている。さりげないシーンだが、彗星落下のカタストロフィーから人々を救おうとする瀧の行動力の一端がすでに示されている。糸守では黄昏時をなぜ「かたわれ時」というのか? 「かたわれ」は「片割れ」だったことがあとでわかる。三葉になった瀧が休日なのに制服に着替えてしまったのも寝ぼけていたからではなかった。違う年だったので曜日がずれていたのだ。ストーリーの練り上げ方も念が入っている。彗星落下から8年後、瀧と三葉の再会へ至るプロセスは簡単には進まない。雪の降る新宿の歩道橋では互いに何かを感じ取りながらもすれ違いで終わる。ようやく、春になってついにはっきりと互いを認識し、こんどこそしっかり再び出会う。冬という厳しい季節を経たあとの春なればこそ、望みが叶うということを暗に私たちに伝えている。 登場人物たちのキャクター設定もうまい。妙に媚びたようなキャラといったこともなく、瀧にも三葉にも自然に感情移入することができる。脇を固めるサヤチンやテッシー、四葉らもよく効いていた。さらに、天空をオーロラのような極彩色で彩る彗星のスケールとビジュアル、小気味よい音楽、幽玄な巫女の舞い、組紐を一本一本編んでいく伝承の手業などなど、壮大さときめ細かさが同居しており、隙のない、ごくていねいな作品づくりに心を動かされた。 きっと、何度見ても新しい発見がある作品だろうと思う。また、海外の映画賞をいくつも受賞しているのも、日本アニメの底力を世界に改めて知らしめたという点で胸のすく想いがする。歴史に残る、残すべき日本アニメの金字塔として最大の評価を贈りたい。なお、本作の誕生によって、今後もっとも苦しむことになるのは新海誠自身となるかもしれない。これだけの作品をつくってしまったことで、これをどう乗り越えていけばいいのかということが大きな課題となる可能性がある。クリエイターの宿命とはいえ終わりなき道である。そこからこそさらなる「進歩」や「成長」が生まれるのだとしても。 【delft-Q】さん [映画館(邦画)] 10点(2017-11-07 12:12:41)(良:2票) 165. 話題になっているので見ましたが、どうも入り込めない作品でした。 世間の評判がよくても、自分が面白いと思うかどうかは別だと改めて感じました。 【海牛大夫】さん [映画館(邦画)] 5点(2016-12-13 17:27:46)(良:2票) 164. なかなかおもしろかったですけど、そんなに絶賛されるほどではないかと思います。 ひとつだけ苦言を呈します。それは劇中何度もかかるJ-POPです。はじめは青春っぽさを演出しているんだろうなと思いました。歌詞も作品の世界観を表現しているような感じで、楽曲そのものもそんなに悪くはなかったです。 しかし、劇中に流れる頻度が多くて、申し訳ないですが、くどいなと感じるようになってきました。それもギターリフとかが、けたたましくて、正直うるさく、スクリーンに展開されているドラマをじっくり堪能したいのに、それが音楽によって、そがれてしまったのは事実です。ここぞというところで効果的に流してくれれば、より映像とマッチして、感動を助長してくれたのでないかと思います。でも、監督さんがこういうBGMの使い方をして、この音楽をこのタイミングで聴きなさいということで、作品を仕上げたのですから、私たちはそれを甘んじて鑑賞するしかないのです。 1人で鑑賞に来ていた隣の30代くらいの女性は、映画に感動して途中で鼻をすすりながら泣いていました。ちなみに私はシニア割引で観れるのがうれしい1950年代生まれです。最後に、音楽を提供したJ-POP楽団のファンの方たちに謝罪申し上げます。あまり評価しなくてすみませんでした。 【大通り・ヘップバーン】さん [映画館(邦画)] 6点(2016-11-24 12:09:47)(良:2票) 163.《ネタバレ》 ネタバレは極力避けて劇場に足を運んだが、これまでの新海氏の作品を知る者としてはかなり予想を裏切られた。まさかパニック映画だったとは。これは良い意味での裏切りで、今回も都会と自然を行き来するのんびりした人間模様かなと普通に連想していた。この想像を飛び越えてくるとは、まずここで感動した。この題材は大きなヒットを期待する上では悪くない。90年台のハリウッド大作に目が慣れている我々映画ファンは、SF、パニック、救出、恋愛、再会の複合要素をきちんと楽しめるように出来ている。しかしこれらを揃えたところで決して面白くなるとは限らないのは、アルマゲドンの亜流が毎年のように作られては駄作となるパターンでお馴染み。今作で新海氏が最も力を入れていたのは人物のウェットな部分、潤いである。喜怒哀楽がきちんと説得力をもって美しく表現されている。瀧が三葉の死に気付いた後に再び三葉の体に戻るや感慨深く乳を揉んだり泣きながら妹に飛び掛かろうとしたシーン、嬉しいやら笑えるやらで観客の多くが反応していた。こうした人間臭さの表現に少々固さを感じた氏の過去作からすれば大変な進歩である。また、救出・再会を題材にする上で重要となる「焦らし」の技術が大いに向上している。十分に溜めてから展開し、そう簡単には解決せず、何度も失敗を繰り返し、もう駄目かと思ったら成功するという、漫画でもよく使われる引っ張りのテクニックである。例えば三葉(瀧)とその友人2人が町民を避難させようと尽力するシーン。何とか爆破が完了し、放送室からの避難指示が始まり、人々が移動を始めるや父の説得に失敗し妨害されてしまう。かくして隕石は落下し、ミッションを結実させるに至るまでの成果が見えてこない。徹底的に引っ張り続けるのだ。再び2人が再会する事を期待するものの、それ以前にまず三葉が無事であるかが大きな懸念となる。この三葉の生還と再会という2つの大きなイベントを同時に行う事はせず、ラストにかけて段階を置いてじっくり見せていく盛り上げの上手さには驚嘆した。これまでの新海氏の作品は全て見ているが、これらの盛り上げ方や人々の感情の高まりの表現は前作「言の葉の庭」で飛躍的に向上し、今作で一気に開花した印象がある。またこれは多くのレビューにもあるが、同監督の「秒速~」を知る人は、終盤に2人がすれ違う時に「もしかしてまた振り返らないのでは」と大いに不安を抱く事になる。しかもまたしてもここですぐに結果を出さない。1度はスルーして「溜め」るのだ。この「溜め」があったからこそラストの感動がさらに盛り上がる。映画館で泣いたのは数十年振り2度目である。見事にしてやられた。自作を伏線として利用するとは、数々のヒット作を生み出し続ける巨匠ですらそう上手く使える技法ではない。自身の作品を十分に客観視し、学び続けてきた証が見て取れる。この作品のヒットは間違いなく氏の努力の結実。諸手を上げて祝福したい。そして次回作にも大いに期待したい。10点を差し上げてもいいのだが、自分が10点を付けた作品は長い歳月全く飽きる事なく何度も見ては何度も感動し続けたものばかりで、この「君の名は。」もそうなる事を期待する。 【にしきの】さん [映画館(邦画)] 9点(2016-09-27 13:25:55)(良:2票)
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