みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
9.極論すれば、三島の「アイドル映画」。相手が学生とは言え、同じ人間なのにどうしてこうも存在感が違うのだろう。見事に絵になっています。 討論されている内容は今となっては出鱈目としか思えませんが、当時は当時で別な位置付けだったのでしょう。製作陣もそこに重きを置かず、あくまでこういうことがありましたという記録に徹しているようです。それを補強するために、ナレーションが過剰になったり、当時は生まれてもいなかった作家をコメンテーターに起用したりと、苦労が垣間見れます。当時の学生も出てくるわけですが、他にいなかったのかという布陣を見ると、仕方なかったのかとも思いますが(盾の会側はさらにひどい)。 三島は、少なくとも現在的には、作家としてではなくあの時代状況の中である行動を起こした人物として決定的な存在とされているので、外れのないドキュメンタリー作品の素材であったと思います。 つまり、つまらなくはなかったけれども、期待したほどではありませんでした。それは製作陣のせいだとは必ずしも言えない、ということです。 【傲霜】さん [映画館(邦画)] 6点(2020-06-12 18:09:13)(良:2票) 8.《ネタバレ》 三島由紀夫の有名な何篇かが心地良かったのを覚えています。 自決のいきさつは難しすぎて入り口でさえ掘り下げられませんでした。 だから動く彼を見られただけでもうれしい。しかもその語り口は実に魅力的です。 だがしかし!! 映画を見て感じたのは ①男ばかり!(瀬戸内寂聴さんはコメンテーター) 死ぬとか、殺すとか、暴力とか、男たちが理屈こねてる。 みんな女の子宮から産まれたんでしょ?身を削って産み育てたのに「非合法で人をヤル」とか勝手ですね。 内田樹さんだけが「1930年代のティーンエージャー、男の子の場合」と説明してます。 戦争、闘争、暴力。これ圧倒的に男世界の話です。語るときは主語を必ず「男」にしてほしい。 ②男の若者が未熟だったり息巻いてエネルギー発散したり、その成長過程は大切です。 男学生と45歳の男天才作家がレベチなのは当然。 1000人の学生にとって ごまかさずに話してくれる大人がいるんだ!という気付きは尊いとおもう。 「レースのカーテンの前でのろけたり」「立派な書棚の前で懐かしんだり」元全共闘や元楯の会の皆さんは好々爺となり、 若いころ自身のジグザグ試行錯誤時代ををふりかえることができる。 世界には振り返ることもできぬまま死んでしまう若者がたくさんいる。男たちまず生きよ! ③芥さんって今も変わらない。金子みすゞに言わせたら「みんな違ってみんないい」ですかね ④討論を交わした天才が翌年、自決したわけですよね。 1000人の学生にとってその衝撃はすごかったと思うのですが語られていません。900番教室の思い出ばかりです。それは物足りないです。 イロイロ感じることがあって三島由紀夫再読しようかと思ったので、そういう意味のある映画、という点にしました 【LOIS】さん [インターネット(邦画)] 7点(2021-10-17 22:36:47)(良:1票) 7.生きている三島由紀夫を見るための映画だと思います。討論会の内容はよく理解できませんでしたが、なんとなく面白かったです。三島を論破しようと血気盛んな学生に、器の違う三島が会話を楽しんでいるように見えました。三島が生きていたら、今の日本についてどう思うのでしょうか。 【ぽじっこ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2021-05-28 19:12:57)(良:1票) 6.《ネタバレ》 ワタシには、この作品がわからなかったです。900番教室で行われた討論はイライラするくらいわからなかったし、ちょうど50年という節目の年でもないのに、このタイミングで公開される意図もわからない。この映画の監督が豊島圭介氏であることも何故?と思うし、なによりこのフィルムは秘蔵するような類のものか(そんなセンセーショナルなものと思えない)。わからないんですよ。でも。作中、内田樹氏も触れていますが、三島由紀夫氏はなんて粘り強いんだろう。このくそボンズの大学生を相手に一つ一つ丁寧に応対する三島由紀夫氏の姿に誠実を感じます。なんかよくわからないが、三島由紀夫の魅力だけはわかった。今度、食わず嫌いだった氏の小説を読んでみようと思います。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 5点(2021-05-06 21:54:26)(良:1票) 5.《ネタバレ》 1969年5月、その日、東京大学駒場キャンパスのある教室は異様な熱気に包まれていた。何故なら、反体制を掲げ時に過激な行動で世間を騒がせた東大全共闘と世界的ベストセラー作家として名声を欲しいままにする三島由紀夫との討論会が行われたからだ。観衆も含め1000人を超える学生グループとたった一人敵地ともいえる教室へとやって来た大作家。片や共産革命を掲げる左翼思想グループ、片や天皇崇拝を主張し国家主義を是とする右翼的作家。真っ向から主義主張の異なる両者の対決は、文字通り命を掛けた激しい激論となった――。本作は、長い間テレビ局の倉庫に眠っていたそんな貴重な映像を再編集して50年目の今日、新たに世間に公表しようと試みた挑戦的ドキュメンタリーだ。中学生だった頃に三島由紀夫の傑作『仮面の告白』を読んで衝撃を受けた自分としては、感慨深いものを感じながらの鑑賞となった。当時の異様な熱気を生々しく写し取った映像は最後まで緊張感が途切れず、両者の激しい舌戦はまるで激しい格闘技を見ているかのような感覚にさせられる。特に、三島由紀夫の生涯のテーマとも言える「世界を変えるのは認識か行動か」という重要な思想が時折垣間見えるのが興味深い。高度な知性によって世界を変革しようという三島氏と文字通り暴力も辞さない行動によって世界を変えようという学生たちとの討論が最後まで噛み合わないのは当然だが、三島がそんな学生たちに理解を持って接していたのが印象的だった。もしかすると氏は、学生たちに深い羨望のようなものを感じていたのではないか。あくまで文筆活動で戦後のぬるま湯に浸かり切ったような日本を変えようとした三島氏が最期、あのような暴挙に出たのはもしかするとこの討論会で学生たちが見せた清々しいまでの若さに影響されたのかもしれない。もちろんかなり穿った見方であることは承知の上だが。ただ、討論会の途中から急に登場する、この時代のひろゆきみたいな芥氏という人物。この人の存在が自分は最後まで不快で仕方なかった。ずっとへらへらしながら自分以外の人間を小馬鹿にしているようなその態度が終始鬱陶しい。幼い娘を抱えながらこの討論会に参加しているのだが、それも「娘の子育てに忙しい自分が、ここで面白そうなことをしているみたいなのでなんとなく参加しただけだし」という言い訳を最初から用意している感じがしてなんとも不愉快。現在の年老いた芥氏にインタビューしているシーンもあるのだが、ここでも変わらず人を小馬鹿にしたような態度で「人ってどれだけ年取っても変わらないものだ」と思わず笑ってしまった。こんな男に最後まで真摯に対応した三島氏の度量の深さには改めて尊敬の念を抱かずにはいられない。反対に、悔恨を感じながらもあの頃の自分たちを肯定せざるを得ない心境で滔々と告白する全共闘の当事者たち。行動を起こしながらも結局世界を変えられなかった彼らには、三島の最後の長編『豊饒の海』にも通じる無常感すら感じる。この貴重な映像を50年後の今日、公開してくれた制作陣に改めて敬意を表したい。 【かたゆき】さん [DVD(邦画)] 8点(2023-02-13 09:13:15) 4.内容的には興味深いものの、東出のナレーションが作品全体をぶち壊している印象。また、記録映像にインタビューを加えただけのものを果たして「映画」と呼んでいいのかどうかという疑問はある。そもそも「映画」って何なのか・・・。ちなみに、討論内容そのものは角川文庫から出ているので、そっちを読んだ方がよいのかと。 【東京50km圏道路地図】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2022-11-08 00:12:07) 3.《ネタバレ》 右翼と左翼に分かれてはいても国家権力に対し変革を求めているという点で双方の目的は一緒であるということを三島由紀夫はわかっていたんだろううなと思いました。そして、学生側も三島のユーモアを交えた巧みなオルグに惹きこまれていくのが目に見えてわかりました。ただ、三島も全共闘も結局は目的は一緒だということを確認し合うだけで共闘を拒否し終わってしまったのが、今から見ると何だったんだろうかとおもいますね。双方の議論は面白かったですが、結局三島と相対することができる全共闘側のリーダー(芥氏はリーダーとはちょっと違う印象です)が不在で特別講師と学生の授業の枠を超えてなかった印象です。革命・クーデターという行動に際しては、純粋な知的エリートの甘さ・弱さは障害になるのだなと感じました。 【TM】さん [DVD(邦画)] 8点(2022-02-12 00:22:27) 2.《ネタバレ》 三島由紀夫の作品は全く読んだ事はありません。読めばその魔力に吸い込まれるような気がして。 この映画を見ればその断片だけでも知る事が出来るのではないかと思い視聴しました。 しかしたった一人で1000人の中に飛び込むという肝の座り方。 この討論の冒頭三島由紀夫のスピーチがあるのですが、最も耳に入ってきました。 おそらくここで勝負あったんだと思います。 討論のメインである全学連の芥氏との討論は、東大随一の論客といわれる芥氏が三島をやり込めようと難解(というか、観念をこねくり回したような、人に伝えるつもりのない独りよがりな言論)を三島が丁寧に聞き取って優しく答えていくという展開。解放区、時間、空間、それみんなが目指した革命と関係あるの?これ皆が望んだ討論?ただ三島の対応能力の高さだけが目立っていく。論破するでもなく、誠実に答えていく姿が印象的。ただ見て何か感じるものは無し。 おそらく芥氏は同じ表現者(芥氏も表現者として仕事をしていたらしいが)としての格の差に嫉妬しており、敢えて分かりにくい言葉で議論を吹っかけている個人的な戦いの図に見えます。話をさえぎって揚げ足取りしてみたり、見下したように笑みを浮かべてみたり。途中で横やりを入れた学生の「俺は三島をぶん殴る会があるというから来た」のほうが本質を突いた議論になったのではないか。 そして50年後に芥氏本人へのインタビュー。自らを総括するでもなく彼自身の自己弁護なのか、キャラクターを含め彼の人間としての小ささが鼻についてしまって・・・。本人の思いは別に何かあるとしてもかなりガッカリな印象。 私としては、学生運動によってどんな世の中を目指していたのかが分かる議論になっているのだろうと思っていたのですが、そのへんの答えに近づくことは無く、あの討論で学生たちはいったい何をしたかったのだろう。あの討論で何かを得たのだろうか。三島に思いは伝える事が出来たのだろうか。「近代ゴリラ」なんて揶揄して三島を挑発したのはいいけれど、彼の圧倒的な存在感とユーモアと優しさの中で討論ごっこをさせてもらっただけなのでは。 映画としては、この時期の学生運動の様子や三島の行動等も同時に紹介されていたので時代のディテールは少し押さえることが出来たのは良かったですね。(雑誌の人気ランキングでも三島は男性で1位だったとか。当時の影響力と男の嫉妬が想像できる話。) 三島は学生たちの純粋さと一途さだけは認めようとしていた。 時代は流れ、終わってみればかの革命戦士たちは社会人として体制の中で何食わぬ顔で堂々と働いている・・・ 今を生きる若者は何か参考になった事はあるのだろうか。 さて、三島の作品を読んでみるか・・・そちらも未だ迷ってます。 【大治郎】さん [インターネット(邦画)] 5点(2021-09-28 09:28:05) 1.ガチンコ勝負を期待して企画されたイベントが、さして盛り上がることなく終わりましたという、ただそれだけの話。討論の中身に、まったく価値はありません。意気がった学生が空虚な観念論を振りかざし、三島に適当にあしらわれるだけです。だいたい親から仕送りをもらい、国立大学なら国税によって支援されている学生に「革命」だの「闘争」だのと息巻かれても、「まあがんばってね」としか言えないでしょう。 ただし、現代の識者へのインタビューはいずれも含蓄がありました。人選が良かったのか、聞き方が良かったのか、不毛な討論を埋め合わせるかのように、絶妙に挿入されていたように思います。「真実」というほど大げさなものではありませんでしたが。 70年前後の学生運動というのは、要するに若いエネルギーを発散させるための「お祭り」だったのかなと。バブル全盛期の若者が「ジュリアナだ」「マハラジャだ」と大騒ぎしていたのと同じ感覚で、「国会議事堂だ」「安田講堂だ」と大騒ぎしていただけでしょう。〝敗北〟の後、多くは何事もなかったかのようにご立派な「企業戦士」もしくは「国家公務員」に転身されたことが何よりの証拠です。そして今では、負担額をはるかに上回る年金を受給して悠々自適の生活を送っているわけで。「革命」に失敗して本当に良かったね! 【眉山】さん [インターネット(邦画)] 6点(2021-06-15 01:48:33)
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