みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
39.《ネタバレ》 10~20代の時に見たら、多分この映画の本質の半分も理解できなかったかなと思う。いや、30代もあやしい……。 映画館からの帰り道からずっと、あの人の人生を考えずにはいられなかった。 短気であまり頭の良くない、挫折を繰り返す男。でも優しいし一本気で、子供のような男。 あの人はきっと、あのままじゃ長生き出来ない人だったと思う。 あの時。弱いものを嬲っていた男たちを、心の思うがままに暴行して痛めつけていたら、彼の体はストレスをためることなく、いまだ生きていたかもしれない。でも、支援してくれた人々をまた悲しませ、落胆させ、失望させていた。 だから死に物狂いでその衝動に耐えた。結局、彼の体はそれに耐えられなかったけれど。 綺麗できっぷの良いイカす元妻から、娘と一緒に会おう、楽しみ! なんて言われて。 きっと神様は最後に御褒美をくれたんだと思う。 最後に、花の香りを嗅ぎながら、彼は思ったんじゃないかなぁ。 ・優しい坊主、守れなくて悪かった、我慢せずやっちまいたかった ・でも、やっちまってたら、スカっとしたけど、あの人達を失望させた ・だから、これで良かったんだ、これで良かったんだ すばらしき人生って言っていいのだと思う。 運のない人だったけれど、死んでから泣いてくれる人がいるだなんて、うらやましい。 個人的には、六角精児が演じたスーパーの人には一番頭が下がる。あの人は凄い。本当に凄い。 人生は人との繋がり、なんだなぁと、自己を顧みてつくづく反省した。 多分一生頭の片隅にこびりつく映画。 【りんどう】さん [映画館(邦画)] 8点(2021-03-16 01:07:23)(良:3票) 38.《ネタバレ》 良かった。すごく良かった。 原作があるのか無いのか知らんけど、映画良かった。 俳優さんたち、みんな素敵だった! ところで『すばらしき世界』という題名って、すごい皮肉よね。 確かに主人公が出所後、手を貸してくれた人々が周りにたくさん居たけど、 だけど、 あんなに気持ち=正義を押し殺して、(もちろん「本人にとって」の正義だけど) 文字通り死ぬほど感情を押し殺して、素晴しい世界なの? あの人(主人公)、本当に本当に苦しかったと思う。 「カタギ」に馴染むためには、 理不尽な事も許せないことも何もかも「自分の感情」をスルーして、 全て「他人事」と位置づけて。 そうしないと生きていけない世界って「スバラシイ」の? 自分が死んだあと、誰が泣いてくれてもしょうがないのよ。 自分が生きている間に、自分らしく生きられないのなら ただの人形。 最後に(あえてハンドルネームは出しませんが)「3.」の人。 「僕のすばらしき世界」が訪れますように。。。 【ジャスミン】さん [映画館(邦画)] 9点(2021-02-18 22:50:53)(良:2票) 37.《ネタバレ》 最近、韓国映画のパワーにずっと心をやられていたが、何となく見た本作で邦画の良さをしみじみ感じられた。 これ他の国の出来事だったらここまで心に染み渡らないでしょうね。 役所広司の役作りは凄い。自分が見てきた「昭和初期に悪かった人」の独特の雰囲気というか何というか 面倒くさいけど、不器用で憎めない、すぐ怒る、笑顔がズルい、等のなんとも言えん感じが とっても良く出てると思った。 すばらしき世界というタイトルは凄いですね。皆さん見終わった後、はあ~となりますよね・・・。 ごくごく一部に登場する人以外、主人公の周りには良い人ばっかり積み重なってきます。 周りの人に感謝したくなる、会話したくなる、社会について考えてみる、そんな映画でした。良かった。 【masaov】さん [インターネット(邦画)] 7点(2024-08-11 01:49:31)(良:1票) 36.《ネタバレ》 すばらしき映画。 三上の狂気っぷりを役所広司が見事な演技で表現している。 喧嘩中相手にかみついて口の中血まみれにしながら笑顔で一般人の津野田を呼ぶシーンが一見暴力的とはいえ普通の人っぽかった三上が普通じゃない世界の人だと認識させられる印象的な場面。 こんな三上がカタギになれる訳もなく自然な流れで暴力団に戻っていきかける。 たまたま暴力団を離れることになり再びカタギの仕事に就いてだんだんと見て見ぬふりをする「普通」の世界に馴染み始めた矢先突然死する。 不器用だけど一生懸命に生きようとする三上に目頭が熱くなるいい映画だ。 【Dry-man】さん [インターネット(邦画)] 8点(2024-02-12 22:03:13)(良:1票) 35.ストーリーがすばらしい。よくある勧善懲悪ものとは明らかに一線を画し、たしかに現実にありそうな話を、ものすごく自然に、少々の毒や皮肉を込めて描いている感じ。しかも主人公はけっして特異な存在ではなく、誰もが大なり小なり似たような要素を持っていて、生きづらさみたいなものを感じているんじゃないですか、と問われているような気がします。 しかしストーリーもさることながら、私がもっともグッと来たのは、前半と中盤に1回ずつあった役所広司が泣くシーン。前半は橋爪功夫婦と食卓を囲みながら、中盤は子どもたちとサッカーに興じた後で。演出なのか演技なのかわかりませんが、大の大人が堪え切れなくなって人目も憚らずに嗚咽するというのは、まさにこんな感じだろうと。仮に前後を切り離してこのシーンだけ見たとしても、私はきっともらい泣きしたと思います。 【眉山】さん [インターネット(邦画)] 9点(2024-02-02 02:02:51)(良:1票) 34.《ネタバレ》 世界は決してただ美しい、素晴らしいモノではないのであって、多くの不条理・不正義・不公平と残酷な運命に満ち満ちている。それは人ひとりの力で何とか出来るものばかりでは全くないのだし、そもそも人智に依っては如何ともし難いことだって今だ数多く存在する。だから残念なことに「努力は人を裏切らない」とか「人生は何度だってやり直せる」だとかいう美辞麗句というのは、言葉の使い方の問題でもあろうが確実にそこに「嘘」を孕んでいる、とも思うのだ。人生とは、この世界とは、元々全く「ままならない」ものなのだろう、と考えている。 でももし、そこにただ純粋に素晴らしいことがひとつだけ在るとしたら、人が自分の人生を少しでも、ほんの少しずつでも「前に」進めようというささやかな意志を持ったのならば、その人生はどんな時でも、ほんの少しだけはより善い・より意義深いものにきっと変わるだろうということなのだ。例え明日死ぬとしても、その明日を今日よりも少しだけ何か意味の在るものにすることはたぶん可能なのだ。それだけが、人に許されている唯一つの絶対なのだ(人生の意味とは、ただひたすらにその積み重ねでしかないのだ)。だから、それでも世界は絶対に素晴らしいのだ、と。 【Yuki2Invy】さん [DVD(邦画)] 9点(2022-05-08 18:20:35)(良:1票) 33.《ネタバレ》 ネタバレあります。未見の方はご注意ください。 自然災害、不慮の事故など、本人に責任が及ばぬ原因で終わる人生もあれば、己が生き様の帰結として迎える必然の最期もあります。後者を選択できた者は、その結果が好ましかどうかに関わらず「幸運」に違いありません。三上の最期は唐突かつ遣り切れぬものでしたが、明らかに後者と考えます。それに見方を変えれば、これほど幸せな結末もありません。生活苦もなく、辛い闘病生活も経験せず、悲しんでくれる人がいる、泣いてくれる人がいる。これ以上何を望みましょう。彼は周りの人々に恵まれました。もしかしたら人生の前半で使わなかった運を、ここで一気に使ったのかと思うほど。もちろん、身寄りのない三上が短期間で濃密な人間関係を築けたのは、彼の人間性に魅力があったからに外なりません。広い空の下で死ねたこと。彼が迎えた人生の結末は、最善でなくとも、最良のものだった気がします。 生い立ち、セーフティネット、犯罪者の社会復帰。シリアスな周辺要素を孕みながらも、物語は一人の男の日常生活を淡々と描くスタイルです。どこで終わっても成立したでしょう。それこそ後味よく希望を抱かせるエンディングを用意することも容易でした。しかし西川監督は「けじめ」に拘った気がします。それが「人生」を描く責任。西川監督の過去作を見てもわかるように、その真摯な姿勢は一貫しています。良いところも悪いところも、好都合も不都合も、全て描く。でもその視線には人間に対する絶対的な肯定感が見てとれます。それを「愛」と呼ぶのかもしれません。だから私たちは西川監督に魅了されるのだと思います。タイトル『すばらしき世界』は幾ばくかの苦みを含みつつも、皮肉ではありません。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 9点(2022-01-01 00:00:00)(良:1票) 32.《ネタバレ》 この映画に登場する人物のほぼ全員は、主人公・三上正夫に対して、悪意や敵意を示して接することはない。 むしろ皆が、偽りなき「善意」をもって彼に接し、本気で彼の助けになろうとしている。 そして、三上自身も、その善意に対し感謝をもって受け止め、“更生”することで応えようと、懸命に努力している。 その様は、「やさしい世界」と表現できようし、この映画のタイトルが示す通り、「すばらしき世界」だと言えるだろう。 でも、それでも、この世界はあまりにも生きづらい。 その、ありのままの「残酷」を、この映画は潔くさらりと描きつける。 西川美和という映画監督が表現するその世界は、いつも、とても優しく、そしてあまりに厳しい。 僕自身、ようやくと言うべきか、早くもと言うべきか、兎にも角にも40年の人生を生きてきた。 平穏な家庭に育ち、平穏な成長を経て、そして自らも平穏な家庭を持っている。 決してお金持ちではないし、生活や仕事において不満やストレスが全く無いことはないけれど、今のところは「幸福」と言うべき人生だと思う。 だがしかし、だ。 その平穏という幸福を自認し噛み締めつつも、僕自身この世界における“生きづらさ”を否定できない。 人並みにアイデンティティが芽生えた少年時代から、40歳を目前にした現在に至るまで、「生きやすい」と感じたことは、実はただの一度も無いかもしれない。 人の些細な言動に傷つき怒り鬱積を募らせ、僕自身も“本音”を吐き出す程に周囲の人間を困らせたり、怒らせたり、傷つけたりしてしまっている。 どんな物事も思ったとおりになんて進まないし、「失敗」に至るための「行動」すらできていないことが殆どだ。 自分自身の幸福度に関わらず、人生は失望と苦悩の連続で、この世界はとても生きづらいもの。 それが、殆ど無意識下で辿り着いていた、現時点での僕の人生観だったと思う。 そしてそれは、この世界に生きるすべての人たちに共通する感情なのではないかと思う。 そういった個人の閉塞感を、この世界の一人ひとりが持たざる得ないため、その負の感情は縦横無尽に連鎖し、社会全体が閉塞感に包まれているように感じる。 この映画で西川美和監督が、社会に爪弾きにされた前科者の男の目線を通じて描き出したことは、決して一部の限られた人間の人生観ではなく、この世界の住人一人ひとりが共有せざるを得ない“痛み”と一抹の“歓び”だったのだと思う。 確かに、この世界はすばらしい。 美しい光に満ち溢れているし、エキサイティングで、エモーショナルで、ただ一つの命をまっとうするに相応しいものだ。少なくとも僕はそう信じている。 そんな世界の中で、人は皆、誰かに対して優しくありたいし、誰しも本当は「罪」など犯したくはない。 それでも、結果として「罪」が生まれることを避けられないし、すべての人が無垢な「善意」のみで生きられるほど、人間は強くない。 この映画の登場人物たちは皆優しい人間だと思うけれど、主人公に対する「善意」の奥底には、それぞれ一欠片の「傲慢」が見え隠れする。 取材をするTVディレクターも、身元引受人の弁護士とその妻も、スーパーの店長も、役所のケースワーカーも、ヤクザの老組長も、心からの善意で主人公を助けているけれど、同時にその心の奥底では彼のことをどこか見下し、自分の優位性を感じていることを否定できない。 無論、だからと言って、彼らを否定する余地などはどこにもない。 彼ら自身も、この生きづらい世界の中で、自分の心の中で折り合いをつけながら、必死に生きているに過ぎないのだから。 自分の感情に対して「正直」に生きることしかできない主人公は、それ故に少年時代から悪事と罪を重ね、人生の大半を刑務所内で過ごしてきた。 理由がどうであれ、犯した罪は擁護できないけれど、誰にとっても生きづらいこの世界が、益々彼を追い詰め、ついには自分自身で、文字通り心を押し殺さざるを得なくなっていく様を目の当たりにして、悲痛を通り越して心を掻きむしられた。 それは、単なる暴力による報復などとは、比べ物にならないくらいに残酷な業苦を見ているようだった。 ラストの帰り道、どこか都合よくかかってきたように見える元妻からの電話による多幸感は、果たして「現実」だったのだろうか。 そして、とある人物から貰った秋桜を握りしめ、最期の時を迎えた主人公の心に去来していた感情は、如何なるものだったのだろうか、救済だったろうか、贖罪だったろうか、悔恨だったろうか。 僕自身、様々な感情が渦巻き、鑑賞後数日が経つがうまく整理がつかない。 空が広く見えた。 人間は、この「すばらしき世界」で、ただそれのみを唯一の“救い”とすべきなのか。 【鉄腕麗人】さん [映画館(邦画)] 10点(2021-03-01 12:30:15)(良:1票) 31.人生経験積んだおっさんからすると、三上のような人種が珍しいとも感じない。 【センブリーヌ】さん [インターネット(邦画)] 5点(2024-11-24 17:49:56)★《新規》★ 30.もうこういうステレオタイプでお金も時間も人も無駄に投入するのは、いい加減やめんといけんね こういうの信じられる人、ある意味幸せで不幸とおもうよ こんなもんじゃないよ、ほんとの世界は 邦画がダメになったのは、リアリティの問題でなく、ステレオタイプでしか物事をとらえられなくなった映画人や俳優たちのせいなんだね そして、映画を安定した投資にしようとした資本の人たち、俳優や女優の名前だけで映画をみる人たち、こういう人たちが邦画を貶めてきたんだね チーン 【みんな嫌い】さん [インターネット(邦画)] 0点(2024-11-14 23:23:21) 29.障害者のコがいじめられていた場面、よく我慢出来たなあと思う。あんなん僕でも我慢できん。 【ケンジ】さん [インターネット(邦画)] 7点(2024-11-09 00:11:08) 28.《ネタバレ》 評価が高いことが理解できる映画。 三上はこの世界に合わせようとしたことで、結果的に自らの心身が拒否することになった。 【simple】さん [インターネット(邦画)] 9点(2024-06-29 14:38:01) 27.《ネタバレ》 主演の役所広司の存在感がさすが。 西川美和監督らしいリアリティーのある描写。 ただ、ドラマティックな展開もなく、終わり方が突然で消化不良。 西川作品なら「ゆれる」「ディア・ドクター」等のほうがずっと面白かった。 【飛鳥】さん [インターネット(邦画)] 5点(2024-06-25 17:50:03) 26.《ネタバレ》 大好きな西川美和監督と大好きな俳優役所広司さんということもあって、とにかく観る前からの期待値はかなり高かったです。ただ事前にあまり情報を得なかったので、この話が実在した人物をモデルに作られていたことは鑑賞後に知りました。知って思ったのは、この話の実在した人物と西川監督の世界観がものの見事にマッチしているということ。だからこそこれだけ素晴らしい作品へと昇華されたのでしょう。 反社会に対しての社会のシステムがどんどん厳しくなっていく中で、反社会から足を洗って真っ当に生きていこうとする人間に対する社会のあり方に焦点を当てているわけなんですが、そんな中で一番強烈に印象深く残るのは、私たちは常に社会に対して何らかの不平不満を抱きながらもそれらを我慢して生きていかなきゃいけないということを、その現実を改めて思い知らされたということが、何よりもズンときました。そんな我慢なストレスを抱え込んだ人たちは自分よりも立場的に不利な人を見つけるとつい上から的な態度を取ってしまうのも、こういった社会の闇なのかもしれませんね。 この監督さんは台詞のない描写で印象的なシーンをよく見せてくれるのだが、今作では、大きなキャベツから徐々に小さなキャベツを選び直すシーンや、ちょっと高級そうなシャンプーを手に取りながら羨望の眼差しで何とも言えない表情をするシーンとか、とにかくそういった何気ないシーンが本当に良い塩梅に散りばめられていて、非常に心地よい。 コスモスの花言葉は「調和」や「謙虚」。 やっと就職してこれから「謙虚」に社会と「調和」して生きていこうとした三上への最上の表現ですね。でも私は三上は死んで良かったんじゃないかとも。なぜなら果たしてあの職場で我慢し続けられるのか、己をとことん殺してまで耐えていけるのか、甚だ疑問でもあったし、我慢し続けてもいつかストレス溜まりすぎてぶっ倒れちゃうんじゃないかとも...だから遅かれ早かれ楽になるにはああなるしかなかったのかもって...だから死んで楽になれて良かったですね、ていう感情もありました。 すばらしき世界・・・皮肉たっぷりなこのタイトルが本当に...憎たらしい...。 PS:日本語の聞き取りづらい箇所が何箇所かあるの、年配者には本当に辛いので字幕付き邦画の検討、本当にお願いします。 【Dream kerokero】さん [インターネット(邦画)] 8点(2024-02-01 12:24:00) 25.《ネタバレ》 これぞ西川映画と呼べるような、ソリッドだけども多面的な描写が続く。序盤は、役所広司さん演じる三上の社会復帰への奮闘をコメディタッチの描写も含めて描く。下の階のチンピラとの喧嘩やら自動車教習所での悪戦苦闘にはブラックユーモアもたっぷりで苦笑いしながら見てきたのだけれど、後半のあの暴力沙汰から物語がピリリと引き締まり、そもそも「社会復帰とは何か」「まっとうに生きるとは何か」という深みに達していく構成は本当に見事。そのなかで、出てくる登場人物もくせ者ぞろい。身元引き受け人の弁護士夫婦、取材するテレビ局ディレクター、市役所のケースワーカー、スーパーの店主、そして元暴力団の兄貴分まで、みんな「いい人」ではあるんだけれど、でもそれぞれが必死で「まっとうに」生きるためにどこかで三上を突き放している部分を持ってる。「善良」であっても、それぞれの自分勝手な言い分やら事情のうえのことなので、タイミングが悪ければ容易に三上の「敵」にもなるだろうという、そういう危うさを常に感じるのはいい。「無償の善意」などありえないのだ。このあたりの突き放した世界観があるからこそ、一瞬心が通ったと思える瞬間が美しく「すばらしい」。ただ、本作が凄いのは、その「善意の助言」が最後は三村を追い詰めてしまうことだ。その先にあった死は、悲劇というべきなのかどうかはわからないけれど、この「すばらしき世界」の苦みを十分に描いてくれたことは間違いないと思います。余計な部分をそぎ落とした久々の西川節を堪能しました。 【ころりさん】さん [インターネット(邦画)] 8点(2024-01-06 09:36:13) 24.《ネタバレ》 役所広司、圧巻の演技力。物凄いです。人間味はあるが、面倒を通り越して危ない三上を、周りの人たちが支える様を絶妙に描いていると思う。みんな徐々に心を通わせるんだよね。一時、堕ちてしまってもしょうがない展開になるが、持ち直すのは正にすばらしき世界。最後はどんなオチもありえると思い読めなかった。薬は飲めなかったのか?飲まなかったのか?それとも、関係なかったか。 【ラグ】さん [インターネット(邦画)] 8点(2023-12-17 21:07:19) 23.《ネタバレ》 生活保護担当の職員も、スーパーの店長も最初は嫌な感じと思いましたが、基本的にはいい人たちなんですね。やはりある程度その人の事を知らないとその人の事は分からないなと思いました。役所がパートで働く介護施設の若い職員らもしかり、いい面もあれば障害者を笑いにする面もあり、分からないものです。役所は介護施設で怒りに任せた行動を抑え、ようやく別の人生を歩み始めたかと思いました。ただ、怒って当然の内容だったから、それを抑えないとこの世界では普通の人としてやっていけないというのは少し悲しいと思いました。まったく前知識なしにたまたま観ましたが、良作ですし、役所広司ってすごい演技人だなと思いました。 【珈琲時間】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-12-16 16:55:07) 22.《ネタバレ》 泣いた。 役所広司の声の荒げ方がヤクザ者のそれを本当によくできてて素晴らしかった。 随所に挿入されるギミックもよかった。おかげで飽きずに見れた。 原作も読んでみたい。 【よこやまゆうき】さん [インターネット(邦画)] 10点(2023-12-03 00:23:27) 21.《ネタバレ》 役所広司の名演技でした。激高すると止まらない迫力がありました。それぞれ善人でワルは長澤まさみだけでしたね。 【東京ロッキー】さん [インターネット(邦画)] 8点(2023-11-30 09:59:19) 20.《ネタバレ》 その日、殺人の罪を犯し、13年ものあいだ刑務所へと服役していた男が出所する。彼の名は、三上正夫。10代の頃から何度も罪を犯し、そのたびに刑務所へと投獄され、積み重なった前科は十犯。これまでの人生の28年間を鉄格子の内側で過ごしてきた彼の人生とはいったい何であったのか――。人生の終盤を迎えつつあるそんな三上の再出発の日々を、彼を題材にドキュメンタリーを制作しようというテレビ局のスタッフの視点を交えて描いたヒューマン・ドラマ。監督は、うまくいかない人生にもがく人々の苦悩を終始一貫して見つめ続ける西川美和。いかにも彼女らしい丁寧な演出は相変わらず健在で、特別なことは何も起こらないこの三上という元犯罪者の日常を淡々と描いているのに、最後まで観客を惹き付けてやまないのは見事としか言いようがない。短絡的で何かというと暴力に走るこの粗暴な男が主人公なのだが、そこまで嫌悪感を抱かせないのはやはりこの監督の慈愛にも似た優しいまなざしによる部分が大きいのだろう。不器用で身勝手で社会性が皆無に等しい元犯罪者の人生を否定も肯定もせず、ただ淡々と見つめている。やがて明らかとなる、過去にこの男が心から愛していた女性の存在、今度こそ真人間になろうと誓った経緯、そして彼を子供のころに捨てて失踪した母親……。一般的な人々からすればやくざ者で人生の落伍者である彼にも、当然、人間としての苦悩や後悔、弱い部分や魅力的な部分、そして深い愛もあるという当たり前の事実を改めて気づかさせてくれる。そんな彼をそれぞれの立場から優しく見守る周りの人々の存在も素晴らしい。弁護士やその妻をはじめ、途中で出てくる何気ないキャラクターまでちゃんと血の通った人間として描くことに成功している。特に、六角精児演じるスーパーの店長が印象的だった。ただ、意図してそうしているのだろうが、三上を取り巻く人々がどこまでも良い人ばかりというのは、自分としては少々違和感があった。三上の古い友人であるやくざの組長の妻までが主人公に献身的なまでの優しさを見せるというのはちょっとやり過ぎと言えなくもない。とは言え、それも好みの問題なのだろう。社会という枠からはみ出し、今にも溺れそうになっている人々の悲哀を掬い取ろうという今作のテーマは充分に胸を打つ。血の気の多い元やくざ者をナチュラルに演じた役所広司をはじめ、キャスト陣も皆いい仕事をしている。どんな人間でも、心の持ちようによって、この世界はいくらでも素晴らしいものになる――。そう思わせてくれる、ヒューマン・ドラマの秀作と言っていい。 【かたゆき】さん [DVD(邦画)] 7点(2022-08-19 08:04:43)
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