みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
190.《ネタバレ》 ハナとカラバッジョの二人がカナダ人という設定は、イギリスの分国であるからなのはもちろんだが、カナダの持つ国際貢献のイメージをハナに重ねたものと思われる。主要な登場人物である二人が、フランス語を母語とするケベック人であることがさりげなく示され、国家の枠組みにとらわれないコスモポリタンとして登場していることは、元カナダ在住の小生には興味深い。■恋人キャサリンの命が危機に晒されているのに、彼がイギリス国籍でなく姓がドイツ風だという理由で必要な援助を受けられず、それどころか捕らえられ連行までされれば、裏切りたくもなるだろう。ところがキャサリンが死んだことで、裏切りは意味を失くす。自分も死のうと決意するが、飛行機が墜落したあとも死に切れず、記憶をなくした彼は皮肉にも「イギリス人の患者」と呼ばれる。■本作は「不倫を美化しているから受け容れられない」という意見が多いが、主人公らの恋を不倫に設定したのはわざとだろう。なぜなら、不倫は二人にとって夫と友人を裏切る行為であり、それが国を裏切る行為と対比されているからだ。■戦争は国家のために命を捧げる行為だが、アルマシーは不倫相手の命を救うために国家機密を売り、その結果多くの市民と軍人を戦禍に巻き込み、友人と不倫相手の夫を自殺に追い込み、その部下もスパイ容疑で拷問されるという惨事を招く。だがそれほどの犠牲を払ったにもかかわらず、キャサリンは息絶えてしまう。それが、作者が背徳者の二人に与えた報いである。■キャサリンは遺書に「いとしい人、あなたを待っている。外に出れば日差しが強すぎる」と綴った。背徳者の二人には、日の当たる世界に出るのは厳しすぎ、日陰に隠れる生活が相応だと暗示している。だがアルマシーを許したカラバッジョと、誰にでも無償の愛を注いだハナは、最後にアルマシーが見ることのなかったまぶしいばかりの朝を見た。恋人との仲を修復したカラバッジョと、その車に乗り込むハナが、全身に日の光をいっぱいに浴びる映像が大変美しく、彼らに輝かしい未来があることを強く予感させる。それから車は画面の右へ、そして飛行機は画面の左へと消えてゆく。ハナとカラバッジョには現実世界での幸福が、そして背徳者の二人には「地図のない世界」での自由が示される。対称的な両者の人生は、偶然にただ一度交差し、そして反対方向へと向かったのだ。 【高橋幸二】さん [地上波(字幕)] 6点(2014-07-06 10:20:30)(良:4票) 189.メロドラマの背景は非日常でなければならない、それが探検と戦争と二つもそろえば申し分ない。故郷ハンガリーを離れた主人公は、イギリスにもドイツにも帰属できない存在となり、まさに男として愛のみに生きられる絶好のメロドラマポジションを獲得したわけだ。まだ国籍などというものを持たなかった古代人は、砂漠の中でゆらゆらと自由に泳いでいた。これと対になるのは、空中に吊られたビノシュが中世の壁画を眺めるシーンで、空中を泳ぐ彼女の自由さが中世からさらに古代にも通じていく。映画としてはこのシーンが一番優れていた。あとビノシュがケンパケンパケンケンパする音から、砂漠の民の音楽に移っていったりするあたり。やや文学性に寄った映画だったが、大メロドラマを楽しめた。アタマで双葉機が飛んでたので、あれ? 第一次世界大戦か、と思ったら、やっぱり第二次大戦で、北アフリカではそんな感じだったのか。でも第一次大戦が舞台でもいいような古風な味の映画。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2009-04-20 12:03:40)(良:2票) 188.《ネタバレ》 この映画を現代風の「不倫」と言う切り口で評することは、当時の西欧の貴族・上流社会のルールとは違っているのではと思います。離婚を認めぬ宗教の下で、婚姻と言う形式は資産や子供とかをリンクさせた現代とは別物と考えてもよいのでは。最初の出会いである砂漠のキャンプでのヒロインが朗読するヘロドトスの「歴史」の一節が王妃の裸体を見たものは妻とする(王殺しを行う)か死罪とされるかの選択を迫るものであったことがこの先の全てを暗示しています。結局彼女はその報いを受けたことにはなりますが、それでもつかの間でも再会を果たしたのですからこれで物語は完成しており、ハナはその証人となることで過去から決別した人生を歩むことが暗示されて終わっています。 【たいほう】さん 7点(2004-04-21 12:19:55)(良:2票) 187.《ネタバレ》 長い時を刻んでゆく大自然の中の、ほんのひと時の瞬きのような物語。愛が生んだ悲劇もやがてはかすかな記憶の中へ流れてゆき、新しい人が新しい愛の物語を紡いでゆく。私は、この映画、長いとかなんとか、そういう感覚すらなくなってました。ずっと映画の中に入り込んで、映画の中に流れる時だけを感じていたみたいに。芸術品のような映画です。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 9点(2003-11-26 20:15:51)(良:2票) 186.映画館から出てきて友達と「不倫はいけません」と声を合わせた。もし女が独身ならストーリーが成り立たない。不倫だからこそ燃え上がるんでしょ。夫の苦悩ももっと表現したらよかったのにね。不倫するなら何があってもうだうだ言わずに忍ぶ恋に徹底すれ!出来なきゃ、いさぎよく離婚覚悟で配偶者へカミングアウトだ。いいとこ取りで楽しむな、と思いますです。陳腐なストーリーですな。うちの近所の夫婦喧嘩の方がよっぽどハラハラ・ドキドキしますよ。何度も警察を呼ぼうかと思いますから。 【イニゴ・モントーヤ】さん 3点(2003-08-16 16:21:08)(笑:2票) 185.《ネタバレ》 この映画がアカデミー賞に値するかという意見については「当然」と主張したい。 なぜならほら、よく思い出してほしい。 戦争という背景、そして夫のいるヒロイン・・・夫とは燃えるような愛情ではなく情の延長線上にあるような関係、ヒロインに恋するアウトサイダーな香りのする男・・・ そう、あのハリウッドの不倫映画の名作「カサブランカ」臭がするのだから。 カサブランカの舞台は北アフリカのモロッコ。 そしてそのモロッコは、マレーネ・ディートリッヒ主演の不倫要素も含んでいたハリウッドのレジェンド的作品「モロッコ」の舞台でもある。 今やアカデミー会員の中身も、多様性を主張する声に押されて女性や有色人種の割合も増え、新しい価値観の風が吹き荒れている。 しかしちょっと前までは、大多数派である高齢の白人の男たちが牛耳る、高齢の白人の男たちのお祭りであった。 となれば、今から20年以上も前のこの「イングリッシュペイシェント」という往年の名作の香りを漂わせる不倫映画が、不倫のひとつやふたつはしてそうな昔のアカデミー会員のオジサマ&オジイサマ達に 「なんて懐かしい世界観!ワンダホー!」 …と思わせ、彼らの心にロックオンしても何の不思議もない。 アカデミーでこのような古典的な香りのする不倫映画がオスカーを受賞できたのは、まさに当時の”時代がそうさせた”ともいえよう。 そして「不倫なんてけがらわしい!作品にするなんてありえない!」と頭ごなしに否定しそうな、厄介すぎるフェミニストの人数が増えた現代のアカデミーにおいては、もう二度とオスカーを受賞することはないであろう(ゆえに、作ろうとする監督やプロデューサーもいないであろう)、貴重な類(不倫)の作品でもある。 劇中でアルマシー伯爵は、ひとりの女性を愛したことで、結果的には仲間をピストル自殺においこみ、あるいは飛行機での無理心中においこみ、さらに無関係だった人間でさえ敵軍にとらえられ指をはねられる運命へと引きずり込んでしまう。 「彼女以外の事はどうでもよかった」と、関係者だろうと無関係者だろうと彼らが死のうが体の一部を失おうが、彼女のもとに行くための飛行機とガソリンを手に入れるためだけに敵国に味方の地図を渡すアルマシー伯爵。 そこまでしても彼女を死なせてしまい、一番の目的であった彼女を手に入れることはできなかったアルマシー伯爵。 彼女に指輪を贈りたくても、彼女の左薬指にはすでに別の男の指輪。 でもシンブルなら贈っても夫の目に不自然ではない。 バザールでボッたくられながら買って彼女にプレゼントした、それはとても何気ないものだったけれど、彼女にとっては指輪以上の意味を持っていたのだろう。 アルマシー伯爵が瀕死の彼女の胸にペンダントにして身に付けられたシンブルを見つけて、初めて堰をきったように泣き崩れた場面では胸がどうしてもしめつけられた。 洞窟で死んでしまった彼女の、彼が好きだったという首の付け根(アルマシー海峡)に、そのシンブルの中にあるサフランの粉をこぼし、それで彼女の顔に化粧をほどこして、彼女を白い布で覆いお姫様だっこで洞窟から現れた彼は、まるで教会の中から花嫁を抱いて出てきた花婿のように錯覚した。 しかし彼女は死んでいて、彼女を飛行機に乗せて死に場所を求めてふたり旅立つ光景は、未来のない新婚旅行に見えてやるせなくなった。 どんなに愛しても、結婚して祝福されることのない関係・・・。 不倫は、愛情の深度と現実に起きる出来事とのギャップが 通常恋愛よりも大きいからこそ、見るものに、人間のやるせなさや、もどかしさ、やりきれなさ、どうにもならい閉塞感と悲壮な感情をこれでもかというほどに、かきたてる。 そういう意味で、けして映画のテーマとして否定してはならない、外せないカテゴリーであることは間違いないと思う。 (エロシーンばかり売りにした安っぽい不倫映画はダメだけど) アルマシー伯爵の不倫からの安楽死という悲しい結末(闇)の後に、”私と関わった人は必ず死ぬ”というジンクスを破ったインド人彼氏との未来に希望を抱くジュリエット・ビノシュや、 積年の恨みを手離し恋人との未来に心弾ませるウィレム・デフォーというサイドエピソード(光)を描くことで、 「闇のあとには光が現れる」「闇夜の後には必ず夜明けが訪れる」 というイメージが、往年の名作のオマージュに感じられるこの北アフリカの自然と溶け合い、これだけアルマシー伯爵を起点に大勢のひとたちが悲しい運命をたどったというのに、最後はなぜかすがすがしい気持ちにさせる・・・ 不倫のように複雑な味わいのある映画であった。 【フィンセント】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-02-07 11:10:33)(良:1票) 184.《ネタバレ》 一言でいえばただの不倫映画。オプションとしてアカデミー作品賞がつく。 人間の愛や愚かさを北アフリカをバックに壮大に描いただけ。罪の代償だけに幸せになるはずがない。 2人のラブロマンスにスポットがあたっているが心中を図った旦那さんの気持ちを考えてごらんなさい。これを果たして美しい映画として呼べるか疑問。人間の不徳です。 【mighty guard】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-11-07 00:27:09)(笑:1票) 183.《ネタバレ》 ○回想シーンを入れた戦争メロドラマ。雰囲気など割と好きだが、どうも長い。2時間くらいでまとめてほしかった。IMBDを見ると最初は4時間以上あったとか。 【TOSHI】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-01-04 16:11:22)(良:1票) 182.《ネタバレ》 面白くないわけではないが、アカデミー賞作品賞に値するかはちょっと疑問。 規模の大きさと映像美は感じるが、まるでハーレクインロマンスのようなストーリー。 大火傷を負ったイギリス人患者が、失われた記憶を辿っていく過程で、不明だった人間関係やスパイ活動などの真相が明らかになっていく。 そこにサスペンス性はあるのだが、テンポが悪くて緊張感がなかなか高まらず、冗長で散漫な印象を受けてしまう。 妻の不倫に勘付いたジェフリーが、飛行機でアルマシーに心中覚悟で突っ込んだあたりからやっと面白くなった。 アルマシーがドイツに地図を売ったのはやむをえないことで、砂漠の洞窟でひとり死んでいったキャサリンとの悲恋が切ない。 だからこそ親指を失ったカラヴァッジョもアルマシーへの復讐する気が失せたのだろう。 ただ、その命がけの愛が不倫で、どうしてそこまで深く愛し合ったのかの描写が不足しているので、その分共感しにくいのが難点。 また、全体にテンポアップしてハナの恋愛エピソードもカットすれば、160分の長尺をもっと短くできたはず。 ハナがアルマシーの意図を汲んでモルヒネの量を増やし安楽死させてあげたのは、結末としては良かったと思う。 【飛鳥】さん [ビデオ(吹替)] 5点(2013-06-09 01:59:10)(良:1票) 181.何度も観たい映画のひとつです。冒頭の波のように幾重もつながる砂の海。ゆっくりとゆっくりと傷付いた翼は音のない静かな砂漠へと堕ちていく。このシーンだけでも良いくらいです。それくらい美しい。戦争の中でたくさんの命が失われ、死者は数字で表わされる時代。ひとりの男の人生は、あまりにも哀しい。国の為に戦うものと国を売ったもの、彼は後者である。どちらも愛する人の為に必死で生きようとしたに違いない。賞をとるとらないに関わらず、良い映画だと思う。3回程観たが、また何年かしたら観ようと思う。万人に受け入れられる映画ではないかも知れないが、たくさんの人に観て欲しい。涙が止まらなかった。 【wish】さん [DVD(字幕)] 10点(2006-03-12 17:37:46)(良:1票) 180.初めて見たときは全く好きになれない映画でした。あのねちっこい不倫のシーンとかって日本人にはいまひとつ受け入れにくいのではないでしょうか。2回目はテレビ放映で見て、不倫以外の部分も見えてきた。3回目は友人がDVDを貸してくれてたので見たのですが、見るほどにいい映画だと思えました。主人公は自分の愛するアフリカの国が英国の殖民地になっていくのが許せなかったのでしょう。彼自身が言っているし、爆弾処理係のインド人も語っています。登場人物が全て傷ついて絶望的になっていましたが、生き残った人々が希望をもってこれから生きていくだろうと暗示するエンディングがとても良かったです。心が晴れやかになりました。映画って1回見ただけで判断してはいけないなと思いました。 【Jade】さん 8点(2005-01-19 01:03:20)(良:1票) 179.アルマシーとキャサリンの愛は、悲劇的なストーリー展開によって永遠の愛にされたけど、二人が生き延びていたら、すぐに別れたんじゃないかな~って思った。一時の激情が戦争によってその激しさを増しただけ。不倫であることも、戦時中であることも、二人にとっては、欲望を激情に変える材料であっただけ。アルマシーが「国境線なんてなければ…」と語ったが、平和を求める気持ちから発せられたわけじゃない。アルマシーは公爵の身分。キャサリンは役人の妻。国境線のおかげで今までいい思いをしてきたんじゃないのかよ!!と突っ込み入れたくなりました。カラバッジオがアルマシーに対する復讐をやめたのは、共感や同情ではなく、憐憫だと思いたい。アルマシーを母のように介護するハナは、アルマシーの話に心癒されていく様子だったが、キップとの恋愛・キップへの愛情は、アルマシーのおかげではないだろう。ハナには天賦の気質があったと思う。国境線や人種に関係なく人を愛する力が。ラストに向けて、登場人物が結びついていく姿に共感を覚えた人もいるだろうが、私としては、アルマシーとキャサリンの出来事は、国境線を越えて生き抜いていく人たちが、世俗を忘れさせてくれる小説を読むようなものだったとしか思えない。ハナやキップやカラバッジオが、語り継いでいく悲恋物語だ。そう解釈した上で、そこそこの点数を献上する。 【日雀】さん 6点(2004-06-02 10:30:37)(良:1票) 178.この映画に対する皆さんの評価が、てんでバラバラというのがおもしろいですね。点数が4点から10点まで、ほぼ万遍なく散らばっています。単なるメロドラマとけなす人もいれば、格調高い芸術作品と褒める人もいる。私は、と言えば、この作品大好きです。確かに時間が長いんですが、観終った後、フルコースの高級料理を食べた後みたいに、満足感を味わいます。だって、それだけの時間があるからこそ、「現在」と、「過去」のふたつの物語をじっくり堪能できるんですよ。そして、最後にそのふたつの話が、ひとつに収斂していくあたりの高揚感が、本当に素晴らしいと思います。何度も観ていますから、冒頭、複葉機が砂漠の上を飛ぶ場面から、もう目がウルウルしてしまいます。もちろん、例の洞窟から出てくる場面では、怒濤の涙!あ、私これでも中年の男性です。 【とらおとめ】さん 10点(2004-02-14 18:50:17)(良:1票) 177.《ネタバレ》 ビノシュ側の話・・・つまり現在進行形の方のストーリーは面白い。愛した人が次々死んでしまう悲しみ、それでも希望をもって強く生きている彼女は魅力的。特に壁画を見せてもらうシーン。愛を語るでもなく、その聖なる壁画の美しさを介して二人は肌を重ねる。いや~美しい!ええシーンや!それなのに嗚呼・・・肝心のイングリッシュペイシェント側の話・・・映画の半分以上を占める回想が、とにかくもう面白くない!何がいけないって不倫カップルの間に『愛』を感じられないのが致命的。何故お互いが惹かれたのかも描写不足だしお互いでなければならない理由も見当たらない。愛欲ではなく肉欲に溺れているとしか見えない。挙句の果てには勝手に旦那が飛行機ぶっ壊して死んでくれちゃって都合よく彼女は洞窟に置いていかれ都合よく彼は捕らえられちゃって都合よく悲恋物語オチになる始末。それまでに大してドイツやらイギリスやら戦争やらを語ってなかったにも関わらず急に『"イギリス人の患者"と呼ばれた皮肉』だなんて言われても「はぁ?」である。全体で観ると3点にしたいところだが、ビノシュ側のシーンに免じて4点。あんな陳腐な過去話しかないなら回想モノにせずに、ビノシュ&過去を秘めた死にゆく患者の恋愛話にした方がまだマシだったんじゃないだろうか。 【ロビン】さん 4点(2003-12-20 22:32:28)(良:1票) 176.《ネタバレ》 これだけ長々と果てしないストーリーを展開されて、最後の最後に単なる昼メロ不倫映画だったと気づかされることの驚き。顔もわからないほどに負傷した男性が従軍看護婦に語る身の上話の中に、戦争の愚かしさや虚しさを痛烈に告発する力強いメッセージを期待してしまった身としては、強烈な脱力感は残るものの驚きも感動も未来への希望も失わせるには充分な映画。こういう男をカラダを張って助けてしまったのがジュリエット・ビノシュだから別にいいけど、昼メロなら昼メロと最初に言ってよね、という感じ。唯一、ウィレム・デフォーだけが痛い個性を充分に発揮してくれたので3点。彼が出ていなかったら0点でもお釣りの来る映画。テーマは無限の退屈。 【anemone】さん 3点(2003-11-29 12:33:50)(良:1票) 175.《ネタバレ》 最初に見たときはただダラダラ長いだけと思っていたのですが、数回見てやっと分かりました。何というか、ひたすらことことトロ火で煮込んでいたら、いつの間にか取り返しのつかない芯の部分の熱量になってしまった、みたいなじわっとしたゆったりした雄大なロマンスの描き方が、そこに身を委ねてみると実に心地よいのです。ラストシーンが冒頭にそのままつながっていく構成も、見るたびに味わいを増してきます。●しかしこの作品をそれだけにとどめなかったのは、ジュリエット・ビノシュの絶大な貢献でありましょう。主演の二人に加えてコリン・ファースをはじめとする助演陣がおり、美術や音響や大自然映像やエキストラの助けが存分にあった過去パートに比べ、現代パートは、廃墟となった修道院内がほとんどで、デフォーなどの助演ヘルプはあるものの、ほとんどはビノシュとファインズの2人芝居です。しかもファインズは寝たきりで表情もなしという演技上のハンデありです。その中で、派手な動きも大げさな台詞もなく、それでいてハナという人格をそこにいるだけで表現しています。このハナなら、いきなり患者を廃墟に連れ込んで同居するという突飛なはずの行動も自然に理解できますし、最後のファインズとのあのシーンも必然のものとして受け止められます。そして実は、過去パートの全体すらこのハナに支えられているという気さえしてくるのです。 【Olias】さん [映画館(字幕)] 9点(2003-06-18 01:22:36)(良:1票) 174.愛する人を救う為に地図を渡した男とその代償にしては非情だった女の死、不浄とは言え愛してしまった女性を救えなかった時の悲しさは計り知れない。 【だだくま】さん 10点(2002-07-13 08:01:35)(良:1票) 173.不倫は蜜の味だが、行きつく先は地獄。 【TERU】さん [DVD(字幕)] 9点(2024-06-29 19:57:13) 172.《ネタバレ》 “The English Patient”『イギリス人の患者』。 上空から見た砂漠のうねりが何とも美しい。女性の体の曲線美にように艶めかしい凹凸。そして泳ぐ人の壁画の模写。単純な線なんだけど腿や腰の肉付きの表現は、原始的ながら女性独特の体型を想像させる。そしてキャサリンの体の線の細さ。抱きしめたら折れそうな細さ。 彼らの仕事である『砂漠の地図』も、彼らが洞窟で発見した『泳ぐ人の壁画』も、特定の誰かのためではなく、自分たちのことを後の誰かに伝え残したい気持ちが強かったんじゃないだろうか。 アルマシーが記憶を失った(事にした)のは、ドイツに協力したことを隠して図太く生き延びるためではなく、キャサリンとのことを残したかっただけなんだろうなぁ。カラヴァッジョに当時の自分の気持ちを伝え、ハナにキャサリンの最後の手紙を読んでもらい、自分がここにいる理由を再確認することで、思い残すこと無く死ぬことが出来たんだろう。 不倫に嫌悪感を抱くのも理解できるけど、心から1人の女性を愛したことのない不器用なアルマシーと、深く考えず幼馴染と結婚してしまっていたキャサリンの愛と考えると、それこそ人種に対する偏見や、国が違うことで起きる戦争と同じ悲劇とも思えた。国境があるために起こる悲劇が戦争なら、婚姻があるために起こる悲劇が遅すぎた愛なのかしら。 別れ際、当然というか大人らしい選択をしたキャサリン。まさかの無理心中の際に、ネックレスにした指ぬきを付けていたのが、それが鎖骨のくぼみに収まっていたのを観て涙が出てしまった。 愛より夫を選んだけど、ここ(天突って言うそうだけど、これ東洋のツボの名前だよなぁ…医学的には頚窩(ケイカ=jugular fossa)って言うそうだよ?)は、二度と会うことは無いあなたのもの。って、キャサリンのような大人の女性がこんな可愛らしいことしてたら、この世ではない場所までキャサリンに会いに行った、アルマシーの気持ちが解ったような気がしたわ。 【K&K】さん [DVD(字幕)] 8点(2023-09-24 23:20:35) 171.善良に生きたカップルには未来があり、不倫カップルは自業自得で地獄に落ちるという因果応報的な対比にはなっているが、その陰でマジメに生きている何の罪もない人々が不倫カップルによる影響を受けて不幸になっていったという点が蔑ろに描かれいるように思える。 【東京50km圏道路地図】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2023-04-06 12:53:52)
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