みんなのシネマレビュー |
|
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
8.《ネタバレ》 土着の風俗・因習の色濃く残る孤絶した島での近親相姦を主題に現代の神話を描こうとした野心作。近親相姦の禁忌が作られる以前の人間の営み、生命の根源に迫る。太山盛、根吉父子は驕傲勃勃として神の怒りを買うような狂気を孕んでいる。山盛は自分の娘と肉体関係を持ち、根吉は妹のウマと恋に落ちる。ある日島に暴風雨と津波が襲来し、巨岩が神田に乗り上げるという椿事が出来した。村人はこの凶事の原因が太一家の近親相姦にあるとし、一家を村八分にし、根吉に巨岩排除を命じ、ウマは村長の妾とされた。それから20年、根吉は足を鎖に繋がれたまま巨岩を埋めるための穴掘り作業を続けている。巨岩は男根の、穴は女陰の象徴だ。両者が合体したとき祈願は成就した。すなわち村長が腹上死し、自由となったウマと根吉は舟で理想郷である西ノ島に向かう。しかし村人に追捕され、撲殺された根吉は鮫の餌となり、ウマは舟の帆柱に括られ流されてしまう。島に漲る野生の生気が文明を受け付けない。都会から来た技師の一人は仕事を辞めて村の寡婦と結婚し、一人は根吉の白痴の娘トリ子の肉体の虜となった。しかし時代の流れには逆らえず、やがて島には飛行機が飛び、機関車も通るようになった。神話が終焉したのだ。目覚しい着想と行動力、困難な作品に挑むその意気込みや良し、演技、美術、撮影技術も高評価だ。しかし看過できない短所がある。それは男と女の情愛だ。二十年もの粒粒辛苦の果てに結ばれる男と女の情愛の深みが充分に描かれていない。ここでの情愛とは正邪、道徳を超越した性的欲望のこと。状況説明の科白ではなく、より感情的に訴える場面が欲しかった。二人の死は禁忌を犯した罰ではない。村長の老妻がウマに嫉妬し、油小屋に火をつけ、村長が根吉に殺されたと虚偽の申告をしたからだ。この執念深い嫉妬も描かれていない。鮫は神の罰だが、嫉妬も神の罰で、共に重要な役割なのに、老妻自体が描かれていない。だから観客は置いてきぼりを食うことになる。神話はもう一つある。トリ子が都会に帰った技師を磯で待ち続けて死んで岩となったというもの。これはとってつけたようなもので精彩を欠く。神話に昇華させるにはトリ子の死を荘厳に描く必要がある。兄亀太郎が肉感的な妹トリ子に近親相姦的感情を持って懊悩するという設定は意味があった。亀太郎は神話を見守る役目で演技が光っていた。名作には到らないが渾身の力作である。 【よしのぶ】さん [インターネット(字幕)] 8点(2014-07-03 15:13:59) 7.邦画評論家ドナルド・リチーの追悼映画祭での一本として鑑賞。 今村昌平初のカラー作品であり前半期の集大成とも称される本作は、返還直前の沖縄付近の様子を強烈に切り取ってくれている。戦後の経済成長に揺れる南海の「くらげ島」で繰り広げられるその人間臭い愛憎劇はかつて日本のどこにでもあったはずの土着宗教や若衆制度がどういうものだったのかというものをまざまざと魅せつけてくれる。このお話をどこかの南海の昔語りとして受け取るのではなく、こうしたこうしたものが今でも我々の意識下の根底に流れているのだということにぼんやりとでも気づきながら鑑賞することによってその価値は倍増する。 今村プロ設立時の社員でもあった武重邦夫氏による撮影当時の手記が作品研究資料としてネット上に存在。その内容の量と濃さ故に鑑賞後の閲覧を是非お薦めする。 【kei】さん [映画館(邦画)] 7点(2014-03-31 07:10:21) 6.与那国島が舞台というのが、実際にその場所に行ったことのある私にはすぐ分かった。 「クブラバリ」という、その昔、人減らしの為に妊婦を飛ばせたとして知られる気味の悪い場所が実際にある。 私はその現場を観たことがあるので、鑑賞中は怖くて仕方なかった。 本作で登場する“西の神島”とは、台湾のことであろう。 実際、与那国島(クジラ島)から肉眼で観ることができる。 本作はとても長く、決して面白い作品ではない。 ただ、南方の島国の閉鎖的なムードは良く表現できているように思う。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2008-03-20 16:39:03) 5.《ネタバレ》 土着信仰がわかりづらく、かといって神秘的な魅力も感じませんでした。沖山秀子が、それこそ文字通りの体当たり演技をしていますが、今村監督の描く他の女性に比べて今ひとつ魅力薄でした。しかめっ面ばかりの北村和夫が、後半になってなんともいい味を出しているなあと感じました。 【omut】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-06-18 15:21:49) 4.《ネタバレ》 古代中国南方の原住民族の生活用品を博物館で見たが、大地の恵みはその土地の神様間の性交渉で生まれるという観念があるらしく神事に取り扱う用具はまさに男のそれでした。で映画に話を戻すとこれは今村昌平なりの「神話の創造」。恵みをもたらすべく岩を取り除く作業を行う島の男、近親相姦的愛に溺れる男の妹(アダムとイブですな)。島にリゾート開発に来た会社員は圧倒的な土地の力につぶされ、島の女と営みに溺れる。壮大なスケールで見ごたえはありますが南島の熱気がムンムンの三時間、我慢大会みたいなものですね。(ちなみにこの映画の裏話でぜひお勧めしたいのは名優アラカン<嵐寛寿郎>の伝記でもあるルポライター竹中労氏の名書「鞍馬天狗のオジサンは」。あまりの可笑しさにジュースふいちゃった。山中貞雄の一面も見れて面白いです) 【Nbu2】さん [映画館(邦画)] 7点(2006-06-11 21:03:49) 3.人間と自然がぶつかったような映画だった。 (ビデオ) 【zero828】さん 8点(2004-02-25 20:34:06) 2.夏の暑さを表現させたら、三国連太郎はうまいですね。ただ、今村昌平映画独特のふくやかで淫らな女性は嫌いです。また、南国の民族信仰というものはなかなか理解できない部分があります。東北民話なら理解しやすいのですが。 【上海魔人】さん 5点(2003-06-17 03:28:32) 1.全然わかりませんでした(笑)。でもすごいパワフルだよね。人間より動物の方が偉いですか、、、、。あの岩と穴はなんでも男のあれと女のそれらしいです。 【あろえりーな】さん 7点(2002-05-14 00:20:31)
【点数情報】
【その他点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS