みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
56.《ネタバレ》 古き良き日本映画。 半世紀も昔に、これほどまでに熱く、強い想いの伝わる、情熱的な日本映画が存在した事を、僕は始めて知った。前半、このストーリーが一体どういう方向に進んで行くのか見当がつかず、ただただ逃げるシーンばかりで胸がつまる想いだった。しかし、後半の入り、湖の上で船に揺られる二人の、真っ直ぐで強く、熱い想いを目にした後はもう、終わりへとあっという間に時間が過ぎて行き、僕自身高鳴る想いを感じた。引き裂かれる二人、離れる事が出来なくなった二人の強過ぎる想い、死に向かう事を幸せに想う二人。愛し合う事を許されない二人が結ばれる所は死後の世界だけなのだろうか?しかし、僕はそうは思えなかった。二人は短い時間しか愛し合う事が出来なかったけれど、二人の愛し合った時間は、千年に匹敵するほどの愛のように僕には見えた。そして、僕に愛し合う事の重み、愛と言う、目には見えないものの大切さを、映像美、音楽、役者達の演技など、数々の素晴らしい演出を融合させた“映画”と言う形で教えて下さった、溝口健二監督に感謝の意を込めて10点を付けさせていただきます。どうもありがとうございました。 【ボビー】さん [映画館(字幕)] 10点(2004-08-05 19:13:12)(良:4票) 55.《ネタバレ》 おさんという一人の女のことを思う。人生の九割方を不憫に生きた人だなと思った。嫁ぎ先のみならず、実家の兄や母親ですら彼女の苦労を慮ってやらない連中ばかりだ。当時の風潮だからか「女は耐えるもの」と刷り込まれていたかのような おさん。けれど、自分を真に想ってくれた男の出現で、これまで眠っていた激情が人生の最後で噴出したかのよう。 疲弊するばかりの逃避行に一旦決着がついても、夫が(世間体の手前)許すと言っても、以前までの平穏だが理不尽な我慢人生を拒否して公開処刑へと突き進む彼女。その横顔たるや、うっすらと微笑みすら浮かべて凄絶ですらある。だんだんと瞳に狂気が宿ってゆく香川京子の演技は怖いほど。自らの人生に復讐をしているようにも思えた。 【tottoko】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-08-03 00:25:21)(良:2票) 54.香川京子の魅力が満載。 特に香川京子の“かかと”に惚れた!(危) 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2007-09-13 10:53:11)(良:2票) 53.《ネタバレ》 あまりスター俳優を自分の映画に起用したがらなかった溝口が唯一、長谷川一夫を主演に迎えた作品。見る前はどういう仕上がりの映画なのか不安な面もあったが、見事に芸術的な映画になっていた。個人的にあまり好きではない長谷川一夫もこの映画では流し目やドアップもなく、あくまで一役者として芝居をしていてとても良い。それに映画全体が非常に美しく、処刑場に向かうラストの長谷川一夫と香川京子の晴れやかな笑顔も感動的だった。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2006-01-02 13:22:46)(良:2票) 52.「雨月物語」に続くこれが溝口作品、2本目の体験です。ようやくこの美しい映画を観ることが出来ました。もっと早くに借りてきて観るべきでした。何という美しい映画だ!もう、その美しさときたらまるで水墨画でも観ているかのようなため息の出る程の美しさです。一つ一つのシーンのモノクロならではの美しさ、(この映像の美しさの前にはどんなお金をかけて、物凄いCGを駆使しようが絶対に勝てません。)そんな見事なまでの映像美とそして何とも哀愁漂う雰囲気の物語、全てが本当に美しく、これぞ正しく日本映画の良かった頃の芸術品、まるで美術品を観に美術館へでも出かけているような感覚になりました。これ程美しい映画を観たことはないです。そんな溝口監督と日本映画が誇る最高の名カメラマン、宮川一夫撮影監督の二人の強力タッグによって撮られたそんな素晴らしい映画です。何だかまた他の溝口監督の作品も観たくなりました。今度は何を借りてこようかなあ? 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2005-08-07 18:10:26)(良:2票) 51.なんという不条理。、、、、長谷川一夫は実存の顕現であり、これはカミュよりもカミュ的である。、、、、、などという意味不明な冗談はさておいて、、、、、日本の文化に少しでも関心があるという場合は、、、商家の家の造り、日々の暮らし、親類関係の意味、身分構造など、必見!!、、、そして昔の日本の人たちが、どのような意味世界に生きていたのかということが、深い同感的想像力と、美事な様式美で描かれていると思いました。 【王の七つの森】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-06-06 10:51:24)(良:2票) 50.ちょっとしたボタンの掛け違い、解けるはずの糸は解けるどころか絡まるばかり、いつの間にやら火が付いてしまった恋の炎は消えるどごろは燃え盛る。これは根本的な近松の面白さなのかな。不義密通、禁断の恋は甘美な味がするのでしょうが、当時の連座制や縁座制によって一族郎党みな裁かれることに問題があるんだろうなあ。 【亜流派 十五郎】さん 8点(2004-03-17 16:18:31)(良:2票) 49.個人的には長谷川一夫はあまり好きではないのですが、ここでの彼は別格です。もっとも、おさんを演じた香川京子はそれ以上。ラストの馬上での、あの堂々とした表情。あれはまさに「女の強さ」に他なりません。あまりにもいい顔をしているので感動しました。スタッフワークも素晴らしく、特に宮川一夫のキャメラは絶品。残念ながら、劇場でこの映画を観たのは一度きりですが、モノトーンのグレーの階調の細やかさには驚きました。「水墨画」の様にと言いますが、この映画の映像はまさにそれです。画調に関して言えば、大映時代の溝口作品は日本映画史におけるモノクロ映像の到達点なのかも知れません。 構図も「おさんと茂兵衛が結ばれるまでは、二人の間に障子や柱、襖などの縦の線を入れた」と宮川が語っている通り、脚本の流れに沿っていて実に的確です。意図は完全に達成されていると感じます。そもそもワンシーンワンカットというスタイルも、芝居の途切れを嫌ったことから多用したものであって、溝口監督のキャメラワークは常に芝居本意。キャメラが勝手に動くことなく、あくまでも芝居に合わせて動かす。キャメラワークにしても、構図にしても脚本に沿っているからこそ、印象に残ります。画と脚本が合ってないと、迫力がなくなったり、情緒が消え失せたりと、メチャクチャになってしまうのが映画ですから、その意味では、単に奇麗で美しい画作りではなく、キャメラワークや構図によって物語を巧みに語る溝口監督の映像はやっぱり超一流です。撮影設計のほとんど全てをまかされていたと言われる宮川の功績も多大。「画が整い過ぎている」と評されることもある本作ですが、それもどこかこの物語の抑制の効いた脚本自体に起因しているのではないでしょうか。ただ、ラストはおさんのクローズアップで終わらせて欲しかった、という思いもあります。往復移動を用いてキャメラが引いてしまいますが、『祇園の姉妹』のように極めて主観的な「大写」で終わらせても溝口監督らしくて、より感動できたような気がします。なにしろこれは「女の強さ」を描いた女の映画であって、主役はおさんなのですから。 【スロウボート】さん 8点(2004-03-07 20:51:45)(良:2票) 48.《ネタバレ》 話は面白く映像は美しく役者は魅力的です。 主役の2人が登場人物達の波のように幾重にも重なった利己的な思惑に翻弄されながら話は進んでいきますが、お互いの愛を確認した所から利他的な行動を取っていた2人も徐々に自分達の幸せの為に周りが見えなくなりお互いを求め合うようになる話は、作中の時代と制作された時代の両方を考慮しているようで村社会から個人主義への変貌を表しているようにも見れます。 話自体も非常に良く出来ていますしストーリーの展開も俊逸です。 近松門左衛門の原作では2人はかなり強引な展開により助かってしまいますが脚色されている本作の流れから言えば、あのラストがベストだと思います。 茂兵衛とおさんが川を渡るシーンではフレームの右手前に朽木を配してそれを舐めるように2人が右奥から左手前に抜けていきます。 構図の良さは勿論ですが川を渡る2人とシルエットになっている山とそれより幾分明るい空の実像と、カメラアングルをローポジションにしている為にそれらをはっきりと映している水面とで上下でほぼシンメトリーとなっている画にわざとバランスを崩すように上記した朽木が配置されているカットは美し過ぎます。 2人が川を渡るだけでこんなにも美しい映像を堪能させて貰えるとは贅沢過ぎる作品です。 また、以三と助右衛門が障子と柱の後ろや前を見え隠れしながら行ったり来たりして密談している姿は、以三の腹黒さをまだ掴みきれていない助右衛門の不安な心境を表す十分な効果となっています。 そしてこの映像や構図の美しさを支えているのが的確なバランスで作られているライティングです。 ほぼ全てのシーンで違和感なく仕上げられている映像はこの照明に起因している所も大きいと思います。 南田さんの快活さと香川さんの品から色に変わっていく女性の演技はとても魅力的でした。 特に香川さんに関しては全編通して美しいの一言です。 長谷川さんの事はなんとなくは知っていましたが作品を見るのは初めてだと思います。 主役を貼れる人だとは物凄く良く分かりましたが職人さんには見えませんでした。 存在感が有り過ぎるのと演技としての所作が堂に入り過ぎている感じがしましたが、演出を少しだけ歌舞伎風にしているのでギリギリ作品には馴染めていたと思います。 ラストの馬上の2人の表情は見ている女中に台詞として説明させるのではなく、彼等の尺をもう少し長目にして表情を丁寧に撮る事によって2人の演技で語って欲しかったです。 【しってるねこのち】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2015-06-30 23:13:41)(良:1票) 47.《ネタバレ》 えっと、そんなに面白いと思わなかったのですが・・・周りの人は何かごちゃごちゃしていて、立ち位置がはっきりしない。肝心の二人も、禁忌をひっくり返そうというほどの情念や葛藤や緊迫感が感じられない(シナリオに即して動いているだけ)。最後の晒し連行シーンがなければ、まったく引き締まらないことになるところでした。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-05-29 23:47:26)(良:1票) 46.○死がエロティシズムを昇華させる。 ○刑死とは言え、これはあきらかに心中。まさしくチカマツ。 【火蛾】さん [DVD(邦画)] 10点(2015-04-26 09:49:18)(良:1票) 45.《ネタバレ》 太鼓の連打で始まる冒頭、店先の混沌から始まる物語。それぞれの仕事に打ち込む男女、劇中人物にとって変わらない日常の風景。それが金をめぐり周辺人物を巻き込みんで人々の運命を狂わせていく。 京都御所の絵巻を任されるほどの大経師である以春。御所との違法な取引、若妻をはべらせ女中にまで手を出す。女の胸元ではなく袖の方から手を入れるエロ親父。 その以春に半ば強引な形で妻にされた女性おさん。 以春に次ぐ発言権を持つ彼女だが好きでもない男に芽生える筈も無い愛情、自分を嫁に出した家族への複雑な気持ちで満たされぬ日々。 うら若き彼女は以春の下で働く絵師である茂兵衛の若さに惹かれる。その茂兵衛は既にお玉という女性と婚約を誓う仲。 お玉と親しい間柄でもある彼女は二人を見守ろうと思いつつもどかしさに悶える。 中盤の逃走劇、逃げ出した後を物語る扉、闇夜の水面に浮かぶ船の中で激しく抱き合う二人。一度は覚悟した“死”を引き止める“言葉”。 「愛しています」・・・普通ならどうとない言葉、だが自分を立場でなく一人の人間として尽くす心を理解した女にとって何物にも代え難い生きた言葉となる。死ぬのは嫌だ生きていたいと揺れる船の上で激しく抱き合う二人。 「今更何をおっしゃいます」っておまえが「好き」だなんて言うからだろうがまったく。二人は絆を深めるように幾度となく抱き合う。髪を乱し、愛故に逃げる男を愛故に声をあげ追いかける女。心臓の鼓動の如く轟く太鼓。 だが愛していた筈の男からその言葉を聞けなかった女はただただ辛い。残され生きながらえるよりいっそ一緒に心中しようと言われた方がどんなに気が楽だったろう。 逃げた男の父親・女の母親も相当辛い。そんな二人を怒りながらも助けてしまう親心。だが逃げる男女二人も本気だ。 「もう“奉公人”やない!あたしの“旦那”さんや」 終盤の怒涛の追い込み、愛する女のために戻ってくる男、どうせ捕まるならテメエも道連れだ以春。冒頭の栄え具合と終盤の落ちぶれ振りの対比。 ラストで手を繋ぎ、幸せそうな顔で“あの場所”に向かう二人。どんな形であれ一緒に結ばれた事に満足した顔。本当は悲しいはずなんだが、この場面からは充足感が伝わって来る。上から罪人を見るように映されるロングショットは街の人々の視点、下から哀しき恋人たちを映すロングショットは店の仲間たちの視線。 【すかあふえいす】さん [DVD(邦画)] 10点(2015-01-16 22:06:57)(良:1票) 44.《ネタバレ》 上下の隔てのある不義密通。命で償わねばならぬ時代に自分の心に正直に生きた二人。手を繋いだ二人の面持から本懐を遂げた喜びを汲み取れる一世一代の晴れ姿が、覚悟の死地への行進であるラストシーンのこれ以上ない非情さ。その背中にかける言葉がありません。合掌するのみでした。 【The Grey Heron】さん [DVD(邦画)] 9点(2011-06-22 23:52:34)(良:1票) 43.《ネタバレ》 古典の映画化として全くケチのつけどころのない完璧な世界観と構図。物語は乱暴に言ってしまえば、ただの不倫&逃避行。人の迷惑を顧みず、自分勝手で、人前でもイチャイチャする姿はまったく腹立たしいというか、羨ましいというか…。 恋をしてるやつらってのは全くおめでたいもんだ、と現代の話なら鼻で笑っちゃうようなものですが時代が時代だけに命掛けで大袈裟な話となっているのですね。そんな二人の恋情が屁に思えるほど、親父の海より深い愛情にやられました。 俺なら、お玉ちゃんを選ぶ。 【すべから】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-05-23 17:38:03)(良:1票) 42.《ネタバレ》 邦画史上もっとも美しいラブストーリー わたくしもおさん(香川京子)の御足を洗いとうございます。。 【norainu】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-09-06 02:03:31)(良:1票) 41.《ネタバレ》 邦画にだってこんな情熱的な「愛」を謳いあげた映画があるのですぞ!これはモノクロ・邦画嫌いの人にも観てほしいなぁ。 【Nbu2】さん [映画館(邦画)] 10点(2008-08-24 16:48:09)(良:1票) 40.《ネタバレ》 構図だとかカメラワークだとか、かのコンビなんだから言うまでもないし、モノクロの画面は終始美しいことは美しいのだけど、どのシーンがってんじゃなく全部が当たり前のように美しいのでかえって画としての印象が弱かったりする。むしろこの作品は画よりも女優・香川京子の凄まじさに圧倒される。もちろんその凄まじさは溝口の演出なんだけど。香川はこれまで明るい娘役ばかりだったのが、この作品でいきなり女の色気を爆発させている。抱き合う姿は抱きしめるというよりも、何が何でも離れまいとしていると言ったほうがいいほどにその必死さと苦しさが漲っている。誰かが迷惑してようが構わない。離されることが耐えられない。苦渋の表情と叫びと嗚咽。二度と離されることのないという満足顔のラスト。愛に狂った女の色気。ここまで色っぽい香川京子はそうは見れない。 【R&A】さん [映画館(邦画)] 8点(2008-04-17 16:50:59)(良:1票) 39.《ネタバレ》 ストーリーの暗さと長谷川一夫のねっとりした感じがどうも許せないけれど、映像作品としてはすごい力を持っている。どのシーンでも奥行きを持たせた画が絵画のようで、琵琶湖の心中や竹藪のシーンは、植物のしなやかな美しさが最大限に引き出されていた。鈴を転がすような声の香川京子、おきゃんっぽい南田洋子も適役。どこかあざとい男衆もいい顔してる。でも長谷川一夫だけは浮いて見えた。主役が浮くとは…。物語は、成り行きで行動を共にした二人が恋の魔物に取り憑かれて昇天していく話。こういう話で町人の涙を搾り取るのが江戸時代のストーリーテラーの仕事だから、暗さに文句を言っても仕方ないが、まあなんと周りの人間の勝手なこと。そしてそれを突き抜けて進む二人の恐ろしい姿。だけどやっぱり長谷川一夫がなぁ。 【のはら】さん [映画館(邦画)] 7点(2007-03-26 22:43:23)(良:1票) 38.素晴らしい。おさんが逃げる茂兵衛を追いかけるシーンとか本当に凄い。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-08-31 19:20:43)(良:1票) 37.《ネタバレ》 モノクロ映像の到達点。あまりに全ての画が美しすぎて、あまりに全ての画が完璧な構図すぎて、メリハリに欠けるような気もしないではないが、とにもかくにも素晴らしい。溝口・宮川・永田の3人が揃うと誰も届かない領域まで達してしまう。近松門左衛門原作のストーリーも素晴らしいが、これは当然現代劇に置き換えては味を失う代物。時代考証が色濃く反映されてこそ見応えのある代物。彼らの技術・こだわりなくしては到底実現され得なかった奇跡的な作品。庶民はあたりまえのように奉公をし、その上には役人が控えている時代。家族のため、先祖のため、大恩のため、忠義を何よりの美とする時代。主人の傲慢さを見限った二人が美しく、醜く、繊細な恋に落ちる。香川京子が土まみれで「茂兵衛~!茂兵衛~!!ヴぉへぇ゛ぇ゛~!!!」と泣き叫ぶ。素晴らしい。 【stroheim】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2006-04-15 20:02:15)(良:1票)
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