みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
154.目をつむり、胸に自らの思い出を丁寧に描き出す。それはひどくおぼろげで、淡く、一瞬経つとすぐに消えていってしまう・・・。岩井俊二監督の映像にはそれと似た優しさがあるような気がする。冬の終わりを告げる朝の、黄金色の陽光のように。だから観る者の心の中に素直に染み込んで、その温もりを感じとることができ、いつまでも包まれていたいほど心地がいいのだ、と。 風に散る桃色の桜、はためく2人の黒い髪。緩やかな波打ち際、まぶしい太陽、舞い上がるのは無数のトランプ。家に咲く色とりどりの花々、そして白い光の中、華麗に踊り続けるアリスの姿。それらはみんな、あぁ、涙が出るほど美しい。それが些細な、例えばどこにでもある喫茶店であっても、その風景は驚くほど光に満ちている。そうして気付かされる。そう、この世界はこんなにも美しいのだと。 好きな人が自分じゃない別の人を好きだと知ったときの、雨の中のあの表情。机の列が少し曲がった、2人だけのガラリとした教室。じわじわと心に広がりくる共感。「邦画は苦手」といって聞かない人々に伝えたい。共感、懐かしさ、これらをはっきりと感じる事が出来るのは日本映画だけだ。 幻想世界のように美しい映像は、まさに「不思議の国の花とアリス」。記憶喪失、三角関係、定番を逆手にとった一筋の物語に、奇妙で可笑しな人間たちが瑞々しい葉として連なる。そして鈴木杏と蒼井優の、まるで水面に反射する日差しのようにキラキラ眩しい魅力が、永遠に美しい花として咲き誇るのだ。 間違いなく、これは世界一美しい青春物語。 【紅蓮天国】さん 9点(2004-02-27 22:20:21)(良:5票) (笑:1票) 153.暗くて狭い映画館で観ているのにも関わらず、広い公園の芝生の上で暖かい日差しを浴びながら絵本を読んでいるような、そんな感覚でした。後で気がついたのですが、それは監督が「光」を大事に扱っているからなんでしょうね。光の巨匠と言われた画家クロード・モネの絵を見ているような、こんな不思議な感覚を味わった映画はないです。ストーリーはほんとに本当に日常なんですが、だからこそ愛らしく懐かしく、いつまでも大事にしたくなるようなことばかりに溢れていました。 【ちーた】さん [映画館(字幕)] 9点(2004-04-27 11:31:15)(良:3票) 152.《ネタバレ》 岩井俊二という人間を誤解していた。というか、見るまでは悪い噂しか聞いて来なかった。 もっとこう「瞳をとじて(殴るから)」という思いにかられる「世界の中心で、愛をさけぶ」みたいなクソ甘ったるい映画でも撮るのではないかとレッテル貼りをしていた(撮影が同じ篠田昇なので)。 ところがどうであろう。 ふとした事で見つけ“惚れてしまった”男をたばかり、勝手に妬み合って勝手に許しあうという笑って泣ける素晴らしい映画ではありませんか。篠田昇の仕事振りも良い。 とにかくこの映画、踊って踊って踊る映画だ。 道、夕日を背に歩く女子中学生が二人、白い息が物語る季節、電車。服を引っ張り「危ないから下がって」と無言で友達に伝える。 男たちを見て談笑し、何時の間にか男たちをストーキングする二人。 彼女たちが通う中学の様子とかはまったく映されない。彼女たちにとって、その男たちとの出会いが中学時代一番の青春だったのかも知れない。 物陰から見つめるあこがれ、でっかいカメラで撮っておきたいほど、どんな部活でも入部して一緒になりたいほど惚れてしまった乙女心。 流石に高校ともなると、学校や部活・習い事での思い出も増える。たまった鬱憤はバレエで発散。桜の下で再会するやいなや仲良く躍り始める二人。 それぞれに恋を知り、見た目も中身も成長していく。ガッツポーズで「頑張れ!」と無言で健闘を祈る姿も微笑ましい。 思わぬ“事故”でとっさに宮本に近づくための“嘘”をでっちあげてしまうハナの小悪魔振り。 勝手に思いを寄せ、相手が自分を知らない事に勝手に怒るムチャクチャさ。なんて酷い女なんだ(褒め言葉)。 宮本も本気で心配になる。それは自分のためじゃない。見ず知らずの、赤の他人の筈の女のためだ。彼も何時の間にか、何かに本気で挑む彼女たちに惚れてしまったのだろう。ワケも分からないまま。 「ごめん(何か知らないけど)」 彼がCTに入った瞬間、俺の腹筋は終盤まで散々痛めつけられる事が決定した。テリー伊藤がヤブ医者にしか見えない。絶対狙ってやってるだろ岩井www 夢で彼女をよく見る?それは悪夢の間違いとちゃいますか? 彼女の黒歴史や祭りでばったり会う度に奇声を発して恐怖に怯える宮本先輩。そりゃあ手がヌルヌルの女に捕まれたらビックリしますよ。 い い か ら さ っ さ と 雨 で 洗 え ハナの悪逆非道さはエスカレートし、テメエの黒歴史をアリスになすりつけるというクズ振り(褒め言葉)も発揮。お経と写真が交互に腹筋に襲い掛かる。 それに乗っかってしまうアリスもアリスである。役者を目指すために、友のため男をものにするために“演技”に体を張る。名前を書かせる事で情報を得るしたたかさ。 女の友情は時に美しく、ムッチャ怖い。二人ともなんつー着信音してんだ。宮本先輩は泣いていい。そしてマジでキレていいよ本当。 「君誰?(マジギレ)」 「嘘だよそんなの(呆)」 ハナも何故か逆ギレ。酷いのはテメエの脳味噌だっ! 友人もゲス顔で「ケンカしちゃダメだよ」と畳み掛ける。その一言が後に違う形で心に響いてくるのだから面白い。 それに対して、アリスはどんどん可愛くなっていきます。母親も新しい恋をして泣く。アリスは恋に敗れる事の恐れ、ハナに対する嫉妬も芽生える。 砂浜で走り、ブチギレて顔に掴みかかるキャットファイトに転じる凄まじさ。先輩も怒りを通り越して(というかワケが分からないけど取り敢えず)止めに入る。先輩泣いていいぞマジで。 おにぎりサンド食べたくなっちゃうじゃないか畜生。 そんな先輩の疑問を確信に変えるトランプ。アリスの父との思い出が思わぬ伏線に。 先輩が優しすぎて俺まで惚れちゃいそう。俺だったら帯引き抜いて首絞めてるわ(冗談です)。 いや、先輩は二人に仲直りして欲しくて怒るどころじゃなかっただろね。だって惚れちゃったのだから。 女たちを再び結びつける写真、互いに吹っ切れてそれぞれの道を突き進む。 母ちゃんも過去はさっさと水に流し、また新しい恋に向っていそいそと掃除機をかける。 クライマックスを飾る即席シューズによる美しいバレエの“演目”! 【すかあふえいす】さん [DVD(邦画)] 9点(2015-06-02 19:58:16)(良:2票) 151.《ネタバレ》 この映画は岩井演出を象徴するキーワードすなわち、「洋館等の建物の中に注がれる木漏れ日」 「セリフとは思えないような自然な日常会話」 「スーパーの袋が「マツモトヒトシ」になってたりと細かなユーモアセンス」 「映画の柔らかさを助長する効果的なピアノのBGM」 「フェアリーテイル的世界を構築しているプロット」 「純粋無垢でSEXの匂いのしない少女」 「スモッグをたいたような褪せた自然の色」 「客観・主観が混在する独特のカメラ目線」 「ラストの回帰」これらが濃縮されている意味でも快作であり傑作でしょう。 「リリィ・シュシュ」は数回観ないと感想書けなかったけど、この作品は1回で傑作と分かります。岩井的世界の集大成であり、極小の主要キャストを活かした映画ですね。 個人的にはアリスが、過去の満ち足りない父親への愛情と、先輩への気持ちを重ね合わせたりもするんですが、結局彼女は父親が教えてくれたトランプマジックのハートのエースに気持ちを封印する点が切なかったです。 でも私が思うに、岩井監督は絶対、アリスを演じた蒼井優ちゃんに、木漏れ日注ぐ夕方近くの練習場で、バレエを躍らせたかったんですよね。最後、大沢たかお演じるカメラマンの前で、数分にわたってバレエを踊るシーンがあるんですが、珠玉の美しさです。あの演出はすごい。「リリィ・シュシュ」は残酷な美しさだったけど、この作品は棘の抜けた美しさがあります。 伏線も実に見事。電車を降りる時の父娘の別れの言葉「ウォーアイニー」と「サイツェン」のすれ違い、本当に切なくなります・・・。 岩井監督は、太陽はカンカン照りに撮らず、雲をかけてソフトに撮りますが、反対に雨は強く降らせます。この陰陽は女性的な観点で撮る男性監督ならではの演出です。 というわけで、岩井作品の中での最高得点を付けますw 【まさかずきゅーぶりっく】さん [DVD(邦画)] 8点(2006-12-24 13:49:40)(良:2票) 150.鈴木杏さんには悪いけど、最初は花というキャラクターに嫌悪感を覚えた。しょうもない嘘をついて強引に迫っていくのが個人的には気持ち悪くて、郭智博が花を好きになったことを「生理的に理解できない」と言ったときは思わず笑った。ナメクジ扱いも無理ないと思う(失礼)。 でも彼女が舞台裏で泣いた顔が、可愛かった。ぐちゃぐちゃの泣き顔なのに、すっごく可愛かった。 アリスもそうだが、実は目を見張るような美少女というわけではないのに、そのひたむきさ、不器用で傷つきやすく、そのくせ真っ直ぐに生きている姿に惹きつけられる。バレエを踊るアリスは線が細く、か弱く見えるのに、それでいて確かに強さと気高さを感じさせる。その真っ直ぐに伸びた姿勢に、息を呑むような美しさがある。 ほんとうの意味で「美しい」少女を見ることができたと思う。 【no one】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-02-28 14:24:52)(良:2票) 149.この映画を観終わって十日以上の日にちが経ちました。それなのに、この映画の事が頭の中から一向に離れません。こんな事、映画観賞人生で始めてです。ここ数日、レンタルショップに行って『花とアリス』が置いてある棚の前を通る度、パッケージに必ず目が行き、そして無償にもう一度観たくなります。そして毎回、容器を手に取りパッケージを眺め、悩み、天井を見上げ、そして元に戻すのです。日を重ねるに連れて、愛しさに似た想いが日に日に増しています。こんなに同じ映画に対して十日以上も想いを寄せたのは、本当に人生初です。まるで、靴の底にへばり付いたガムのように、しつこくへばり付いてちっとも剥がれず、そして頭の中から離れません。画面の中に映る、綺麗な映像や爽やかなストーリー、そして温もりのある雰囲気がどうしても頭に残って、ちっとも薄れません。目を瞑れば、綺麗で、繊細で、光で満ち溢れているいくつもの素晴らしいシーンが、鮮明に瞼の内側に映し出されます。でもやっぱりそれは偽者でしかなく、目を開けてしまえば一瞬にして消えてしまいます。この映画は間違い無く、観た人の心と記憶に美しく、そして鮮明に残り続けると思う。はぁ~・・・今の時代にこんな日本映画に出会えて良かった、と心から想い、そして、10点の上でマウスの左側を最上級の“愛”を込めてダブルクリックします。はぁ~・・・切なくも無いのにため息が止まりません。自分、この映画、「ウォー・アイ・ニー」ッス。 【ボビー】さん 10点(2004-10-09 17:07:49)(良:2票) 148.6年ぶりに観たこの映画は、もはや「感動」なんて通り越す。そのあまりに眩しい映画という「結晶」に対して、悶え、嫉妬じみた感情すら覚える。 6年前、自分自身の結婚を控えた頃にこの映画を観ていた。 劇場鑑賞時から大好きな映画なので、それ以前もその後も事あることに“花とアリス”のことは思い出す。 そして、今日、自分の愛娘が幼稚園に入園した日に、またこの映画を観た。 なんだか、嬉しさも、憂いも、いろいろなことが入り混じって、たまらなかった。 最初から最後まですべてが名シーンなのだが、“親”というものになって数年経ち、愛娘の成長をまさに目の当たりにした日においては、蒼井優と平泉成との父娘のシーンが、無性に愛おしかった。 この映画は、恋と友情の間を奔走する少女たちの物語であり、少女たちの自立の物語であり、彼女たちを取り巻く家族の物語でもあるのだと思えた。 蒼井優と鈴木杏、今やこの世代を代表する女優となった二人の“競演”は、彼女たちの確かな実力を踏まえても、「奇跡的」だ。 こういう類いの「奇跡」を幾度も見せてくれた岩井俊二という映画監督は、やはり自分にとって特別な存在なのだと思える。 この映画の少女たちの人生はまだ始まったばかりで、映画の中で泣き笑うことなんて、ほんとに些細なことだけれど、その一つ一つにひたすらに向き合い、エネルギーを注ぎ、くよくよしたり、晴々したりする姿に、問答無用に感動する。 ユーモラスで眩しいノスタルジーと、そこに不意に垣間見せる厳しく切ない現実。それらすべて含めて彼女たちの日常。 嬉しいことも、辛いことも、楽しいことも、悲しいことも、みんなひっくるめて少女たちは生きていく。 その純粋で、無防備で、ひたすらな姿に、胸が熱くなる。僕はこの映画に対して、この先も何度も、“ウォーアイニー”と呟くだろう。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 10点(2004-04-09 22:37:49)(良:2票) 147.《ネタバレ》 こんなにギャグの効いてる岩井監督の作品をみるのははじめてです。さいごのバレエシーンを丁寧に撮ってあるのもよかったし、広末が踊るシーンを見たり、先輩が最終的に杏ちゃんとうまくいったり、期待を裏切らない展開も良かったです。また広告が映画を見終わった後、トランプに見えるのも気持ちよかったです。 【ちゃこ】さん 8点(2004-04-09 13:21:46)(良:2票) 146.《ネタバレ》 すべては、蒼井優のバレーシーンを見せるための布石にすぎない。それほどこのシーンはすごい。問題は、それしか印象に残っていないことだ。 【la_spagna】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-09-22 00:34:39)(笑:1票) 145.《ネタバレ》 真ん中の木立が画面を二つに分けている。センパイを引き連れているアリスが、木立につかまって、左のフレームに体を乗り出して、花に電話をする。この人どうするの?センパイは右のフレームにおとなしく収まって料理されるのを待っている。花が答えて曰く、「記憶喪失」のセンパイはアリスの元カレっていう設定なのよ。アリス目を点にして「うっそぉ、はやく言えよ」。このなんとも可笑しいシーンだけでも、ほんとうによくできた瑞々しい「映画の映画」だ。映画の筋の展開を、登場人物がフレーム内フレーム(木立)につかまって相談するという「映画の映画」。 【ひと3】さん [DVD(邦画)] 10点(2011-08-19 13:14:38)(良:1票) 144.蒼井優のための、蒼井優を見せるための映画だよね。リリイ・シュシュから花とアリスまで、この監督の振り幅の大きさにはまいるな。どっちも両極ということで現実を逃避しているという点では共通してるけどね。悪く言えば、蒼井のPV扱いされそうだけど、とにかく蒼井ファンには見逃せない一本ではあるね。 【フラミンゴ】さん [DVD(邦画)] 5点(2010-07-23 18:12:43)(良:1票) 143.観ていて楽しく、面白い。いい感じの映画です。強いメッセージやテーマは見えないけれど、主演の二人の少女のやりとりの機微に引き込まれる。この、特に何も言っていない映画のどこがそんなに魅力的なのか? 自分はあだち充のマンガに似ているな、と思いました。あだち充の作品はキャラの大半が高校生。基本的に運動神経が突出している男の子が主人公だけど、作品のテーマはほとんど総て高校生のラブストーリーであり、好き嫌いの感情が台詞ではなく彼独特の記号表現とユーモアで描かれる。感心するのは、その描写の中で友情や約束といったデリケートな概念をとても大切に丁寧に扱っていることだ。突飛な喩えになったけど、この映画の主人公たちの日常を切り取る様は、あだち充の文法を彷彿させました。オーバーアクション気味の芝居や感情の抽出の仕方も良い意味でマンガ的。観ている方が恥ずかしくなるような青さに満ちている。でも微笑ましい。いや、大笑いもたくさんあった。それに合わせて、映像も出来る限り生々しさを排除し、ファンタジックな世界観でまとめている。自分の愛すべき映画がひとつ増えました。見応えという意味では、やはり蒼井優ですね。バレエの下地が「フラガール」のダンスシーンに繋がっていたことも分かりました。間違いなく若手女優のトップを走る彼女の原石部分が覗えます。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2009-10-28 14:28:04)(良:1票) 142.岩井俊二という人は、「映像作家ではあっても映画作家じゃない」という理由から、事実上、映画ジャーナリズムの本流からは黙殺され続け、評価の対象にすらなりにくい作家です。実際この作品でも、“映像世界”を作ることには長けてるのに、“映画”として語るべきものを何ももってない。でも、そのことは承知の上で、その「うまさ」に最上級の点数をつけたくなってしまいます。8ないし9点つけてもいい。そのくらい、うまいです。映像、音楽、シークエンスの作り方、セリフ・・・、それらのイミテーションを巧みに重ねて、限りなく映画に近い表現を実現できてしまう。ヘタな映画なんかよりずっと巧い。だから、観ている最中はすごく満足できる。だけど、それにもかかわらず、この映像世界と現実世界との間にはまったく回路が開かれておらず、見終わったあとは、不気味なくらいに何も残らない。徹頭徹尾、円環的なメルヘン世界に自閉して終わる。いわば2時間強の、上質のコマーシャル・フィルムを見てるようです。 【まいか】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-01-14 20:24:06)(良:1票) 141.《ネタバレ》 雨の中ケムール人の様な走りを見せた蒼井優に、そして彼女の「じょ・う・だ・ん・で・す・よ!」に7点献上。 【丸に梅鉢】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-11-17 11:11:51)(笑:1票) 140.《ネタバレ》 花の極悪非道っぷりに大笑い。恋する乙女ってホント罪深い(笑)。今どきの娘らしい身勝手さ全開の花に比べると、アリスの方は随分と大人です。その家庭環境の分だけ、彼女のほうが花よりも少しだけ先を歩いているようです。オーディションで自らが進む道を切り開くアリス。その見事なバレエは、見る者のこころを掴みます。もち、パンチラという意味ではなく。花のほうも今回の件で少し成長したようです。先輩にウソをついていた事を告白するシーン。顔はぐしゃぐしゃ。ちょっとやり過ぎです。でも先輩に直接顔を向けてはいないので、不自然ではありません。そのぐしゃぐしゃは彼女の心そのものです。自分で蒔いた種を刈るのは当たり前のこと。でも意外とそれは難しい。逃げるほうが遥かに簡単だから。彼女は勇気を見せてくれました。2人の心が伝わってくるから、他愛のないお話にでも共感できます。「ハートのトランプを見つけた時にだけ私を思い出して」なんて、安いドラマの見すぎです。2人の恋愛は“ごっこ”のレベル。でも胸の痛みは本物です。苦しい気持ち、切ない思いを沢山経験して、みんな大人になっていく。もっとも本作で一番傷ついたのは、花でもアリスでも寿限無先輩でもなく、下ネタで玉砕した“なんつって”師匠だと思いますが。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-08-06 18:11:56)(笑:1票) 139.《ネタバレ》 はっきりいってこの岩井俊二という監督はすきではなかった。たぶんすきになることはないだろうとずっと思っていた。だがこの作品に関してのみ脱帽せざるを得なかった。たぶん観ている人の視点は映画がすすむにつれ、知らずしらずアリスへと向けられていくと思う。そういうふうにつくられている。だから題名は「花とアリス」ではなく「アリス」としてもいいくらいだ。一見無邪気に見えるアリスが、いつまでも大人になりきれない母を支え、離れて暮らす父親を心の底で思慕し、幸せだった頃に帰りたいと願いながら、どうやってひとりで生きていくかを模索しもがいている。その心の澱のようなものが観ているわたしたちの心のなかにもつもってくる。だが最後にバレエを踊るアリスのなかにはその澱が微塵もない。ひたむきに踊る彼女の姿にただ澄みきった世界を感じるのみだ。そこに人生の秘密が隠されていると感じた。どんな状況・環境においても表現するものの心は何にも侵されない。エロいとかロリコンどうこうはこの映画に関してはどうでもいいと思いました。 【はちかつぎひめ】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2006-08-09 23:55:02)(良:1票) 138.《ネタバレ》 正直とても好きな映画の1つになった。花とアリスと聴いて思い浮かべるもの。 2人の女子高生・冬の空灰色でどんより曇っててヒンやりしてて・蕾の桜の枝。 妬けちゃうくらい本当に仲の良い2人の女子高生(親友)・気の弱い大人しい 青年・花の自宅前(花が一杯)で、「うわっ似合わねぇ」ってお互いポーズ取りながら 挨拶を交わすシーン・花のついたチッチャな嘘・離れて暮らす父親と別れ際に交わす 「ねえ、お父さん、ウオーアイニー」・アリスと宮本君の初デートの時のアリスの表情 (付き合っていた頃、何て呼んでいたのか尋ねられて姓名判断で急場をしのいでたね)・ 海岸でハートのエースを見つけた方が勝ちってシーン(好きな人を渡したくないって 気持ちがぶつかった、ライバルが親友だからこそギコちなくて甘酸っぱい)・風邪で寝込んだ 大好きな先輩を家に引き込んで、思わず花が寝息を立てかけた先輩にオドオドしながら震えながら キスしようとしたシーン・かつて海の風にさらわれてもう見つかるはずのない 思い出のハートのエースを数年の時を経て宮本君が手にしたというシーン(あり得ないことだけど 猟奇的な彼女のラストシーンと感じの似たどんでん返しにクラッときた)・ 落語の舞台裏で、花が先輩に泣くのをこらえながら思いを打ち明けたシーン素晴らしかった、 迫真の演技、ここは鈴木杏を評価する物凄く。見てるこっちまで涙出てきた 「先輩がアリスのこと好きだと思ったのならそれは本当の恋です」・ラストアリスがオーディション で息を呑むようなバレエを踊るシーン すべてが大好きだ。俺の好む要素を数多く満たしている 映画だと思う。透明で純粋な友情があって恋があって嘘があって裏切りがあって、思春期ならでわ と呼べる未知数の可能性を感じさせるシーンがあって。素敵だ。蒼井優という少女に出会えたことも 嬉しい。美少女ってわけではないかもしれないけどこの映画で見せた表情はとても気になる。 数多くの有名人がちょい役で出てたのは、意外とそんなに目障りになることなくむしろ ほど良い感じのアクセントになってて良かったんじゃないかなって思った。特に大沢たかおが 俺的に好印象 【アキト】さん [DVD(吹替)] 7点(2005-10-23 21:02:03)(良:1票) 137.花とアリスがカワイイ。やわらかい。 観ててふとした瞬間に、ロリな自分を感じた・・・。 【kiki】さん 7点(2005-02-21 16:50:03)(笑:1票) 136.《ネタバレ》 微妙ー。微妙。所々「おっ?」と思わせる場面はあります。アリスのバレエシーンとか。でもそれが何を意味するのか分からない。アリスはモデルの仕事にそんなに執着持っているようには説明されてなかったし。だから制服のままで、紙コップをシューズ代わりにするなんて機転を利かせてまでバレエを踊るには、アリスの側になにかそれをする必要性(切迫した事情とか過去の自分との決別とか)がないと。ストーリーもブツブツでつながらないし。製作者側は映像美に気を取られてこれが映画であることを忘れてしまったのでないか。「キレイだった」「登場人物がカワイかった」ではプロモーションビデオにしかならないと思う。リリイシュシュが好きだったのでこの映画は正直ガッカリ。 【キュウリと蜂蜜】さん 5点(2004-12-22 17:35:22)(良:1票) 135.花とアリス、ふたりの会話が楽しい。説明としての会話が無いどころか、言葉無く表情やしぐさだけで会話をしているところもあり、その様はすごく自然で素直に「ふたりはいつもいっしょで仲がいいなぁ」と思わせてくれる。そしてお互い別の人間と会話するときには微妙に別の顔を見せる。とくにアリスの目上の人と話すときの舌ったらずなしゃべりと硬い表情、父親と話すときの気をつかわないぶっきらぼうな言葉と居心地の良さそうな表情がアリスという人間をうまく表現している。よくよく考えれば同じ人間でも相手によっていろいろな顔をみせるというのは当たり前のことなんですが、その当たり前のことを丁寧に描いているところが好感を持てるし、だからこそ自然に感じるんです。アリスの何かを食べるときのブサイクな顔も面白かった。そして花の泣き顔。コレはやっぱどアップで正解だと思います。素敵な泣き顔です。ラストのバレエも美しかったけどその後の広末の「あっ、パンチラ..」の一言!いや、バレエがホントに美しかったんであって、あの、その、そりゃたしかにソレも...という微妙な男心をチクリと一刺し。ヤラレタ(笑)。それからチータさんのレビューで「あぁ!」と思いました。なるほどモネの絵のようです。私、モネの絵、好きです。だからこの映画も内容云々以前に生理的に好きなのかもしれません。 【R&A】さん 8点(2004-12-13 12:34:03)(良:1票)
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