みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
11.《ネタバレ》 新藤兼人監督が鬼女伝説を元に手がけた時代劇。見る前はいかにも地味な映画で少し退屈するかもと思っていたが、確かに新藤監督らしいオールロケ作品で金がかかってなく地味ではあるものの、見ていてだんだん引き込まれた。「鬼婆」というインパクトの強いタイトルで、実際物凄く恐ろしい内容なのだが、その恐ろしさというのが、鬼婆のそれではなく、人間のエゴとかそういうものであるあたりが実にリアルに描かれていて衝撃的だった。乙羽信子、吉村実子、佐藤慶という濃すぎる主演の三人の演技にも力が入っており、三人とも熱演しているが、特に乙羽信子のこういう恐ろしい演技は初めて見るような気がして、非常にインパクトがあり、しばらくは乙羽信子を見るたび思い出してしまいそう。宇野重吉演じる武将が穴に落ち、乙羽信子から鬼の面が外れなくなった時点でラストは予想がついてしまったが、それでもラストは鬼になってしまったという理由だけで吉村実子演じる嫁(こちらもインパクト絶大。)からも逃げられてしまう乙羽信子が自分では顔が見えていないのもあって哀れに思えて仕方なかった。先ほども人間のエゴが恐ろしいと書いたが、まさにこれは人間の心の暗部を鋭くえぐった社会派映画の傑作であると思う。白黒であるというのも効果的だった。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-10-28 00:13:15)(良:2票) 10.《ネタバレ》 時は南北朝時代の戦乱の世。人の丈を超えるススキが生い茂る草っ原。そこに棲み、そこに逃げ込んできた落ち武者から武具を剥ぎ取り食い繋ぐ女2人は嫁姑。そこに、婿と一緒に戦に駆り出された男が一人命からがら戻ってきて、その後、嫁が姑の目を盗んで巣を抜け出し、男の巣に通うことになるが・・・といった話。筋書きがいたってシンプルで、登場人物は少なく、場所も草むら、棲家、穴、川辺と限られているのですが、生死の際にさらされた人の欲のうずまきが力強く描かれ、ぐいぐい引き込まれました。佐藤慶が、脂ぎった欲を隠さない男の役を見事に演じています。裏表のない卑しさには、すがすがしさすら感じられました。歳を取ってからの、色が白く乾いていて知的で静かだけど、目の奥の方で何かギラついている感じとはかけ離れていて、少し驚きました。嫁も野趣あふれた感じでいいです。最初は女かどうかもわからなかったのですが、作中でどんどん魅力的になっていきますね。 【camuson】さん [DVD(字幕)] 7点(2023-12-25 17:55:21) 9.《ネタバレ》 名監督に、多く出演する女優とコンビ組んでるパターンは多いが、 新藤さんと乙羽さんもそのパターン。 でも、汚れ役を引き受ける相方がいる監督はそうそういない。 篠田さんの相方、岩下志麻も結構頑張るが、なにせあの美貌。 乙羽さんは庶民的な顔立ちで、新藤監督の性への描写を引き出している。 見応えあり!本作。 短いながら、実にスゴイ話。 【トント】さん [DVD(邦画)] 9点(2023-12-21 21:59:02) 8.《ネタバレ》 中々強烈な映画ですね。「生きる」コト或いは「生きたいと願う」コト自体が罪なのか(醜いコトなのか)という問いかけは、ここまでヴィヴィッドなモノではないにしろ現代でもある種の普遍性を持った価値観かとも思います。しかし、やはりこの時代のこの戦乱の状況下において…だからこそ、ココまで切実で生々しいモノに為り得る…とは容易に実感できるトコロではありますし、映画自体としてもワリかし無駄とゆーのを削ぎ落して(むしろ)ソコだけを際立たせた様な作品、であるかとも感じられますね。舞台となる芒の原が好かったですね。何も無いとゆーのとは違うものの、不毛であるコトには変わりないですし、見通しも悪くて実に居心地も(色々と)好くなさそーで…でも、一方で邪心を持つ者が潜むのにも打って付けという様な感じもあって、諸々ととても優れた舞台設定だったな…と思いましたね。 役者の感じも実に素晴らしかった(凄かった)ですね。主演3人の誰をとってもコレも実に生々しいとゆーか、一週間ぐらい飲まず食わず寝ずで閉じ込められていたかの様に皆ギラギラしてましたよね。本質的な「生命力」というヤツを大いに感じ取れましたです(重ねて、ソレが好いモノか悪いモノかは別として)。 【Yuki2Invy】さん [DVD(邦画)] 8点(2022-04-27 16:36:23) 7.とあることからアイスランドのミュージシャンであるビョークについて調べていたら、彼女は幼少のころに本作品を見て日本に強い興味をいだいたとどこかに書いてあった。 不覚にも本作品の存在を知らなかったため、さっそくレンタルして鑑賞してみたら驚いた。 アイスランドに暮らす5才の娘の目に、この作品はいったいどう映ったのだろうか?ビョークのこれまでの人生の中でおそらく何の接点もなかったであろう遠い東の島国の、その社会の最底辺に暮らす母娘。しかも時代は室町時代。映像はモノクロ。5才のビョークにはこれが時代劇であるということは理解できていなかったと思われるので、(当時の)現代日本のドキュメンタリーとして映ったハズ。 これが私だったら、興味を抱くどころかトラウマになって、こんな悪夢のような国(日本のことです)には一生関り合いになりたくないと思ったに違いなく、おそるべしビョーク。 また、ビョークは1965年生まれらしいので、幼少というからだいたい1970あたりにこの映画を観たことになる。この時代に、黒澤でも溝口でも小津でもない監督の作品が外国に輸出され、アイスランドの一般家庭で普通に鑑賞できるようになっていたことにも少なからず驚いた。 で、この作品の感想ですが、これまで新藤監督作品をスルーしていてどうもすみませんでした というのが答えです。 【la_spagna】さん [DVD(邦画)] 8点(2018-08-30 22:12:45) 6.《ネタバレ》 一面にひろがる芒の原にモノクロ画像、いかにも近代映画社の映画という感じだが、見る者を引きつける力は十分、飽きさせない。タイトルのイメージからもっとおどろおどろしいホラーかと思ったら、ほどよい社会派映画でもある。 荒んだ戦乱の世で苦しむのは一般庶民、男手を失っても生きていくためには盗み人殺しも仕方がないのか。そこへ紛れ込んだ息子の仲間、鬼の面をかぶった落ち武者を巡っての物語はおもしろい。ラストはほぼ予想はできるが・・・。 【ESPERANZA】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-08-24 07:09:19) 5.婆ぁ婆ぁ言われてたけど、あの胸は婆ぁの胸じゃないよ。 【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-05-11 22:07:40) 4.鬼婆と言えば、旅人を襲う山姥を思い浮かべるが、 こちらの作品は人間の三大欲求でもある食欲、睡眠欲、性欲を追求した内容で、 鬼にも似た人間の本能や醜さをとことん描いた作りになっている。 "生きるために、人間辞めて獣になりますか?"といったキャッチフレーズがぴったり。 乙羽信子はびっくりするほどの汚れ役で女優魂を感じたが、 吉村実子もいかにも昔の女の人といったルックスで、こちらも中々良かった。 佐藤慶はまるで竹中直人みたいだったが、彼の存在があることで凄まじい展開を見せてくれます。 ラストの演出はお伽話のようになってしまい、「ん?」と思ったけど、テーマは十分伝わる。 よくこんな映画作ったなぁと感心はしたが、もう一度観たいとは思わないな。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-08-01 08:18:03) 3.実に恐ろしい映画です。個人的には結末が弱いように思いましたが、とにかく眼が釘付けとなりました。乙羽信子、吉村実子、佐藤慶の汗したたる裸体が説得力あります。人の心の暗部に迫る力作。 【ジャッカルの目】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-11-17 00:22:41) 2.久々に日本映画で衝撃を受けた。モノクロなのが気にならないくらいストーリーが素晴らしい。正直、鬼婆というとキチガイじみた老婆を想像していたけど、この映画では哀れというかかわいそうというか。音楽が意外に良かったです。(期待度:3) 【明日ネコになる】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2007-04-01 23:23:18) 1.映画の大半がススキか葦の原っぱで撮影されていて、すごく金が掛かって無さそうでありながら、エゴは人間を鬼にするのがスッキリ描かれている。 【亜流派 十五郎】さん 6点(2004-05-15 19:01:43)
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