みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
37.《ネタバレ》 “Jojo Rabbit”『兎のジョジョ』。ものの受け取り方次第で『臆病者の~』にも『勇敢な~』にもなる。 吊るされたドイツ人は「何をしたの」か?母親は「出来ることを」と答えた。ぶらりとした足と、もう地面を歩くことのない靴。 靴を履いて、靴紐を正しくしっかり結んだら、どこにでも自由に行くことが出来る。平和にダンスのステップを踏むことも出来るし、臆病者を踏みつけて脅すことも出来る。 ナチスを崇拝する当時のドイツの普通の少年が、手榴弾で半身フランケンシュタインになり、インゲの幽霊=ユダヤ人の普通の少女エルサと交流する。隠し部屋の中のエルサは最初裸足だった。ジョジョと親交を深めていく過程で、エルサは靴下を履いてる。彼女が歩けるのは安全な家の中だけ。エルサが靴を履いたのは家にゲシュタポが来たとき。アーリア人を演じ「ハイル・ヒトラー」と挨拶する。自由とは真逆、嘘をつくために履いた靴。 宙に浮いた母の靴。もう二度と地面を歩く事も、自由にダンスを踊ることも出来ない靴。ガツンと叩かれたようなショックと、母の靴紐を結ぼうとするジョジョに涙が溢れました。ここから先、涙が溢れっぱなし。 ジョジョの、綺麗なままの右半身(ナチ崇拝)と、傷だらけの左半身(母とエルサが好き)の葛藤。家族を守るためのナイフを右手に持ち、力無くエルサを刺すジョジョ。自分に向けられたナイフを払うでなく、止めるだけのエルサ。恐らくロージーがゲシュタポに連れ去られたのを聞いていたんだろう。「あなた(エルサ)か息子かを選ぶとしたら…」どちらも守りきったロージー。 戦争が終わり、自由を得たエルサ。彼女が自由になると独りぼっちになるジョジョの葛藤。白紙の手紙。心のアドルフ。『ウサギの耳をシッポに巻いて、しっかり縛って穴に戻す』母の教えを思い出し、エルサの靴ひもを結んであげるジョジョ。 「外は危険?」「とってもね」頼れる男を演じ、危険な場所からの脱出を試みる二人…路上のエルサと、玄関の2段あるステップの、一番上にいるジョジョとの身長差。ステップを一歩だけ降りて「脱出成功」の時の2人の身長差。そして… 観終わって、続けざまにもう一度最初から観ました。 【K&K】さん [DVD(字幕)] 10点(2025-02-11 12:40:42) 36.《ネタバレ》 「マイティ・ソー」シリーズを「バトルロイヤル」において異次元のレベルに高める豪腕ぶりを見せつけたワイティティ監督が、その演出力と調整力をいかんなく発揮した作品。ナチス・ドイツをコメディチックに描くという難題に挑戦しながら、すべてをぎりぎりのラインで成立させ、かつ面白く見せるという結果を達成している。主人公の少年はヒトラーに心酔しているのだが、それもどこかアホらしさを漂わせているし、笑わせる場面の挿入具合も見事で、かといってシリアスな描写も忘れてはいない。そしてそれらが一体となって完成されている。一方で、キャプテンは(ユダヤ人と同じく弾圧の対象だった)同性愛者の象徴なのだろうし、そもそも主人公自体も(これも弾圧の対象だった)障害者の象徴なのだろう。そして終わってみれば、少年の初恋、そして好きな子とのダンスこそが、戦争よりも何よりも最も重要なテーマだった、という着地点。当初は、ナチス信奉少年がユダヤ人少女とのやりとりや交流を経て変わっていって・・・というだけのありきたりな展開を想像していたのですが(それはそれであるのだが、そこに依存してはいない)、制作側の意識は遙かに上を行っていました。 【Olias】さん [映画館(字幕)] 7点(2024-12-11 21:00:41)(良:2票) 35.《ネタバレ》 ビートルズで始まりデヴィッド・ボウイで閉める、第三帝国の社会生活という微妙かつ一歩間違えれば炎上必至のテーマなのにポップながらも重いテーマはきっちりと押さえている、これほど鮮やかな脚本が書けるこの監督はやはり天才なのかもしれない。考えてもみてください、太平洋戦争中の大日本帝国の市民生活をポップな基調でストーリーテリングする映画なんて、あったら面白いとは思うけどそういう発想も実現させる企画力も今の日本映画人は誰も持っていないんじゃないかな。 この映画で描かれるドイツ国内の生活は、史実とファンタジックな要素が絶妙なバランスでミックスされているのが特徴です。ドイツのどこの地方が舞台とされているのかは判らんが、屋外のシーンは終盤までは穏やかな晴天ばかりというのも興味深いところです。そこで描かれているのは平穏な市民生活で、史実でもナチスは革命が起きた第一次大戦敗戦のトラウマがあり、戦時中も国民にはいわゆる“パンとサーカス”が途切れないようにすることには熱心で、フランスやポーランドそしてソ連から略奪した食料や物資を惜しげもなく国民に供給しており、そういう意味でもドイツの一般国民にもある種の戦争責任があることは否めないんじゃないでしょうか。 主人公のジョジョ少年を観てるとどうしても『ブリキの太鼓』のオスカルを思い出してしまいますが、もちろんオスカルの様な怪物的な存在ではなく、歳が離れたユダヤ人少女にだんだんと惹かれてゆく演技には説得力を感じました。この映画では靴と靴紐が伏線の一つなんですが、広場で吊るされたスカヨハの脚と靴だけを見せてジョジョが母親の死に対面するシーンには、胸が締め付けられかつ鳥肌が立ちました。監督自身が演じたアドルフは明らかにドイツ国民を操ったナチス・イデオロギーの擬人化なんですけど、ストーリー上はあまり前面に出てこなかったところは良かったと思います。サム・ロックウェルのゲイの大尉もいい味出して泣かせてくれました。なんか『戦場のピアニスト』のトーマス・クレッチマンみたいな役柄でしたが、このゲイ大尉の方がはるかに印象に残ります。そしてビンタの後のジョジョとエルサのダンス、こういう撮り方ができる監督の才能に拍手喝采です。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2024-10-06 11:32:16)(良:1票) 34.《ネタバレ》 この映画を観る前に、「沈黙の勇者たち」という、第二次世界大戦下で自らの危険を顧みずユダヤ人を匿った人たちの本を読んだのだが、それにぴったりはまっていて妙な縁を感じた次第。 ユダヤ人の少女に結局恋してしまう少年。 匿うという正義の行為に恋愛が絡んでしまうが、当時も少なからずそういうことはあったんだろうなと想像できる。 ヒトラー崇拝の少年が現実に目覚めていく様は、後半に畳みかけてきて観ていてつい引き込まれた。親友の眼鏡の少年も、だめなナチスの大尉も素晴らしかった。映画を楽しみながら世界の負の歴史について考える。 いや、いい映画。 【roadster316】さん [インターネット(字幕)] 8点(2024-02-11 10:28:20) 33.Amazonプライムにて鑑賞。 やられましたね、これは。完全にノックアウトされました。 文句のつけようがないです。 たまにはこう言う映画も見るべきだと痛感しました。 【ぴのづか】さん [インターネット(字幕)] 9点(2024-01-31 16:38:57) 32.《ネタバレ》 好きな作品の評価は偏見が混ざってしまい正当に採点できているのかどうか怪しくなる・・・ と思ってこの作品のレビューをためらっていました タイカ・ワイティティ監督はまず間違いなく天才です スカーレット・ヨハンソンはスカした顔していますが、やる時はやる女です わんぱくちびっこ魂を残しつつ、中途半端に少年への成長が伺いしれてなかなか良かったジョジョ 弾圧の中の苦しい生活の中でエルサは夢を忘れなかった そして、クレツェンドルフ大尉事サム・ロックウェル、ボクはいい歳をしてあなたに泣かされました いい映画というのはラストをどう締めくくるのか気になってくるものですが(ボクだけですかね?) 正直、「・・・やられた」としか言いようがありません この映画を見ていない人は、きっと損をしています 【ぐりこ】さん [ブルーレイ(吹替)] 10点(2023-11-04 11:51:41) 31.《ネタバレ》 ラストシーン、デヴィッド・ボウイのイントロが流れ始め画面が暗転した瞬間、私は思わず拍手してしまった。 この様な感情の昂ぶりは久しぶりかも知れない。 第二次世界大戦の敗戦濃厚なナチ政権下のドイツが舞台、しかも主人公の少年のイマジナリー・フレンドはあのヒットラーと言う、 一昔前ならばタイカ・ワイティティ自身が暗殺の標的にになりかねない様なとんでもない設定。 この様な設定の中で、本作の様な「ファンタジー」を一つの映画として具現化してしまった監督のセンスと手腕に感服するばかり。 タイカ・ワイティティがナチ思想とか極右とか言う意味では決して無く、映画と言うものがクリエイターが頭の中で思い描くものを 表現する「芸術」であるなら、本作はまさしくその本懐を遂げているのではないだろうか。 また、私はあのポール・ヴァーホーベンの名(迷)作「スターシップ・トゥルーパーズ」を思い返しながら本作を観ていた。 作風は両極端な位に全く異なるが、両作には共通する「肝」が有る様に思える。 主人公の少年は並居るスカヨハ(祝、アカデミー助演女優賞ノミネート)、サム・エリオット他の磐石の演技を差し置いて、 主演男優賞に何故ノミネートされないのか不思議なくらいの名演を見せている。 アカデミー作品賞、獲って欲しいなぁ! 【たくわん】さん [映画館(字幕)] 10点(2023-09-19 14:04:17) 30.《ネタバレ》 なんかぼんやりした変な映画だなあと鑑賞しておりましたが、母親の死と市街戦のシーンで、物語とジョジョ自身の輪郭がはっきりする。これがしたかったのね、とようやく気づくのですが、この趣向(いきなりシリアス)はあんまり好きではない。内なるアドルフとの対決もなんか消化不良。最後のダンスで会話するかのシーンは好きです。こんなダンスができるのなら、それが疑似姉弟であろうとも、愛し合っていてはいたのだろう。お腹に蝶がいるって、ものすごい納得ワードだったんですが、オリジナルではなく、ヨーロッパじゃ一般的な比喩のよう。 【なたね】さん [DVD(字幕)] 6点(2022-07-12 06:22:49) 29.《ネタバレ》 冒頭、ビートルズの「抱きしめたい」から軽快に始まったので、もっとコメディ調に展開するのかと思いきや、中盤からラスト迄はシリアス展開に変わる。 母親が吊るされるシーンは唐突過ぎてわかりづらかった。それっぽいけど、後であっ!やっぱりみたいな。 少年が母親、エルサ、将校の心の交流を経て成長していく姿が描かれて、良い映画だと思うが、あと一歩かなぁ〜。 「ライフ・イズ・ビューティフル」的なものを期待した自分がいた。 【とれびやん】さん [インターネット(字幕)] 6点(2022-06-19 18:34:27) 28.《ネタバレ》 第二次世界大戦当時のドイツにおける現実は物凄く残酷で、耐え難い不幸な出来事が日常茶飯事で、このようなポップな作風の物になり得るはずもない。一人の危険な独裁者による洗脳や情報操作で最悪な事態に陥ったという不幸を、70年余り経過した現代になって冷静な目で見つめ直そうとした時に、それを純粋な少年の目線から見た戦争という角度から表現した時点で、この作品は私の中で大成功をおさめてしまいました。そしてそんな背景としての戦争はまさに背景に過ぎず、戦争より何よりも、この作品の最大のテーマは少年の初恋の行方だったという所。ママも言ってた。一番大事なのは愛だという事を。ポップな戦争映画で、最後は愛。こういうのって映画の持ってる底力だなって思います。また好きな映画に出会えました。 【ちゃか】さん [インターネット(字幕)] 10点(2022-04-01 16:08:21)(良:4票) 27.《ネタバレ》 ナチスの時代を背景に、少年の成長譚を描いているのですがこれがもう切り口斬新。外国人から見ると一般的には専制とユダヤ迫害でキツイ印象しかない第三帝国も、その国の少年にとってはヒトラー総統は超絶憧れの人物。だからユーゲントに入るのもおずおずながら希望にあふれ、彼の目を通して見る日常もまあまあ明るいのですね。空想の友達はアドルフだし。 基本明るく軽くナチをおちょくる監督のタクトはとことんふざけているのだけど、突然リアルな残酷をはさんでくる、その塩梅が絶妙です。 「ぼく間違っていたかも」と親友のヨーキーがぽつりとこぼす終盤。ドイツは敗れ街はがれきの山と化し、ジョジョ少年は心の友アドルフを追い出して一段大人へと成長するのでした。D・ボウイの「ヒーローズ」に合わせて踊るジョジョとエルサ。親衛隊から、戦争から、そして子供の時代からの脱却をこんな風に清々しく描写した監督の力量に感嘆します。 大人の役者もみな良いです。あの時代をコメディとして演じるのはとても難しいと思うのですが、ぎりぎりの線で踏みとどまるサム・ロックウェルも悲壮すぎない演技に抑えたスカヨハもとても良い。監督のアドルフは完ぺきにぶっちぎってましたが。(笑) 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2022-03-24 23:58:38)(良:1票) 26.《ネタバレ》 彼の名は、ジョジョ・ベッツラー。アドルフ・ヒトラーを心の底から信奉し、現在敗色濃厚なドイツの最終的な勝利を日々神に願い、そしてユダヤ人を劣等民族だと信じて疑わない、愛国主義の見本のような10歳の少年だ。だが、ドイツ少年団のキャンプに参加した際、彼はウサギを殺せという命令を実行できず、ジョジョ・ラビット(臆病者)と言う不名誉な渾名を付けられる。そればかりか、手榴弾の扱いを誤り、大怪我を負ってしまうのだった。周りの友達が皆、戦地へと駆り出される中、彼は母親とともに自宅療養を余儀なくされる。空想の中の友達である〝アドルフ・ヒトラー〟と空しい日々を過ごすジョジョ。ところがある日、彼は自宅の屋根裏に謎の少女が密かに暮らしていることを知るのだった。「間違いない、彼女はユダヤ人だ」――。すぐにでも秘密警察に知らせようとするジョジョだったが、この件には母親が深く関わってることが分かり、彼は苦しい板挟みに陥ってしまう…。第二次大戦末期、時代の空気によってナチスの信奉者となった少年とユダヤ人少女との密かな交流をコメディタッチで綴ったヒューマン・ドラマ。アカデミー作品賞にノミネートされ、世間の評判もすこぶる良かったので今回鑑賞してみました。いや、噂に違わぬ素晴らしい出来でしたね、これ。ナチスのホロコーストと言う非常に重いテーマを扱いながらも、最後までコメディタッチの軽いノリを貫き通したのは英断だったと思います。なにより笑いのセンスがすこぶる良い。ナチスの秘密警察が人に会うたびに一から「ハイル、ヒトラー」を繰り返すとこなんて思わず笑っちゃいました。飄々とネタを披露するサム・ロックウェルもナイスな仕事ぶり。ブラックな発言を繰り返すあの太った女性なんて、もはや吉本新喜劇のノリですね。悪趣味一歩手前のぎりぎりのラインを突くこのユーモアのセンスはなかなかのものがありました。もちろんそれだけではありません。時代の空気なので仕方ありませんが、このジョジョと言う少年があまりにもナチスを信じ切っていて最初は嫌悪感爆発。でもその後、このユダヤ人の少女に徐々に心を許してゆき、次第に洗脳が解けて、やがて彼女にほのかな恋心を抱くとこなんてホント巧い。彼女のためにジョジョが書く手紙も切なすぎます。スカーレット・ヨハンソン演じる彼の母親のエピソードなんて涙無くしては見れません。惜しいのは、彼の空想上の存在である〝アドルフ〟がいまいち巧く機能していないところぐらい。笑って泣けて最後は深く考えさせられる、素晴らしい作品でありました。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 9点(2022-03-14 16:13:07) 25.《ネタバレ》 米製作であり、いつまでたってもイジられ続けるドイツ国。そこを現住民の方々はどう捉えられているのでしょう。少し気の毒な思いがいたします。 だが考え方によってはその見方も変わります。いくらイジられようがそれはチョビひげ総統時代のお話です。過去は過去、もう開き直るしかないのでしょうね。がんばろうドイツ。差し当たってジョジョ君に非はない。開き直って子ども目線のコメディファンタジーとして楽しみましょう。 元はどうであれ、良き方向に向かってゆくファンタジー。 この作品を機にタイカ・ワイティティ監督やスカーレット・ヨハンセン嬢の生い立ちなど知る事に興味を持ちました。その上で、スカ嬢のご出演にも相当納得が出来ました。そしてあのチョビひげ役を自らやりきってしまったタイカ・ワイティティ監督はもはやスゴイとしか言えません。 【3737】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2022-02-15 19:22:11)(良:2票) 24.《ネタバレ》 少年の中の絶対が絶対じゃなくなり、自らの指針で行動するようになる少年の成長物語。終戦間際のドイツでの出来事。これをアメリカが制作したということに驚きを隠せない。戦争とは何か、なぜ戦争をしないといけないのかを考えさせられます。 【いっちぃ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-12-19 18:09:12) 23.《ネタバレ》 戦争の残酷さを描きながら、子供の視点を軸としたファンタジーにもっていくのがおもしろい。空想やロマンスを取り入れて、明るさと暗さをうまく織り交ぜながら、過酷な時代の中で少年が成長していく様を温かくみつめる。絶対的だと信じていた世界が少しずつ崩れていく中で、少年の心がどう変化していくのか。ラストの落とし方をどうするのがが気になったが、最高でした。 【カワウソの聞耳】さん [インターネット(字幕)] 9点(2021-11-06 22:08:37) 22.《ネタバレ》 面白い! ナチにも人間味のある将校はいたわけで、それが少年兵を指導する彼だったわけだ。 最後の、ジョジョを守るための芝居は泣ける。 普通、映画等でユダヤ人の受けた史実を知っていれば、ドラマとしては、憂鬱な展開だ。 ヒットラーに憧れる少年兵の家に、ユダヤ人の少女が匿われてたわけだから。 でも戦争が終りに近づいてきてるという話の流れで、ホッと一息できる。 10歳の彼と、ユダヤ少女の交流。 そして、そこにいきなりゲシュタポが来る展開。 そこで将校の粋な、知らん顔がいい。 しかしお母さんが殺されるのは痛い展開だ。 しかし、一気にドラマは、ドイツの敗北へ。 心の友であったヒットラーは、母を殺した人間でもある。 そして彼は心の友を捨て、少女への愛へと傾く。 ドラマなら、この後、大変な苦労があるだろうと予測されるが、コメディなので、これでいいのだ。 ナチの太った女性指導者が、ラスト、機関銃をもって、突撃していくのが、スゴイ・・ 才能の片鱗を見せる場面がいくつもあり、今後、スゴイ監督になっていくのでは。 【トント】さん [DVD(字幕)] 8点(2021-02-20 20:34:40)(良:1票) 21.10歳少年のヒトラー総統とユダヤ人への疑いの無い思い。「違うんじゃないのだろうか」疑念が確信に変わる過程での出来事に胸が締め付けられます。キャリアを考えて尻込みするような役柄を自らが演じた監督に拍手。そして子役のローマン・グリフィン・デイビス君のルックス&演技力に大拍手であります。 【The Grey Heron】さん [DVD(字幕)] 8点(2021-02-05 04:05:24)(良:1票) 20.空想上のヒトラーと仲良しで、 ナチスを崇拝するドイツ少年のお話。 この少年がどう転がっていくのかが見所。 前半は割とコメディ的に進んでいくけれど、 後半になるとマジメな話になってきます。 思ったよりも良い映画でした。 監督自ら扮するヒトラーもとても良かった 【愛野弾丸】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-01-03 22:11:53) 19.《ネタバレ》 「ハーイ、ヒットラー」。愛を知らぬ、熱烈なナチ教徒のガキんちょ。その敬愛ぶりは、何だかユルいヒトラーのオバケがくっつくほど。そんな一途なオイラだけど、屋根裏に匿われたユダヤ人のおねえちゃんと出会い、徐々に心ときめいちゃう。らしくねえと思いながらも、大好きな肝っ玉母ちゃんを亡くしてからは恋に本気モード。オバケのヒトラー吹っ飛んじゃえ。真面目に語ると重苦しくなるような戦争ドラマだけど、コメディ調で面白可笑しく紡がれて好印象。映画館観賞において久々の傑作。 【獅子-平常心】さん [映画館(字幕)] 8点(2020-12-31 18:18:20) 18.《ネタバレ》 強く美しい母親が、愛する息子に向けてカチッと独特の“ウィンク”をする。 もしかしたら、あのウィンクは所在不明の夫が、彼女に対してよくしていた“仕草”なのかもしれないな。と、思った。 そんなことを暗示する描写は特に何もないのだけれど、非情な戦乱の中、優しく、明るく、息子を愛し、「できること」をし続けるこの気高き女性は、きっと壮絶な経験と、深い愛情に包まれた、濃密な人生の上に立っているのだろうということを想像させた。 そういうことを何よりも先んじて言及したくなるくらいに、スカーレット・ヨハンソン演じる主人公“ジョジョ”の母“ロージー”のキャラクター造形が素晴らしく、この映画の根幹を担っていたことは間違いない。 詰まるところ、彼女の一つ一つの言動こそが、息子に対する“愛情”と“導き”であると同時に、この映画のテーマに対する「真理」であった。 「愛は最強の力よ」と、母親は息子に言う。 戦禍の混乱と、人間の心の闇が渦巻く状況下でのその彼女の台詞は、字面のみを捉えれば、無責任で能天気な印象を受けるかもしれない。 しかし、母親であり、一人の女性であり、信念を持って生きる人間である彼女が放つその台詞には、彼女の「人生」そのものに裏打ちされた言葉以上の重みと意味が内包されていた。 彼女はその言葉を息子に向けて発してはいるが、彼に対して背を向けており、目線はどこか遠くを見ているようでもあった。 その他の数々の台詞や行動においても、その一つ一つが魅力的かつ説得力をもって、息子と、我々観客に突き刺さるのは、それらの言動の裏に見え隠れする彼女の人生に、ドラマ性と真実味を感じるからだ。 劇中、主人公の母親についての描写は、敢えて意識的にぼかされている部分が多い。 2年間音信不通の夫の正体、長女の死の真相、サム・ロックウェル演じるクレンツェンドルフ大尉(最高!)との関係性、そして「できること」をする理由と、“あのようなこと”になってしまった事の顛末。 そこには、メインストーリーとして描かれる主人公の少年の葛藤と並行して展開していたのであろう重厚なサイドストーリーがあるに違いない。 (そのサイドストーリーの映画化も充分にあり得るのではないか。そのためのスカーレット・ヨハンソン起用だったことも充分に考えられる。) 随分と主人公の母親の話を長々と綴ってしまったが、無論この映画は10歳の純粋な少年の目線から描き出される確固たる「戦争映画」である。 ただし、その表現方法はまったくもってオリジナリティ豊かなイマジネーションに満ちあふれていた。 その特異な映画世界には、「マイティ・ソー」を次元を超越した“極彩色映画”に転じさせてみせたタイカ・ワイティティ監督の異才がほとばしっている。 今まで観てきたどの戦争映画よりも“可笑しい”。そして、だからこそあまりにも“悲しい”。 混乱の最果て、“滑稽さ”が極まる戦禍の只中に放り込まれる少年。 戦場シーンは数多の映画で観てきたけれど、少年が信じた全てのものが、脆く、愚かに、崩壊していく様を目の当たりにして、只々涙が止まらなかった。 そこに映し出されていたものは、通り一遍的な激しい戦場の凄惨さではなく、10歳の少年の心を蝕み覆い尽くす「絶望感」そのものだった。 “世界の終わり”を、その小さな身体一つで受け止めて、あまりにも大切なものを失い、深く大きく傷つき、それでも少年は命をつなぐ。 結べなかった靴ひもをぎゅっと結び止め、“独裁的”なイマジナリーフレンドを窓の外に蹴り飛ばす。 それは「鏡」に映った自分が、本当の意味で大人になった瞬間でもあった。 ジョジョよ、さあ踊ろう。好きなだけ、自由に、踊ろう。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 9点(2020-12-03 23:08:30)
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