みんなのシネマレビュー |
|
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
9.《ネタバレ》 「絞死刑」・・・タイトルを聞いただけで?と思った。どうやら“くびりころす”国(ひとびと) を描いた作品らしい。 実際に起きた「小松川高校事件」をモデルにした映画。 冒頭はドキュメンタリー風のタッチで、一人の人間が死刑執行される瞬間を描いていく。この頃から死刑制度が必要なのか不必要なのかが問われていたのか。 死刑を執行する人間は、これから罪を犯した“ケジメ”として殺される人間を見届けなければならない。首に喰い込んだ麻縄の跡も・・・。 人間が完全に死ぬまでをストップウォッチで計ったり、必死に諭して、飯まで食わせるんだぜ?酷い話だ。 大昔は磔とか、首を斬られた罪人をそのまま晒し者にして民衆の前で見せたそうだが、今の世の中そんな事はしない。殺される人間にも“人権”て奴が発生するからだろうか。 ところが、そこから事態は急変する。 一度しくじった刑を“殺り直す”って発想がまず思い付かねえよ。 記憶を失えば絞首刑(縊り殺す)が出来ない。 それでこれから殺そうとする人間の記憶を取り戻させようとする様子が何処かユーモラス・・・けど、ゾッとする。 法を破り人殺しもいとわぬ者、法を守って人を殺そうとする者・・・一体どっちが正しいんだろうね。劇中の人間のように、本当に笑いながら人を殺す相談をする奴もいるだろうよ。 つうか教育部長がウザイ。 人一人殺すのに愛情だの何だのと歪んでいるとしか思えない。 もし殺される奴が日本人の“K”で、殺す側が朝鮮の“R”の人々だったら・・・差別とかそういうものが立場によってがらりとひっくり返されたら・・・そう思うと怖くてしょうがない。ステレオタイプな差別描写が、より一層そういう事を考えさせる。 更に日本の男尊女卑の問題や宗教問題にまで踏み込んでしまう大島渚の大胆さ。 映画というジャンルで戦い続けた男のメッセージが刻まれた作品の一だった。 ラストシーンで検事以外の人間が見た“女”の姿。“R”は“R”である事を受け入れる・・・。 後味は悪いが、「儀式」と共に一度は見ておきたい作品だ。 この映画が嘲笑うものは、死刑制度、そして人間そのものに対する矛盾なんだろうね。多分。 俺は「少年」や「戦場のメリークリスマス」の方が好きだが、この映画は大島渚にしか撮れない最高傑作だ。 【すかあふえいす】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-06-24 18:06:50) 8.《ネタバレ》 妻投稿■加害者の身勝手な妄想(自分が不幸であるのが強姦殺人の事由という論理)には全く賛同出来ず、ラストは「こいつ死ねよ」と思ってしまった。でもその「こいつ死ねよ」という感情が実行されてしまうのが死刑制度なわけであって・・・。■この映画は殺人被害者遺族の感情を持ち出してはいない。遺族だったら殺人者は残虐な方法でぶっ殺されてほしいと考えるのは至極当然だ。遺族の方の世界からは平常も正常も奪われてしまっているのだから・・・。だがそうではなくて、この映画は私みたいに「こいつ死ねよ」という感情を持っている一般市民自身に作られた映画なのだ。■私はある女性に対する誘拐殺人犯が友人の協力で作ったブログを見たことがあって、犯人の身勝手な論理に吐き気がした。死ねばいいと思った。でも、犯人に対して「死ね」というような私みたいな一般市民の何百のコメントを見ていると、その感情やコメントは正しいし当然だし、間違っていないのだが、少なくとも怖いと感じた。■映画ではそうした私たちの「死ね」という感情を滑稽に描ききっている。その形として「死刑執行後に記憶喪失になった人間を誰もが『死ね』というような人間に戻して死刑にする」というコンセプトはよく考えたなあと思う。このコンセプトは遺族の方からすればどうでもいい次元だが、私たちごときには考えさせられてしまう問題である。遺族の方の報復感情が当然だからといって、私たちが「死ね」というのは、死刑を運用するのは正しいのだろうか。被害者遺族と一緒に「殺せ」を連呼すること「だけ」が、「唯一」の被害者への殺人行為を憎む手段なら、人間は終わりだ。■この映画の問いが直ちに「死刑廃止すべき」に繋がるのなら、「遺族自身に報復を押し付けるべき」という考えになっちゃうから、一概には言えないんだけど、でも身内を殺されたこともない日本人が、自らの残虐性に無頓着なまま死刑を支持しているのではという一種の風刺が、この映画には確実にあると思う。 【はち-ご=】さん [レーザーディスク(邦画)] 9点(2011-07-09 16:37:30) 7.冒頭に“絞死刑”という文字が長い時間ズドーンと出てくる。 冴え渡るモノクロ画像。 そして、絞死刑の様子が生々しく厳かに再現される。 ところが、途中からコメディタッチな展開へシフトする。 そして最後まで、その悪ふざけ。 だけど、大島渚監督の言わんとしていることは終始一貫している。 「死刑制度」の是非を、観る者に問うているのである。 強姦殺人事件を2件犯した朝鮮人の若者が、法により死刑される。 法をやぶったのだから死刑で当然だという考え方に対し、どんな残酷なことをした人間だとしても、人間が人間を殺してはいけないのではないか?という命題を叩きつけてくる。 死刑を行うのは誰か? 死刑執行作業を行う者でもなく、それを指示する上官でもない。 ならば、国家か? 国家といっても、目に見えない。 国家が定めた法律だから、人間を処刑(殺す)ことができる。 そうは言っても、処刑を行うのは人間の手によるものである以上、死刑が広義の殺人として考えられなくもない。 大島渚は、終盤でこのような内容を、ふざけた調子でガンガンと主張してくる。 私はと言えば、死刑制度には反対でも賛成でもない。 ただし、殺害された被害者の親族などの立場になったら、どうなるだろう。 本作は、そういったことを考えさせられる至極真面目な映画であるが、その反面、表現方法としては、大の大人がふざけまくるという演出手法を採用している。 そこが実験映画的であり、ATGとしての主張とこだわりを強く感じることができた。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2011-04-28 20:52:19) 6.前半の面白さだけだったら、ためらわず大島最高作と断定してしまうんだけど、後半抽象論になって浮いてしまうのが不満。外に出ての妄想シーンまではいいと思うんだけど、「姉」が見える見えない以後の展開は、映画よりも剥き出しのシナリオ文学って感じで。いかにも60年代末という時代を反映はしている。これ音の効果もいいんだ。ぶるぶる震えるときの手錠のカチャカチャやら、生きているということの鼓動、朝鮮人部落の声、など。あの姉の演説にRが、どうもしっくりこない、と不同意を示すとこに誠実さがある。ドアの外の国家がまぶしく輝いているところは、やはり迫力がある。特定の代表者があるわけでなく、国家とは一つの状況だということか、けっきょくRも妄想の世界へ消えてしまったという意味なのか、あるいはこちら側がひとつの妄想の体系だと言っているのか。など理屈をいろいろこねる楽しみはあるが、前半のブラックユーモアで押し通してもらいたかったなあ。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2010-06-15 11:58:42) 5.《ネタバレ》 凄い作品です。内容は、死刑制度・在日問題等非常に重いテーマを取り扱っているのですが、非常に喜劇チックにストーリーが進んでいきます。特に渡辺文雄演ずる教育部長をはじめとする刑の執行者達の演技が凄くユーモラス(ブラックですけど・・・)で、主人公Rの冷静さと相俟って独特の雰囲気をかもし出しています。 【TM】さん [インターネット(字幕)] 9点(2006-04-16 22:07:03) 4.小松川事件を下敷きに朝鮮人差別問題、死刑制度、国家と個人などの難解なテーマをシニカルな笑いに包み、ほぼ全編を死刑場の中でのワンシュチュエーションで見せる低予算な映画。 【亜流派 十五郎】さん 7点(2004-06-08 12:19:01) 3.死刑制度に反対なら10点。死刑制度撤廃に反対なら0点。私はアカでもリベラル派でもないから0点をさしあげる。 【じゅんのすけ】さん 0点(2003-07-09 22:24:52) 2.名作中の名作。罪というテーマに敢然と立ち向かった大島に拍手。小松川事件を知らない人にはイマイチわからんのかもしれんが… 【ぽん太】さん 10点(2001-11-13 09:17:10) 1.大島監督いわく、処刑制度に反対する映画らしい。 【あろえりーな】さん 6点(2001-09-01 14:21:35)
【点数情報】
【その他点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS