みんなのシネマレビュー

お早よう

Good Morning / Ohayo
1959年【日】 上映時間:94分
ドラマコメディ
[オハヨウ]
新規登録(2003-10-15)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2024-02-14)【イニシャルK】さん


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ブログに映画情報を貼り付け
監督小津安二郎
キャスト佐田啓二(男優)福井平一郎
久我美子(女優)有田節子
笠智衆(男優)林敬太郎
三宅邦子(女優)林民子
島津雅彦(男優)林勇
設楽幸嗣(男優)林実
杉村春子(女優)原口きく江
三好栄子(女優)原口みつ江
高橋とよ(女優)大久保しげ
竹田法一(男優)大久保善之助
沢村貞子(女優)福井加代子
東野英治郎(男優)富沢汎
長岡輝子(女優)富沢とよ子
田中春男(男優)辰造
大泉滉(男優)丸山明
須賀不二男(男優)伊藤先生
殿山泰司(男優)押売りの男
諸角啓二郎(男優)巡査
桜むつ子(女優)おでん屋の女房
菅原通済(男優)客通さん
片桐余四郎(男優)防犯ベルの男
脚本野田高梧
小津安二郎
音楽黛敏郎
撮影厚田雄春
製作山内静夫
配給松竹
美術浜田辰雄
編集浜村義康
録音妹尾芳三郎
その他東京現像所(現像所)
松竹(デジタル修復版共同復元)
山内静夫(デジタル修復版総合監修)
川又昂(デジタル修復版画調監修)
近森眞史(デジタル修復版画調監修)
IMAGICA(デジタル修復版技術協力)
あらすじ
テレビ・洗濯機・冷蔵庫が「三種の神器」と呼ばれた時代。テレビを買ってほしくて仕様がない勇と実の兄弟だが、親に取り合ってもらえない。叱られた二人は、だんまり作戦を決行する…。

ヒゲ太】さん(2004-01-01)
全てのをあらすじ参照する

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【クチコミ・感想】

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123


50.《ネタバレ》 ちょっと前の日本と日本人を知るのに小津映画ってうってつけで。カラーで撮られていることもあって、ほかの小津作品に漂う「しみじみ感」は薄くて断然陽気。
昭和三十年代の東京(の郊外)ってあんなふうだったんだねえ。近隣との距離が近い近い(笑) 「ちょっと○○さーん」と呼びつつ戸を開けて現れる。インターホン(むしろ呼び鈴)、だーれも(押し売りさえも)鳴らさないの。この人間同士の近さって失われて久しい。煩わしいけどちょっと懐かしくもあります。
高度経済成長期へ差しかかろうという時期の息吹も感じます。家屋の中に物が多いし、子どもへの教育熱心さがどの家庭からも伺える。
皆文句を言いながらも元気いっぱいで明るい。テレビ買って!とだんまりストライキを子どもができるのも、暮らしに余裕があることを子供心にも肌感としてあったからでしょう。社会全体が右肩上がりだった活気が伝わるなあ。
それに、この時代の人物らは戦争を経験して生き抜いた世代なのですね。ご近所の詮索をして噂話をするのも解放されたのびのびした空気の中でこそ。
そしてさすがとしか言いようのない杉村春子。キッツいなあ相変わらず。息子かわいそうパンツくらい出してやれよ笑。「そーんなに厳しくしなくてもいーんじゃないかあ」とわたしの感想も心なしか笠さん風のんびり棒読み台詞になりました。 tottokoさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2024-09-16 13:13:35)

49.《ネタバレ》 小津監督の映画を観るのは本作が初めてです。低い位置から見上げるように撮るカメラが特徴的に思えました。風景では家々の間の狭さ、東京の空の狭さが感じられましたし、屋内では足元がつま先までしっかり入るカメラアングルが『家では靴を脱ぐ日本の文化』を感じさせてくれます。あと話している人物を正面から(話される相手側から)観るポジションのカメラ位置も、小津監督の特徴のようですね。

些細な親子の衝突から、挨拶をしなくなった林家の兄弟。急に話さなくなったことから色々想像し、それが近所や学校で、林家の悪い噂が広まってしまう。ご近所がそんな考えになっているとは知る由もない民子。う~ん、怖い。
挨拶の大切さを小さな町内の騒動で、解りやすく見せる構成は、小さい頃に観たNHKの子供向け道徳番組を思い出します。『みんななかよし』ってタイトルらしいです。「口笛吹いて~空き地へ行った~♪」とかってOPのやつ。調べたらこのドラマは'62年から始まったそうなので、この映画は少なからず影響を与えたかもしれません。「昨日のズボンは~、も~お履けな~い♪」って歌も意外な形で影響を与えてるかもしれません。(※みんななかよしの歌じゃなかったわ)
伝わらないジェスチャーで給食費を学校に持っていけない兄弟。駅のホームで挨拶は出来ても、節子への心の内を言い出せない、平一郎のもどかしさ。言葉で伝えることの大切さは、幾つになっても変わらないものですね。でも気持ちを伝えないでいる、あのもどかしいような時間も心地よく感じられます。

しかし、昔の新興住宅地って道路が狭いんだな。車も通れない道幅の向かいにご近所さん。家の鍵も掛かってるんだかいないんだか。酔っ払って帰宅したらお隣さんの家だったなんて、のどかな時代です。近年、若者の間でシェアハウスなんてのがあって、一人の時間が無いと生きていけない私には、理解不能な生活スタイルだと思っていましたが、案外、この映画の時代の人々の暮らしと、そう変わらないモノを、現代の若者は求めているのかもしれませんね。 K&Kさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2024-05-23 22:08:25)

48.初老の私にとっても、この作品で描かれている古き日本は、懐かしいを通り越して、もはやファンタジーみたいな不思議な世界なのだけど、そこにカワイイ子役や、もどかしい恋愛をしている若者など、現代の私たちにもリアリティを感じられる人々が絡んで、大した盛り上がりがないにも関わらず、そこはかとなく面白く、印象的な作品になっている。テーマとして、いろんな意味の「未熟さ」が描かれているのかなと思った。 すらりんさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2024-04-19 19:24:08)

47.小津が撮る「日本」は外国人が撮る「日本」によく似ていて
日本の風景や構図が生活者の視点というより旅行者が観る日本の視点に近い。
妙に小奇麗というか情緒的というかガイドブック的というか。
ドキュメンタリー思考の監督ならバキュームカーとか出しそうだけど
そういうリアリズムというか生活臭は決して映さない。
で、内容は「ここが変だよ日本人」であり「ホワイジャパニーズピーポー!」なんだよね。
ただ、駅で佐田啓二が「いい天気ですね」と言う空は、遠くで工場から煙が出てて、
デジタルリマスター版でもスモッグがかかった空にしか見えないというのは小津の皮肉なんだろう。 michellさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2023-12-19 18:20:12)

46.《ネタバレ》 クソガキどもの馬鹿騒ぎとオバさんたちの下らない井戸端会議。
しかもそれがメインみたいに頻繁に出てくるので嫌気がさした。

なかなか愛を語れないイケメン佐田啓二と美脚の久我美子。
この二人のプラトニックな距離感はとても良かった。
この二人の恋愛劇をもっと見たかった。 にじばぶさん [インターネット(邦画)] 4点(2023-03-17 08:09:14)

45.《ネタバレ》 それにしても、よく「おはよう」なんてタイトルつけたもんだ。
でも、これが効いている。
子供たちのだんまり作戦の後の、プラットホームでの空を見上げての天気の話題。
互いに思いを寄せている者同士の、距離を測るようなもどかしいやり取りが、とても微笑ましい。
洗濯機やテレビがまだ普及していない時代の、近所付き合いや噂話を見ていると、現代の我々はなんだか殺伐としているなあと考えさせられる。
何気ない日常を切り取って見せてくれるのが、小津監督の流儀なんだろうな。
そして、この時代の女優の存在感。
久我美子が登場するだけで、画面が華やかになる。
女性らしい言葉遣いも、品があって美しくて、そして嫌味がない。
のんびりした時間を楽しめて、そしてクスッと笑える、懐かしくて温かい時間を過ごせる映画。 roadster316さん [インターネット(邦画)] 8点(2020-10-03 01:17:00)

44.《ネタバレ》 『く』から始まるしりとりです。さてなあに?

『月光仮面!』w
『赤胴鈴之助!』www ってこれマジか
あのまま先生が違う生徒を指しまくっていれば『怪傑ライオン丸!』とか『忍者赤影!』とかそこまで行ったのか!?
(いやいや、ライオン丸は1972年だから この時まだ知っとるこどもは居ない筈だけど)
まあなんにせよ、しりとりあそびで
からす➡ すみ➡ みかづき➡ きく の流れから
月光仮面や赤胴鈴之助をぶっこんできた少年Aと少年Bには驚愕の思いで何か別の意味において尊敬の念に値する。(特に赤胴鈴之と追い討ちをかけてきた真面目な顔した少年Bがかなりツボ。)

たがしかし、そんなド天然ボケした少年二人にMVPはあげられん。
MVPは絶対に勇くんだろ、
兄を見習いながら あうんの呼吸で完璧な演技をみせた弟:勇くん。
彼の佇まいやら動き言動において、その存在意義やら愛らしさたるや すごいっす。
片手に無数のご飯粒つけたまま 与えられたお茶を反対の手のひらで受けて飲むという こどもならではのその反応と食事法。とても記憶に残るシーンとして脳裏に焼き付きます。

ではと、多く語り尽くしたい事山ほどありますが、とりとめなくなってしまうのでこのへんで。

ただ も一つこれだけは語って終わりたい。
パンツ汚して帰って脱ぎ脱ぎしてても次のパンツが与えられない少年:幸造くん とても気の毒で不憫な姿には見えますが、君のパンツの一件で締まるラストがとても晴れやかで素敵に感じましたよ とても素敵なオズワールドの終結となっていましたよ。 3737さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2020-03-14 19:07:31)

43.《ネタバレ》 昔見た時もすごく楽しめた映画だったが、やはり久しぶりに見ても面白かった。小津安二郎監督の映画に登場する子供はどの映画でもみんなイキイキとしているが、子供が主役の喜劇映画である本作はとくにそれが感じられ、子供たちのオナラ遊びや、実と勇の兄弟が母親(三宅邦子)に「アイラブユー」、「オフコースマダム」とませた英語を話すシーンなどほほえましく、とにかく子供たちが本当にイキイキと元気に描かれていて、小津監督の子供の使い方のうまさや、喜劇のセンスの冴えもあり、やっぱり小津監督は喜劇映画の監督だと思わずにはいられない。中でもテレビ欲しさに一言もしゃべらなくなった兄弟が給食費のことを家族に伝えようとするジェスチャーのシーンはとくに笑ってしまったが、ここに小津監督のサイレント時代の経験が活かされているのは明白だろう。(筆談すればいいのにと思うのは野暮というもの。)そんな子供たちだけではない、舞台となる集合住宅の住人たちの噂話も、冒頭の会費の行方についてのシーンからこんな噂話してる人、周りにもいるなあと妙に親近感がわいて、本当に近所の主婦たちの井戸端会議を見ているようで面白い。この部分では会費の問題が解決したあとに実と勇がしゃべらなくなり、杉村春子が挨拶をしても返さないのを会費を横領したのを疑われた親がそれを根に持って子供に相手をしないようにしてるんだと話すシーンがとくに印象に残り、笑える。(三宅邦子、かわいそうに。)この杉村春子も良いのだが、キャラがたっているのが三好栄子演じる彼女の母。会費の行方の真相についてもそうだが、なんといっても押し売り(殿山泰司)とのやりとりが愉快痛快で楽しかった。笠智衆のセリフで大宅壮一の言葉を引用している(前に見た時も印象に残った言葉だった。)が、この当時の映画業界人の中にはこの言葉に共感する人も多かったのではないかとつい思った。なにはともあれ、肩の力を抜いて気軽に楽しめる喜劇映画で、もし、小津監督の映画にまったく触れたことがないような人がいたら、まず最初にすすめてみたい映画だ。(2020年1月13日更新) イニシャルKさん [DVD(邦画)] 9点(2020-01-13 23:11:17)(良:1票)

42.《ネタバレ》 子供のダンマリ作戦より、近所のおばさん方のすぐに声を掛け合って噂話をしまくるのがなんとも面白い。実は内容はあまり無いのだが、お父さんお母さんや子供たちの当時の日常が面白く描かれているんじゃないかな。 SUPISUTAさん [DVD(字幕)] 5点(2018-09-17 11:32:00)

41.《ネタバレ》 あっはっは。もう笑っちゃった。むくれて口をきかなくなる子どもたちと近所のおばさんたちの何ともいえない事件。もう微笑ましくて、今の日本にこういう風景あるだろうか?と思った。あるんだろうな、きっと。形を変えて・・。そういうのを映画にすればいいのに・・。 トントさん [ビデオ(邦画)] 8点(2016-12-14 11:14:32)

40.《ネタバレ》 ○小津監督のコメディの傑作。○子供たちのだんまり作戦と町内会費の問題が交錯する脚本の妙。杉村春子のすばらしさも再認識。○雑談はできても、肝心なことは言えないというテーマもベタだが子供をうまく使いながらしっかり起承転結させている。 TOSHIさん [CS・衛星(邦画)] 9点(2016-05-29 13:24:46)

39.この時代の日常を描いている作品。
「(挨拶のような)無駄なことが世の中の潤滑油になっている」、でも「(男女間で”好き”という)大事なことはなかなか言えない」というのが印象に残る映画。
単純に面白いかどうかという観点では評価しにくい。 simpleさん [CS・衛星(邦画)] 5点(2016-04-24 21:45:53)

38.《ネタバレ》 これは中々ヒネリが効いていて、風刺も感じられるのだが、ちょっとツッコミが甘かったのでサラリとしすぎているというか。あえてそういうテイストを狙っているのかもしれないけど。まず、挨拶ってのは子供から見たら無駄に思えるのでしょうけど、大人にとっては重要な事ではあります。が、他方「挨拶は殺人の始まり」とも言えるわけで、人付き合いの難しさはそこにあるわけです。子供たちはオナラしたり、アイラブユーとか平気で口にしたり、頭にくれば口をキカナイという裏表のないホンネ100%で生きてるわけですが、大人達はホンネとタテマエを使い分けて、どうにかうまくやろうとする。でも、そこには誤解があったり、疑心暗鬼があったり、真意が伝わらない等々のすれ違いやギャップがある。そういう世代間や家族・近所・男女のコニュニケーションの距離感やあり方、そして危うさについて表現したかったのでしょうけど、登場人物が多くて話が発散してしまった。ラストはキレイにまとまってますけど、もうちょっとグサっとしたものがあってもよかったなあという気はします。 東京50km圏道路地図さん [DVD(邦画)] 6点(2016-03-07 15:23:59)

37.ご近所の様子を淡々と描く、一見「無駄」のようなあいさつや井戸端会議が、実はコミュニケーションの潤滑油となって社会の軋みを防いでいる、無駄の大事さを説いているように思えました。 これを観ると、現代の、無駄なものは一切排除という風潮が、なんだかギスギスした社会を作ってしまったような気がします。「テレビは一億総白痴化の元凶」というのも、その通りになってますね。次男のアイラブユーがウケているようですが、自分は序盤の「オフコース、マダム」で吹き出しました(笑) ramoさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-12-18 18:58:20)

36.昭和30年代に作られた映画なので当時のリアルな衣食住の風景が新鮮でした。セリフ回しに多少の違和感がありましたがそれなりに味わいのある映画でした。 ProPaceさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2014-08-13 20:01:56)

35.その映画人生でひたすら「家族」の来し方行く末を描いてきた監督小津。当時の関係者内からはその作風に批判的な風潮があった、と聞いていますが約50年経った今でも支持されるのは彼の描写した風景の本質そのものは時代が変わっても不変だからでしょう。でこの作品。大人の理解を超えた、子供ならではの行動を見せつけられて可笑しさが増す。オナラ遊びに気を入れすぎて「み」が出てしまった時の子供の凹みっぷり、面白すぎる。話の面白さだけではなく近所付き合いの様子(人の出入り)を捕らえたショット、流れのテンポに関しては実はものすごく工夫されたもので注目すべき点。あとこの映画の久我美子。あいらぶゆうー! Nbu2さん [映画館(邦画)] 8点(2013-08-29 11:11:30)(良:2票)

34.子どもだちが「お早よう」と言わなくなった、ということが大事件として扱われる。いくら昔の映画だからってこんなにミニマルな映画があるんでしょうか。あるんですなあ。まるで人が死んだか!というくらい悲壮感溢れる音楽も流れます。「無駄口叩くな!」と大人たちは言うくせに、「けど無駄があるから、潤滑油になって良いじゃないですかね」などと言う。無駄口喋るなと言ったのはそっちじゃないか!と子ども目線でイライラしてしまいました(笑)。けれど、最後は子どもたちが、そんな大人の矛盾や「本音」を汲み取る術を無意識にも理解して、成長する片鱗がほーんの少しだけ見えるのがオツでいいですね。それにしても、「もう口きかない」といってあそこまで粘れるのは関心。私は一晩でギブアップしました! ゆうろうさん [DVD(邦画)] 7点(2013-02-02 13:30:22)

33.これカラー映画だけど、もう50年以上前の作品なんだなぁ。
小津安二郎作品でこんな喜劇があるなんて知らなかった。
男の子兄弟の無言ストライキに振り回される大人たち、とりわけ杉村春子演じる隣近所の主婦の嫌らしさを逆手にとったユーモアが冴え渡る。
セリフが聞き取りやすいのもグッド! mhiroさん [CS・衛星(邦画)] 5点(2012-10-15 20:41:57)

32.これはトーキー以後の小津で、蒲田サイレント時代のリズムが一番感じられ大好きな作品。子どものハンストが『生れてはみたけれど』の反復という直接的な関係もあるが、どちらかと言うと、おでこをツンとする仕種が『生れては…』のまじないを思い出させ、タンマの仕種も絶妙に使われている。給食費請求のゼスチャー、「書いて示せばいいのに」と思ってしまう我々は、トーキー以後の映画を見て育ってしまった人間の無言観で、ここは「字幕」に頼らず沈黙の身振り・仕種で伝えようとしなければ、サイレント時代から映画を作ってきた矜持が許さないのだろう。久我美子のトンチンカンな解答が笑わせてくれる。若夫婦がジャズを口ずさみながら横断するカットは、チンドン屋好きの成瀬ならまだしも小津のトーキーで見るとかなり異様に映るが、サイレント期の、学生の応援団(『落第はしたけれど』)や肩を組んで歩む不良グループ(『朗らかに歩め』)の再来なのではないか。ところで、四つの家の配置がいつもよく分からなくなるので(住んでる東野英治郎でさえ間違うくらい)今回は図を描いてみた。草の土手がある側に杉村春子と高橋とよ、ブロックの斜面がある側に長岡輝子と三宅邦子が並んでいるよう。異常なのは奥と手前両方を土手状の斜面で視界を塞いでいることで、こんな住宅地現実にあるだろうか。庭の眺望が必ず隣家によって遮られる小津の嗜好が、拡大されたのであろう。つまりこの住宅地が一つの家のようで、小津映画でおなじみの部屋から部屋への出入りを、隣近所に広げてみたわけ。移動する四人の主婦が小津常連の名手ばかりで、最良の弦楽四重奏のようなアンサンブルを楽しませてくれる。全編天上の音楽を聴くような傑作で、トーキーになってもこういう純粋なコメディをもう2、3本作っておいてくれてても良かったのに、と思うけれど、一本でもあるだけ嬉しい。登場する駅は、蒲田の川向こうの八丁畷であった。 なんのかんのさん [CS・衛星(邦画)] 9点(2012-10-07 09:35:47)(良:1票)

31.《ネタバレ》 「山田洋次監督が選んだ日本の名作100本」の「喜劇編」としてNHKで放送しておりましたが、むしろこれは、“ちょっとした怪談”だと思いましたです、ハイ。 逃げ場の無いような文化住宅の中で、自分の知らぬ間にあらぬ噂話が広がっていくコワさ。オハナシとしちゃユーモラスかも知らんけど、視覚的には、はっきり言ってこれは、恐怖です。オバちゃんコワい。オバアちゃんはもっとコワいけど(笑)。他にも、反抗期の子供が親の知らぬ間にご飯を盗み出し、川べりで貪り食うコワさ。しかもその後子供たちは、親だけでなく“我々”の目からも忽然と消えてしまうコワさ。オナラしようとしたらウ○コをチビってしまうコワさ。ついでに大泉滉がミョーに美青年であるコワさ。黛敏郎がいかにも小津作品っぽい音楽をまねて書きながらニヤニヤしてそうな(チャンスさえあれば前衛音楽に変えてやろうと狙っていそうな)コワさ……。この映画のタイトルは「お早よう」、何気ない挨拶などムダのようでいて、ムダこそが社会の潤滑油。しかし作品にはムダがなく、エピソードの連射で高密度、それに加えて小津さんの映画にしては、立ってる姿、歩いている姿が多く、若干あわただしい感じもいたしました。それにしても黄門様、ここでも飲み過ぎです、コレ本当に演技なのでしょうか。 鱗歌さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-08-22 23:12:37)

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★《更新》★:2日以内に更新
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【点数情報】

Review人数 50人
平均点数 7.30点
000.00% line
112.00% line
200.00% line
300.00% line
412.00% line
548.00% line
6612.00% line
71224.00% line
81428.00% line
91224.00% line
1000.00% line

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 6.33点 Review3人
2 ストーリー評価 6.66点 Review3人
3 鑑賞後の後味 7.50点 Review4人
4 音楽評価 6.33点 Review3人
5 感泣評価 3.00点 Review1人

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