みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
5.20世紀後半におけるチェリストの最高峰であり(20世紀のチェロの名作の数々が彼への献呈として生まれた)、また指揮者であり、奥さんの歌曲の伴奏を弾くピアニスト(?)でもある、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ。彼のピアノ伴奏、FM放送で聴いた事は何度かあるけれど、ここではその映像が拝めました(ついでに言うと、本作では、“動くショスタコーヴィチ(だよね、あのメガネの人)”まで拝めちゃう)。すいません、本作、2度目に観る時は、これは観るなんてもんじゃなく、メモ片手にロストロポーヴィチの語りの字幕をひたすら書き写しておりました。興味深く、また素晴らしく刺激的な言葉が、この朴訥とした爺さんの口からポンポン飛び出す。ショスタコとプロコフィエフの確執。思えばかつてハイドン先生と若きベートーヴェンが喧嘩した頃から、こういう衝突は避けられないんだろうね。ベンジャミン・ブリテンの言葉「僕に近いのはシューベルトだ」。おお、そうなのか、納得できるようなできないような。しかしロストロ御大は、ブリテンとペンデレツキをショスタコに近いと位置付ける(なるほどシューベルト、マーラー、ブリテンには一種の“稚気”が共通するかも知れない)。こういった言葉が、「知識」ではなくむしろ「経験」として、「懐かしさ」と共に語られる(しかもこの、インタビュー中に散髪に行っちゃう爺さんの口から)のが、たまらないですね(ネット上をあっちからこっちにコピペして知ったかぶりする世代とは大違いです)。バッハへの敬愛が語られるのはもう必然。バッハの音楽は奇跡。しかしこの爺さんも充分に奇跡です。彼は「演奏家は音楽の娼婦、すべての作曲家に愛を捧げる」と宣言し、今日もペンデレツキの新作に、つまり新しい音楽の開拓に、指揮者・作曲者と取り組む(まあ、ペンデレツキもカドが取れましたが)。歴史の生き証人というだけではなく、現在進行形の情熱がここにある。その彼を前にしては、監督も我々も戸惑い、畏怖し、でも微笑まずにはいられない。と言う訳で、到底フィルムには収めきれない彼とその妻の人生を、無理に収めようとせず、監督自らの戸惑いとともにそのまんま封じ込めた、奇妙で刺激的なドキュメンタリ作品です。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2013-01-05 08:30:54) 4.《ネタバレ》 場面があっちへ行ったりこっちへ行ったりで落ち着かない。そのためもあってか、序盤はかなり退屈。監督は芸術作品として撮ろうと思っているのかもしれませんが、むしろマイナスであると感じました。ロストロポーヴィチへのインタビューあたりは面白かった。作曲家の比較など、興味ある話が聞けました。後半は、小澤征爾とのペンデレツキ作品初演と、妻のヴィシネフスカヤのレッスン風景を交互に映しているあたりがハイライトか。たしかに最初は面白かったが、だんだんと飽きてきました。ここでは、レッスンを受けている生徒ではなくヴィシネフスカヤばかりを撮っていたのが面白い。まあ実際、生徒よりも先生の表情の方がよかったです。2人の若い頃の話もあってそれなりに見せますが、全般的に掘り下げが浅いなぁという印象です。どうも監督が撮りたいのはロストロポーヴィチとヴィシネフスカヤではなく、「自分がこの2人をどう見ているか」ということではないかと感じました。 ところでこの映画、第1部と第2部に分かれています。もしかしたらもともとテレビ番組だったのでしょうか? 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-07-19 20:01:58) 3.《ネタバレ》 最近クラッシクに興味がで、今年から頻繁に生演奏、NHKテレビに接している。 ロストロポーヴィチの名は聞いたような気がするし、死去の報で接した気もする。 名チェロ奏者でピアノも指揮も一流だそうだ。日本にも度々来日の親日家である。 20世紀の代表的な作曲家が競ってロストロポーヴィチのために作曲しており、ロストロポーヴィチに捧げられた現代作品は170を超すとのこと。 映像には小澤征爾指揮の場面もあり興味深かった。 ロストロポーヴィチ夫妻の物語で出会いも含め金婚式お祝いの会場での場面から、回想、現在、交友等ドキュメントとして描かれている。 妻のガリーナ・ヴィシネフスカヤは有名で、美人で、人気の声楽家だった。 2007年 4月27日、モスクワにて死去。80歳だった。 ああ!素晴らしい人生かな!! 【ご自由さん】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-10-09 13:29:03)(良:1票) 2.IMDBという有名な映画データベースのサイトでソクーロフの事を調べたら、新作(2007年製作、"Alexsandra"というタイトル)が既に作られていた事が分かった。ある老女がチェチェンの軍人キャンプに滞在する自分の孫に会いに行く、というお話らしい。まあ内容はいいとして、とりあえずビックリしたのは主演(と思われる)の老女を演じるのがなんとガリーナ・ヴィシネフスカヤ、つまり本作に出演した故ロストロポーヴィチの奥さんなのである。どうやらソクーロフは自分の欲望を抑え切れなかったらしい(笑)見ればわかるのだが、このドキュメンタリー映画の主役はロストロ氏でもなくクラシック音楽でもなく、間違いなくロストロ氏の奥さん:ヴィシネフスカヤである。ソクーロフはことによるとヴィシネフスカヤに会いたい一心で、ロストロポーヴィチという世界的なチェリストをダシに、この映画を作ったのでは、という気すら起こる(ちなみに彼女は有名なソプラノ歌手であり映画にも数本出たことがある)。ソクーロフの映画から芸術の二文字が消えた時、それは極めて魅力的な作品へと昇華するが、本作もドキュメンタリーながら彼女への私的な偏愛振りを隠そうとせず、しかもそれが変なねちっこさを持たずどこか突き抜けた変態ぶりでもって、被写体の彼女に迫っているようだ。そしてやはりラストが素晴らしい、というかビックリした。これは是非見て頂きたい。タルコフスキー的な風土を背負いながらもそこに妙な楽観性・通俗性を同居させ、さらにはとんでもないハッタリまでかますソクーロフ、「太陽」の次の作品がこの作品というのもまた、らしいというか。 【Qfwfq】さん [映画館(字幕)] 9点(2007-09-20 21:04:01) 1.どちらかと言えばロストロポーヴィチ(と、その奥さん)をある程度知ってる人向け。私は音楽に疎くてその偉大さを全然知らないままに観たけど、へ~、小澤征爾の師匠で凄い人なんだなってくらいでした。でもこの映画が公開された後ですぐ亡くなられたんですね。ご冥福をお祈りします。 【ぽーち”GMN”ありしあ】さん [映画館(字幕)] 2点(2007-07-18 22:23:38)
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